事実については、テレビや新聞などで大きく報道されているから、そちらを見てもらった方がいい。とりあえずネットの情報を記すと、下記ページに民放の動画がいくつもある。
→ 民放各社の動画
YouTube にもある。
→ https://www.youtube.com/watch?v=utIKnDfDbJE
→ https://www.youtube.com/watch?v=xFYRbuIHS28
では、どうしてこれほどの被害が生じたか?
第一に、ものすごい規模の豪雨があったからだ。
第二に、この豪雨が鬼怒川流域に集中していたからだ。そのことは、降水量を見るとわかる。

出典:読売新聞(元ネタは気象庁)
南北に細長い領域に集中して降雨があったとわかる。そして、この領域が、ちょうど鬼怒川に重なる。鬼怒川もまた、南北に走る川なのだ。
→ 鬼怒川の地図
──
こうして原因がわかった。
では、対策はどうすればいいか?
対策の一つとして、「ダムによる洪水予防」というのがある。特に、八ツ場ダムだ。政府は「八ツ場ダムで洪水を予防できる」(治水効果がある)と主張した。では、本当にそうか?
まず、上の降水量の図を見るとわかるが、雨が降ったのは、伊豆半島よりも東側の領域だ。
一方、八ツ場ダム(建設予定地)があるのは、伊豆半島よりも西側の領域だ。
八ツ場ダムがあれば、西側の領域に降った雨を止めることができる。しかしながら、八ツ場ダムよりも東側(つまりダムの下流側)に降った雨については、八ツ場ダムは手も足も出せないのだ。したがって、八ツ場ダムがあろうがなかろうが、今回の洪水にはまったく無関係だ、とわかる。
実は、この件は、八ツ場ダムの項目ですでに指摘済みだ。
わかりやすく言おう。今、台風が来て、関東全域に大雨を降らせた。そのうち、上流にあたる1%の流域については、雨水が八ツ場ダムに集まる。一方、残りの99%については、もっと下流にあたるので、雨水は八ツ場ダムよりも下流を流れる。これらの雨水が八ツ場ダムに貯まることはない。(水は高きから低きに流れるからだ。低い平野部に降った雨が八ツ場ダムに貯まることはない。)
結局、関東の治水のためには、八ツ場ダムは何の効果もない。そもそも、治水のために必要なのは、洪水の起こりやすい平野部での対策だ。流れが急で水が貯まることのない上流部(山岳部)では、治水のためにダムを造ることの意味はない。
治水をするならば、平野部で、洪水防止の遊水池を作ったり、わざと農地に氾濫させる仕組みなどを作ったりすればいい。これならば、平野部における市街地の被害を確実に減らせる。一方、山岳部にダムを造っても、治水のためには何の意味もない。
( → 八ツ場ダムの是非 )
ここで指摘したとおりになったわけだ。
──
では、ダムが駄目なら、かわりにどうすればいいか?
