2015年06月28日

◆ 空いた電波をどう使うか?

 地上波アナログ放送がなくなって空いた電波を、どう使うべきか? ──
 
 地上波アナログ放送が終わったあと、空いた電波をどう使うべきか?
 UHF(460 MHz - 770 MHz)の帯域は、地上波デジタルテレビ(470 MHz - 710MHz)で使われている。(高い領域はケータイ電話にも使われている。)
 それ以下の空いた領域は、ほとんど使われていない。
 うち、205〜222MHzまでの周波数帯は「マルチメディア放送」として携帯端末向けの放送に割り当てられて、NOTTV に使われている。
  → NOTTVが大赤字でもドコモは困らない

 しかしながら、この周波数は、本来なら大きなアンテナを必要とするのに、小さな機器なので小さなアンテナしか使えないせいで、感度が悪い。
  → ワンセグやnottvが付属のアンテナを伸ばしても受信できない ...
 まあ、これは当り前の話で、以前の地上波テレビが、室内アンテナを使う小型テレビでは画像が乱れたのと同じことだ。
 
 で、そういう事情だから、NOTTV はまったく利用者が伸びず、大赤字だ。
  → もはや電波の無駄遣い、NOTTVまたも大赤字

 これは、NTT の経営が悪いからではなく、同等のサービスを米国で実施していた Qualcomm も、2011年にはサービスを終了した。
  → MediaFLO( Wikipedia 英語版)

 こうして見ると、「この帯域にはほとんど使い道がない」とわかる。
 なぜか? 原理的には、こうだ。
 「この帯域は、ケータイに比べて周波数が低めである。波長が長い。そのせいで、長い距離を進めるが、情報の密度は薄い」

 ここで、「情報の密度が薄い」というのが、現時点では決定的な難点となる。従来(アナログ放送のころ)ならば、情報の密度が低くても構わなかったが、画素数の大きな画像を使う現代では、情報の密度の低さは致命的だ。これゆえ、用途がほとんどなくなる。
 強いて言えば、個人や会社のような小さな領域で安価に勝手に(低密度のまま)使えればいいのだが、ここでは、「長い距離を進める」という長所が、逆に短所となる。たとえば、個人の家庭で無線 LAN のつもりで使うとしたら、その電波が減衰しないで遠くの方まで伝わってしまうので、情報漏れや、混線などの問題が生じる。ここでは、長所がかえってアダとなっている。(皮肉なことだ。)

 ──

 あれこれ考えたすえ、私としては、次のように結論する。
 「この領域の大部分は、ケータイ電話用(スマホ用)に使うべきだ。特に、高めの領域(300〜450 MHz あたり)はそうだ。この場合、中継局は少なくて済むので、ローコストで使うことができる。情報密度は低めでも、ローコストで使えるというメリットがある。そういう用途で使うといい」
 「もっと低い領域(200〜300 MHz あたり)は、将来のために留保しておくといい」


 ここで、「将来のため」というのは、次のことを意味する。
 「宇宙太陽光発電の伝送のために使う」


 どうしてか? 宇宙太陽光発電は、将来的に実用化すると見込まれているが、そのための帯域が存在しないからだ。
 現時点では、「 2.4 GHz および 5.8 GHz 」という帯域を使う予定であるらしい。
  → 宇宙太陽光発電システムの周波数共用について

 しかしながら、 2.4 GHz というのは、すでに Bluetooth 、電子レンジ、無線LAN などがあれこれと使っていて、すし詰めの帯域である。(汎用帯域として指定されているところへ、さまざまなものが詰め込まれている。)そのせいで、混線も起こる。(特に Bluetooth と 無線LAN の混線が問題となる。)
 そんなところへ、新たに宇宙発電の電波が割り込んだら、とんでもないことになりそうだ。

