・ 五輪エンブレムとの共通性
・ 開閉式の屋根はなくなる ──
二つの話題で述べる。時事的なニュースから。
五輪エンブレムとの共通性
五輪エンブレムについては、前項で示した。
→ 東京五輪のエンブレム
ひどいデザインだし、海外でも不評だが、どういうわけかこれが選ばれた。
さらに不思議なのは、時点となる作品の作者は示されたのに、その作品が公開されないことだ。
2020年東京五輪のシンボルとなる「東京2020大会エンブレム」に、佐野研二郎氏(MR_DESIGN)のデザインが選ばれた。24日、東京都庁で披露された。ほかには、原研哉氏(日本デザインセンター)と、葛西薫氏(サン・アド)の両氏が入選した。
( → AdverTimes )
名前が出ているのに、作品は見つからない。ググっても見つからない。公式ページ にも見当たらない。つまり、公開していないわけだ。
それはつまり、「選考過程を明らかにしていない」ということだ。「選考過程は密室に隠された」と言ってもいい。こうして、一部の勝手な人が、勝手に案を選んだわけだ。(いわば安藤が勝手にザハ案を選んだようなものだ。)
こういうことではいけない。むしろ、選考過程は公開するべきだ。そのことは、新国立競技場の再選考に関して、数日前の項目で述べた。
選考の過程を公開するべきだ。
いきなり「これに決まりました」と示すのでなく、途中の選考過程を示すべきだ。特に、応募した全作品と、途中の審査で残った作品を示すべきだ。
選考途中で国民の声を聞くべきだ。
( → 新国立競技場の選考を公開せよ )
こういうふうに述べた。
しかるに、それとは逆に、「選考過程を公開しない」「密室で決める」という方針を、五輪エンブレムの決定では取った。それによってひどい作品が採用される、ということがわかった。
だからこそ、新国立競技場では、五輪エンブレムの二の舞にならないように、きちんと選考課程を公開するべきなのだ。
そしてまた、国民の声を聞いて、駄目な作品を排除するべきなのだ。
開閉式の屋根はなくなる
開閉式の屋根は問題があるので、やめた方がいい、と数日前に述べた。
「開閉式の屋根は付けない方がいい」と思う。単に固定式の屋根(中央に穴あきのタイプ)があるだけでいい。
「開閉式でなく、固定式の屋根」
というのが、私の結論となる。
( → 開閉式の屋根(スタジアム) )
政府は最初から開閉式にこだわってきたので、私の上の希望は実現しそうもないと思っていたのだが、意外なことに、どうやら実現しそうな見込みである。
新国立競技場の建設計画の白紙撤回を受け、日本建築家協会(芦原太郎会長)など建築関連3団体は24日、開閉式の屋根など設計条件の大幅な見直しを求める提言をまとめ、遠藤五輪相などに提出した。
( → 読売新聞 2015-07-24 ,同趣旨の日経 )
《 開閉式屋根造らず 政府調整 》
政府は 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設について、工費高騰の一因と指摘されている開閉式の屋根を造らない方向で調整を始めた。屋根は観客席だけを覆う簡素なものにすることで、費用を圧縮する狙いだ。
( → 朝日新聞 2015-07-25 )
まあ、良かった、良かった、と言えそうだ。
[ 付記1 ]
「屋根がないと、東京では熱射病になりかねない」
という心配があるようだが、その心配は必要ないだろう。
というのは、真っ昼間に競技を実行すると、観客が困るだけでなく、選手も困るからだ。
常識的には、早朝または夜間にやることが好ましい。私は、(特にマラソンは)気温の低い早朝の方がいいと思ったが、観客の都合も考えると、夜間の方がいいだろう。
これは別に不思議ではない。ロンドン五輪の閉会式も夜間に行なわれた。
ロンドン五輪の開会式も、夕方から夜間に行なわれた。
というわけで、熱射病の心配などは、必要ないのだ。なお、普通の競技も、夜間に行なうことにすればいい。
ちなみに、1991年の世界陸上も、夜間に行なわれた。次の動画の 11:30 のころから、カールルイスが世界新記録を出した名場面となる。背景の夜空は真っ黒だ。
ついでだが、時差の心配も必要ない。
・ 東京で 18時
・ パリで 11時
・ 米国で 23時
という感じである。
だから、東京で 18時以降に競技や閉会式を実行すれば、欧米でもちゃんと見ることができる。また、日本ではゴールデンタイムに重なる。
かくて、屋根がないからといって、熱射病の必要もないわけだ。
( ※ 雨の心配はあるが、小雨ぐらいだろうから、雨合羽でも着ればいい。大雨が降ったら? そのときは、競技自体が雨天順延となる。だから、大雨の心配はない。たとえ台風が来ても問題ない。競技をやらなければ、客が濡れることもない。)
( ※ なお、開閉式の屋根はなくとも、固定式の屋根はあるから、ちょっとぐらいの雨が急に降っても、どうってことはないのだ。最前列の人は濡れるかもしれないが、大多数の人は濡れずに済む。)
[ 付記2 ]
固定式の屋根の場合、問題が一つある。日照だ。
「冬になると、太陽の位置が低くなるので、南側の屋根が、フィールドにかかる。そのせいで、芝の生育が悪くなる」
こういう問題が生じやすい。
その点、開閉式の屋根で、南側がぱっくりと空く埼玉スタジアムだと、冬にもフィールドに日光が良く当たるので、芝の生育も良好だ。
では、どうする? 私としては、次のことを提案したい。
「南側の観客席には、屋根を付けない。また、普段は、南側の席を販売しない。満員になる場合のみ、南側の席を販売する」
だいたい、8万人もの観客が押し寄せることなど、滅多にないはずだ。だから、たいていの場合、南側の席は空席にする(客に売らない)ことにすればいい。これなら、雨で濡れる問題もなくなる。
( ※ ただし最前列のあたりだけは、売ってもいいけどね。最前列を安く買えるのなら、濡れても文句は言うまい。)
スタジアムを上から見ると、こんな感じ。
∩ または Π
北と東と西には屋根があるが、南側だけは、屋根がない。
そのせいで、観客席は濡れる。
しかし冬季には、屋根がないので、日光がうまくフィールドに当たる。
[ 付記3 ]
実は、サッカー場に改築するなら、開閉式の屋根はあってもいい。他にも開閉式の屋根をもつサッカー球場は多い。特にコストがいっぱいかかるわけでもない。
ザハ案の場合は、特殊な曲面の屋根なので、ものすごくコストがかかりそうだったが、普通の平面または球面状の屋根なら、開閉式の屋根でも、たいしてコストはかからないのだ。
雨の日でもサッカーを開催できることのメリットを考えると、開閉式の屋根を付けるのも、そう悪いことではない。(サッカー球場に改築することが前提だが。)
些細なツッコミなのですが、サッカーって雨でもやりますよね、台風でもなければ。台風ならどのみち中止しますしね。野球とお間違えではないですか。
【 参考 】
台風の影響などで豪雨になって雨天中止になった例。
→ http://j.mp/1KrXn3k
→ http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20090913-543032.html