2015年05月23日

◆ コンビニの年齢認証パネル

 コンビニの年齢認証パネルは有効か? ひとつの裁判で、有効と無効の双方が結論された。(矛盾) ──

 同じ判決のなかで「有効」と「無効」の双方を結論するというのは、馬鹿げた矛盾だが、それが現実にあった。
 コンビニにあるタッチパネル式の年齢確認システムで、「私は20歳以上です」と答えた15歳(当時)の少年にたばこを売った行為は、犯罪にあたるのか。この点が争われた裁判で、香川県の丸亀簡裁が40代の元店員の男性に、求刑通り罰金10万円の判決を言い渡していた
 男性が問われたのは、未成年者喫煙禁止法違反の罪。監督を怠ったとされた店も同罪で起訴されたが、システムを導入していたなどとして、無罪(求刑罰金10万円)とされた。
 公判で男性は「未成年だとわからなかった」などと起訴内容を否認した。しかし東根正憲裁判官は、少年が「一見して未成年者であるとわかる顔立ち」と指摘し、証言などから、男性は少年が年齢確認ボタンを押すころに顔を見たと認め、「レジ対応が忙しいなどとして、身分証を確認せずに販売した」と結論づけた。
 一方、店についてはシステムの導入に加え、店員に未成年者への酒やたばこの販売禁止を周知する「確認表」に毎月、署名させていたと指摘。「事業主として、必要な注意を尽くしている」と判断した。
 高松高検は朝日新聞の取材に「店はたばこが未成年者にどれほど悪影響を与えるかを、きちんと教えていたのか。形式を整えれば責任が及ばないというのでは、あしき前例になる」と主張。
( → 朝日新聞 2015-05-23

 ここで、コンビニの年齢認証パネルは有効か、という問題が問われる。
 これが有効であるなら、これを信用して、いちいち確認しなかった店員は、無罪であるはずだ。
 しかし判決は、それを認めていない。つまり、この機械は無効である。(店員が自分で判断しなくてはいけない。)
 そうだとすれば、店の側がこの機械を設置したことも、無効な機械を設置しただけなのだから、免罪の理由にはならないはずだ。ところが判決は、店がこの機械を設置したことを免罪の理由としている。「システムの導入」というふうに述べて。

 これは矛盾である。
  ・ 店員については、システムを無効だと認定している。
  ・ 店 については、システムを有効だと認定している。

 というふうに正反対に認定しているからだ。

 ま、裁判官は、こう思ったのだろう。
 「このシステムは、有効でもなく無効でもなく、半分だけ有効なのだ。半分だけ有効なものに頼って、ちゃんと確認しなかったのは、店員の責任だ。ゆえに有罪。一方、半分だけでも有効なものを設置して、おまけに毎月署名させていた店は、ちゃんと努力していたから、無罪」

 しかしこれは法の精神に反する。
 法律の刑罰というものは、「守る気があった」ということは免責の理由にはならない。たとえば、「交通規則を守る気はあったのだが、交通標識に気づかなかったので、つい違反してしまった」というような場合、「守る気があった」ということは免責の理由にならない。守る気があろうがあるまいが、交通違反をすれば有罪だ。
 他の場合も同様である。法律を守る気があるかどうかは関係ない。実際に違法行為をしたなら、それだけで違法と認定されるのだ。「違法行為をしないようにする努力が足りなかった」と認定されて、おしまいだ。

 今回も同様である。「システムを導入していた」「毎月署名させていた」なんて、そんな形式的な努力は免責の理由にならない。むしろ、こう言うべきだ。
 「未成年には絶対に売るな。もしそんなことをすれば、店の信用がなくなるし、営業停止も食らうかもしれない。仮に未成年に売ったら、解雇だぞ。さらに、違法行為をしたことによる損倍賠償もしてもらう。未成年に売ったら、店に過方罰金の全額と営業停止損害の全額を払ってもらう。いいか。わかったな? ここにサインしろ」

 これが正しいあり方だ。こういうふうにしてこそ、未成年への販売が防げる。実際、アメリカでは、このくらい厳しい。いや、もっと厳しい。未成年に酒を売ったら、否応なく営業停止だし、店主は監獄行きだ。(罰金刑ではない。)

 ──

 日本では、未成年への酒・煙草の販売が、甘すぎる。だから「タッチパネル」なんていう無意味なものがまかり通って、人々に無駄な面倒を強いることになる。
 その日本では、ポルノには異様に厳しい。このまえも「ろくでなし子」に厳しい判決が下った。今やネットでポルノなんかいっぱいあふれているのに、この時代錯誤の判決。
 未成年の健康を傷つけることと、ポルノと、どっちが重大犯罪か、考えてほしいものだ。


mizugi.png
 【 関連項目 】


 前にもこのタッチパネルについては論じたことがある。
  → 酒タバコの成人確認ボタン

 右図のようなタッチパネル案もある。








 [ 参考 ]
 子供の命を守るという点では、組体操という危険な教育活動も指摘されている。教育効果がないのに、死者多数。
  → 組み体操 タワーで事故最多
  → 組体操事故の死角 ピラミッド型よりタワー型で障害事故が多発
  → 【緊急提言】組体操は,やめたほうがよい

 死者が一人も出ていないドローンでは大騒ぎするのに、多大な死者や怪我人が出ている組体操は放置。
 こういう矛盾がまかり通っている。
posted by 管理人 at 10:09 | Comment(1) | 一般(雑学)3 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まったく突っ込みどころ満載です。いちゃ漫才です
Posted by 先生 at 2015年05月24日 11:41
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