サントリーもキリンもニッカも値上げした(する)。こうなると、もう、値段の割に美味しいウイスキーなんて、なくなりそうだ。前項で示したように、竹鶴も、フロム・ザ・バレルも、大幅値上げ。特に、大人気の竹鶴は 3,000円となるが、これではもはや「コストパフォーマンスがいい」とは言えなくなり、「値段相応」となる。
では、値段の割に美味しいウイスキーはないのか? ニッカが値上げする9月以後の価格を基準に、私のお薦めを示そう。
( ※ 価格は、販売価格ではなくて、「 700 ml 43度」に換算した価格である。たとえば 500 ml の品は 700 ml ならばいくらになるか、というふうに換算してある。)
4000円クラス
5000円以上はいろいろあるが、もはや趣味の段階だから、論じない。「勝手にしろ」と言うだけだ。
4000円クラスになると、手が届く。通常は、山崎、響、ラフロイグ、マッカランなどが有名だが、これらは「価格相応」とも言える。
このクラスは、お買い得の品はあるにせよ、「安くて美味しい」とは言えない。そもそも安くない。だから、何もお薦めしない。お薦め品は「なし」だ。
3000円クラス
竹鶴は 2000円クラスならばお買い得だが、3000円になればもはやお買い得ではない。リスト外だ。
フロム・ザ・バレル
→ お薦めのウイスキー
2000円クラス
以前ならば 2000円クラスは竹鶴の圧勝というところだったが、もはや竹鶴は値上げのしすぎ。こうなると、残るのは、次の品だ。(いずれもニッカ)
・ スーパーニッカ
・ 余市
・ 宮城峡
スーパーニッカは、ちょっと値段が高めだが、飲みやすくて、入手しやすい。(今回、少し値上げした。)
余市は、スモーキーフレーバー(煙臭さ)があるので、初心者向けではないが、上級者には人気が高い。(今回、値上げなし。)
宮城峡は、癖があまりなくて、飲みやすいそうだ。ただ、入手しやすくはない。(今回、値上げなし。)
なお、竹鶴は、宮城峡を主成分として、余市をいくらか混ぜた、という感じになるらしい。(ニッカのモルトなので。)だから、竹鶴のかわりになるのは、宮城峡の方だ。ただ、個性があるから、余市を飲めるなら余市の方がいいかもしれない。
ちなみに、「私はブラックニッカクリアを常飲しています」という人は「余市は(まずくて)飲めない」と言っている。そりゃ、そうでしょうね。 (^^);
なお、上の三つを示したが、私としては「一応のお薦め」という程度だ。いずれも市販品であるから、その程度に過ぎない。
1500円クラス
お薦め品は、ない。もともとこのクラスには、大したものがない。
なお、少し価格が下がって、ジョニーウォーカー赤ラベルや、バランタインもあるが、いずれもお薦めしない。まずいからではなくて、価格相応であるからだ。詳しくは下記。
→ 1000円程度のウイスキーは?
1000円クラス
1000円クラスには、猛烈にお薦めできる品が、三つある。
(1) nandoブレンド
前から何度も示したが、名前がないと不便なので、「 nandoブレンド」と呼ぶことにする。nandoブレンドとは、次のようなブレンドだ。
「キリン ボストンクラブ 淡麗原酒
つまり、前者に後者を少量混ぜるわけだ。
こうすると、価格的には前者に近くなるが、味の点では後者に近くなる。コスト・パフォーマンスは、ものすごく高い。
味は、ちょっと薄めだが、それでも「うまい!」と実感する味だ。竹鶴よりも美味しくて、竹鶴よりはちょっと薄い、という感じ。値段的には、(値上げ後の)竹鶴の3分の1程度。( 900〜1000円ぐらい。)
「安くて美味しい酒」としては、これが絶対的にお薦めだ。
(2) 富士山麓ブレンド
キリンの富士山麓
→ 1000円程度のウイスキーは?
