2015年06月15日

◆ 記述式をコンピュータで採点?

 大学入試で記述式の答案をコンピュータで採点する、という方針があるが、可能か? ──

 大学入試で記述式の答案をコンピュータで採点する、という方針がある。
 大学入試センター試験に代わって2020年度から始まる新テストで、文部科学省が、記述式問題についてコンピューターによる採点支援を検討していることがわかった。採点時間を短縮するため、人手を補うのが狙いだ。
 選択式だけでなく記述式問題も取り入れる。20〜23年度も記述式を導入するが、解答が数十文字程度の短いものになりそうだ。
 文科省によると、例えば正解に必要な単語の有無をコンピューターが判断し、無ければ、後で採点する人に示すことなどを想定している。
 また、24年度から受験生がパソコンやタブレット端末などを使って受験する方式の導入も検討中だ。導入後は記述式問題も端末上で解答することになる。

( → 朝日新聞 2015-06-15

 時系列で言うと、次のようになる。
  ・ 20〜23年度 …… 記述式 (端末なし)
  ・ 24年度以降 …… 記述式 (端末あり)


 ここで、次のことが問題となる。
 「手書き文字を機械は認識できるのか?」


 これに対しては、すでに次のことが判明している。 
  ・ 文字を画像として認識するのでは、認識不能。
  ・ 書き順を含めた操作を認識するのでは、認識可能。


 具体的には、こうだ。
 (1) 紙に書かれた文字を、画像としてキャプチャしてから、その画像を文字として判読する場合、認識率は極端に低い。せいぜい数字と英字と平仮名の認知ができるぐらいで、漢字の認識率はすごく低い。普通の人が手書きで書いた崩れた文字では、まず間違いなく誤認識が起こる。
 (2) 端末の画面上で線を引く感じで、(筆順込みで)文字を書く作業を認識した場合には、認識率は十分に高い。すでに 99.5% を標榜する製品も販売されている。安価な例では、ATOK や MS-IME みたいな日本語入力ソフトにも、手書き認識機能がある。

 となると、
  ・ 紙に書いた文字を画像として認識するか
  ・ 端末上で入力過程も含めて認識するか

 という違いが、決定的に重要となる。

 ──

 では、文科省の方針はどうか? 先に次のように示した。
  ・ 20〜23年度 …… 記述式 (端末なし)
  ・ 24年度以降 …… 記述式 (端末あり)


 このことから、24年以降は問題ないが、20〜23年度は誤認識だらけになる、と予想される。
 つまり、正解を書こうが書くまいが、機械が「認識できません」と表示して、大半の答案には零点が付く。文字がきれいな受験生の答案には部分点が付くだろうが、文字が汚い人の答案には零点が付く。(たとえ答案が正解でも。)

 こういう問題があるのだ。

 ──

 結論。

 文字認識技術の実情も知らないで、むやみやたらとコンピュータを導入すれば、とんでもない大混乱が起こるだけだ。



 【 関連サイト 】

 武雄市では、教育の場にタブレットを導入したあと、惨憺たるありさまになった。
  → 武雄市、小中学校タブレットiPadに決定→導入直前にKEIANに変更→不良品の山に
  → 小中学生全員に「恵安製」タブレット導入した佐賀・武雄市、端末トラブル相次ぎ授業崩壊寸前
  → 詳細な調査報道
 
 コンピュータについて無知な人間が、何でもかんでもコンピュータに任せようとすれば、教育の場は崩壊してしまうのだ。
posted by 管理人 at 21:48| Comment(2) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>コンピューターによる採点支援
>必要な単語の有無をコンピューターが判断し、無ければ、後で採点する人に示す

別にコンピューターだけで採点するわけではなく、補助的なようですが。
仰られる通り誤認識の問題があるので、導入コストに見合うほど採点者の手間を減らせるかは疑問が残りますが、

>つまり、正解を書こうが書くまいが、機械が「認識できません」と表示して、大半の答案には零点が付く。文字がきれいな受験生の答案には部分点が付くだろうが、文字が汚い人の答案には零点が付く。(たとえ答案が正解でも。)

この部分はちょっと飛躍した解釈かと。
Posted by KOON at 2015年06月16日 11:31
> この部分はちょっと飛躍した解釈かと。
 
 そう言われればそうですね。

 機械は「認識できません」と言うほど賢いはずがない。勝手に誤認識するはずだ。
 たとえば「そういって」を「3つ11つフ」と誤認識してから、採点して、零点を出す。

 ※ そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、活字と違って、手書き文字は汚い文字が多い。
Posted by 管理人 at 2015年06月16日 12:09
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