自衛隊の戦闘機のパイロットに女性を登用する、という方針が出た。
防衛省は、航空自衛隊の戦闘機パイロットに初めて女性を登用する方針を決めた。
これまでは、心身への負担などを理由に女性の配置を制限していた。2020年の東京五輪・パラリンピックで女性パイロットらによる曲技飛行を披露する構想もあり、同省は、女性が活躍する自衛隊の存在を国内外に広くアピールする考えだ。
( → 読売新聞 2015年11月11日 )
国を守るためならいざ知らず、「女性が活躍する……国内外に広くアピールする」という下らない宣伝行為のために、女性の体を犠牲にする、という方針だ。
だいたい、女性と男性とは、体の構造が異なる。男性なら、毎度毎度精子ができるが、女性なら、生まれたときにもっていた卵子が生涯続く。いったん傷ついたら、取り返しが付かない。なのに、その卵子のある卵巣を、9Gという猛烈な加速度にさらすのだ。(戦闘機では)
9Gの加速度
こういうふうに顔が歪むような加速度にさらされると、卵子が変形したり傷ついたりしてしまう可能性がある。下手をすると、不妊になるか、子供が障害児になる。
もっと確実な危険がある。それは、妊娠中の流産だ。妊娠初期に9Gの加速度がかかれば、まず確実に、流産するだろう。流産しても、妊娠初期ならば、「いつもより出血が多いな」というぐらいの意識で済ませるかもしれないが、こういう初期流産を何度も繰り返すと、子宮が傷ついて、永続的な不妊になりかねない。
以上のことは、ただの憶測ではない。医学的にも、研究で証明されている。
第1に、疫学的に(統計的に)判明している。
第2に、動物実験でも判明している。
以下は、9Gの加速度でなく、はるかに弱い加速度(1G)における振動の場合だが、明らかに悪影響が判明している。
全身振動の暴露を受ける作業環境で働く妊娠中の女性労働者は、その全身振動により流産をはじめとする正常妊娠の障害が生じることが疫学的調査や症例検討により指摘されてはいるが、その発現機序についてはほとんど知られていない。
そこで、全身振動による正常妊娠への障害を実験的に証明し、またその際生じる子宮血流量の減少がいかなる内分泌的機序によるかを明らかにするために、ラットに振動数8Hz、振動加速度10m/s^2の全身振動を90分間負荷した結果、全身振動暴露を施したラットでは暴露による子宮血流量の有意な減少を認めた。
( → 全身振動による流産発生機序に関する研究 )
ここではたったの1Gの往復加速度だが、それでも明らかに流産の可能性が高まったのだ。顔が変形して失神するような9Gという加速度であれば、とんでもないことになるだろう。
( ※ 体重50キロの人なら、体重450キロになったように感じる。たとえば、鼻は軟骨が歪んだりする。)
──
このような悪影響は、昔からわかっていたので、母性保護の法律がちゃんとできている。
→ 働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について(厚労省)
ここで示されているように、妊娠中の女性については、健康を害さないように事業主が対処する義務がある。
一方、女性が妊娠しているかどうかは、初期にはわかりにくい。本人が自覚していないことも多い。つわりは妊娠5週目、6週目あたりからはじまるので、妊娠2〜4週目ぐらいには本人も自覚していない。
つまり、本人も自覚していないまま、妊娠している可能性がある。このまま戦闘機に乗れば、流産する可能性は高い。とすれば、戦闘機に乗るたびに、直前に「妊娠検査」を受ける必要がある。しかし、毎度毎度「妊娠検査」を受けるようでは、戦闘機乗りとして役立たずだろう。
さらには、「妊娠検査」は、薬の感度があまり高くないので、妊娠初期には検査漏れが生じる。実際には妊娠していても、「妊娠していません」という表示が出ることがある。
みんなが妊娠検査薬で陽性が出たのはいつ頃? アンケート結果
"1位 妊娠3週・・・48.3%"
"2位 妊娠4週・・・41.1%"
( → アンケート )
妊娠1〜4週目では、妊娠していても検査で見逃されることはかなりあるわけだ。当然、その場合、流産しがちになる。
というわけで、妊娠している可能性のある女性を戦闘機に乗せるのは、法律違反となる。政府が堂々と法律違反をするわけだ。「女性の活躍」を政府が宣伝するために、医学に無知な自衛隊員の妊娠能力を奪うわけだ。ひどいものだ。あとで女性隊員が「流産を繰り返して、子供を産めない体になった」と泣きついても、政府は知らんぷりするつもりなんだろう。
政府がどうしても女性隊員をパイロットにしたいのであれば、もともと妊娠能力をなくした女性に限るべきだ。たとえば、卵巣摘出をしたとか、すでに排卵期を終えた閉経女性とか。それだったら、問題はない。
一方、若くて健康な女性を9Gの加速にさらすとしたら、これは究極のブラック職場だ。男子で言えば、チンコをちょん切るか、玉をつぶすことに相当する。「おれはそうなってもいいぞ」と思う男性だけが、女性パイロットに賛成するといい。
( ※ おまけで言うと、生理の問題もある。戦闘機に乗っている最中に、生理が始まることもある。ここでは出血が起こると同時に、肉体に傷みたいなものが生じている。こういう状況で9Gもの加速度をかければ、傷口が開くような感じで、子宮に損傷が起こりかねない。ひどく危険だ。下手をすれば、不任になる。)
[ 付記1 ]
そもそも、女性パイロットは、男性パイロットよりも、肉体的に大きく劣る。筋力では大幅に劣るし、生理の影響もある。とうてい比較にならないほど、肉体的に劣っている。
( ※ 似た職業に、競争車の F1 ドライバーがいるが、女性にはとうてい耐えられない。特に、首のあたりには、ものすごい筋力が必要となる。普通の男性にも無理だ。)
( ※ 一例として、山岸舞彩の始球式を見るといい。プロゴルファーをめざしたスポーツウーマンでさえ、投げたボールがホームプレートまで届かない。肉体的に優れたスポーツウーマンでさえ、男子には筋力で遠く及ばない。)
このように肉体的に劣っている女性が戦闘機のパイロットになっても、高い能力を発揮することはできない。多分、開戦してまもなく、みんな撃墜されてしまいそうだ。女性パイロットを活躍させるために、1億3千万人の命を危険にさらす、という方針。軍事的には狂気の沙汰だ。
[ 付記2 ]
だいたい、女性を活躍させるなら、何もパイロットという究極のブラック職場(危険な職場)に入れなくてもいい。むしろ、安全な作戦本部で、幹部職に登用すればいい。
多分、軍事オタクは、
「パイロットはカッコいい、だから女性も」
とでも思っているのだろう。甘いね。
パイロットというのは、カッコいいだけの仕事じゃない。ものすごく過酷な仕事だ。アニメのガンダムの操縦みたいなわけには行かないのだ。顔が滅茶苦茶に歪むような過酷な環境なのだ。
そういう現実も知らないオタクが、
「パイロットはカッコいい、だから女性も。たとえば、綾波レイやアスカみたいに」
とでも思っているのだろう。
オタクというのは、度しがたいね。
【 関連書籍 】
女性が戦闘機のパイロットとなって活躍する……という話は、フィクションとしてなら、面白い。下記は、特に優れている。お薦め。
ヘーメラーの千里眼 上
この「千里眼」というシリーズ書籍のうち、本書だけが、普通の小説っぽくて、レベルが高い。シリーズの他の巻は、ラノベふうで、漫画チック。