 また、 5.8 GHz というのは、これも汎用帯域なので、将来的には、さまざまなネット家電などが使われて、すし詰めのせいで混線が起こりそうだ。

 だから、このような領域に、宇宙太陽光発電が割り込むのはまずい。もっと別の帯域を使うべきだ。
 そこで、上記の 200〜300 MHz あたりが候補となる。ただ、この周波数だと、直進性が弱いので、電波がいくらか拡散されてしまうかもしれない。そこがちょっと難点となる。
 もしそうである場合には、次の用途が浮かぶ。
 「離島への送電、または、海上風力発電から陸上への送電」
 これならば、直進性が問題となることもない。(伝送距離が短いからだ。)

 というわけで、このような用途のために、この帯域( 200〜300 MHz )を留保しておくことが望ましい。私はそう考える。

( ※ もしそれが駄目なら、この帯域は、「安価なケータイ電話用」にすべて使ってしまってもいい。「低密度(低速)で安価なケータイ電話」というのは、それなりに需要はあるはずだ。/なお、安価である理由は、電波が遠くまで届くので、基地局の数が少なくて済むからだ。)



 [ 付記1 ]
 「電波オークションを」という声もあるが、どうせ使い道のない帯域なのだから、値段は暴落するだろう。低い値段で独占されるくらいなら、使わずに留保して置いた方がいいとも言える。
 ただし、10年間ぐらいの一時的貸与ならば問題ない。とはいえ、その程度の一時的貸与では、誰もまともに金を払わないだろう。

 [ 付記2 ]
 「地上波のアナログテレビを復活させる」
 という案も考えられるが、まず、無理だ。今さらアナログテレビを生産する会社はないだろうし、金を払う消費者もいないだろう。(低い解像度の放送を見る人はいない。)

 この帯域は、地上波であれ、ケータイであれ、解像度の低さゆえに、使い道はない。なぜなら、「高い解像度で見る」という方式が、すでに安価に提供されているからだ。それは、「インターネットテレビ」だ。
 NTT で言えば、NOTTV のかわりに dTV というものがある。これは「インターネットテレビ」だ。これが月 500円ぐらいで使える。
  → dTV | サービス・機能 | NTTドコモ
 インターネットにつなぐ高い周波数のサービスで、同等のものがあるわけだ。こちらの方がはるかに情報量が多くて、圧倒的に便利だ。となると、解像度の低いサービスなど、もともと使い道がないわけだ。

 というわけで、この帯域を、放送みたいな用途できちんと利用しよう、という発想は、原理的に無意味だ、とわかる。
 
 [ 付記3 ]
 結局、使い道があるとしたら、放送ではなくて(個別の)通信だけだろう。通信ならば、感度が悪いときには、それなりの対策が取れるからだ。
( ※ 冗長性を長くして、エラー補正をして、通信エラーを補正できる。そのかわり情報量は減って、高速通信はできなくなる。つまり、情報量を減らすことで、感度の低下を補う。……こういうことができるのは、個別通信の場合だけだ。放送では無理。)
posted by 管理人 at 23:40| Comment(2) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>200〜300 MHz あたりが候補となる。ただ、この周波数だと、直進性が弱い

周波数に依存する電波の直進性ってなんでしょうか?(回折のこと?)
また、電力を送るのにマイクロ波領域を使うのには物理的な意味があるのではないですか?200〜300 MHz あたりの周波数は原理的に電力を送る用途に使えるのでしょうか?、
Posted by glg at 2015年06月29日 00:17
> 周波数に依存する電波の直進性ってなんでしょうか?

 物理学の基本常識なので、物理学の本を読むか、ネットで検索してください。
 ※ 実は、私もちょっと忘れていたので、ネットで上記の記述を見出して、「あ、そうだっけ」と思い出したのでした。 <TT>(^^);</TT>

> 200〜300 MHz あたりの周波数は原理的に電力を送る用途に使えるのでしょうか?

 直進性しだいですね。送れることは送れるが、その効率が問題となる。拡散すると、効率が下がる。
 単に送れることについては、ネットで確認済み。効率は知らない。
Posted by 管理人 at 2015年06月29日 00:50
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