2015年08月28日

◆ 五輪エンブレムは利用禁止に

 五輪エンブレムは、(パクリでなくとも)利用禁止になることがほぼ確実となった。
  ※ 佐野デザインでは。 ──

 ネタ元は、週刊文春(最新号)だ。



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 そこには、次の趣旨の話がある。
  ・ ベルギーの劇場が訴えたが、その弁護士は超優秀だ。
   この分野の重鎮と言えるほどで、決定的な権威がある。
  ・ 五輪組織委が商標を調査したのは悪手だった。
   なぜなら劇場は文化施設なので、商標は関係ないからだ。
  ・ 劇場は、商標法違反で訴えるのでなく、著作権の侵害で訴える。
  ・ 劇場は、賠償金を求めるのでなく、使用停止のみを求める。

 これらの諸点からして、ベルギー側の勝利はまず固いと見ていいだろう。
  ・ 超優秀な弁護士が乗り出したのは、裁判で勝つとわかっているから。
   (特に、現地での法律事情に詳しい。)
  ・ 組織委がいくら「商標を調べた」と言っても、無意味。
  ・ 著作権ならば、類似性が認められるだけで済む。
  ・ 使用停止のみを求めるのなら、組織委の実損がないので、
   裁判所は容易に「違反」という判決を下せる。


 まあ、現地の法律事情からすれば、ベルギー側が圧倒的に有利であることは疑いを容れない。

  ※ 下記にも同趣旨の要約参考記事がある。
    → 五輪エンブレム「佐野研二郎」絶体絶命!ベルギー側に超大物弁護士・

 ──

 問題は、著作権としての見方で、類似性があるかどうかだ。
 「全然似ていないよ」
 という抗弁が成立するなら、組織委が勝って、ベルギー側が負ける。では、そうなるか? 

 実は、これについては、あっさり結論が出る。実は、組織委自身が、類似性を認めているのだ。(罪の自白と同様だ。)
 「そんな馬鹿な」
 と思うかもしれないが、さにあらず。実は、次の例があった。
  → セブンイレブンの「おでんのPOP」に東京五輪組織委員会が待った!

 ここに、次の画像がある。


oden.jpg
出典:セブン-イレブンの twitter (削除済み)


 このおでんの写真について、念のため、東京五輪の組織委員会に問い合わせたところ、東京五輪組織委員会の回答から、次の回答が返ってきたそうだ。
「ご連絡ありがとうございます。添付写真確認いたしました。具の配置がエンブレムを容易に想起させるものと思われます。仮にこれが個人的な利用に止まるのであれば問題ありませんが、店舗に掲示や配置するということになりますと商業利用にあたってくるので、お控えいだたくことになります。ご理解とご協力のほど何卒よろしくお願いします」(セブンイレブン武蔵小金井本町2丁目店Twitterより引用)
( → 上記ページ


 つまり、おでんの写真という「ちょっと似ている」という程度のものですら、佐野デザインの商標の侵害と見なされる、ということだ。
 とすれば、もっとずっとよく似ているベルギーの劇場のロゴも、佐野デザインの商標の侵害と見なされる、ということになる。
 しかし、これはおかしい。ベルギーの劇場の方が先にあるのだから、先にあるものが後発のものの権利を侵害している(パクっている)というのは、本末転倒だ。
 だから、ここでは、「ベルギーのロゴと、佐野デザインとは、たがいに強い類似性があるが、佐野デザインの方が後発である」という認識だけが成立する。とすれば、権利侵害しているのは、佐野デザインの方なのである。

 ──

 というわけで、「著作権」および「類似性」という二点から、ベルギー側の勝利はもはや確実と言えるだろう。
 特に、賠償金を求めず、単に「使用停止」を求めるだけなら、組織委には実損がないから、裁判所は容易に「組織委はこれを使うな。別のデザインにしろ」と判決を下すだろう。

 で、そうなったら? 別に、特に困ることはない。別のデザインを採用すればいいだけだ。だから、素直に粛々と別のデザインを採用すればいい。(佐野デザインは捨てればいい。)
 これで、万事、めでたしめでたしとなる。