それも、すぐ上に記してあった。引用部から該当箇所を再掲しよう。
治水をするならば、平野部で、洪水防止の遊水池を作ったり、わざと農地に氾濫させる仕組みなどを作ったりすればいい。
ここには、当たり前のこと(堤防の強化)は述べていないが、これも含めて、次のように提案できる。
(1) 堤防の強化をするべきだ。八ツ場ダムみたいに超巨額の金をかけなくてもいいから、現状の堤防を、いっそう強固にするべきだ。(八ツ場ダムにかける金を削れば、堤防を強化できる。一方、八ツ場ダムに大金をかけると、堤防を強化する金がなくなり、今回のような被害が出る。今回の被害が生じたいのは、八ツ場ダムなんかに巨額の金をかけたせいだ、とも言える。)
(2) 堤防の強化をいくらやっても、あまりにも巨大な洪水が来たら、堤防は決壊する。そこで、その場合の対策をする。(フェイルセーフふうの発想だ。)
特に重要なのは、次の発想だ。
「決壊を起こさないのではなく、決壊をコントロールする。人家の密集した地域で決壊が起こるのではなく、人家のないところ(遊水池または農地)のある場所で堤防の決壊が起こるようにする。というか、人為的に堤防を決壊させてもいい。
この発想で作られたのが、遊水池だ。ここに流し込めば、洪水をうまくコントロールできる。(ただし遊水池の建設には超巨額の金がかかるのが難点だ。)
もう一つ、「農地に洪水を流す」という案もある。これは現実的だ。特に、鬼怒川のような地域では、地域の大部分が農地であり、住宅地は一部だけなのだから、うまく住宅地を避けて洪水が起こるようにすることは可能だろう。
現実には、どうか? 今回、洪水が起こったのは、市街地(常総市新石下)だった。
地図を見ればわかるように、この地域は川幅が最も狭くなっている。つまり、洪水が起こりやすくなっている。そういう地域に、あえて人家を密集させているわけだ。これは、フェイルセーフとは逆の発想で、あえて事故の際の被害を最大化するという発想だ。(狂気の沙汰だ。)
とすれば、対策もわかる。次のいずれかだ。
・ 川幅の狭いところから、市街地を移転する。
・ 市街地のそばでは、川幅を拡張する。
現実には、前者は無理だから、後者だろう。つまり、工事費をかけて、市街地のそばの川幅を拡張するべきだ。と同時に、堤防を強化するべきだ。
一方で、農地の多いところでは、あえて堤防の決壊が起こりやすくなるようにするといい。そこで堤防の決壊が起これば、他の地域では堤防の決壊が避けられるからだ。
ただし、次の点に注意。
・ その場所は、市街地よりも上流である必要がある。
(下流で決壊しても、上流の土地を守れない。)
・ その場所では、既存の人家を強制移転させるべきだ。
・ その場所の農地に対しては、洪水の場合の所得補償をする。
(そういう制度が必要だ。)
──
ともあれ、現状では、「洪水の場合の被害を最大化する」という狂気のシステムが取られている。これが今回の被害が大きくなった根本原因だ。
そもそも、洪水なんて、起ころうが起こるまいが、どっちだってたいして違いはないのである。なのに今回、問題が大きくなったのは、洪水が起こったからではなくて、洪水が起こった場所に多数の人家があったからだ。ここに本質がある。この本質を理解するべきだ。
洪水の被害を防ぐためには、天気を制御するべきでもなく、ダムを造るべきでもなく、ウルトラ強大な堤防を造るべきでもない。洪水そのものをなくす必要はない。洪水が起こったときの被害を減らすだけでいい。そのためには、住宅地の洪水をなくすために、農地の洪水を起こせばいいのだ。
洪水の被害を防ぐためには、うまく洪水を起こせばいいのである。……そういう発想が必要だ。
( ※ オマケで言うと、今回の洪水被害に遭った場所は、たとえ建物が残っていても、どうせもう住めない。とすれば、この領域は、居住禁止にすることが妥当だ。川のそばは居住禁止にして、川から遠く離れた田畑のあたりに、新しく住宅地を設定すればいい。これによって、洪水の被害はもうなくなるだろう。)
[ 補足 ]
次の情報があった。目撃者の話。
堤防上に立って鬼怒川の水位を見ていたら、足元のアスファルトが目の前でみるみる割れ始めた。
