2015年07月26日

◆ 新国立競技場レポート 2

 陸上競技場を、あとでサッカー専用球場(ふう)にする、というロンドンの例を示す。ついでに、コンペの次点の案も。 ──

 オリンピックの陸上競技場を、あとでサッカー専用球場(ふう)にする、という方式が、ロンドン五輪のスタジアム改修で採用された。2013年3月の記事。
 イングランド・プレミアリーグのウェストハム(West Ham)が、ロンドン五輪のメーン会場となった五輪スタジアム(Olympic Stadium)の主要テナントとなる権利を得たことが22日、発表された。
 ロンドン(London)東部のストラットフォード(Stratford)に位置し、8万人を収容できるスタジアムは五輪開催時には開閉会式や陸上競技の会場となった。ウェストハムが使用を開始する2016-17シーズンまでに収容人数5万4000人のスタジアムに改修される。
( → AFPBB 2013年03月23日

 これはどういうことかというと、完全なサッカー専用球場に改修するのではなくて、陸上競技場とサッカー球場とに、モードで切り替える、という方式だ。
 陸上競技モードでは、1階席を後方に引っ込め、空いた場所にトラックを置く。
 サッカーモードでは、トラックの上に1階席と設置する。ただし、平面状に並べた1階席ではなくて、斜面状に傾斜した1階席である。その分、サッカー専用球場っぽくなる。


westham.jpg
出典:Sunday Express 、 参考記事


 これはなかなかいいアイデアだと言える。
 「五輪スタジアムを、あとでサッカー専用球場に作り替える」
 というふうに言われているのは、この方式のことだ。
( ※ 実際には、サッカー専用ではなくて、陸上競技場と兼用である。ただし、サッカーの試合のときには、きちんとした1階席がある。)

 ──

 とはいえ、これは、最善ではない。なぜなら、2階席や3階席のスタンドは、陸上競技場のままだから、フィールドからはとても遠いのだ。これでは、臨場感がない。2階席や3階席は、サッカー球場の観客席としては用をなさない、とも言える。
 ゆえに、これは、最善ではない。(2階席や3階席は役立たずだから。)

 では、どうすればいいか? 2階席や3階席は、五輪終了後に、もっとフィールドに近づける方がいい。(スタンド全体を中央に移動させるわけだ。)
 このことは、もともと恒久的な陸上競技場を設置した場合には不可能だが、最初からスタンドを移動可能な形で設計しておけば、あとでスタンド全体を移動させることは可能だろう。そうすれば、あとで真の意味でサッカー専用球場に作り替えることができる。(この場合には、陸上競技場はもはや開けないが。)

 以上のようなアイデアをきちんと提示した(らしい)案がある。それは、新国立競技場のコンペで時点になった、オーストラリア人の案だ。


cox1.jpg

cox2.jpg
出典:JSC公式


 この二つの図を比べよう。
 上の方では陸上競技のトラックがあり、トラックとフィールドの全体が広い。
 下の方ではサッカーのフィールドがあり、トラックがないので、地面の部分は狭い。しかも、その狭いフィールドのすぐそばまで、観客席が迫ってきている。1階席だけでなく、2階席や3階席も迫ってきている。これは、サッカー専用球場も同然である。この状態になっていれば最高だ。

 ただ、上の図を下の図のようにするには、スタンド全体を移動し、かつ、屋根を縮小する必要があるので、ほぼ全面的な改築となる。ロンドン五輪のスタジアムのように、「陸上競技モードとサッカーモードの2通りがある」というわけには行かない。サッカーモードの1通りしかないことになる。
 とはいえ、コンペの応募作の絵を見た限りでは、両方はモード切替ができるようにも思える。(オリンピックの期間中に、双方が実現できるようにも思える。)
 これは矛盾である。そもそも、この二つの図は、両立しないはずだ。上の図から下の図へ完全に改築するということなのか? それとも、同時期に両方が可能であるように見せかけた、インチキデザインなのか? ちょっと謎である。
 ま、私としては、「完全改築」(陸上競技場としては使わない)というふうにしてくれれば、文句はない。そもそも、補助競技場のない陸上競技場なんて、意味がないのだから、残す必要はないのだ。



 [ 付記 ]
 本項の方式に似たことは、私も前に述べた。「新国立競技場は、陸上競技場として使ったあとで、サッカー専用球場にするといい」という趣旨。代案を示す形で、下記のように述べた。
 《 B案 》
 「原則として8万人規模のサッカー場を作るが、1階部分は撤去可能にする。1階部分を撤去したあとの敷地を、陸上競技で使う」


 最初から8万人規模のサッカー場を作る。サイズはサッカー場のサイズであり、大きな陸上競技場用のサイズではない。このままでは、フィールドが狭くて、陸上競技には使えない。
 そこで、最初は1階部分のシートを撤去する。というか、最初は1階部分のシートがない形で、陸上競技場を建築する。
 その後、オリンピックの終了後には、1階部分のシートを設置して、サッカー場として使う。
( → 新国立競技場の問題点と代案 [2013年10月28日])

 ただ、これだと、2階席や3階席がどうしても遠くなってしまう。だから、もう一つの案の方がいいだろう。
 《 A案 》
 「仮設スタンドで新国立競技場を建築してから、仮設スタンドを取り外して、サッカー・スタジアムに作り直す」


 ごく平凡な陸上競技場を建設する。屋根はない。費用は、日産スタジアムの約 600億円と同程度を見込む。
 規模は6万人。ただし、スタンドは仮設スタンドとする。(その分、費用は安くなるかもしれない。) オリンピックの終了後は、この仮設スタンドをすべて撤去する。
 その後に、8万人規模のサッカー場に作り直す。といっても、大工事にはならない。フィールドを縮小して、フィールドに芝生を張るぐらいだ。あとはスタンドだが、今度は恒久施設としてのスタンドにする。シート(座席)は、仮設スタンドのシートをそのまま流用していい。床面や骨組みなどは、恒久施設として、きちんと作る。(主として鉄骨で。)
 結果的に、8万人規模のサッカー場だけが残る。これはサッカー専用球場なので、とても臨場感があり、多くの客を呼び込める。
( → 新国立競技場の問題点と代案

 「これはサッカー専用球場なので、とても臨場感があり」と述べた通りだ。2階席と3階席がフィールドに近いので、サッカー専用球場として満点となる。やはり、これがお薦めだ。
posted by 管理人 at 14:28| Comment(1) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
他のことはいざしらず「補助競技場のない陸上競技場」という一点について開催者の皆さんがどのように考えているのか気になりますね。いやそれ以前に一体オリンピック関係者にこの点でどんなプレゼンをしたのか、今となっては分からないが。オリンピックの期間中だけ小さな競技場を作ったりするのでしょうか。
Posted by daimong at 2015年07月30日 18:12
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