 ──

 ところが、である。
 五輪組織委がこれに対抗して、あくまで「おれは正しい」と主張したら、どうなるか? その場合は、とんでもないことになる。
  ・ 現地で高額の裁判費用がかかる。
  ・ 次のデザインが決まらないまま、延々と時間が浪費される。
  ・ 長い時間がたってから、組織委の敗訴となり、大混乱になる。


 これは、最悪のシナリオだが、どうも、組織委はこの方向を目指しているようだ。大破局をめざす大馬鹿者。日本は世界の恥さらし。
 
  ※ 世界の恥さらしになる、ということは、別項で腿述べた。(下記)
     → 舛添は五輪で決断せよ



 [ 付記 ]
 「ベルギー側と和解せよ」
 と提案した人もいるが、まず、無理だろう。こちらが和解したくても、向こうが和解したがらない。裁判で負けそうな方が和解を申し込んだって、勝つつもりの方が和解に応じるはずがない。
 仮に和解をするとしたら、日本から多額の金を払う必要がありそうだが、それは馬鹿げている。さっさと別の案を採用する方が賢明だろう。

 なお、ベルギー側が裁判に訴えるのは、絶対的な必要があるからだ。それは、こうだ。
 「もし五輪組織委に商標が認められると、ベルギー側は類似性があって商標の侵害と見なされ、おでんの場合と同様に、ベルギー側は自社のロゴを使えなくなる」
 こういう問題がある。だから、ベルギー側に裁判を取り下げてもらう、ということはあり得ない。(頼んでも断られる。)

 たった一つ、可能性があるとすれば、こうだ。
 「日本が商標を得ても、ベルギーのロゴを商標の侵害とは見なさずに、ベルギー側に現在のロゴの利用を認める」
 こういう形でなら、和解はあるかもしれない。
 ただし、その場合には、かなりの金がかかりそうだ。弁護士費用は 100万円では済まないだろう。佐野研二郎に払うデザイン料は 100万円だとしても、法的な係争費用は最低でも 1000万円になりそうだ。馬鹿馬鹿しい。
 だったらさっさと、佐野デザインの使用をやめればいいのだ。そうすれば、裁判自体が無意味となり、裁判所は「訴えの利益なし」で公訴棄却となって、それでおしまいとなる。これなら、費用はゼロで住む。

 しかしまあ、馬鹿げたことをやるのが、日本の常だ。新国立劇場でもそうだが、最後の最後まで愚策にこだわって、最終的に身動きが取れなくなってから、ようやく方向を転換する、というありさま。
 いい加減、馬鹿をやめてもらいたいものだが。…… 肝心の五輪組織委の会長は、森喜朗だ。
  → Wikipedia
 となると、またしても安倍首相が乗り出さないと、愚策は直らないのかもね。困ったことだ。馬鹿は死ななきゃ治らない。



 【 追記 】
 法的違反の決定的な事例が新たに見つかった。
  → 佐野研二郎、海外ブログの写真からCopyrightの文字を削り盗用か?

 先に記者会見で示した、「五輪エンブレムの展開例」という画像(テレビで放送されたもの)がある。


kuuko.jpg


 これは、実は、海外の個人ブログの画像を無断使用して加工したものであり、しかも、画像右下に埋め込まれていた copyright という文字を削除する、という悪質さ。
 犯意が丸見えである。

 この件は、たとえ部下に任せたにせよ、「うっかりしました」では済まない。先のトートバッグの例もあるからだ。監督責任は重大だ。
 たぶん、日常的に、パクリをやり放題なのだろう。
 
 ──

 さらに別件が出た。
  → 佐野ロゴ展開例の元ネタが発掘される
 渋谷の交差点の民衆の画像。
  ・ 渋谷の交差点の画像をパクった。
  ・ 民衆の画像をパクった。

