「ホルムズ海峡が封鎖されたら日本に死活的な影響が出る」というのが、集団的自衛権の論拠だが、忘れているものがある。休止中の原発だ。 ──
原発が稼働すれば、相当多くのエネルギーが供給される。
→ 電源別の発電電力量とCO2排出量
このグラフを見ればわかるように、2010年以前には、原発は全発電量の 30%前後を占めていた。このうち、福島のように稼働できなくなったものもいくらかあるが、稼働できるものだけでも稼働すれば、20%ぐらいを占めることができるようになる。
とすれば、その分、現状に比べて発電量が上乗せされるのだから、その分、石油の消費量を減らすことができる。
一方、現状では、LNG の占める割合が大幅に伸びた一方で、石油の占める割合はたったの 14.9%になっている。(2013年の値)……この数値は、原発の 20%という数値よりも、もっと小さい。
結局、日本に来る石油がすべてなくなっても、原発がある限り、発電については心配が要らない。
心配が要るとしたら、自動車の燃料だが、その程度ならば、備蓄で足りる。また,航空機や船舶は、外国で給油できるから、もともと問題ない。
──
というわけで、ホルムズ海峡が閉鎖されても、何も問題はないわけだ。原発を稼働させれば。
だから、ホルムズ海峡が閉鎖されたときには、こう問うがいい。
「今すぐ、憲法違反をして、自衛隊を海外派遣しますか? それとも、原発を稼働させますか?」
あるいは、現時点で、同じことを問うがいい。
「将来、ホルムズ海峡が封鎖された場合には、集団的自衛権を行使するべきだと思いますか、原発を稼働させるべきだと思いますか?」
これを国民に問うて、政府は方針を決めればいいのだ。まずはここから議論すればいいのだ。
その議論もしないで、天下り的に「集団的自衛権を合法化する」なんていうのは、日本の万一の危機を救うためというよりは、単なる軍事ごっこのお遊びにすぎない、と言えるだろう。
【 関連項目 】
自衛権は、個別自衛権だけあれば足りる。集団的自衛権は、有益というよりも有害だ。……そのことを理論的に示したのが、次の項目だ。
→ 集団的自衛権とタカ・ハト・ゲーム
2015年07月21日
過去ログ
国際的にも区別されていません(国連憲章でも認められています)し、日本においても憲法前文に「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とあるので、やはり区別できないと考えられます。
集団的自衛権の行使を否定するのであれば、多くの憲法学者と同じように、個別的自衛権も自衛隊も日米安保も否定すべきです。
これはけして極論ではなく、憲法学者の間での多数派は、集団的自衛権も個別的自衛権も違憲という立場です。
少なくとも、集団的自衛権と個別的自衛権を区別するような、国連憲章&憲法前文を上回る強力な根拠は、どこにも存在しないと思います。
たとえば、「人は生きる権利がある」「空気を吸う権利がある」というのは、法的には規定されていませんが、生まれながらにして所有している権利だ、と考えられます。
自衛権もまた同様で、他人が攻撃してきたときに、身を守るために反撃する権利はある、と考えられます。国家もまた同じ。(個別自衛権)
しかしながら、しずかちゃんがジャイアンに攻撃されたときに、のび太がジャイアンを攻撃する権利は、生まれながらにして所有しているとは考えられません。(集団的自衛権の否定)
・ クウェートがイラクに攻撃されたとき
・ ウクライナがロシアに攻撃されたとき
こういうときに、無関係の第三者が勝手に参入する権利がもともと存在するとは考えられません。
・ 満州が中国から攻撃されたとき
これを理由に第三者たる日本が中国を侵略しても構わない、というふうにはなりません。
詳しくは
→ http://nando.seesaa.net/article/395777565.html