( → 朝日新聞 2015年9月10日 )
堤防の決壊の理由は、アスファルトが割れたことだ、という証言。貴重な証言だ。
このことからして、アスファルトの補強が非常に重要だ、とわかる。(ここが弱点だから、ここを補強する。)
ただし、考え直すと……
アスファルトというのは、堤防の側面ではなくて、堤防の上面の道路部のことかもしれない。だとしたら、ここを補強しても、意味はないかも。
いや、むしろ、ここから堤防内部の土に水がしみこんで、一挙に堤防が破壊されたのかも。それなら、ここが肝心かも。
どちらとも決めかねる。堤防決壊の理論が必要だろう。何らかの研究や実験が必要だと思える。うまくやれば、低コストで堤防決壊を防ぐ方法が見つかるかも。
[ 付記 ]
今回の洪水の際、ダムの担当者は、必死に調整したようだ。
→ http://togetter.com/li/871876
職員の努力は称えるべきだが、そもそも、調整のシステムが根源的に狂っている。大雨が降った後に貯水するだけでは足りない。大雨が降る前に、事前放流して、ダムを空けておくべきだった。この件は、前に述べたとおり。
→ 桂川 氾濫 とダム制御
→ 豪雨時のダムの事前放流
今回大雨が降ることは予想されていた。
9日午前10時40分までの24時間雨量は、中部空港(愛知県常滑市)で153ミリに達し、9月としては観測史上最多を記録した。
台風18号は9日夜には日本海に進み、温帯低気圧に変わる見込み。しかし、台風通過後も秋雨前線に向かって湿った空気が入り込み、東日本の太平洋側を中心に10日も大雨となるおそれがある。1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るところもあるという。
( → 朝日新聞 2015年9月9日11時27分 )
「9月としては観測史上最多を記録した」というほどの規模の台風が、中部空港まで来ているのだ。しかも、東日本で大雨が予想されていたのだ。だとしたら、この時点で、事前放流して、ダムをほぼ空にしておくべきだった。また、雨水がどんどん流入したあとも、安全な範囲で最大限に放流し続けるべきだった。
その後、流域に大雨が降ったら、その時点で、放流をほぼゼロ近くまで絞るべきだった。ダムが空であれば、それも可能だっただろう。
具体的には、9日午後11時ごろまでは、安全な範囲で最大限の放流をするべきだった。
しかし、現実には、そうしなかった。そのせいで、ダムにはどんどん水が溜まり、限界がすぐに近づいた。そして、流域で大雨が最大になったころに、放水量を最大にした。(本来ならば放水量を最小にするべきなのに。)
こういう放水がなされたせいで、洪水が起こってしまった。
「事前放流さえしておけば(ダムを空にしておけば)……」と思うと、残念でならない。
http://d.hatena.ne.jp/hyakubann/touch/20140725
http://togetter.com/li/871923
タイムスタンプは 下記 ↓
タイムスタンプは 下記 ↓
>地図を見ればわかるように、この地域は川幅が最も狭くなっている。
堤防が決壊したのは川幅の狭い(市街地の石下橋付近)ではなく、さらに下流の川幅が広くなった南石下駅に近い部分です。
>洪水が起こりやすくなっている。そういう地域に、あえて人家を密集させて
洪水が起こりやすいことを視点に市街地ができたわけではないでしょう。過去に津波はここまできたよという標識があるのに、住宅はそれより低い海岸に近いところに建設されちゃいます。何十年に1回の災害のリスクと利便性とかのバランスなわけで、これを意識してもしなくても利便性を採用することになるでしょうね。目の前の利益のほうが強力ですからね。
> 市街地のそばでは、川幅を拡張する。
用地買収がすすまないでしょう。市街地なのでなおさらです。
>あえて堤防の決壊が起こりやすくなるように して その場所の農地に対しては、洪水の場合の所得補償をする。
