2015年09月21日

◆ データセンターの省エネ

 (サーバーだらけの)データセンターで、省エネをするにはどうするべきか? ── 

 データセンターについての記事が、読売・朝刊 2015-09-21 にあったので、ちょっと考えてみた。この記事はネットにはないので、同趣旨の話をネットから引用しながら、論じる。

 データセンター(サーバーをたくさん集めてデータを管理する施設)では、電力を多大に消費する。これが問題となる。それゆえ、省エネが求められている。
  → データセンターに省エネが求められる理由

 実際、メーカーなどは、省エネの装置を開発している。冷房の効いた部屋にサーバーを置くと、熱した排気と、冷やした冷気が混じって、効率が悪い。そこで、熱した排気は別途、それ単独で室外に排気する、というシステム。
  → ランニングコストを低減する!| 鹿島建設株式会社
  → データセンター | NTTファシリティーズ

 また、東京都は、省エネをめざすデータセンターの設置者に補助金を出すという。
  → 日本のデータセンター半分が集積する東京都、省エネ強化へ助成金
 この記事にあるように、東京都には日本のデータセンターの半分が集積するので、この施策は省エネに有効であるようだ。

 読売の記事は、以上のような趣旨だ。
 
 ──

 だが、待ってほしい。東京都はそもそもヒートアイランドである。こんなところに大量の電力を食う装置を置く意義がない。東京都が補助金を出せば、東京都にデータセンターが集まって、東京都がますますヒートアイランド化してしまう。これでは方向が逆だろう。
 むしろ、外気の涼しい冷涼な地域に、データセンターを移すべきだ。この方が本筋だろう。

 そう思って検索してみたら、国もその方針だとわかった。
 総務省がクラウド特区を計画していると報じられた。青森か北海道に10万台規模の大規模データセンターを誘致し、規制緩和や税制優遇を検討しているという。
( → EnterpriseZine(エンタープライズジン) :2010年)
 総務省は、大規模災害の発生に備え、我が国社会経済のインフラである情報通信基盤の耐災害性・信頼性を向上させるため、東京圏に集中するデータセンターについて、地方のバックアップ体制を強化し、データセンターの地域分散化・活性化を促進しております。
( → 総務省|電気通信政策の推進|データセンターの地域分散化の促進 : 2013年 )

  → データセンター地域分散化促進税制の創設 (PDF) : 2013年

 ──

 ただし、この方針には、ちょっと問題がある。
 そもそも企業はどうして東京にデータセンターを集中させるのか? その意味を理解するべきだ。
 その意味は? あくまで私の推測だが、「メンテのしやすさ」が理由だろう。機械そのものは冷涼な地方にある方がいいが、機械をメンテする人間は東京にいる。だから、東京にかくも集積するのだ。
 その理由をほったらかして、単に「地方に移せば優遇」という補助金政策では、肝心要の点が抜けていることになる。

 では、この問題を解決するには、どうすればいいか? 私が思うのは、こうだ。
 「データセンターのメンテをする専門業者に任せる」
 つまり、いちいち自分でメンテをしないで、メンテを専門業者に任せればいいのだ。そうすれば、さまざまな問題が容易に解決する。たとえば、サーバーが壊れたときの補充も、多くのデータセンターを一括して管理する業者がまとめて補充すれば、個々の企業の負担は小さくなる。また、管理する人員も少なくて済む。その一方で、専門の業者が担当するから、サービスの質は大幅に向上する。次のような事例はなくなるだろう。
  → ファーストサーバで大規模「データ消失」
  → 大手サーバ「ファーストサーバ」障害! それってどういうこと?
  → データ消失!あのとき、ファーストサーバになにが起こったか?
 ここでは、顧客のデータが全部吹っ飛ぶ、という失敗が起こった。(自然発生的な事故ではなく、人為的ミス。) 被害を受けた顧客の方は、約款により、データ損失の補償はまったく受けられない。踏んだり蹴ったりだ。
 こういうとんでもないミスも、専門の業者が管理していれば、起こらなくなるだろう。

