2015年09月22日

◆ 鳥類の進化と恒温性

 鳥類は、なぜ大幅に進化したか? 同系の爬虫類がほとんど進化しないのに、なぜ鳥類だけが大幅に進化したのか? 鳥類と爬虫類を区別するものは何か? ──

 鳥類は、なぜ大幅に進化したか? これは、謎に思える。

 普通の説だと、単に「鳥類は恐竜の子孫だ」とされる。「鳥類を恐竜の一部門として、鳥類の全体を爬虫類に含めてしまえ」という暴論もある。(下記で論じた。)
  → 鳥類は爬虫類か?

 だが、こういう普通の説を取ると、謎が生じる。
  ・ なぜ恐竜は滅びたのに、鳥類は滅びなかったのか?
  ・ なぜ鳥類はこれほどにも多様性があるのか? 

 この二つの謎が生じる。特に、後者については、次の系統樹が参考になる。(多様な種があることがわかる。)
  → 鳥類の系統樹

 ──

 そこで、上の二つの謎に、回答を与えよう。こうだ。
 「鳥類が大幅に進化したのは、鳥類が大幅に進化する能力を獲得したからだ。それは、恒温性である」


 恒温性とは何か? 体温が一定であることだ。このことは、生物にとって、著しい有利さをもたらす。
 そもそも、細胞の活性のためには、酵素などが働くことが必要だが、そのためには一定の温度が必要だ。その温度を一定にするために、変温動物では、いろいろと手間がかかる。しかし、恒温動物ならば、その問題がない。
  ・ いちいち日向と日陰を往復する手間がない。( → 解説
  ・ 夜間と昼間とで、活動の制限が特になくなる。


 では、このような恒温性は、どうやって獲得するか? 脳の発達だ。恒温性は、脳の視床下部でなされるので、視床下部が発達することで、恒温性を獲得できるようになる。
  → なぜ体温は37℃なのか?|テルモ体温研究所

 ここで問題が生じる。恒温性を保つには、体の大きさが影響するのだ。
 恐竜のような超大型の動物ならば、特に恒温性の機能がなくても、体温はほぼ一定に保たれる。しかし、鳥類のような小型の動物では、放熱量が大きいので、恒温性を保つのは困難なのだ。具体的には、体内で多大なエネルギーの発熱が必要となる。

 逆に言えば、脳の発達によって恒温性を獲得したからこそ、鳥類は小型化することができた。仮に脳の発達がなくて恒温性を獲得していなかったなら、小型化すると同時に、放熱量の増大で、体温の低下が起こって、死んでしまう。つまり、種の絶滅だ。
 つまり、鳥類が小型化できたのは、脳の発達によって恒温性を獲得したからなのだ。順序で言うと、次のようになる。

  (恐竜) → 脳の発達 → 恒温性の獲得 → 小型化

 これが可能になった種(など)だけが、鳥類に進化できた。それ以外のものは、脳の発達もなく、恒温性の獲得もなく、大型化したままでいた。そしてあるとき、巨大隕石の衝突とともに、地球は寒冷化して、恒温性をもたない生物の大部分が滅亡した。カメやワニのような水生動物ならば、あまり影響がなかったが、恐竜のような大型の陸生生物は、気温の低下に耐えかねて、滅亡した。一方、恒温性のある鳥類は、気温の寒冷化を生き延びて、その後に大繁栄した。

 結局、鳥類は、脳の進化によって恒温性を獲得したときに、大幅に進化する能力を獲得したのだ。その時点では、まだ十分に進化してなかったが、ともあれ、大幅に進化する能力を獲得した。具体的には、小型化する能力を獲得した。そのせいで、鳥類はどんどん小型化していった。
 当初はものすごい巨大な鳥類がやたらと繁栄していた。
  → 絶滅した巨鳥
 しかしその後、ダチョウのようなサイズの鳥が出現した。(飛べない)
 さらには、白鳥や鶴のようなサイズの鳥が出現した。(飛べる)
 さらには、鷲や鷹のようなサイズの鳥が出現した。
 さらには、カラスのようなサイズの鳥が出現した。
 さらには、スズメのようなサイズの鳥が出現した。

 以上の順で進化が起こったことは、鳥類の系統樹を見ればわかる。
  → 鳥類の系統樹

 つまり、鳥類の進化の過程とは、小型化する過程でもあった。こうして、大昔には存在しなかった、スズメのような小型の鳥類が新たに出現した。そして、今では、スズメが鳥類のなかで最も繁栄している。
 スズメ目がいちばんあとから進化したもっとも高等な分類群で、現生の鳥類約9000種の半分以上(56科)がこの目に入る。
( → ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 スズメなどの鳥類がこれほどにも繁栄したのには、理由があった。それは、「大幅に進化する能力」を獲得したことだ。そして、「大幅に進化する能力」とは、鳥類の場合、「恒温性」を意味したのだ。恒温性ゆえに、鳥類は小型化することができて、空に飛び立つことができた。かくて、空を支配することができるようになったのだ。

