2015年10月03日

◆ 五輪エンブレムの黒幕 2

 五輪エンブレムで暗躍した黒幕は、1名でなく2名いることがわかった。 ──

 五輪エンブレムで暗躍した黒幕については、先の項目で示した。
  → 五輪エンブレムの黒幕

 ここでは、高崎卓馬という名前が出たが、朝日の新しい記事では、もう一人の名前が出た。裏で暗躍したことの責任を問われて退任するという形。
 《 組織委、エンブレム担当2人の退任発表 電通の社員 》
 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は2日、白紙撤回された公式エンブレムの制作を担当していた槙英俊マーケティング局長(52)と、審査委員の一人でもあった企画財務局の高崎卓馬クリエーティブディレクター(45)の退任を発表した。
 2人は組織委のマーケティング活動を担う専任代理店、電通の社員で、組織委は同日付で電通からの出向を解除した。
 退任理由について組織委は、「旧エンブレムに関する問題の影響で、適正かつ円滑な業務遂行が困難であると判断したため」と説明している。
 組織委は9月28日の記者会見で、エンブレムを公募する前に、槙氏の判断で、佐野研二郎氏ら8人のデザイナーに参加要請文書を送っていた事実を公表した。
 また2人は、審査委員会が選んだ佐野氏の原案について、高崎氏以外の審査委員の同意を得ずに行われた2度の修正を主導していた。
( → 朝日新聞 2015-10-03

 このような退任処分が急に出たのには、わけがある。週刊新潮 (10月01日発売)が、この裏事情を暴露したのだ。「黒幕は二人いるぞ」というふうに。

 週刊新潮は、いろいろと事実を暴露しているが、特に重要なのは次の三点だ。

 (1) 国旗

 佐野案には、日の丸を意味する赤丸がある。これは実は、規定違反だったそうだ。IOC の規定で、「国旗を思わせるデザインは駄目」というのがある。これを、応募したデザイナーに呈示して、日の丸の使用を禁止した。その一方で、佐野案だけは日の丸の仕様を許した。かくて、佐野案だけが規定違反を許容される形で、インパクトの強い赤丸を使うことができた。これを主導したのが、高崎氏らしい。
( ※ 自分だけ勝手に規定違反をして有利になる……というのは、VW の不正に似ている。)

 (2) 展開

 週刊新潮の記事によると、エンブレムに応募したデザイナーには、「展開案は自由提出である」(出しても出さなくてもいい)と述べて、たいして重視しない旨を説明していた。
 ところが、あとで決定した際には、「佐野案は展開案が優れていたから佐野案に決まった」というふうに述べた。
 佐野さんの案は当初案より、会場装飾やグッズ類への展開案が素晴らしく充実しておりました。
 2位、3位の案も拝見いたしましたけれども、佐野さんの案は、特に会場装飾や関連グッズなどへの展開案が非常に素晴らしかったために、仮に次のステップの商標調査で修正を余儀なくされたとしても、1位案のデザイナーの方、つまり、佐野さん自身に案を修正していただくことでエンブレムの完成を目指す、ということが決定いたしました。
( → 五輪エンブレム、二つの謎[孫引き] )

 組織委はこう述べて、展開案をはなはだ重視して決定した。これでは二枚舌だろう。
 実は、佐野案は展開案が優れていた、ということはなかった。たいていの人は、「展開案などはどうでもいい」と知らされたので、展開案のデザインを提出しなかったのだ。その一方で、佐野氏だけは、展開案がいっぱいあるデザインを大量に提出した。かくて、「佐野案だけが優れた展開案を持つ」というふうに評価されて、佐野案に決定した。
 ひどい出来レース。ほとんどインチキ。

 (3) 掛け合い

 選考の過程では、佐野案の票が圧倒的に多かった、というふうに組織は報告した。しかし、週刊新潮の記事によると、実はそうではなかった。重鎮は、2位や3位の案を推す人も多くて、なかなかまとまらなかったそうだ。
 ここで高崎氏が、「マーケティングの観点からマーケティング局長はどう思いますか?」と槙氏に振って、「マーケティングの観点からは佐野案のロゴが企業のロゴに合うのでよろしい」というふうに回答してもらった。これ以後、議論は佐野案にまとまっていったらしい。
 まるで漫才の掛け合いだ。しかし、これも出来レースだろう。

 ──

 ついでだが、佐野案は企業のロゴとの相性はいいが、それは、企業にとってはいい、というだけのことだ。
 逆に、オリンピックのマークとしては、佐野案はあまりにも平凡すぎて、企業ロゴの引き立て役になってしまう。埋没する形。この件は、下記項目で述べた。
  → 五輪エンブレム、二つの謎
 そこから抜粋すると、次の引用部がある。
 今回決定した東京オリンピックのエンブレムデザインが次第に使われ始め、街中でもお目に掛かりますが、その使用状況で見る限りでは、協賛企業のロゴの方が主役に見え、肝心のエンブレムが脇役か背景(サブシステム)に見えてしまい、主客転倒のデザインのように私には思えます。
( → 中西元男公式ブログ


 ──

 ともあれ、以上で述べたように、このエンブレムの選考は電通による主導で、完全に出来レースであったようだ。そのことが内部の多数の証言で明らかになった形だ。
 かくて、冒頭の朝日の記事に記されたように、二人の退任になったわけだ。



