子宮頸がんの対策は、ワクチンよりも検診の方がいい……というのが、私の立場だ。(前項で述べた通り。)
しかしながら現実には、検診の受診率が日本は最低レベルだ。前項末尾の図を再掲しよう。

出典
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ではなぜ、日本における受診率はこれほど低いのか?
「有料だからだ」と思う人がいるかもしれないが、実際には、無料である。無償クーポン券が5年にいっぺんぐらい送られてくる。なのに、タダであっても、女性たちは受診しない。それはなぜか?
これについて考察したページがある。
→ 子宮頸がん検診の受診率を高めるために日本は何をすべきか
ここから一部抜粋すると、こうだ。
現在、日本の子宮頸がん検診は、国の指針として「20歳以上の女性を対象に、2年に1回実施すること」とされている。
だが、2008年3月に「女性を守るための研究会」が発表した「子宮頸がんの検診に関する調査報告書」(*2)によると、有効回答数967人のうち、「子宮頸がん検診を定期的に受けている」と回答した人は2割弱。「1度だけ」「複数回、受診したことがある」人を合わせると約1割で、残りの約7割弱を「子宮頸がん検診を1度も受けたことがない」という未受診者が占めたという。特に、20代の定期受診者は1割未満で、8割以上が未受診者だった。
この調査報告書では、未受診者に、なぜ検診を受けないのかも聞いている。一番多かった回答は「時間がない」。続いて「面倒だから」「検診方法を知らない」「症状がないので、受診の必要がない」「自分の年齢では子宮頸がんにならないと思う」などが挙がり、日本人一般女性の子宮頸がんに対する知識不足も明らかになった(図2参照)。
無料クーポンの利用率は、調査時点で既に検診期間が終了していた85自治体で、配布した全体のわずか2割にとどまっていた。つまり、残り8割の人は無料クーポンを受け取っても使わなかったことになる。それでも、無料クーポンの配布で検診受診率が微増したことから、今後も継続するとよいだろう。
「2年に1回」という方針を掲げながら、実際には無料クーポン券を「5年に1回」しか与えない、という国の方針もケチだが、無料クーポン券をもらっても「検診受診率が微増した」だけ、という国民の意識もひどい。
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では、欧米では、どうして受診率が高いのか? 記事によれば、欧米でも、国民の意識は低いそうだ。それでも受診率が高いことには、いくつかの理由がある。
(1) 性体験のないころから、かかりつけの産婦人科医がいて、診察や検査を受けるのが当たり前のように考えられている。
(2) 医師、看護師、助産師、学校の保健師がいろいろな場面で、子宮頸がん検診のことを話題に出すという。
(3) アメリカでは、全額が無料。また、検診を受けることで保険料を割引するなどの特典も付けています。
(4) (アメリカでは)受診者側も、年に1度、婦人科検診を受けることはほぼ常識としています。
このことからして、日本でも、同様のことをするといいと考えられる。私としては、次のことを提案したい。
(A)妊娠のときに母子手帳などを配布する際に、同時に、子宮頸がんの検診についてもレクチャーする。
(B)5年に1度と言わず、2年に1度は無料とする。(ただし、有料でも 2500円 だから、費用の点では、あまり問題にならないかも。)
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さらに、私独自のアイデアとして、IT技術を用いることを提案しよう。こうだ。
「マイナンバーの提供にともなって、政府が各人に独自のアカウントを与える。各人は、自分のアカウントを通じて、政府のネットサービスを受けられる。( Google のネットサービスを受けるのと同様だ。) ここで、各人はメールアドレスを登録しておくことにより、政府から、『検診を受診しましょう』というような通知を受ける。その後、実際に検診を受診したら、保険料の割引のようなサービスを受ける」
つまり、このネットサービスを通じて、いくつかの情報や特典を受け取る。
・ 忘れたときの通知
・ 啓蒙となる情報
・ 保険料の割引
こうして、IT技術を応用して、検診の受診率を大幅に高めることができる。
( ※ なお、アカウントを通じたサービスは、当然ながら、パスワードで保護される。メールの登録などは、自分でやる。)