最新鋭のステルス駆逐艦というものがある。
→ ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 - Wikipedia

あれやこれやと未来的な武器が搭載されるだけでなく、ヘリ甲板まであって、至れり尽くせりという感じた。夢の超兵器、という感じ。
これは、従来のヘリコプターを大幅に発展させた感じのオスプレイによく似ている。だから、オスプレイを欲しがる自衛隊は、このステルス駆逐艦も欲しがるといいだろう。「ほしいよ、ほしいよ」と駄々っ子のように喚けば、例によって甘い親である政府が買ってくれそうだ。
しかし、である。このステルス駆逐艦は、米国政府が大量発注する予定だったのに、たったの3艦しか発注しないことになった。なぜか? コストがあまりにも巨額だったからだ。
値段は一隻あたり50億ドル。日本円にして約5000億円である。これを海自護衛艦に換算すると
あたご型護衛艦3隻 or あきづき型護衛艦6隻 or いずも型護衛艦4隻
を買っておつりが来るレベルである。また、米海軍のニミッツ級原子力空母1隻にも相当するとされる。
( → ニコニコ大百科 )
50億ドルということだが、今の為替レートだと、6000億円だ。げげっ。
ちなみに、自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」は 1000億円である。( → 知恵蔵2015 )

出典:自衛隊
ヘリ空母6艦に相当する駆逐艦! あまりにもの高値に、くちあんぐり。
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さて。これをオスプレイと比べると、よく似ているとわかる。
1機 100億円で戦闘機並み。
戦闘機を買わずに、オスプレイを買う。
おかげで防空能力がスカスカ。
→ オスプレイ導入の愚
オスプレイは確かに性能は優れている。従来のヘリコプターを圧倒的にしのぐ。しかし価格が滅茶苦茶に高い。その点では、本項のステルス駆逐艦にそっくりだ。
「性能さえ良ければ、高価な兵器がほしい」
と思う軍事オタクは、「ステルス駆逐艦がほしい」と思って、「日本政府はステルス駆逐艦を導入せよ」と叫べばいいだろう。ちょうど、「日本政府はオスプレイ導入せよ」と叫ぶように。
だが、そうやって無駄遣いをすれば、金がなくなって、肝心のものを買う金がなくなるのである。(たとえば、戦闘機を買えなくなるとか。ヘリ空母に搭載するヘリコプターを買えなくなるとか。)
[ 付記 ]
ただし、米国なら、金がありあまっているから、十分に買えるようだ。
→ 米国 2016年度の国防予算案 約5850億ドル(約69兆円)
一方、日本政府の予算案は、こうだ。
→ 2015年度予算案 税収 54.0兆円
国全体の税収が 54兆円。つまり、税収の全額を軍事費にしても、それでも米国の国防予算に足りない。(日本の防衛費は 4兆9801億円。つまり5兆円。)桁違いとはまさにこのことだ。
こんな状況で 3600億円も出してオスプレイを買うのがいかに馬鹿馬鹿しいか、よくわかる。
( ※ ちなみに、陸上自衛隊では、自動小銃などの銃弾などを買う金がなくて、銃弾を節約するため、銃撃の練習を制限している。爪に火を点すような節約。こんな軍隊で、いざというときに戦えるのか?)
【 関連サイト 】
→ アメリカの最新鋭駆逐艦ズムウォルト級が3隻しか建造されない理由
いろいろと詳しい情報がまとめられている。(コピペサイト)
LCS
http://ja.wikipedia.org/wiki/沿海域戦闘艦
と概念は類似の艦ですが、金がかかっているパッケージ式の武装や、45ノットという超高速性能から来る短寿命などは日本とあわないので、全く同じでもないようですね。40ノットを狙うというような線に落ち着く可能性が高いと思います
http://hiroaki1959.at.webry.info/201403/article_2.html
LCS類似のDEXについては批判もありますが、ダウングレードされたバージョンであることを論旨から避けていたりするものもありますね。あたごが高級化しすぎているので、このサイズクラスの艦は絶対的に必要ではあります。