新国立競技場の国際コンペが 18日に締め切られるが、応募社は大成建設だけになるらしい。
2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の整備計画で、国際コンペの参加締め切りが18日に迫る中、応募が少数にとどまるとの観測が強まっている。
大規模プロジェクトにもかかわらず、工期が厳しく、今から大量人員を確保することが難しいためで、コンペの先行きを懸念する声も上がっている。
これまでに参加を公表したのは、旧計画で施工業者に決まっていた大手ゼネコン「大成建設」1社のみ。
( → 読売新聞 2015年09月17日 )
大手ゼネコンのうち公募手続きへの参加に最も前向きなのは、大成建設だ。旧計画ではスタンド部分を担当する予定で、作業員や資機材の手配が進んでいる。村田誉之社長は「国家的プロジェクト。何としてもやっていきたい」と明言していて、その姿勢は変わっていない。
大成以外のゼネコンは、五輪に向けたホテルやインフラ整備の工事が忙しく、慎重な姿勢だ。旧計画で屋根部分の工事を担当する予定だった竹中工務店も、鉄筋工や大工などスタンド工事に必要な作業員を確保できていない。
( → 朝日新聞 2015年9月12日 )
以上のように、応募する社は、1社だけになるようだ。
だが、これは、非常に大きな問題をもたらす。次のことだ。
「新国立競技場については、選択肢がない。つまり、たった一つの案から選ぶことしかできない」
「そのたった一つの案を決めるのは、大成建設である」
つまり、「新国立競技場をどうするか」という選択肢が皆無なのだ。もはや、審査委員会も必要ないし、会議も必要ないし、国民の診断も必要ない。単に大成建設の意向を鵜呑みにするしかない。
あまりにも馬鹿げている!
どうせ大成建設しか引き受けないのであれば、それはそれで仕方ない。しかし、その前に、自分たちでプランを決めることぐらいはできたはずだ。
たとえば、前回のコンペのなかで、2位または3位のものを選ぶ。
あるいは、新たに国際コンペを開いて、その中から大急ぎで決める。(年寄りの審査委員を排除して、疲れ知らずの若手によって大急ぎで選べば、最短、1週間で選ぶこともできる。少なくとも、3案に絞り込むことぐらいはできる。)
ともあれ、自分たちでプランを決めることぐらいはできたはずだ。
なのに、「建設会社とプランとのセット」という馬鹿げた方針を取った。そのせいで、結果的に、大成建設のプランしか選ぶことができなくなった。
実を言うと、もう一つ、可能な方針があった。
「同じ建設会社から、複数のプランを提出可能とする」
これならば、大成建設に複数のプランを出させて、その中から一つを選ぶこともできたはずだ。
なのに今回は、「1社が提出できるプランは1つだけ」という制限をかけた。そのせいで、結果的に、国民にとっては選択肢がなくなった。わざわざ自分で自分に手かせを嵌めているようなものだ。
何たる狂気!
http://www.hochi.co.jp/topics/20150916-OHT1T50275.html
しかし、大成建設は、日本の大手ゼネコン名の中では新国立競技場建設に適した会社である可能性を感じます。
妥当なものが建設されるのではないでしょうか。
1)前回の安藤氏ごり押しのザハ案と闇の巨額費用への国民による批判から、安倍首相英断で白紙撤回となり、
今回は公開で進めるため、五輪たかりをやれなくなった。オープンな議論も進められ仕様も明確になった。
2)諸外国では600億円以下で建設しているので、1600億円でみすぼらしい新国立競技場になることは考え
にくい(不相応な華美なデザインで五輪後に過度な負担になる競技場を国民は望んでいない)。
3)大成建設は、国民が理解できる特性を持った企業である。
環境を重視した都市開発を多数手がけている。
都市開発にかける人たち Vol.11 御茶ノ水ソラシティ
http://www.taisei.co.jp/kaihatsu/special/sp_no11.html
社内の円滑なコミュニケーションを重視している。
グループ社員2万人が活用へ コミュニケーション基盤の共通化を図る大成建設
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1308/23/news044.html
スーパーゼネコン5社(鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組)の一角。戦前の大倉財閥の流れ
を汲むが、現在スーパーゼネコンでは唯一の非同族会社であり、社員が会社を買い取ったという背景から、社員
の会社であるという雰囲気が強い。また、現場に与えられる権限が比較的強いと言われる(WikiPedia)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%88%90%E5%BB%BA%E8%A8%AD
設計の案を、大成建設が決めるのではなく、国の側が決めるべきだ、と言っています。
具体的には、複数の建築家に複数のプランを出させたあとで、国の側が一つを選んで、工事は大成建設にやらせればいい、ということ。
あと、鹿島建設あたりが受注してから、大成建設に7割ぐらいを下請けさせる、という手もある。
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2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の計画見直しで、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は18日、設計と施工を一括して担う事業者(グループ含む)の公募を締め切った。
関係者によると、ゼネコン大手の大成建設と、竹中工務店・清水建設・大林組3社による共同企業体(JV)をそれぞれ中心とした2グループが応募した。
JSCは「公正な競争の妨げになる」として、応募した事業者の数や名前を明らかにしていない。
大成建設は旧計画でスタンド部分を施工する予定だった。既に作業員や資材の手配が進んでいるため、業界内で本命視されていた。梓設計と組む。
竹中工務店は旧計画で屋根部分を担当。清水建設、大林組と組むのは、人手や資材確保の負担を分散する狙いがある。旧計画のデザインコンクールで最終審査に残った建築家の伊東豊雄氏や日本設計も加わるという。
毎日新聞 2015年09月18日 20時29分
http://mainichi.jp/sports/news/20150919k0000m040097000c.html
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1社でなく2社になったようだが、本項で述べた趣旨はおおむね、そのままでいい。ただ、数字を1社から2社に訂正する必要がある。
国民の側に選択肢がない、という点は、あまり変わっていない。(選択肢が1から2になっただけだ。)
あと、「大成建設」は「大成建設または3社JV」と置き換える必要がある。
それだけだ。