2015年07月08日

◆ 保育士不足の解決策 2

 保育士不足を解決する方法を示す。 ──

 保育士不足はいまだに深刻だ。
 待機児童対策で保育所が急増するにつれて、保育士不足が深刻化している。特に首都圏で顕著で、東北など地方での求人に力を入れる保育所が増えている。
( → 朝日新聞 2015-07-08

 これを解決するための策を、前に示した。
  → 保育士不足の解決策
 その趣旨はこうだ。
 「保育士自体はありあまっている。ただし、勤務しないで、休んだり、他業種に就いたりする。その理由は低賃金だから。ゆえに、賃金を上げればいい。そのためには、保育料を上げればいい


 本当は、自治体が補助金をたくさん出すのが一番だ。実際、京都は、補助金をいっぱい出すことで、問題を解決した。相場よりも百万円ほど高い年収を保証することで、保育士不足は一挙に解決したそうだ。
 とはいえ、どの自治体もそれほど金が潤沢であるわけではない。そこで、上記のように「保育料を上げる」という方式を提案したわけだ。
    ( ※ 少なくとも一部で高所得者向けに、「高料金で高サービスで必ず入所できる」という保育所を作ればいいのだが。そうすれば、その分、保育所不足は緩和されるはずだし。)

 ──

 といっても、「保育料の値上げ」は、現実には賛同を得にくい。市民が反発しそうだ。市民というものは欲張りだからだ。
 かくて、現実には、低料金と低賃金が据え置かれる。
 14年の賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金の月平均29万9600円に対し、保育士は20万9800円。
( → 朝日新聞 2015-07-08

 その結果、待機児童問題は、いつまでたっても解決しない。

 ──

 ここで、困ったときの Openブログ。何か、うまい案はないか? 
  ・ 保育士不足を解決する
  ・ 賃金や料金を上げない

 そんなうまい方法はあるか? 実は、ある。こうだ。
 「非常勤の保育士を雇用する」


 これはどういうことか? 保育士を低賃金でこき使うということか? 労働者を虐待するということか? 違う。ここでいう「非常勤」とは、非正規社員という意味ではなくて、短時間勤務社員という意味である。(形態はなるべく正規社員であることが望ましいが、ここでは特に指定しない。)

 まずは、現実を見よう。記事にはこうある。
 資格を持ちながら保育士として働いていない潜在保育士は、全国に60万人以上いるとされる。潜在保育士を対象にした13年の調査では、働かない理由として「賃金が見合わない」「責任が重い」「休みが取りにくい」などが上位に挙がった。
( → 朝日新聞 2015-07-08

 「賃金が低い」ということ以外に、他の理由もあるのだ。
  ・ 責任が重い
  ・ 休みが取りにくい

 これを解決すればいい。つまり、次のようにする。
 「子供が小学校以上になって、もはや子供の世話をする必要なくなった女性に、非常勤の形で保育士を勤めてもらう」

 以上のようにする。ただし対象は、保育士資格をもつ女性に限るが。
 具体的には、次の形。
  ・ 週2〜4日の勤務
  ・ または、午前か午後だけの勤務

 このような勤務形態で2人を雇用すれば、正規勤務の保育士1人を雇用したのと同じことになる。あるいは、適当にローテンションを組めば、複数の人間で仕事を分かちあうことができる。

 以上の方針であれば、労働力は十分に満たせる。
 また、非常勤なので、(他産業に比べて)低めの給与でも応募者は来る。
 労働者としても、非常勤だから、気楽に保育業に復帰できる。(数年間のブランクがあっても大丈夫。)

 ──

 さらに、次の方式を組み合わせる。
 「自分の子供が、保育園〜幼稚園の年齢の母親に対しては、保育士に復帰することを条件に、どこでも好きな保育園に子供を預けることができる」

 ま、通常、自分の勤務する保育園に、自分の子供を預ければいい。これなら安心だろう。こういう形で、休んでいる保育士をどんどん現場に復帰させればいい。

 以上のようにして、たいして金もかけずに、保育士を大幅に増やすことができる。
( ※ 保育士の数そのものはもともと足りているので、雇用条件を改善することで、休んでいる保育士を現場に復帰させることができる。)
( ※ 子育てを終えた人ならば、ある程度の育児経験があるので、かえって好都合だ。)



 [ 付記1 ]
 保育士の数そのものを増やす方法もある。こうだ。
 「普通の人は、専門の学校や短大に入学して、長期間の履修をする必要がある。だが、四大卒の人は、追加的に短い時間の履修をするだけで、保育士の資格を取れる」
 詳しくは下記など。
  → 大卒から保育士資格を取得する2つの方法
 具体的には、下記で検索すると、学生を募集している学校が見つかる。
  → 保育士養成施設 - Google 検索
 たとえば、一番上にあって目立つ学校は、これ。(広告)
  → キャリア・ステーション

 [ 付記2 ]
 もっと手っ取り早く、保育士不足を緩和する方法もある。こうだ。
 「保育士は、パソコンが足りなくて、順番待ちみたいになっており、能率が低下する。そこで、パソコンをたくさん配備する」
 ノートパソコンなんて、ごく安価に買えるのだから、1人1台ぐらいの割で設置してもたいしたことはあるまい。これで人手不足が緩和するなら、安いものだ。
 なお、パソコン不足で困っている、という話は、下記。
  → 保育士110人アンケート

 [ 付記3 ]
 なお、多数のパソコンを同時に設置して同時に稼働させると、「Wi-fi が混線する」という問題も生じがちだ。
  → 無線LANは、素人は手を出さない方がいい - 中小事業所
 とはいえ、保育所だと、ネット接続よりは、スタンドアローンのまま書類作成することがほとんどだから、あまり問題はないかもね。
 
 [ 付記4 ]
 似た話題だが、「准看護師を看護師にすることで看護師不足に対処する」という方針も出た。
  → 看護師資格への准看護師「実務10年」を半減へ
 これは看護師不足に対する案。本項で述べたことは、この案にちょっと似ている。(準保育士みたいなものを導入するからだ。)
 
 【 追記 】
 無料で保育士資格を取れる方法もある。それは、失業者がハローワークに行って、「職業訓練」を受ける権利を得る、という方法だ。(倍率は4倍ぐらい。誰もが可能というわけではない。)
  → 保育士になるためにハローワークで職業訓練
  → 職業訓練で保育士資格取得
posted by 管理人 at 19:59 | Comment(3) | 一般(雑学)3 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>看護師資格への准看護師「実務10年」を半減へ

これは単に「正看国家試験受験資格を准看全員に解放する」でいいのです。そもそも、看護専門学校で教えていることなんて本を読めばわかるのだから。
Posted by 井上晃宏 at 2015年07月08日 23:06
>看護師資格への准看護師「実務10年」を半減へ

これは単に「正看国家試験受験資格を准看全員に解放する」でいいのです。合格後に若干の研修を国家予算でやればそれでおしまい。
Posted by 井上晃宏 at 2015年07月08日 23:06
保育士資格を持つ『男性』でも、構いませんね。
保母→保育士 になったくらいなので、ある程度いらっしゃるのでしょう。まだ女性のほうがだいぶ多いようには思われますが。
『主夫』も、それなりに増えてきているようですし。
Posted by けろ at 2015年07月11日 09:47
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