これは、木の樽の味が強い。バーボンっぽい。そこで、ストレートで飲むかわりに、水で 1.5〜2倍ぐらいに稀釈して飲むと、けっこうスコッチらしい味になるとわかった。
さらに、バランタインを混ぜるとうまいとわかったが、ついでに、他の酒を入れてみると、同様だとわかった。
・ 富士山麓 + 水 + バランタイン
・ 富士山麓 + 水 + ジョニーウォーカー赤ラベル
・ 富士山麓 + 水 + 竹鶴
いずれも、とても美味しい。上では三つの組み合わせを示したが、それぞれ、価格に応じて、その順となる。(竹鶴のブレンドが一番美味しい。)
元の酒(バランタイン、ジョニーウォーカー赤ラベル、竹鶴)を単体で飲むのと比べると、どうか? 元の酒よりも、ちょっと美味しくなっている。しかも、価格はかなり下がっている。(富士山麓が安いからだ。 50度 600ml で 900円程度という価格。)
まあ、本当に元の酒よりも美味しいかは、異論がありそうだが、価格まで考えると、コストパフォーマンスはとても高くなっていると思う。
( ※ これはどうしてかというと、富士山麓はバーボンぽくて、新樽の木の味があるので、それがお買い得の効果があるからだ。)
なお、竹鶴のかわりにフロム・ザ・バレルを使うと、どうなるか? もっと美味しくなるか? そう思って試してみたが、駄目だった。富士山麓とフロム・ザ・バレルの相性は良くない。フロム・ザ・バレルにはもともと富士山麓っぽい成分が入っているのかもしれない。
富士山麓と混ぜて美味しくなるのは、もともと軽い味わいの酒に限られるようだ。この意味では、富士山麓とハイニッカを組み合わせるのは、良さそうに思える。(試していないが。)
(3) ホワイトホース (この箇所、加筆。)
猛烈に、というほどではないが、かなりお薦めできるものとして、ホワイトホースがある。下記に記したとおり。
→ 1000円程度のウイスキーは? の (8)
( ※ ここでは、ブラックニッカ・リッチブレンドもお薦めしている。ただし、それ単独で飲むのではなく、梅酒に少し混ぜる、という形。だから、ウイスキーとは違う。)
700円以下クラス
700円ぐらいになると、もはやまともなウイスキーはない……というのが常識だろう。しいて言えば、ブラックニッカ・クリアだが、あんなものは美味しくはない。(まずくはないが。)
ところが、である。美味く飲める工夫がある。それは、バーボンを使うことだ。
バーボンは、もともと何倍にも稀釈して飲むのが常道だ。(ストレートでは飲めたものではない。新樽を使って、新しい木の成分が強いせいだ。)
で、普通は、炭酸水、コーラ、ジュースなどで割って飲む。しかしそれだと、水で割るよりも値段が高くなって、あまりお得ではない。
そこでコストを下げる工夫を示そう。こうだ。
「バーボンをホワイトリカーで割って、グレープフルーツジュースと砂糖を混ぜる。さらに水で薄める」
これで激安のバーボン(水割り)ができる。けっこう美味しい。しかも、ちゃんとウイスキーっぽい味がする。
夏になって、喉が渇いて、ビールみたいなものを飲みたいときには、上記のものがお薦めだ。第3のビール 350mlで 100円前後だが、上のバーボンの水割りならば、その数分の1の価格となる。
なお、バーボンは、ジムビーム
ただ、フォアローゼズは、店によって価格がすごく違う。イオンでは 980円ぐらいだが、他の店では、 1400円ぐらいになることもある。高い値段を払うぐらいなら、ジムビームの方がいいだろう。
( ※ ジムビームにおまけでレモンジーナの缶が付いていたことがあったので、試してみた。微炭酸水のレモン味。けっこう美味しかった。ウイスキーとはまったくの別物で、チューハイに近いが、ウイスキーっぽい味も残っている。)
500円クラス
500円クラスなんて、そんなものはもはやウイスキーではない……と言いたいところだが、意外にも、ちゃんと飲める酒があると判明した。こうだ。
「イオンのトップバリューのウイスキー に、ジムビームを少し混ぜる。そのあと、5倍ぐらいの水割りにする」
これでちゃんと飲めるんですよ。トップバリューのウイスキーは、値段はホワイトリカーと同程度の激安価格。ただし、渋くて、まずい。ところが、これにジムビームを混ぜると、まずいのが中和される。そのあと、5倍ぐらいに薄めた水割りにすれば、もはや、まずさは消えてしまう。特に美味しいわけではないが、ちゃんとウイスキーっぽい味がする。
これを単独で飲んでもちっとも美味しくないが、食事中の食中酒としてなら文句はない。ビールを飲むかわりに、この激安の酒を飲むと、コストを大幅に引き下げることができる。(ビールを飲む楽しさはまったくないが。)
この酒は、飲んべえに最適である。なぜか? 激安価格で大量に飲めるからか? 違う。美味しくないから、ウイスキー中毒を脱せるのだ。
ひるがえって、nando ブレンドは、人をウイスキー中毒にする酒だ。美味すぎて、美味すぎて、常に飲みたくなる。一口飲んだら、また一口。ちょっと時間を置いたら、また飲みみたい。そういう感じで、人をウイスキー中毒(アル中への近道)に誘い込む。危険ですねえ。美味すぎる酒は、本当に危険だ。妖婦みたいなものだ。女に溺れる感じがする。
で、そういうふうにして酒量が増えたら、まともな人間に戻る必要を感じる。そういうときには、美人よりもブスの方がいい。真面目で善良なブス。それが、トップバリューとジムビームのブレンドだ。これを飲むと、ちっとも美味しくないので、自然に酒量が減る。かくて、人を真人間の道に引き戻す。 (^^);
【 関連項目 】
→ ニッカが値上げ 2
→ お薦めのウイスキー
→ 1000円程度のウイスキーは?
→ おいしいウイスキー