というのはいい考えだと私も思います。50年に1回の大雨対策で全国の河川の堤防を一律に整備するのは無駄でしょう。耕作を放棄した農地なんかあるので、こういうところを遊水池にすればいいかもしれませんが、放棄されている農地は山間部に多く、遊水池に適している可能性は低そうですね。
これまでの遊水池は埋め立てられ住宅地になってしまっています。これを食い止めた政治家はいないでしょうね。
>洪水被害に遭った場所は、..... 居住禁止にする
低地は洪水、山間部は土砂崩れ というわけで、そもそも、日本にはどんなときにも安全な部分は少ないでのでは。低地が生活の場、稼ぎの場なことが多いわけで、10年くらいはこの禁止令/もう作らないようにしようという申し合わせが有効かもしれませんが、あと数十年たったら、禁止令は反故にというのが繰り返されてきたのではないでしょうか。
まさしくそこのところで、川幅(満水時。堤防と堤防の間)が狭くなっています。東側の道路が川方向に突き出しているので、その分、川幅(満水時)が狭くなっています。
特に、1キロぐらい上流に比べると、この付近全体の川幅が狭くなっているように見える。
> あえて人家を密集させて
これは皮肉で、「そうなるのを放置しているのが問題だ」という趣旨。
特に、川に近いところに集まって、川から遠いところには住まないのは、変ですね。たぶん、農地の事情だろうが、都市計画の失敗とも言える。市街化地域と市街化調整地域の設定ミス。どこか狂っている。
> 用地買収がすすまないでしょう。市街地なのでなおさらです。
このあたりの周辺一帯は、農地だらけなので、土地はありあまっています。土地交換などを使えば、うまくやることも可能でしょう。
> 日本にはどんなときにも安全な部分は少ないでのでは。
わざわざ川のそばなんていう危険なところに住まなくても、川から遠い方向に200メートルぐらい引き下がればいい。土地はありあまっています。Google マップを参照。
このあたりなら、床上浸水はあっても、家が流されたり人が死んだりすることはないでしょう。
だとしたら、そもそも今回の雨は川のキャパシティを越えていなかった可能性が高いわけで…
>[ 付記 ](略)
>大雨が降る前に、事前放流して、ダムを空けておくべきだった。
提示先を見る限り、ダムは規定通りにほぼ空いておったようです。
(星野夕陽氏が引用している画像では、ほぼ最低水位からスタートしている)
遊水池氏
>これまでの遊水池は埋め立てられ住宅地になってしまっています。
今回災害関連についてのみ簡単に検索してみましたが、近年埋め立てられた遊水池は探せませんでした。
既存関連遊水池については、以下の知見を得ました。
渡良瀬遊水地 WATARASE YUSUICHI:
http://watarase.or.jp/
おしけんブログ 2015年09月10日:
http://oshiken2.blog76.fc2.com/blog-date-20150910.html
千葉県柏市スレッドPart209:
http://kanto.machi.to/bbs/read.cgi/kanto/1441606732/25
それぞれ目的通りに利用されたように見えます。
(鬼怒川の決壊地点からは離れています)
なお、厳密な位置は確認していませんが、早川由紀夫氏のTwitterから、Google mapsで位置確認ができましたので、上記の参考としました。
(https://mobile.twitter.com/HayakawaYukio/status/641853623228624897)
→ 2015年9月大雨による河川氾濫 http://goo.gl/maps/HdRqH
管理人氏
> このあたりの周辺一帯は、農地だらけなので、土地はありあまっています。土地交換などを使えば、うまくやることも可能でしょう。
そうでしょうか。
> わざわざ川のそばなんていう危険なところに住まなくても、、川から遠い方向に200メートルぐらい引き下がればいい。土地はありあまっています。(略)家が流されたり人が死んだりすることはないでしょう。
