調布の飛行機墜落では、「墜落の原因を解明せよ」という声が強い。(報道各紙)
しかし、この事故の本質は、墜落の原因よりも、もっと大切なことがある。フェイル・セーフの発想がなかったことだ。つまり、「事故が起こるか否か」ではなくて、「事故が起こったときに被害を最小化する」という発想がなかったことだ。そのせいで、ほんの小さな事故から、多大な被害が発生してしまった。
今回の被害は、死者3人、重軽傷5人。このうち、民家にいたのは、死者1人、重軽傷2人。飛行機に乗っていた人だけを見れば、死者2人、重軽傷3人。……飛行機の墜落事故にしては、乗員を見る限り、死者よりも生存者の方が多かったことになる。
ここで、現場の写真を見よう。

出典:時事通信
ここに該当するのは、航空写真では下記にあたる。(赤いポイントのところ。)
これを見ればわかるように、墜落現場は、滑走路の先よりも、少し左にコースがズレた位置にある。仮に、直進していたか、少し右側にズレていたなら、住宅地には落ちず、道路か草地に落ちていたはずだ。このあたり。
どうしてわざわざ住宅のある方にコースがズレたのか? たぶん、飛行機が制御できなくなっていたからだろう。
そのせいで、道路に着陸することもできず、草地に着陸することもできず、やむなく、住宅地の建物に突っ込むことになった。こうして、住民の被害をもたらすだけでなく、自分自身をも死の危険にさらした。
これが故意であるはずがない。とすれば、やはり、飛行機が制御できなくなっていたと推定できる。(飛行機が裏返っていることからも、それが推定できる。)
こういう場合には、「飛行機はこうするべきだった」というようなことを言っても無駄だ。かわりに、「飛行機がどんな状態であったとしても、被害を最小化する」というシステムが必要だ。
では、そのシステムとは? こうだ。
「滑走路の先には、住宅地を置かない」
換言すれば、こうだ。
「滑走路の先にある住宅地を、あらかじめ、別の場所に移転しておく。今回の事故の現場の周辺は、無人の草地( or 公園)としておく」
これが、フェイル・セーフの発想だ。この発想があれば、たとえ事故が起こっても、被害は最小化されただろう。たぶん、飛行機は広場に着地したあとで、ブレーキをかけながら陸上で減速して、最終的には正面にある樹木帯に突っ込んだだろう。
その場合には、被害はどうなったか?
・ 住民の被害はゼロとなる。
・ 乗員の被害もずっと減る。(たぶん全員が軽症。)
そういうふうに、被害は最小化されたはずだ。
さらに言えば、次のことも望ましい。
「広場の最終部は、樹木帯のかわりに、プールを設置する。ここ(水中)に落ちた場合には、急激に減速されるだけでなく、爆発による火傷の問題もなくなる」
今回、重軽傷だった乗員は、ケガの衝撃があっただけでなく、満タンの燃料による火傷もひどかったらしい。もし墜落したあとでプールの水中に落ちていたなら、火傷の被害も少なくて済んだはずだ。(燃料の爆発炎上も起こらずに済んだかもしれない。)
ともあれ、滑走路と高速道路に挟まれた住宅地は、すべて、居住禁止にして、住居を移転させるべきだろう。それが本質的な解決策だ。
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移転させるとしたら、移転先は、どこがいいか? 次の二箇所が候補となる。
(1) 調布飛行場の西側
ここには、広大な空地がある。そのほとんどは、味の素スタジアムに併設される感じで存在する球技場だ。
こんな感じ。

拡大
ここに、球場や、公園や、空地などが、たくさんあるので、少し取りつぶして、そこに先の住宅地の人々を移転すればいいだろう。(ここでは緑地が減ってしまうが、その分、元の住宅地では緑地が増えるから、差し引きして、トントンだ。)
(2) 味の素球場の南
すぐ上の方式には、難点がある。元の住宅地は、駅に近くて交通至便(京王線で新宿直通)なのだが、移転先は、交通があまり便利ではないのだ。
そこで、同じくらい交通が便利なところとして、味の素球場の南の空地を提案しよう。ここだ。
ここで、 54 と書いてある緑の場所が、サッカー場のような空地となっている。こうだ。

だから、この場所に移転してもらえばいい。住宅地の全部とはいわなくても、大半はここに移転してもらえば、問題の大部分は解決する。
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まとめ。
飛行機が墜落するという事故そのものは避けられなくとも、事故が起こったときの被害を最小化することができる。(フェイル・セーフ。)
そのためには、滑走路の先の場所を空地にすればいい。
そのためには、現在はそこにある住宅地の住宅を、別の場所に移転すればいい。
住宅地の移転先は、次の二箇所が候補だ。
・ 調布飛行場の西側の空地(球技場)。
・ 味の素スタの南側の空地(球技場)。
[ 付記1 ]
墜落の原因そのものについては、かなり情報が出てきている。
・ 滑走路を走る離陸距離が(いつもより)異常に長かった。
・ 離陸後の高度が(いつもより)異常に低かった。
・ 離陸後に空中で破裂音が聞こえた。
初めの二つの点から、エンジントラブルが推定されている。
破裂音も、エンジンの異常音かもしれない。
[ 付記2 ]
調布飛行場では「自家用機の自粛を」という要望が出た。これは「自粛の強制」という奇妙な状態になっているが、それはさておき。
仮にエンジントラブルが原因であったとすれば、この問題は、単発機のかわりに双発機を使うことで避けられる。だから、「自家用機の自粛を」とは言わずに、「単発機の自粛(または禁止)」にすればいいだろう。
ま、飛行場の写真を見たところでは、やたらと単発機が多いようなので、実質的には、どっちにしても似たような結果になるかもしれないが。
ちなみに、私が前にお薦めしたのは、「パイパー PA-34 セネカ」という機種だが、これは双発機である。
前出項目
[ 付記3 ]
「フェイル・セーフ」の対義語は、「フェイル・アウト」という語句を前に冗談半分で使ったが、正しくは「フェイル・デッドリー」というらしい。
→ フェイルデッドリー - Wikipedia
英語圏では、次の語も見出される。
→ fail dangerous (Google 検索)
各社が本人に「許可を下さい」と求めているツイートがネットに上がって、ネット民が押し寄せて放送各社に文句を言っている、というまとめ記事もある。
現時点での情報は、テレビ(特に NHK )が圧倒的に強い。新聞にはまだ情報が上がっていないようだし、もともと記事の総量がテレビよりずっと少ない。動画もないし。
新型機への更新を認めない都の方針。数十年かけて飛行機をボロボロにして飛べなくする。その後空き地を宅地開発という長期計画か?
そのボロボロ(になりかけた)飛行機が離陸失敗。そのうち、空中分解だの着陸失敗だの、とんでもないことになりそうだ。