2015年08月08日

◆ 調布の飛行機事故の原因

 調布の飛行機事故の原因は未解明だが、さまざまな証拠や証言は出ている。推理を働かせれば、ただ一つの原因が推定される。 ──

 調布の飛行機事故の原因は未解明だが、さまざまな証拠や証言は出ている。バラバラに見ると、謎が深まるだけと見えそうだが、そこに推理を働かせることもできる。

 まず、基本としては、次のことがある。
 常識的に言って、このような事故は起こるはずがない。次の安全措置が取られているからだ。
  ・ 離陸にあたっては、性能上の余裕がある。
  ・ 離陸の前には、エンジンの調子をチェックする。

 この二点があるがゆえに、事故が起こるはずがないのだ。
 特に、第2の点が重要だ。「エンジンの不調があったのでは?」という推測が出ているが、たとえエンジンにトラブルがあったとしても、離陸の前にチェックされるので、エンジンの不調が見逃されるはずがないのだ。
 具体的に言うと、エンジンが最大出力を出せなかったのが原因だと推定されているが、実は、離陸で滑走を始める前に、(車輪にブレーキをかけたまま)エンジンを最大出力まで上げる。このことで、エンジンを最大出力まで上げることが可能だと確認される。






 動画の 1:45 のあたりから見てほしい。車輪にブレーキをかけたまま、プロペラがしだいに高速回転していき、やがて、ほぼ最大回転になる。その後、車輪のブレーキが外され、飛行機は走行し始める。
 ここでは、飛行機が停止したまま、エンジンは最大回転数まで回転することが確認される。だから、エンジンの不調が見逃されるということは、常識的に言って、あり得ないのだ。

 ところが現実には、エンジンは不調だった。飛行機は速度を十分に上げられなかったし、エンジンは変調する音を発生していた。
 事故機は離陸後、安全に上昇できる速度の80〜91ノット(時速約148〜169キロ)に達しないまま70ノット(同約130キロ)以下となり、墜落した可能性が高いことが航空関係者への取材でわかった。
( → 読売新聞 2015-08-08 / 紙の新聞にはもっと詳しい情報がある。)

 理屈ではエンジンは不調ではあり得ないのに、現実にはエンジンは不調であったことになる。この矛盾をどう解決するか?

 ──

 もちろん、現実が理屈と矛盾するのであれば、理屈の方がおかしい。つまり「原則として守られること」が守られていなかったことになる。この点について調査したところ、次の証言(らしきもの)を得た。
 エンジンチェックはしてあるからと、滑走路での最終エンジンチェックをしないで離陸。
(通常は滑走路で最終エンジンチェックを行う)
( → テレビ報道の転載のブログ

 つまり、機長は、なすべきことをなしていなかったことになる。
 なお、急いで出発したことには、理由があるようだ。
飛行機は時間単位で借りていた。出発が遅れたのは、今回生き残った3人が遅れて来たから。
 ──

 13分の遅れが出た原因は乗員の3人が遅れてきたことである。
( → 同じブログ )

 時間単位で借りていたから、いちいち出発前のチェックをしていると、余分な時間がかかって、時間単位で払う料金が増えてしまう。そこで、時間単位で払う料金を減らすために、13分の遅れが出たのを相殺しようとして、エンジンチェックの時間を省略した、と考えられる。
 つまり、安全性よりも金を重視した、というわけだ。

 ここから疑いをもつと、この機長にはおかしな点が次々と出てきた。(同じブログから)
 機長は総飛行時間が600〜700時間にもかかわらず、今年始めに国土交通省に提出した書類には1500時間と自己申告していた。
( → 同じブログ ,産経新聞

 また、当日、燃料が満タンだった、という問題点も指摘されている。これによって過積載状態になっていたらしい。
 パイパー社のホームページによると、同型機の標準装備の機体は約1380キロ。燃料は約355キロまで積載可能で、満タンにすると機体全体で約1735キロになる。一方、同型機が離陸可能な最大重量は1950キロ。燃料が満タンの状態なら、のせることができる人や荷物は最大約215キロという計算になる。
 事故を起こした小型機は、成人男性5人を乗せていた。燃料は、満タンの状態から事故4日前に約40分飛行しただけで、多くは残っていたとみられる。「この機種の能力を知っているなら、危険を感じなかったのだろうか」と男性は首をかしげる。
( → 毎日新聞 2015年08月02日

 成人男子なら、60〜70kg はあるはずなので、5人なら、300〜350kg となる。215キロに対して、大幅に超過している。さらに、当日は気温が高かったという問題もある。
  事故が起きた時に調布飛行場にいた男性操縦士は、「あの日の暑さからすると、気温の影響も大きいはずだ」と話す。小型機のエンジンは、気温が上がると出力が低下する。当時の気温は34度。同型機の操縦マニュアル(米連邦航空局が1988年承認)によると、「気温34度」で「無風」という気象条件なら、最大重量に達した同型機が安全に離陸するには約960メートルの滑走路が必要とされている。調布飛行場の滑走路は800メートルだった。
 「仮に機内で冷房をつけていたとすれば、速度や高度を上げるのはさらに大変だったはず」と操縦士は推測する。エアコンはエンジンを動力源にしているため、作動させると機体を推進させる力が低下するという。
( → 同じ毎日新聞 )