 ──

 では、そのような専門業者は、存在するか? 
 実は、すでに存在している。さくらインターネットが、データセンターの設備と管理を提供している。場所は北海道の石狩だ。
  → さくらインターネットのエンタープライズ向けデータセンター

 解説記事もある。
 札幌の中心街から車で北へ40分、石狩川の河口に広がる石狩湾新港地域は、札幌経済圏最大の産業拠点である。総面積3千fの域内には製造業や物流業など700社を超す企業が進出、活発に企業活動を展開中だ。
 その一角に2011年11月、郊外型のDC「石狩データセンター」を設けたのがさくらインターネットだ。東京ドームを上回る約5万平方bの敷地に総額40億円を掛けて、まず鉄骨2階建ての建屋2棟を建設した。
 石狩データセンターの最大の特徴は、電力消費を減らすために取り入れた「外気空調」という仕組みだ。石狩市の年平均気温は7・7度で、東京より約10度も低い。この冷涼低温の外気をうまく活用して施設全体を冷やしているわけで、電気で空調機をフル回転させる従来型のDCとは、明らかに異なる。
 DCは運用コストの中で、空調コストが大きな割合を占める。空調にかかる電力をどう減らすかが決め手になるが、ここでは外気空調の採用でコストを半分も削減できたといわれる。
 常用スタッフはわずか15人ほどだ。

( → データセンター、北の大地へ。涼しさ武器に高まる誘致合戦

 こういう方針が正解だろう。

 一方、東京で補助金を出すというのは、税の無駄遣いだし、ヒートアイランド化を促すし、ろくなことはない。
 東京は、田舎ではないのだから、やたらと産業を誘致する必要はない。雇用する人数はごくわずかで、エネルギー消費ばかりが多大にある……というような産業は、東京には適していないのである。
 何をなすべきかという方針を、きちんと立ててほしいものだ。
 


 [ 付記 ]
 データセンターの電力消費は、多大である。もはや無視できない量になっている。数字で示そう。
 2013年の国内DCにおける年間消費電力量は、122億5千万キロワット時でした。これにはサーバーやストレージなどのIT機器の消費電力、空調システムの消費電力、およびその他の機械設備などの消費電力が含まれます。 これは2013年に国内大手電力会社10社が販売した年間総電力量の約1.4%に相当します。
( → 2014年12月3日 IDC Japan株式会社

 日本全体のデータセンターのうち、東京の分は約半分だから、0.7%程度。
 日本全体の発電量のうち、東電の発電量は、3割程度。( → 1998年のデータ
 3割の発電量の区域(東電管内)で、0.7%程度 の電力消費を占めているのだから、東電管内におけるデータセンター(DC)の電力消費量は
    0.7 / 0.3 ≒ 2.4
 つまり、(東電の電力消費全体のうちで)おおざっぱに 2.5% 程度を、東京のデータセンターの電力消費が占めているわけだ。これはとても無視できない量だ。
 とすれば、こんなに巨大な電気の大食漢(= データセンター)は、さっさと東京から追い出して、地方に移すべきだろう。そうすれば、東京の夏も、少しは涼しくなる。電力危機の危険も減る。
 


 [ 余談 ]
 「遠隔地にデータセンターを設置すると、回線の使用料がかかる。回線の負担も大変だ」
 という心配がありそうだが、問題あるまい。
 というのは、データセンターに入るデータのほとんどは、文字データであり、そのデータは蓄積する一方で、外にはあまり出ないからだ。
 こんなデータよりは、動画サービスや音楽サービスのデータの方が、圧倒的に問題となる。こちらは文字データではないので、巨大データとなる。こういうのに比べれば、データセンターから出し入れするデータなんて、スズメの涙にすぎない。
posted by 管理人 at 19:57| Comment(2) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に <STRONG>[ 付記 ]</STRONG> を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2015年09月21日 21:27
外気冷房のみならず、石狩には液化天然ガス施設という冷熱源もありますし、寒くて雪もたくさん降るので季節間蓄熱としての「雪冷房」「氷冷房」も出来ます。

危機管理の意味でも、データセンターを分散させるのは効果的だと思います。
Posted by けろ at 2015年09月24日 22:21
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