2015年10月18日

◆ 教育用タブレットの是非

 教育用に iPad などのタブレットを使う、という動きがあったが、失敗しただけでなく無意味であるようだ。タブレットよりもいいのは…… ──

 教育用に iPad などのタブレットを使う、という動きがあったが、失敗したようだ。武雄市や佐賀県が失敗例となる。
 佐賀県では、Windows タブレット(富士通製 ARROWS Tab )を導入したが、ソフトのインストール(ダウンロード)などでトラブル続出。
  → 佐賀県 富士通 不具合 - Google 検索
 武雄市では、iPad 導入の予定が、KEIAN の中華パッドを導入して、まともに起動しない、というようなトラブルが続出。
  → 武雄市 keian トラブル - Google 検索
( ※ これらについては、本サイトでも前に述べたことがある。 → 該当項目

 ──

 では、駄目な機械をやめて、まともな機械を入れればいいか? いや、どうもそうではないようだ。そもそもタブレットを導入するということ自体が問題であるようだ。
 なぜか? それは、いちいち教育しなくても、生徒の側が勝手にスマホをいじる例が多いからだ。
 《 <企業悲鳴>スマホ普及でPC使えない若者が増加 》
 若い世代でパソコンを使えない人が増え、話題になっている。IT企業ですら新入社員が使えず困っているケースも。スマートフォン(スマホ)の普及や、親・学校のパソコンへの理解不足、経済的に苦しい家庭が増えていることなどが原因と考えられ、就労のためにも技術習得の必要性が高まっている。
 内閣府が今年2月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、スマホを利用している高校生は89%に上る一方、ノートパソコンは30%、デスクトップパソコンは16%に過ぎない。
 また、内閣府の別の調査によると、米国の 13〜17歳のネット利用者のうち、コンピューター活用が 98%と携帯電話の64%を上回っている。英国でも 12〜15歳の 92%がパソコンを利用しており、欧米に比べて日本の青少年のパソコン利用率は少ない。
( → 毎日新聞 10月17日

 放って置いても勝手にスマホを使うのだから、スマホと同様のタブレットをいちいち教育する必要はない。
 その一方、パソコン(キーボード)をろくに使えない若者が急激に増えている。
 とすれば、教育で必要なのは、タブレットを教えることではなく、パソコン(キーボード)を教えることだ。

 ──

 これはどういうことかというと、次のことを意味する。
 「単に受動的にブラウズするだけでなく、能動的にキーボードで文字入力する。特に、ブラインドタッチをする」

 このことが圧倒的に大切なわけだ。

 これを聞くと、若者は「フリック入力だって早く入力できるぞ」と言いそうだが、大事なのは、速さではなく、疲労度だ。指一本でフリック入力した場合、疲労度は 10本指を使うのに比べて、10倍を大幅に上回る疲労度となる。最初は良くとも、途中で疲れてしまって、まともに入力できなくなる。実際、フリック入力で長文入力している人なんかいないはずだ。

 だから、教育としては、タブレットのかわりにキーボードを導入して、ブラインドタッチを練習させることが必要なわけだ。(これはまあ、算数で九九を覚えるのと同様だ。九九を覚えないと、掛け算も割り算もできなくなる。すべての根源となるので、全員が完全に習得する必要がある。)

 ──

 では、キーボードを使うとして、どんなパソコンを使うといいか?
 安価なのは Atom のノートパソコンだが、これは性能が低い上に、起動に時間がかかるという難点がある。
 この問題を解決するのが、Chromebook だ。教育用パソコンに使うには、Chromebook を使うのがいい。
 この件は、実は、ずっと前に述べたことがある。
  → 教育用 PC には Chromebook (2014年01月22日)
 