 両方をパクって、合成している。

 ──

 なお、内輪の展示に使うだけで、一般公開には使わないから、違法ではない……と解釈する人がいるが、それは著作権法を知らない人の発想だ。
 一般に、新聞記事であれ、雑誌であれ、職場でコピーして使うのは、著作権法違反である。(使いたければ、コピーではなくて、新聞や雑誌を複数購入して、切り貼りするべきだ。あるいは、記事のリンクだけ示して、内容は記事を購入して読んでもらうべきだ。)
 今回も同様だ。「社内展示」みたいな場合のつもりであっても、有料画像については、購入の必要がある。それができなければ、著作権法違反の違法行為だ。
( ※ ちょっと金を払えば済むところを、そうしていないということは、日常的に無断利用をやっているからだろう。パクリ体質というより、盗用体質。)
posted by 管理人 at 23:31| Comment(11) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に <FONT COLOR="#dd0000">【 追記 】</FONT> を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2015年08月29日 00:19
>またしても安倍首相が乗り出さないと

五輪担当大臣が仕事をしてほしいものだ。
Posted by senjyu at 2015年08月29日 13:09
空港の画像は、美術報道のサイトでも見つかった。即刻、削除されたが、魚拓が残っている。
  → https://archive.is/qbSM5#selection-167.0-167.39

 これを見ると、右下の copyright という文字の箇所は切れていない。しかるに、公開された画像には、 copyright という文字はない。ということは、画像を「ぼかし」などの処理で加工して、 copyright という文字を意図的に消していることになる。……すこぶる付きの悪質さだね。
Posted by 管理人 at 2015年08月29日 14:11
>著作権ならば、類似性が認められるだけで済む。
これ違います。ベルギーの国内法までは知りませんが、
日本の法律では著作権は「偶然の一致」では侵害とみなさないことになってるはずです。
侵害となるには「真似をした」という事実(すくなくともそれが推定される何か)が必要になります。
(事前にそのデザインを見ていたとか)
国際法(ベルヌ条約)も同じはずです。でないと日本がベルヌ条約批准できるはずがない。
セブンイレブンの「おでんのPOP」は「似ている」からではなく
明らかに「真似をした」から(著作権上は)問題がおおありなのです。
(東京五輪組織委員会の回答は著作権にもとづいたものなのか商標権にもとづいたものなのかはっきりしませんが。)
Posted by のぐー at 2015年08月29日 14:20
のぐーさんのお話から考えられるのは

佐野さん側が、「偶然の一致」を主張する。
結果、管理人さんが「最悪のシナリオ」といわれる方向に行く可能性がありそうだ。
Posted by senjyu at 2015年08月29日 14:49
>著作権ならば、類似性が認められるだけで済む。

 これは、私の意見じゃなくて、著作権法の国際的な権威とされる弁護士の意見です。一介の市民である のぐー さんの意見よりは、圧倒的に重みがあります。
 なお、類似性なら客観的に示せますが、真似をしたという心理的なことを証明するなんて、不可能でしょう。形のないもの(心理)についての物証など存在しませんから。
<!--  仮にそんなことになったら、たいていの著作権法違反は「たまたまだよ」と言って許容されてしまいます。
 比喩的に言えば、「殺すつもりはなかった」という理由で殺人がやり放題になったり、「盗むつもりがなかった」という理由で泥棒がやり放題になる。
 一般に、法律は、行為の是非が問題になるのであって、見えない心理しだいで是非が決まるということはありません。そんな法律があるとしたら、未開人国家の法律だけだろう。

