読売新聞 2015-06-21 で詳しく特集している。ネットにも簡単な記事がある。
日本産科婦人科学会は20日、深刻化する産科医不足への対応策をまとめた行動計画を公表した。
地域の基幹病院に産科医を集めて、医師一人ひとりの負担を減らすとともに、24時間安心して出産できる場を確保することが柱だ。
行動計画では、現在のお産の体制を続けるには、毎年500人の新たな産科医が必要だと指摘。
救急にも対応でき、24時間安心して出産できる場を維持するため、産科開業医とも連携しながら、都道府県の中核でリスクの高い出産や高度な新生児医療に対応する「総合周産期母子医療センター」に20人以上、地域の中核で比較的高度な産科医療に対応する「地域周産期母子医療センター」に10人以上の常勤の産科医を集めることを目標に掲げた。集約化で、当直などの産科医一人ひとりの負担を軽減して、産科医の4割を占める女性医師が、子育てや妊娠中にも無理なく働けるようにする。
( → 読売新聞 2015-06-21 )
集約化によって、交替勤務が可能になるようにする、という意味だ。
別の記事には、次のようにある。
日赤医療センター産婦人科は、当直あけの診療をやめ、日勤に引き継ぐ2交替制を導入して、妊娠・育児中の女性医師も勤務に入りやすくした。....部長は「子育て中の女性医師も働き続けられるよう、各都道府県に1箇所だけでも医師を集め、交替勤務制を導入するべきだ」と主張する。
そう主張する、ということは、現実にはそうできていないわけだ。
つまり、「交替勤務制を導入することで、女性医師を勤務させることができるので、産科医不足が解消に向かう」とわかっていながら、あえて交替勤務制を導入しないままにして、産科医不足を放置しているわけだ。
つまり、産科医不足というのは、医師が足りないということだけでなく、あえて医師を足りなくなるように制度を運営している、ということが根源であるわけだ。
ではなぜ、そういう愚かなことをするのか? たぶん、次の理由だろう。
・ 医師の人員数を減らすという行政改革
・ 医師の人件費を減らすという行政改革
こういう方針で、医師不足を自ら招いているのだろう。特に、「交替制の導入を拒む」という形で。
ともあれ、現状がわかった。それは、自分で自分の首を絞めながら、「苦しい、苦しい」と叫んでいる状況だ。自分で自分の首を絞めるのをやめればいいのだが、そうできない。
治療するべきは、自治体の行政府の頭だろう。彼らの頭を治療しないと、問題は解決しない。
【 関連項目 】
似た話題は、前にも述べた。
→ 女性医師の促進をITで
※ IT というよりは合理化で、産科医不足を解消する、という案。
ここで言う「合理化」は、本項の「集約」と、かなり重なる。
「複数主治医制」とか「情報の共有」とかを話題にしている。
上記項目で述べたことと似たことが実現に向かいつつある、
ということが読売の記事で確認されたわけだ。