先のmapsでは、被災者の被災位置までは確認できませんが、200mほどで危険域を脱せるようにはにわかに感じられません。
可能不可能だけを言えば、様々なコストを大量に投ずること、様々な権益を尊重しないことで、管理人氏の提案は可能とは言えるのでしょう。
矮小に見ても、それにはどれほどの金銭と時間が必要でしょう。この点をお見積もりになってみることをおすすめいたします。
> (星野夕陽氏が引用している画像では、ほぼ最低水位からスタートしている)
あ、そうなの? じゃ、去年の私の提言がすでに実現されたことになる。よかった。
去年の段階だと、台風の前に、ダムの水はかなりいっぱい貯まっていましたから。
ただ、このダムだけはうまくやった、というのだと、ちょっと困る。他のダムも同様にやって欲しい。
なお、「規定通り」というのも、かなり怪しい。規定通りというのは、通常は、6割ぐらいの水位のことを意味します。一方、私が意図しているのは、最低水位(2割ぐらい)です。
> 200mほどで危険域を脱せるようにはにわかに感じられません。
次項に書いてあります。一般に、面積と水深は反比例します。堤防のすぐそばだと、水深は何メートルにもなりますが、200メートルも離れれば、水深はかなり浅くなります。ドローンの撮影画像を見てもわかる。
> それにはどれほどの金銭と時間が必要でしょう。
別に今すぐやる必要はない。やりたい人から順にのんびりとやればいい。とりあえずは、次の建て替えから。(今回の被害に遭った人は建て替えが必要だ。)
何十年もかけて、少しずつ実現すればいい。大切なのは、方向性です。知恵です。
一方、実現のためには、金がかかりますが、それはここでは問題となっていません。別に個人財産を行政で弁済するわけじゃないないんだし。各人が勝手にやることです。
※ 東日本大震災で被害に遭った人には、巨額の金が贈られたが、今回の被害に遭った人には、たぶんほとんど金は贈られないだろう。竜巻被害のときと同様だ。
日本のダムは、圧倒的に多目的ダムが多く、ふだんは、水を溜めておいて、水道水や農業用水として使っています。そして、洪水が起きそうになると、治水用に転用します。しかし、水がすでに溜まっているので、すぐにいっぱいになってしまい、放水するので、逆に洪水被害を拡大してしまうのです。
遊水池ですが、利根川には渡良瀬遊水池(谷中湖)、荒川には、埼玉県鴻巣市糠田橋から東京都板橋区の笹目橋の間に、巨大な河川敷が設けられています。
渡良瀬遊水池は、南北8.7km東西5.5kmもあり、利根川の支流の渡良瀬川の洪水を止める役割を担っています。ここは足尾鉱毒事件で谷中村を撤去したあとにつくられ、洪水は足尾銅山で精錬のため放出された希硫酸による酸性雨で樹木が枯れてしまったため起きました。30年くらい前に見に行ったときは、木は未だ生えてなく、はげ山のままでした。
荒川の河川敷は、北の御成橋と南の幸魂大橋のところで幅が2.5kmあり、「横堤」といって、川に垂直に交わる堤防をつくり、川の流速を落とす仕掛けが設けられています。
これらは、日本一流域面積の大きな利根川と、首都に洪水をもたらす恐れのある荒川という、最重要河川だから設けられたのであって、同じ一級河川でも大都市を流れていない鬼怒川に同じことを求めてもムリでしょうね。
ということは、もともと標準の水量がずっと保たれていたわけで、あえて貯水量を減らす措置は取られていなかったわけだ。とすれば、すぐに満杯になってしまうのは、当然だろう。
降ったあとで調整するのではなく、降る前に調整するべきだ、という私の指摘は、今回もやはり当てはまると言えそうだ。
私の提案する「事前放流」がなされていれば、今回の鬼怒川の決壊は起こらなかった可能性がある。
1円も使わずに、単に知恵を使うだけで、巨額の損害を免れた……となったかもしれないのだ。
・本来は二つ同時には台風はあまり来ない→日本の南海上の熱エネルギーは有限なので、同時に二つ発生して同時にやってくることは基本的にあまりない
・しかしながら、1年に何回もない日付変更線東側からの越境台風と、本来の台風が同時進行
・越境台風は少ないのに加えて、日本に接近することも少ないが...