 この機長がいかにおかしなことをしていたか、よくわかるだろう。

 ──

 以上のような問題点や疑問点が出ている。これらのことを、バラバラに見ている限りは、「機長が怪しい」というぐらいのことしか推測できないかもしれない。
 しかし、名探偵が推理を働かせれば、そこには合理的な説明で統一することが可能である。こうだ。
 
 「機長は安全よりも金を優先した。
 (i) 出発の直前に、エンジンを最大化回転に上げるというチェックを省略した。その理由は、客が遅れたので、その時間を取り返すため。取り返さないと、時間単位で契約した料金が大幅に上がってしまうから。
 (ii) 燃料を満タンにしてはいけないのに、満タンにした。その理由は、時間単位で借りた飛行機で,時間を無駄にしないため。たとえば、目的地まで 1時間の予定が、遅れのせいで 1時間10分になったら、残りの 50分が無駄になる。その 50分を遊覧飛行で無駄にだらだらと飛行するために、飛行経路以外のための余分な燃料を詰んだ」


 つまり、すべては金のためだったのだ。金を節約し、金を無駄にするまい、と思った。そのせいで、安全を切り捨てた。必要な事前チェックを省略し、必要もない余分の燃料を多大に積み込んだ。……そのすべては、金のため(コスト削減と売上げ増加のため)だったのである。

 そもそも、この機体は、ひどく危険な機体であると知られていた。
 事故機を所有、管理していた会社の不透明な経営実態が明らかになってきた。同社関係者は、事故機について「『絶対乗ってはいけない機体』といわれていた」と証言。
 2004年10月、札幌市の丘珠(おかだま)空港で着陸に失敗して機首部分から接地する事故を起こし、修理後の05年には、自衛隊機に異常接近するトラブルが問題となった。いわくつきの機体だったわけだ。
 関係者は「エアロ社の前社長時代は整備もしっかりやっていたが、前社長が約5年前に亡くなると、資金難もあり、整備がずさんになった。とくに事故機は、仲間内では『絶対に乗ってはいけない機体』といわれていた」と話す。
( → zakzak

 そんなに不評な機体を、なぜ借りたか? 事故機ということで、料金が安かったからだろう。
 ま、それでも、飛行前のチェックを十分にしておけば、不調のときでも「飛ばさない」という選択を取ることができた。
 ところが、この機長は、「(不調だから)飛ばさない」という選択を取れなかった。(不調だからといって)飛ばさなければ、売上げがまるまる消えてしまうからだ。また、ただの不調ぐらいでは、飛行機のレンタル料が戻ってくるとも限らない。

 結局、すべては金だったのだ。金ゆえに危険を冒し、金ゆえに安全策を避けた。……その結果が、事故と惨事だ。
 今回の事故は、起こるべくして起こった、と言える。事実を合理的に解釈すれば、ただ一つの事実が見えてくるものだ。

( ※ 本項は私の推定です。名探偵の推理と同じで、直接的な証拠を示すのではなく、推理力によって結論を得ています。科学的な証明ではなく、論理的な証明。……法的には認められるかどうかは不明です。通常、推理による論理展開は、法的には採用されません。)
posted by 管理人 at 14:18| Comment(4) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
基本的には、お粗末な能力しかないパイロットが、金のために、その通りだと思います。

危険な機体だったのは、調布飛行場の危険を少なくするために自家用機をフェードアウトさせようと、新しい機体に変更するのを禁止している規制のせいですね。ですから事故歴あり26年モノが現役だったわけです。

行政の規制って目的と結果が合っていないちぐはぐなところが多いですが、事故の遠因はアホみたいな役人(と後から来て飛行場に文句をいう身勝手な周囲の住民)のせいですね。
Posted by 通りすがり at 2015年08月09日 22:37
この推理が正しければ、根底にあるのは原発事故と何にも変わりないものなのですね。
人は成長しないものなんでしょうか・・・・
Posted by 無機名 at 2015年08月10日 08:47
事故の原因(遠因)を役人に求めるのはちょっと気の毒な気がしますが、少なくとも、調布空港を管理する東京都には、空港を管理する能力が不足しているかもしれませんね。
Posted by 反財務省 at 2015年08月11日 07:49
役人のよくやる「雰囲気による規制」が、大元の原因ですよ。

本来、資本主義社会で「飛行機の新規更新禁止」なんていうのは憲法上もおかしな規制なわけです。自動車が危険だから、新しく自動車買うの禁止、という規制に置き換えてみればちぐはぐなのがすぐ分かるでしょう。

危険な自家用機を禁止する目的なら、堂々と法律で禁止すればよろしい。財産権その他でそれをやるのが手間なために、意味不明のいつのまにかフェードアウトさせ、責任は古い機体をつかってる持ち主になすりつける体質そのものが、病根です。

堂々と、役人(と政治家)の責任で財産権と戦って、公共の福祉の方が上だと論戦を張ればいいのに、それをやらないからこういうひずみが生まれるんです。

飛行場があるんだから、管理人さんのおっしゃるとおり、一定レベルの安全(緩衝帯など)も確保しつつ、空を利用する自由もちゃんと保証して、ビジネスに結びつける、そんなことをせずに規制規制、空気規制でやってるから、日本が衰退するわけです。

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」の精神ではなく、自分の安心感のために他人の自由を同調圧力をかけて法律外で制限する、これが日本の悪しき文化ですよ。
Posted by 通りすがり at 2015年08月11日 09:21
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