2015年07月20日

◆ ゴミ袋有料化は有効か?

 ごみ袋を有料化することで、排出量を4割減らした、という例がある。これは本当に有効か? ──

 まずは、朝日の記事を引用しよう。(ネットで全文を読めるが、一部転載する。)
 読者 「長崎県佐世保市では最低限のごみ袋は少額で購入でき、それ以上になるととてつもない高額で購入する。良いシステムです。(浜の川信・60代男性)

 約25万人が住む佐世保市は2005年に、家庭ごみの「2段階有料化制度」を導入しました。市が指定するごみ袋は、1人あたり年間900リットル分までは「購入補助券」を使って安く買えますが、それ以上は高い手数料がかかります。たとえば45リットルのごみ袋(大)は補助券があれば1枚10円の実費のみですが、なければ手数料が加わって220円になります。
 補助券は市民1人につき年間5枚配られます。袋のサイズは4種類。「大」なら補助券1枚で4枚、「ミニ」(7.5リットル)なら24枚買えます。
 ごみ袋を節約するため、町内の人たちはいろんな工夫をしています。「かさを少なくするために、台所ごみは乾かして捨てているよ」「プラスチックの弁当箱を回収してくれるお店が増えてるよね。あれはありがたい」などと話してくれました。
 補助範囲の年間900リットルは、ピーク時(00年度)の家庭ごみ排出量(1人あたり約1100リットル)より15%少ない数字でした。現在はピーク時より4割少なく、1人あたり660リットルだそうです。市民の頑張りは減量という形で結実しています。
( → 朝日新聞 2015-07-19

 これによると、家庭ごみ排出量は、1100リットルから 660リットルまで、4割減になったことになる。「大成功」と言えそうだ。
 だが、本当にそうか? 

 ──

 ゴミを減らすというとき、各家庭は実際にどういうことをしているのか? 上の例では、こうある。
 「かさを少なくするために、台所ごみは乾かして捨てているよ」
 「プラスチックの弁当箱を回収してくれるお店が増えてるよね。あれはありがたい」

 しかし、よく考えると、これらはゴミを減らした効果はない。

 (1) プラスチックの弁当箱を回収してくれるお店

 そんなことをしても、ゴミの総量はまったく変わらない。ゴミを出す人が、家庭から、店になるだけだ。費用の負担者が変わるだけであって、ゴミの総量はまったく変わらない。エコの効果はゼロである。
( ※ 費用負担が適性されて、自治体の支出が減る、という効果はあるだろうが、エコの効果はない。単に、家庭経由のゴミが、企業経由のゴミへと、経路の変更があるだけだ。ゴミの総量変わらない。)
( ※ プラスチックの弁当箱とは何か? 1個数千円もする弁当箱のことか? まさか。それを使い捨てにするはずがない。たぶん、コンビニ弁当などの、薄っぺらなプラケースのことだろう。 → 画像一覧
( ※ ただし、ホワイトトレーなどに限っては、リサイクルが可能なので、この分だけは、エコの効果がある。それだけだ。弁当箱ぐらいだと、単に企業の側が燃やすだけだろうから、エコの効果は何もないはずだ。参考 → 前出項目

 (2) 台所ごみを乾かす

 台所ごみを乾かすことで、ゴミの体積は減る。しかし、これで減るのは、ゴミそのものではなくて、ゴミの水分だけだ。結果的に、焼却のあとで残る焼却灰の量はまったく変わらない。要するに、ゴミを減らした効果はまったくない。
 これに対して、次の疑問も生じるだろう。
 「台所ごみの水分が減れば、台所ごみという水分の多いゴミを燃やすために、あとから くべる石油の量が少なくて済む」
 私もそう思った。しかし実際には、生ゴミには石油をかけてはいないそうだ。生ゴミには、生ゴミの外、可燃性のプラスチックなどが混入しており、それだけで十分に足りているという。
 下記は、横浜市の事例。
 一般のゴミのうち、ビチョっと重い生ゴミが占める割合は約4割。確かに燃えにくそうだ。石油でできているプラスチックを足して燃やしているというのもあり得そうな話…。
 そこで金沢区にある清掃工場、横浜市資源循環局金沢工場をたずねてみた。
 「生ごみだけだと水分が多くて、炉の温度がなかなか上がらないからきついのは事実です」
 と、技術管理係長の久松さん。
 「でも、燃えるごみには汚れた紙も含まれるし、ビデオテープやおもちゃなど、分別対象以外のプラスチック製品もいろいろ含まれています。そのおかげでまだ燃えるレベルではあります」
 どうやらプラスチックが多かった時代のほうが、燃やすのは楽だったのは否めないという様子。今もたまに加えていたりは…?としつこく問い詰めたところ、
 「それはありません。分別されたプラスチックやペットボトルを混ぜることはありません」ときっぱり!
( → 横浜のごみ焼却炉では分別したプラも燃やしてるの?[はまれぽ.com]

 完全に分別がなされると、生ゴミだけでは燃えなくなってしまうのだが、現実には、生ゴミにプラスチックが混入されているので、かろうじて燃料などを足さずに済んでいるわけだ。

 つまり、生ゴミを乾燥させても、「生ゴミを燃やす燃料を削減する」という効果はない。また、「焼却灰を減らす」という効果もない。(前出) 要するに、ほとんど何も効果はない。それでいて、各家庭では、「生ゴミを乾燥させる」という無駄なことをするために、多大な手間をかけることになる。
 要するに、「エコをしている」という妄想を信じて、単なる無駄をやっているだけだ。無駄、無駄、無駄。