 その後、この方針を実行した実例が現れた。東京・港区にある私立の中学校・高等学校である広尾学園は、当初、iPad を導入した。
  → ゼロから作った広尾学園の理系教育、ICTはいかに支えたか(前編):ITpro
 しかしその後、キーボードの必要性に駆られて、Chromebook を導入した。すると、かなり成功しているということだ。
  → ゼロから作った広尾学園の理系教育、ICTはいかに支えたか(後編):ITpro
 こういう成功例があるのだから、「教育には Chromebook を」という方針は正しいことが実証されたと言えるだろう。(私の言った通り。)

 そして、このことがはっきりと確認されたからには、現状の「教育にタブレットを」という方針は、すっかり廃止した方がいい、と結論できるだろう。



 [ 付記1 ]
 政府は「 2020年に教育用タブレットを1人1台」という方針を立てて、この方向に邁進している。
  → IT|教育|自治体 タブレット 2020 - Google 検索
  → 教育現場でタブレット端末浸透 2020年の「1人1台目標」前倒しが進む

 [ 付記2 ]
 実際にタブレットを導入した現場では、問題が続出している。本文中では、佐賀県と武雄市の例を見たが、他にもいろいろある。
  → 「タブレット1人1台」時代に…学校側の課題も山積 - 産経ニュース
  → 教育現場でもIT活用が広まっている。
  → タブレットを授業利用する教育がなぜ失敗するのか解説 【 お薦め 】

 佐賀県と武雄市の例についてなら、先に「Google 検索」のリンクを記しておいたから、そこで詳しい情報(参考ページ)を得られる。
 
 [ 付記3 ]
 Chromebook は、当初は日本語能力が不足していたりしたが、今ではちゃんとしたものが安価で買えるようだ。
  → Chromebook 日本語版 (一覧) (Amazon)

 安価なものは 27,000円程度で買える。それでも特に不満はない、という体験記もある。
  → Chromebook 利用者の体験記

 さすがに MS-Office はインストールされていない(できない)が、そういうヘビーなビジネス用途を除けば、簡単な作業ぐらいはこれで十分であるようだ。
posted by 管理人 at 16:14| Comment(11) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
低コストで教育にITを導入するなら、何処かのリース落ちノートPCにlinuxをインストールするのが一番かと。オフィスソフトもフリーソフトで賄えます。

linuxのインストールは以前よりハードルが随分下がってます。公教育に中古PCというのは難しいかもしれませんが...

で、最大の問題は教育へのタブレット導入が失敗だった、と自覚できるか否かだとみています。愚が繰り返されてしまう仕組、これが是正されない限りどうしようもないなぁと。
Posted by 作業員 at 2015年10月19日 12:07
linux はメンテが困難でしょう。コマンドプロンプトなんて、無理。

あと、大量導入と均質性が無理。一人一人で違うパソコンなんてなったら、教師が発狂する。

> 教育へのタブレット導入が失敗だった、と自覚できるか否か

 それが本項のテーマです。
Posted by 管理人 at 2015年10月19日 12:34
>コマンドプロンプトなんて、無理。

linuxといっても、今日、CUIを全く使用することなくGUIだけでlinuxを操作することができます。
やる気の問題と言われればそれまでですが...

linuxといってもChromeのようなブラウザさえ自動で起動できればChromebookと同じです。というかChromebookがlinux pcの亜流と言えなくもないわけです。

ある程度まとまった同一機種を入手する意味でリース落ちノートPCと書きました。全くバラバラにはならないはずです。
Posted by 作業員 at 2015年10月19日 12:56
こういうのって導入後のハード・ソフトのサポートの責任問題もあって
まとめて一括で契約するパターンでしょうから中古は難しいかもしれません。
Posted by ルート at 2015年10月19日 16:10
Linux はコスト的に引き合わないでしょう。
  ・ 管理費が Chromebook に比べて大幅に高い。たぶん1年1万円ぐらい高い。
  ・ 初期のソフト費用やインストール費用がかかる。たぶん2万円ぐらい。
  ・ 中古なので耐用年数が4年ぐらい短い。
  ・ 初期購入費は2万円ぐらいだろうが、Chromebook の 2.7万円と大差ない。