・蛇行した偏西風がちょうど日本の上空に、縦に壁をつくるようにいすわているときに
・その縦のラインの左右に二つの台風が同時に進行
・一つの台風は偏西風にトラップで居座る
・もう一つの台風は(おそらく)居座った台風の藤田効果で本来もっと遠くに行くはずだったのが日本に接近、停留
・台風の外周が前線になってしまった
・その前線がちょうど日本の上空に沿うように停留
ため息が出るくらいのレアな事象ですね...。
これを行って欲しい。公言できないことは理解できるけど、暗黙知で。あとでマスコミにすっぱ抜かれたら終わるので誰もできない。そしてルーレットで被災地が決まる。
有効であったか? は検証して改善に役立てるべきでしょう。
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000112.html
によって、鬼怒川流域の4つのダムの総貯水容量を見るならば、9月10日以前の貯水容量から満杯の貯水容量の差
(25000-13000)万m3が、洪水調節された水量ということになる。
東京ドームの容積を124万m3とすると、洪水調節された水量は、(25000-13000)/124=97なので東京ドーム97杯分
に相当する。それは膨大な量であり、全く洪水調節しないでダムに流入した分をそのまま下流へ流していたら、
東京ドーム97杯分が河川へ流出した。被害はもっと甚大な災害になっただろう。十分に評価されて良いと思う。
しかし、被災者からすれば「大雨が予想されていたのに。事前放流していないではないか。もし10000万m3を
事前放流していれば鬼怒川の堤防決壊は起きなかったのではないか?国土交通省は怠慢ではないか」といいたい
ところだろう。
一方、ダム管理者からすれば「ダムの目的が洪水調節のみであれば、大雨が予想されたとき、事前放流し空に
しておけば最高の洪水調節ができる。しかし、ダムの目的は農業、工業、家庭、発電など多様である。事前放流
し空にして、雨が少ししか降らかったら、その後の水利に大変な迷惑を及ぼすことになる」と、反論するだろう。
もし、降水量予想が100%の精度を持っているのならば、ダム管理者も安心して事前放流できる。降水量予想
を担当しているのは気象庁だが、気象庁はこの問題に真剣に対処しているとはいえない。
降水量予想の検証をポイント毎にやっているが、非常に精度が低い検証結果になる。当然である。積雲対流は
ランダムに発生し、その発生時間や場所を正確に予想することは不可能なのだから。
洪水調節のためなら、流域毎の降水総量予測と検証結果を出すようにすべきだろう。その情報で、例えば、
流域毎の降水総量予測ならば予想精度は70%という検証結果がでていれば、事前放流実施の目安が立つだろう。
その程度の技術開発と業務化の能力を気象庁は十分持っている。「やらないのは怠慢ではないか」と、被災者
はいうべきだろう。それでも災害を100%なくすことはできないが、災害を大幅に減らせることができれば有益
である。できることから最善を尽くすべきだろう。
10日未明の時点で、大量の水をダムに貯め込んでおり、この意味ではダムはとても有効だった。
一方、ダムのある上流域と、氾濫した下流域とでは、距離がとても長いので、到達するのに時間がかかる。それでも、未明に上流で降った分は、昼ごろにはすでに常総市よりも先に流れてしまったと考えられる。(時速 10キロで6時間ぐらい。)
常総市で氾濫した水は、鬼怒川の上流域から来た水ではなくて、中流域で大量に降った雨による水だろう。その意味で、上流域で何をしようが、ほとんど影響はなかったと思える。
今回の氾濫の有無には、ダムはたいして影響しなかった、というのが、私の結論です。上流で何をしようが、下流域で降った雨には無意味です。
よく考えたら、川は蛇行しているんだし、直線距離の計算で時速 10キロというのは速すぎる。5キロぐらいと見なすべき。
とすれば、上流で降った未明の豪雨が届くのは、中流域で正午ごろということになる。このころ、上流で未明に降った分と、中流で午前中に降った分と、現地で正午に降った分が、三つとも合わさる。そのせいで氾濫したことになる。
とすれば、上流でダムが水を貯め込んだことには、十分な有益性があった、と見なせそうだ。