 ──

 結局、(1)(2) ともに無駄だということになる。生ゴミの水分を減らして容量を減らしても、プラスチックの弁当箱を店が回収しても、それは、ゴミの総量を減らすことにはならない。見かけ上の体積だけは減るが、それは、ゴミを減らすのではなく、「水分を減らすだけ」「家庭経由のゴミを減らすだけ」であって、結局は、ゴミの総量を減らすことになっていないのだ。
 つまり、(1)(2) の形でゴミを減らすのは、見かけだけのペテンであったことになる。一種の詐欺みたいなものだ。で、そういうペテンに引っかかって、多くの人々は「ゴミを減らすため」に、多大な手間を強いられている。生ゴミの水分を絞ったり、プラスチックの弁当箱をいちいち店に運んだり。……まったく無効なことのために、多大な手間を強いられている。
 愚かさも極まれり。(ちょっと、エコキャップとか、ベルマークみたいに、無駄のかたまりだと言える。)



 [ 付記1 ]
 では、エコのためには、どうすればいいか? それは、すでに先日の項目で示した。再掲しよう。
 焼却の際の発電効率も、約12%で低いレベルです。環境省の調査では、施設あたりの発電量は欧米に比べ、4分の1から5分の1程度でした。
( → 朝日新聞 2015-07-12

 つまり、ゴミは焼却して、そのときに発電する「ゴミ発電」を行なうべきだ。ただし、その効率を大幅に上げるべきだ。ここで欧米並みに効率を上げることこそ、最もエコなのである。
 一方、何の効果もないことのために、住民に無駄な手間ばかりを強いることは、エコではなくて、自治体のエゴであるにすぎない。あるいは、ただの狂気的な精神運動であるにすぎない。それは、エコキャップやベルマークと同様だ。

[ 付記2 ]
 エコキャップが問題であることは、すでに本サイトで何度も示した。
  → サイト内検索

 ベルマークについても、言及したことがある。ただ、ちょっと書き直したりして、読みにくくなっているので、ここでは紹介しない。結論だけを言えば、こうだ。
 「ベルマークは、プリンタのインク・カートリッジに限っては、1点5円程度の還元になって、還元率が高い。だから、プリンタのインクに限っては、有益である。それ以外は、手間がやたらとかかるので、お薦めしない」


 本サイトでは、「プリンタのインク・カートリッジに限っては有効だ」という趣旨で述べたが、逆に、「たいていのベルマークは手間ばかりがかかって無駄だ」という指摘もある。
  → 「ベルマーク」は勘弁!母たちの切実な叫び
  → PTA批判を繰り広げてきた朝日新聞が踏み込めないベルマーク運動

 これらの点は、本項で述べたこと(ゴミの分別が無駄であること)と、同じような趣旨だと言える。
 ただ、人々は、エコキャップやベルマークの無駄には気づくのだが、ゴミの分別の無駄には気づきにくいのだ。かくて、せっせと喜んで、無駄な分別をやり続ける。……猿のお仕事みたいなものかもね。
( ※ お猿の電車。運転していないのに、運転するフリ。)
posted by 管理人 at 20:26| Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
生ゴミをあらかじめ天日乾燥すれば、それだけ焼却時に得られるカロリーは増える(水分を飛ばすために失われるエネルギーが減る→ゴミ発電量が増える)ので、収支上無意味ということはありません。
ただ、それを各家庭でちまちまやるというのはあまりに手間ばかりかかりすぎて非合理、という意味で結論には変わりないですけどね(^^);

なお、ゴミ発電の効率差は、生活習慣からくるゴミ組成比率の差もありますが、焼却炉タイプの違いも大きいです。

日本の場合「ともかく大量のゴミを処理」という時代が続いたので、それに見合ったストーカー炉というのが多くを占めていますが、これは効率を高めるのには向いていません。過大な排出見通しに立ってこのような炉型が多く建設された結果、焼却能力が余る反面、発電効率は上がらない…という状況になっているかと思われます。

ただ、これはマクロで見た話で、地域によっては(多摩地区や島嶼のように)施設が足りないところもある。また、ゴミの排出量はちょっとした状況変化で(特に産業・業務系は)ガラッと変わりますから、発電を追求して設備形成を行っても肝心の燃やすものが足りなくなる、なんてことがザラにある。要するに、発電施設として見るととてつもなく燃料市場が不安定なのです。

ゆえに、ゴミ処理に普遍的な特効薬なんてものはありません。リデュース・リユース(発生抑止・再利用)を優先させ、その上で出てしまうものについては、地域の実情に応じ相当な冗長性を持たせて試行錯誤するしかないと思われます。
Posted by 深海誠 at 2015年07月21日 00:22
> 生ゴミをあらかじめ天日乾燥すれば、それだけ焼却時に得られるカロリーは増える(水分を飛ばすために失われるエネルギーが減る→ゴミ発電量が増える)

 私もそう考えていたけど、よく考えると、違うかも。というのは、ゴミ発電をするのは、分別プラスチックの焼却炉が主体であり、生ゴミの焼却炉ではゴミ発電をやっていないっぽい。もともと余剰な発熱量が少ないので。
 仮に生ゴミの焼却炉ではゴミ発電をやっているのだったら、分別の必要がない。全部まとめて一括してゴミ発電をすればいい。分別するのは、生ゴミの焼却炉ではゴミ発電をやっていないからでしょう。
 つまり、分別するのは、自治体のゴミ発電設備を節約させるため。自治体がいくばくかの投資コストを下げるために、市民が大勢で莫大な人件費に相当する労働を無償提供するわけ。ベルマークみたいですね。1円を稼ぐために100円の労働を提供する。市民による上納システム。
Posted by 管理人 at 2015年07月21日 07:56
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