 【 関連項目 】

 以上の話を読んだだけでは、「どうして電通が黒幕になったのか」という背景ないし構造は明らかでない。これが本質なのだが、「誰が犯人か」ということばかりが話題になって、「どうしてその犯行をしたのか」という原因の方は明かされていない。
 この件は、私が前に解説したので、そちらを読んでほしい。電通の利権が理由だ、というふうに説明してある。
  → 五輪エンブレムは決着したか?
  → 五輪エンブレム、二つの謎

 ともあれ、私がずっと前に指摘したように、真犯人は電通であったわけだ。世間は「博報堂だ」「森元首相だ」なんて騒いでいたが、私は「犯人は電通だ」と指摘した。そして、そのとおりに真相が判明したわけだ。名探偵の勝利。

 ただ、私の推理は、あくまで推理だった。この推理を足で調べて実証した週刊新潮は、実に偉かった。他のマスコミは自分では何も調べなかったが、週刊新潮は、たぶん名探偵の推理を聞いて、実証する気になったのだろう。実に大スクープだ。スクープ賞でももらう価値があるね。

 【 関連サイト 】

  → 週刊新潮 (10月01日発売)



週刊新潮 2015年 10/8 号




 [ 余談 ]
 パラリンピックのエンブレムがおかしい、という話題もある。
  → パラリンピック・佐野エンブレム原案

 2位と3位の案がひどい、という話題もある。
  → 衝撃! 2位と3位の原案がヤバすぎる



 【 追記 】
 これで事件は一件落着した……と見えるが、そうではない。次の謎が残る。
 「電通の二人を組織に入れたのは誰か?」
 本来ならば利害関係にある業者を組織委に入れることなど、あり得ないはずだ。それはいわば、新国立競技場の選考で、大成建設や鹿島建設の社員を委員会に入れるようなものだ。滅茶苦茶である。なのに、その滅茶苦茶が通った。どうしてか?
 ここまで考えると、政治家との癒着が考えられる。というか、それしかあり得ない。電通が政治家に賄賂を効かせて、社員を組織委に送り込んだのだろう。
 では、その政治家とは誰か? 
 すぐに思いつくのは、森元首相だろうが、この人は無能すぎるし、ただのお飾りでしかない。武藤事務総長をコントロールできるはずがない。
 とすれば、武藤事務総長をコントロールする能力のある人だ。武藤事務総長が「業者を入れるなんてとんでもない」と反発しても、「利害関係のある業者を入れろ。これは命令だ」と強引に押しつけることのできる人だ。
 それは誰か? 下村文科相か? いや、この人も無能すぎて、切れ者で名高い武藤事務総長をコントロールできるはずがない。(仮に森や下村が勝手にそう主張したら、武藤事務総長が反発して、首相に訴えることで、森や下村の主張を覆したはずだ。)
 森や下村は武藤事務総長をコントロールできない。武藤事務総長をコントロールできるような人は、日本には一人しかいない。安倍首相だ。電通と癒着した張本人は、これ以外にはあり得ない。
 ただし、ここまで高度な権力となると、表に出るような証拠が残るはずがない。すべての証拠は隠蔽されているはずだ。……この意味で、本当の真相は、明るみに出ることはあるまい。電通の二人がトカゲの尻尾切りふうに切られて、それでおしまいとなる。
 とはいえ、本当の真犯人が誰であるかは、本項で明らかになったわけだ。その真犯人は、新国立競技場でゴリ押しを続けた真犯人と、同じ人物である。
  → 新国立競技場の核心
 一部抜粋。
  はっきり言おう。殺人の真犯人は、凶器を持った人でしかあり得ない。同様に、新国立競技場の最終決定をした真犯人は、「あれ買って」と駄々をこねた駄々っ子ではなくて、そのために 2520億円を出すと決めた人だ。そして、それを決めた人は、それを出すだけの権限をもつ人だ。そのような人は、日本にはたった一人しかいない。安倍首相だけだ。

 五輪エンブレムについても同様だ。殺人の真犯人は、凶器を持った人でしかあり得ない。同様に、エンブレムが電通の脚本通りに決まったとしたら、そうなるようにした人は、電通の社員を組織委に送り込む権限をもつ人だ。誰にも反対されずにそうすることができる人は、日本にはたった一人しかいない。自分の上司から反対されることのない人だ。つまり、日本の最高権力者(首相)だ。

 なお、電通の社員を組織委に入れた任命責任はとても大きい。この責任を取ってもらうために、武藤事務総長と森会長には、辞任してもらうべきだろう。実際には、安倍首相の意を受けて、命令を受け入れただけだろうが、そのことを暴露するつもりはあるまい。とすれば、自分が(安倍首相の代わりに)責任を取って、辞任するべきだろう。
 電通の社員を組織委に入れた任命責任は、あまりにも大きいのだ。今回の最大の問題は、ここにある。
posted by 管理人 at 22:02| Comment(2) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に 【 追記 】 を加筆しました。やや長文。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2015年10月03日 23:20
とりあえず週間新潮を購入しました。これほどひどいことをすると、いずれ表沙汰になると思わなかったかと、不思議だ。勝手読みにもほどがある。
Posted by senjyu at 2015年10月04日 21:03
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