( ※ スズメは広く繁栄している。一方、小型化が不十分な鶴や白鳥は、あまり繁栄しているとは言えない。ダチョウに至っては、空を飛ぶ能力すら獲得していない。)
( ※ ダチョウは、空を飛ぶ能力を獲得してから失ったのではなく、大型であるがゆえに、もともと空を飛ぶことはできなかった。そもそも、あんなにでかい鳥が、空を飛べるはずがない。)
( ※ なのに、「ダチョウは昔は空を飛んだ」という珍説が生じた理由は → 走鳥類は翼を失った? ここに簡単に説明してある。詳細はさらにそのリンク先で。/ 簡単に言えば、前肢の痕跡を見て、それを翼の痕跡だと勘違いしたのである。)
 


 [ 付記 ]
 なぜ小型化していったか、という理由を書き忘れた。当たり前すぎたので。
 その理由は、「小型化すると、飛ぶのが簡単だ」ということだ。軽いものほど、うまく飛べる。重いものほど、うまく飛べない。
 たとえば、白鳥が飛ぶときは、こんなふうに飛ぶ。いかにも重たそうだ。






 【 関連項目 】

 「進化する能力」については、前項も参照。
  → 昆虫の変態の謎
 
 鳥類意図恒温性については、関連する話がいくらかある。下記でざっと見つかる。
  → サイト内検索
posted by 管理人 at 15:08| Comment(2) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
高木由臣氏の『有性生殖論』210〜211ページに、


 〈A〉有性生殖とは遺伝的多様化を生み出す仕組みである。異性が分けもっている遺伝子を半分ずつ出し合って混ぜ合わせることにより、多様な遺伝子の組合せが新しく作り出される。
 〈B〉有性生殖とは蓄積した突然変異の有用性を検証する仕組みである。二倍体細胞に生じた劣性突然変異は一倍体化することによって発現可能となり、有益か、有害か、中立かが検証される。
 有性生殖の一般的な説明は〈A〉であるが、本書は〈B〉が有性生殖の本質であると主張する。本質というのは、〈B〉が基本形であって〈A〉はその発展形であるという意味である。
 〈A〉を主張する立場からは、「遺伝子を半分ずつ出し合って混ぜ合わせる」ことは「減数分裂によって配偶子を作り、受精によって融合させる」ことを意味するので、〈B〉の主張の「二倍体細胞に生じた劣性突然変異を一倍体化することによって発現可能にする」というプロセスが含まれている、とみるだろう。
 しかし〈B〉を主張する立場からは、「減数分裂と受精」は「遺伝的多様化」を生み出す装置として意味があるのではなく、「一倍体化と二倍体化」を作り出すこと自体に意味があって、それは「突然変異の有用性を検証」する装置として意味をもつ、と見る。


そして214〜215ページに、

 「遺伝的多様化」という用語には、「遺伝子型の多様化」と「表現型の多様化」という両方の意味が含まれるが、「異性が分けもつ遺伝子を混ぜ合わせて多様な遺伝子の組合せを新しく作り出す」という意味で使うときには「表現型の多様化」を指している。
 有性生殖の進化は同系交配から異系交配へと進んだと見られるが、進化したのは「遺伝子型の多様化」であって、「表現型の多様化」は抑制される方向に進化した。遺伝子型の多様化があまりにも進んだために、同系交配を行ったのでは非親型の出現頻度が過剰になるので、異系交配を行うことで「表現型の多様化」を抑制したと言うべきだろう。

 本書では有性生殖の意味を「突然変異の有用性を検証する仕組み」と捉え、その起源を「無性的一倍体化、無性的二倍体化」に求め、その進化を「非親型の表現型の促進(突然変異の即時検証)の仕組みから、表現型の多様化を抑制し遺伝子型の多様化を促す仕組みへの変化」と見た。「有性生殖のパラドックス」解消への一歩になりえていれば幸いである。


とありました。
有性生殖の仕組み自体が進化していた、最初の真核生物は「ゲノムと細胞の大型化」により生まれた、真核細胞という原核細胞を食べる生物と登場により単独生物の暴走性を抑制するシステムが生まれた……
つまり:面白かったので読んで下さい。
Posted by ヒルネスキー at 2015年10月03日 17:43
有性生殖については、本サイトでも扱っています。
 → http://openblog.meblog.biz/article/2256919.html
 → http://openblog.meblog.biz/article/20232219.html
Posted by 管理人 at 2015年10月03日 17:54
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