-->
Posted by 管理人 at 2015年08月29日 15:27
毎日新聞の記事から転載。

  ̄ ̄

、 場側の弁護士が27日、毎日新聞に対し国際オリンピック委員会(IOC)本部のあるスイスでも提訴する用意があることを明らかにした。また、大会組織委がエンブレムの原案を公表したことについて「裁判には重要ではない」と述べ、あくまで現在のデザインの類似性が焦点だとの見解を示した。
 劇場の代理人を務めるベレンブーム弁護士は27日、「どんな原案があったとしても、公式採用されたデザインが劇場ロゴの著作権を侵害していることが問題だ。裁判でも制作の経緯は重視されないだろう」と述べた。
 商標登録については「公立の劇場には関係ない。著作権侵害が問題だ」と指摘した。
 そのうえで「劇場側の修正要求を拒否しているのは理解できない。類似しないようエンブレムを修正すれば裁判は終わる」と、IOCに妥協を促した。
 現在、デザイナーを含む劇場側はベルギーで裁判を起こしているが、別の代理人のモタル弁護士は、スイスで訴訟をする意味について、ベルギーでの裁判が仮に勝訴しても国内での効力しかないためだとしている。
 劇場側は、差し止め要求をIOCが受け入れず、エンブレム使用を続けた場合、スポンサーが使った場合も含め、使用1回につき5万ユーロ(約670万円)支払うよう求めている。弁護士はこうした支払いに実効性を持たせるためスイスでの提訴を検討している。

http://mainichi.jp/sports/news/20150829k0000e050227000c.html
Posted by 管理人 at 2015年08月29日 20:35
管理人さんが言われるように、五輪エンブレムは密室で利権関係者が決めたことが次第に明らかになってきたようです。
東京五輪2020は、その準備段階で、本質からずれるバイアスが大きすぎます。
本来は、アスリートが気持ちよく競技でき、宴の後、国民に負担苦を背負わさないことが本質ですが、利権関係者の
跋扈が目立ちます。世界陸上北京2015において、日本の陸上界の惨状は悲惨です。JOC,陸連、JSCなどは
一体何をやってきたのですかね? 日本人選手が走っているのを見ると恥ずかしくなります。 

 五輪エンブレムの本質は、国民の祭典に相応しい、国民が納得するに日本らしさを表現した美しいデザインを選ぶこと。
日本国民の85%が「嫌い」といっている、密室で関係者が決めた(多分パクリの)五輪エンブレムのデザインを死守
しようとしている不心得者たちがいる。うんざりですね。さっさと破棄して、広く再公募することです。
 パクリ五輪エンブレムのデザインをごり押しして、日本国民に良いことは何もない。東京五輪2020への国民の熱意
や期待は冷え切るのではないでしょうか。社会現象はカタストロフィです。日本国民の既成政党への不満は新しい政党を
求める機運を高め、日本の新規再編を促す駆動力になる可能性もありますね。
Posted by 思いやり at 2015年08月29日 22:21
僕が、一番、うまく、フォトショップを使えるんだ
Posted by 7C at 2015年08月30日 04:36
もうちょっと他の記事とか他の弁護士の見解とかお調べになってはいかがですか。
http://www.insightnow.jp/article/8591
>著作権に基づいて権利侵害を主張するには、類似性だけでなく、依拠性(パクったやつが自分の作品を知っていたということ)を立証しなければならない。その立証責任は、原告側にある。
>ただし、この依拠性は、間接事実からの推認でも十分とされている。すなわち、@知りえた可能性、A類似性以上の酷似性、Bオリジナルの周知性、の3点が証明できれば、依拠した、ということになる。逆に、弁護側は、@絶対に知りえなかった、Aそれほど似ていない、Bそれほど有名じゃない、と抗弁することで、独立創作としての別個の著作権の存在を証明する。
Posted by のぐー at 2015年08月30日 13:24
類似性と依拠性の話は、Wikipedia にもあるので、すでに知っています。ここに詳しく書いてあります。
  → http://j.mp/1Kuv2sb

 ただ、本件では余り参考になりません。
 第一に、ロゴの場合は、文章や絵画とは違って、依拠性のハードルが低いでしょう。
 第二に、賠償でなく単なる「使用停止」ならばハードルが低いでしょう。
 第三に、何よりも大切なのは判例であり、その点では、現地の判例を知っている弁護士の方が圧倒的に有利です。

 ──

 なお、今回の例では、本日別項のように、ポスターからの丸パクリがすでに判明しているので、ベルギーの裁判で争う以前に、決着が付きそうです。
Posted by 管理人 at 2015年08月30日 13:36
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