2015年06月19日

◆ 不正送金とビットコイン

 海外への不正送金とビットコインの関係を考える。
 ( ※ 「ネット時代と法整備」というテーマです。) ──

 海外への不正送金が摘発された。
 ベトナム人留学生の男ら3人がいわゆる「地下銀行」を運営し、不正な送金を引き受けたとして逮捕されました。これまでに10億円以上が送金されたとみられています。
 警視庁によりますと、ヴ容疑者らは現金を直接、送金せずに、同じ額の家電製品などをベトナムに輸出し、現地でブローカーに現金化させていたということです。ヴ容疑者らは、10万円あたり 700円の手数料を取っていました。
( → テレ朝news 2015-06-19

 ここで不正送金とはどういうことかと思って、Wikipedia を調べてみた。
 日本では送金や銀行振り込みなどの為替取引は銀行にのみ認められている。しかし、正規の銀行を利用して海外送金するにはパスポートなどの本人確認が必要となり不法就労者が利用することが難しい。そのため、不法滞在の外国人が不法就労や犯罪で入手した資金を母国に送金するのに利用される。
 しかし、正規の銀行よりも手数料が安く、送金が迅速、休日夜間でも送金を行ってくれるなど、利用しやすさから正規の外国人就労者が利用する場合もある。
( → Wikipedia

 別にマネーロンダリングのような巨額の犯罪に加担しているわけではないようだ。せいぜい「不法就労者」という小物の違法労働に関与しているだけだ。しかも、「正規の銀行よりも手数料が安く、送金が迅速、休日夜間でも送金を行ってくれる」というふうにサービスがいいのだから、暴利を取って搾取しているわけでもない。
 としたら、こんなのを摘発しても、あまり意味がないと思える。どうせなら、こういうのを野放しにした上で、違法労働者をごっそり逮捕する方が、よほど効率的だろう。
 いったい警察は、何を目標としているのか? 「不法就労者」という違法行為を問題視しているのか? だったら、当の不法就労者を逮捕すればいいのであって、そのためには、地下銀行の摘発はかえって有害だ。
 また、「不法就労者」という違法行為を問題視していないのであれば、地下銀行は別に何も悪いことをしていないことになる。せいぜい「不法送金」という形式犯だ。
 無免許による為替取引は銀行法違反により3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が課せられる。
( → Wikipedia

 これだけだ。しかも、これは、可罰性が低い。というのは、今ではビットコインというものが流通しているからだ。
( ※ 先日、「ビットコインが消える」という事件が日本で起こって、大騒ぎになったせいで、日本ではビットコインの取扱料が減っているようだが、世界的にはふたたび元のように増えている。)

 ビットコインでは、容易に海外送金ができる。しかもこれは、誰かが仲介して送金するわけではないから、上記の銀行法には抵触しないだろう。(自分自身が財布を海外に持っていくのに似ている。あるいは、クレジットカードで海外で現金を引き出すのに似ている。もともと犯罪性が低い or 無い。
 
 ここで、政府の見解を求めたところ、次の文書が見つかった。
 (2) ビットコインを使用した匿名の国外送金
 我が国に所在するウォレットから国外に所在するウォレットにビットコインを送金することは容易であり手数料も格安である。送金はアドレスのみで相手を特定するので匿名性が高く、ほとんど捕捉不可能である。また、デスクトップウォレットやペーパーウォレットを国外に持ち出す場合も捕捉が困難である。実際、中国では、国外送金が厳しく規制されているため、ビットコインを使用した違法な国外送金が横行した。このため、中国政府は国内のビットコイン交換所である「BTC China」によるビットコインと人民元の交換を禁止した。その直後にビットコインの市場価格が急落した。
( → 大阪国税不服審判所次席国税審判官 の論説

 何だか普通にビットコインというものを解説しているだけで、違法とも合法とも述べていない。(ま、そりゃそうだろう。違法と言えるはずがない。何も法制ができていない状態だ。)

 そのビットコインと大差ないのが、冒頭の記事の送金だ。たいして違法性もないのに、形式的な違反があるがゆえに、ひどく規制されている。これは、一種の経済規制だから、「規制緩和」が進めば、一挙に合法化することもある。
 要するに、インターネットの時代に、地下銀行の規制というのは、時代錯誤的になっている。地下銀行を規制するなら、ビットコインも規制するべきだし、ビットコインを規制しないなら、地下銀行も規制する必要がない。(特に被害者もいない。というか、利便性を受けている人が多い。悪いことはしておらず、良いことをしているがゆえに、逮捕される。)

 この問題は、不正送金と不正労働をきちんと分けて考えることが必要だ。そして、不正労働の面を切り離せば、不正送金そのものには特に規制するべき理由はないとわかるだろう。
 
 ま、私としては、特に「こうせよ」というふうに提唱するつもりはないが、この問題をきっちりと整理して、ネット時代に対応した法整備を進めることを望む。
( ※ なぜかというと、制度がぐちゃぐちゃなのが、気持ち悪いからだ。物事の良し悪しというよりは、法制度が不整合なのが、気持ち悪い。)
posted by 管理人 at 22:49| Comment(0) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
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