2015年08月07日

◆ 新国立競技場レポート 8

 新国立競技場の概算価格は、JSC が勝手に数値を操作していたことが判明した。ほとんど 捏造 みたいなスキャンダル。 ──

 毎日と朝日に報道があるので、ここで簡単に紹介しておく。

 要旨:新国立競技場の工事費は、「3000億円」と設計会社が提示したのに、それを無視して JSC が数値を操作して、勝手に 1625億円と書き換えてしまった。その数字でゼネコンに押しつけようとしたが、ゼネコンは設計会社と同様で「3000億円かかる」と答えた。
 
 つまり、最初(2013年10月)からずっと数値は 3000億円だったのだ。ところが JSC が勝手に数値を書き換えたせいで、2015年7月まで、1625億円ぐらいの数値のまま、ずっと迷走していた。本来ならば 2013年10月の時点で「却下」「白紙化」となるはずだったのに、 2013年10月から 2015年7月までの時間がまったく無駄に費やされてしまった。
 はっきり言ってこれは「捏造」とも言える数値の操作だ。新国立競技場の問題は、もはや「捏造」というスキャンダルの段階に達した。

 ──

 (1) 毎日新聞 2015年08月07日

 新国立競技場の建設問題で、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が昨年5月、基本設計の概算工事費を過少に見積もって公表していたことが、関係者の証言で分かった。設計会社側が約3000億円と提示したのに対し、JSCは資材の調達法や単価を操作するなどして1625億円と概算していた。
 関係者によると、昨年1月から本格化した基本設計の作業で、設計会社側は概算工事費を約3000億円と試算した。
 しかし、JSCは「国家プロジェクトだから予算は後で何とかなる」と取り合わなかった。
 JSCは1625億円を「13年7月時点の単価。消費税5%」の条件で試算した。さらに実際には調達できないような資材単価を用いるなどして概算工事費を過少に見積もったという。
 基本設計発表の半年前の13年末、財務省と文科省は総工費を1625億円とすることで合意しており、JSCはこの「上限」に合わせた可能性がある。ある文科省幹部は「文科省の担当者が上限内で収まるよう指示したのではないか」と指摘している。
( → 毎日新聞 2015年08月07日

 ここで、「文科省の担当者」というのは、辞任した局長と、辞任した事務次官が該当しそうだ。
 また、JSC の責任者は誰かといえば、事務能力のある唯一の人、つまり、JSC の有識者会議の佐藤禎一委員長(元・事務次官)である可能性がある。彼ならば、文科省の意を受けたと考えられる。(第一候補)
 一方、JSC の河野一郎理事長である可能性もある。彼は森元首相と懇意だということなので、文科省よりは森元首相の影響でそうした可能性もある。(第二候補)

 (2) 朝日新聞 2015年8月7日

 新国立競技場の建設を巡り、今年2月の時点で、施工予定者の建設業者が示した工事費が3千億円を超えていたのに対し、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は 2100億円程度に収まると文部科学省に報告していたことが 7日わかった。最終的に総工費が2520億円まで膨れあがった経緯を考えると、この900億円の乖離(かいり)が、文科省が危機感を認識するのを遅らせ、白紙撤回の結論が遅れた可能性がある。
 この日、建設計画が迷走した経緯を調べるために下村博文文科相が立ち上げた第三者による検証委員会(委員長=柏木昇・東大名誉教授)の初会合が東京都内であり、そこで提出された資料で明らかになった。
 資料によると、JSCは今年2月までに建設会社側から工事費が3千億円を超すと報告を受けた。しかし、JSCは設計会社との試算で、基本設計時の1625億円から資材費の高騰、消費税率の上昇分を織り込んでも2100億円程度とし、2月13日に文科省に報告した。
 この時、JSCは建設会社側の見積もりも文科省に伝えており、「(建設会社側との)乖離を収めるのは困難」とも報告。この後に開閉式屋根の設置を大会後に先送りするなど一部を見直したものの、最終的に2520億円に膨らんだ。
( → 朝日新聞 2015年8月7日

 JSC も怪しいが、JSC は文科省の傘下にあって、文科省の指示を受ける立場なので、根源的な責任が文科省にあることは疑いを容れない。
 毎日の記事を読んだ人は、「JSC を解体せよ」と叫んだりするが、JSC はあくまで文科省の指示を受ける立場なのだから、JSC ばかりを咎めても本質的ではない。
 文科省では、辞任した局長と事務次官が怪しいので、この二人を事情聴取した方がいい。
( ※ すでに辞任して調査が困難だというのなら、これらの側近などに事情聴取すればいい。)



 【 関連項目 】

  → 新国立競技場の核心
     ※ JSC 有識者会議の名簿がある。

  → 新国立競技場レポート 3
     ※ 更迭された局長と事務次官の名簿がある。

  → 新国立競技場レポート 6
     ※ 検証する委員会の名簿がある。



 【 関連サイト 】

 辞任した局長についての記事。(産経)
 事実上の更迭が決まった文部科学省スポーツ・青少年局の久保公人(きみと)局長は、白紙に戻された新国立競技場の整備計画について、当初から事務方の責任者を務めてきた。
 スポーツ・青少年局長は平成24年1月から3年半に及び、新国立をめぐる大半の経緯に携わってきた。英国在住の女性建築家、ザハ・ハディド氏の作品が選ばれた24年9〜11月の国際デザインコンペをはじめ、一時は3千億円まで膨らんだ総工費を規模縮小により1625億円まで圧縮し、東京都との費用負担についても、水面下で折衝を重ねてきた。
( → 産経 2015-08-08

 総工費を3千億円から 1625億円まで圧縮したのが誰であるか、この記事に書いてありますね。
 


 [ 余談 ]
 この問題は、東芝の不正会計(粉飾)に似ている。
 東芝では、トップが「何が何でも黒字を出せ」と命じられた部下が、現実には黒字がないまま、数字だけを操作して黒字を出した。こうして不正会計(粉飾)が発生した。
 新国立競技場では、トップ(事務次官?)が、財務省と交渉して、1625億円という上限で合意した。こうして1625億円という金額が設定されたあとで、「何が何でもこの金額に収めよ」と命じられた部下(局長)が、現実にはその金額に収めることが不可能なまま、数字だけを操作して、その金額に収めた。こうして金額圧縮(捏造?)が発生した。
 本来ならば、金額を圧縮したときに、「ザハ案を捨てる」という策を取るべきだった。自分では取れなくても、「ザハ案を捨てるしかない」と進言するべきだった。なのに、そうできなかった。かわりに、数字の操作という捏造ふうのことをしてしまった。
 物事の本質を考えずに小手先の操作だけで物事を解決するという官僚の体質が、悪い方向に出てしまった。有能な官僚であればあるほど、国民にとっては害悪であるという実例。
posted by 管理人 at 19:27| Comment(0) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
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