 結局、増える出費は大幅に高くなる割に、節約できるのは 7000円程度。差し引きして、大幅な赤字となります。

 もっと大変なのは、生徒。学校のマシンのほかに、自分用のマシンを購入するとして、 Chromebook なら 2.7万円を払っておしまいだが、Linux は購入方法からしてわからない。初期設定や操作も大変。とても無理。
Posted by 管理人 at 2015年10月19日 19:45
Chromebook使ってます。
用途によっては有用です。

>さすがに MS-Office はインストールされていない
これが決定的な問題点です。
小中高程で、パソコン使って生徒に教えることは、MS-Officeくらいしかない。
よって、Surface 3でいいのです。MS-Officeプリインストで、フルキーボード入ってます。
Posted by inoueakihiro at 2015年10月20日 20:46
> 小中高程で、パソコン使って生徒に教えることは、MS-Officeくらいしかない。

 小中高なら、MS-Office でなくて、Google の無料オフィスや、MS の無料オフィスでも十分でしょう。MS の OneNote もある。
 こういうネット上の無料アプリを操作するぐらいで十分。徹底的に使いこなすのは、大学生になってからでいい。(長文レポートなど。)
 
  → http://j.mp/1LIaU6p
Posted by 管理人 at 2015年10月20日 21:37
日本語を入力するだけならフリック入力でよいが、英語やプログラミングに対してはキーボード入力のほうが優れているように思います。
広尾学園の記事は感心しました。潰れかかった学園を立て直す目的にくらべて、佐賀は機械を導入したかっただけと思われます。
Posted by senjyu at 2015年10月20日 21:47
職業教育と考えるなら、全国の職場で使われている(パソコンマニヤ的にはダサい)15インチ、1366x768ノートしかありません。MS-Office搭載で5万円を切るのです。
職場のパソコンと全く同じものでトレーニングするのが一番ましです。
Posted by inoueakihiro at 2015年10月21日 03:15
職業教育は、大学と高専。
 今回は、小中高なので、基礎教育です。

 なお、職業教育なら、まともなキーボードのあるデスクトップでしょう。ノートパソコンのキーボードでは、まともに打鍵できません。あんな薄っぺらなキーボードを使っているのでは、いつまでたっても初心者のまま。生産性が悪すぎる。
 デスクトップは、ドスパラだと、OS込みで 29,980円 です。http://j.mp/1KmTkiK 液晶モニタは別だが、安いものはフルHDで1万円。http://j.mp/1W431ir 
 4万円で十分な機能のものが買えます。(大学の場合。) Office は別途2万円。(ドスパラならオプション価格。) 全部合わせても、6万円を切る。(税別)

 小中高は、本文で述べたように、安価な Chromebook がお薦め。
Posted by 管理人 at 2015年10月21日 06:15
教育で大切なのは、ブラインドタッチができるようになること。そのためには、日本語入力でブラインドタッチをするための設定ソフトを使うこと。下記に ATOK 版と Google IME 版がある。
  → http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/soft/homes.htm

 どちらかを使って、設定すると、ブラインドタッチができるようになるための設定がなされる。インストール後は、日本語入力でブラインドタッチが可能となる。
 
 このソフトを使わない場合、入力時に、手がホームポジションから離れてしまう。
  ・ 文字の入力訂正で BackSpace キーを使う。
  ・ 変換の前候補で カーソルキーなどを使う。

 このソフトを使えば、手をホームポジションから動かさずに、日本語入力の操作がすべてできる。

 作者は、私。
 なお、従来設定との切り替えが可能。設定状態が一つ増えるだけ。設定の解除はいつでも可能。(いちいちアンインストールしなくていい。)
Posted by 管理人 at 2015年10月21日 06:24
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