福島の被災者にはものすごく手厚い処遇がなされている。総額で 19兆円 にもなる巨額で、場所によっては1世帯あたり4000万円も もらえることになる。
実を言うと、(原発被災者を別として)津波被害者に限るなら、これらの人々は1円ももらえる権利はない。なぜなら、そこに津波が来ることは、何十年も前からわかっていて、あえてそこに住んでいたからだ。
( ※ 「知らなかったぞ」という理屈は通らない。田老地区の巨大堤防や、釜石の京大防潮堤からしても、このあたりが津波ゆえに危険であるということは、誰もが知っていたはずだ。)
つまりは、すべての被害は、自業自得であった。内陸部に住んでいれば被害に遭わないとわかっていながら、あえて危険な場所に住んで、財産をなくしただけのことだ。国が財産補償をする必要など、さらさらない。にもかかわらず、国はこのあたりに、莫大な巨費を投入した。
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その一方で、原爆の被災者の一部は、まさしく致死量に近いほどの大量の放射線を浴びながら、国からほとんど補償金を受けていない。国が勝手に「この範囲内の人だけ」と決めて、その範囲から外れた人にはまったく補償金を出さないのだ。そして、そのことが「違法だ」と裁判で判決が出ても、その判決を受け入れない。
この件は、朝日の社説が論じている。
原爆症と認められなかった被爆者が03年に一斉提訴して以来、国の判断を「違法」とした判決は30件を超す。
現行の認定基準では、爆心地からの距離や被爆地に入った時期で原爆症かどうかが決まる。度重なる敗訴にもかかわらず、厚生労働省は距離や時間の条件をわずかに見直しただけだ。
昨年も591件の申請が却下された。裁判まで踏み切れず、認定をあきらめた人も多い。
最大の論点は、微少な放射性物質を呼吸や飲食などで体内に取り込む内部被曝(ひばく)をどう評価するかだ。厚労省は、内部被曝の影響をほぼ認めていない。
しかし、内部被曝の深刻さを示唆する新たな研究成果は、次々と出てきている。
裁判所は、内部被曝の影響は否定できないとの判断で一致する。5月の広島地裁判決は厚労省が根拠とする被曝線量の評価式について「一応の目安にとどめるのが相当」と指摘した。
(被害者団体との)協議は今年1月までに4回開かれたが、厚労省は被爆者側の要求を聞き流すばかりだ。13年末に認定基準を見直した時も、被爆者の強い反対を押し切った。
( → 朝日新聞 2015-06-22 )
震災後に補償金をもらって家を新築するような人々のためには巨額の税金を投入するのに、原爆の放射線を大量に浴びて白内障や免疫力低下で悩む人々には冷たい態度で追い払う。何という人でなしであることか。
リア王の冷酷な二人の姉を思い出す。