2015年05月10日

◆ シャープ 大幅減資の本質

 シャープが 1200億円から1億円へと減資するという。この本質は何か? それは詐欺だ。株主はこの大幅減資によって、大金を盗まれるのも同然だ。

 《 本項は加筆されました。 》
 ──

 これはかなり手の込んだ詐欺である。たいていの人は見抜けないと思うので、説明する。

 まず、 1200億円から1億円へと減資するという報道がある。
  → シャープ、資本金1億円に 大幅減資で累損を一掃
  → シャープが「中小企業」に? 資本金1億円への減資検討

 ここで、減資というのは、帳簿の上の処理であって、特に損も得もない。資本金は 1200億円減るが、借金も 1200億円減るから、差し引きして、トントンである。株主としては、損も得もない。ただの会計上の処理があるだけだ。
 したがって、これを見ただけなら、「詐欺だ」という批判は成立しない。(勘違いしないように。)

 なお、朝日には、次の解説記事がある。
 全額減資ではないため、株主の持ち分や、上場などへの影響はない。
( → シャープが「中小企業」に? 資本金1億円への減資検討:朝日新聞デジタル

 実際、このあとシャープが 1000億円の利益を計上したとしたら、その利益からの配当は株主に還元される。株主が受け取る配当金は、減資の前も後も同じである。

 ──

 問題は、このあとだ。
 資本金が1億円になると、ちょっとした赤字で容易に債務超過となり、簡単に倒産しやすくなる。これでは、信用がなくて、手形などの取引は無理で、現金取引しかできなくなる。銀行だって通常の融資はしてくれない。相手にしてくれる金融業者は、高利貸しだけだろう。資本金が足りないと、まったく困る。
 では、どうするか? 驚くべきアイデアが実行されそうだ。
 負債が資産を上回る「債務超過」にシャープが陥るのを避けるため、みずほ、三菱東京UFJの主力2行は、借金の一部を株式に転換する約 2000億円の金融支援に応じる。
( → 読売・夕刊 2015-05-09[紙の新聞] )

 これが実行されると、どうなるか? 従来の株主の分は1億円。一方、主力2行の資本金は 2000億円。とすると、99.9%ぐらいの株式を、この主力2行で占めることになる!
 すると、どうなるか? 
 たとえば、このあとシャープが 1000億円の利益を計上したとしたら、その利益からの配当は、99.9%ぐらいは主力2行に行き、残りのスズメの涙だけが既存の株主に行く。
 要するに、既存の株主は、株式をすべて主力2行に奪われたのと同じ結果になる。これはつまり、既存の株主は手持ちの株式を盗まれたのも同然だ。

 一方、主力2行は、貸し倒れになりそうだった 1200億円を、すべて現金で返済してもらえる! 貸し倒れになったら、1200億円のうちの一定割合は返済されなくなるはずなのに、耳を揃えて返済してもらえるのだ。たとえば、本来ならば(倒産処理で)800億円しか返済してもらえないかもしれないのに、1200億円をすべて返済してもらえる。このことで、差額の 400億円を得したことになる。
 
 では、それで損をしたのは、誰か? 次の二つだ。
  ・ 倒産した場合に返済不能な金のある融資銀行(主力2行以外)
  ・ 株券が無効化する、現在の株主。

 
 この両者が、400億円規模の損失を出す。その分、主力2行は 400億円規模の利益を出す。これはつまり、400億円規模の金が
   他銀行・現在株主 → 主力2行

 というふうに流れる形で、損得が発生していることになる。要するに、その分、詐欺が発生しているわけだ。
 ここでは、1200億円がまるまる損得になっているわけではないが、1200億円を使って 400億円規模の損得が発生するという詐欺がなされていることになる。

    ( ※ 主力2行の債務は、1200億円すべてではなくて、その半分の 600億円ぐらいかもしれない。その場合には、数値は修正を要するが、本質的には同じことであり、数字をいくらか直すだけでいい。/ただし、主力2行は、2000億円規模の「債務の株式化」をするつもりらしいので、1200億円の債務返済の大部分が主力2行に行くことになりそうだと思える。)




   ( ※ 以下、加筆分)


 さて。この問題の本質を考えよう。本質はどこにあるか?
 それを知るには、通常の倒産(更正法や再生法の適用)と比較するといい。
 実は、「 100%減資のあとで増資する」というのは、倒産後の会社再生の処理では、しばしばなされる。だから、「 100%減資のあとで増資する」ということ自体は、別に問題ではない。
 では、どこが問題か? 倒産ではないのに倒産処理をすることだ。
 倒産処理をするのであれば、きちんと倒産させればいい。それなら、公正な処理となる。特に誰かが得をすることもなく、特に誰かが損をすることもない。
 ところが今回は、倒産したわけでもないのに、倒産処理と同然のことをする。そのせいで、損をする人と得をする人が生じる。つまり、不公平で不公正となる。具体的には、株主が株式を失う形で、丸損となる。その一方で、( 1200億円の返済を受けた)債権者は、当然あるべき債権減免による損失をうまく免れる。倒産ならば3〜5割ぐらい債権カットされてしかるべきなのに、その債権カットをうまく免れる。そういう不公平が生じる。のみならず、債務の株式化で得た株式を手に入れることで、会社全体を乗っ取ってしまうことができる。これでは、債権者は現行株主の利益をかすめとって、火事場の焼け太りをするようなものだ。つまり、泥棒または詐欺だ。
 正式に倒産させることもなく、倒産同然の処理を一部にだけ適用するということは、このような不公平を生み出し、不公正なのである。

 ( ※ この箇所、間違いが含まれているので、本項の末尾で修正します。)

 ──


 では、正しくは、どうするべきか?
 仮に倒産処理みたいなことをするのであれば、正式に倒産させるべきだ。
 とはいえ、正式に倒産させるのが嫌だというのであれば、なるべく公平にすることが必要だ。それには、次のいずれかとなる。
 (1) 主力2行は、債務の株式化を、大幅減資の前に実行する。……この場合には、債権の 1200億円が株式になったあとで、他の株主といっしょに減資を受け入れることになる。これなら公平だろう。(この件は [ 付記2 ] で詳述する。)
 (2) 減資をしたあとで増資をするのであれば、その増資は一般公募とするべきだ。つまり、主力2行に限らず、既存の株主や第三者からも増資を受け入れるべきだ。


 なお、いずれにしても、次のことは前提として必須だ。
 (*)「主力2行は 1200億円の債権の返済してもらってはいけない。どうしても金を返済してもらうのであれば、主力2行だけでなく、他の債権者も平等に返済してもらうべきだ」


 ただし、「大幅減資による借金返済」というのは、経営方針としては悪手である。ただでさえ資金繰りが苦しくて、ろくに投資もできない、という状況で、赤字企業が借金を返済するというのは、自分で自分の首を絞めるようなものだ。比喩的に言うと、その日の飯を食うのに困っている人が、手持ちの最後の金を借金返済に回して餓死してしまう、というようなものだ。本来ならば、飯を食う金を借りて、飯を食って生き延びるべきなのに、借金返済を自分の生命よりも大切にしてしまう。……こんな馬鹿げたことは、普通はやらない。その意味で、今回の大幅減資という方針が、シャープのためになされるのではなく、主力2行のためになされるのは、自明だろう。

 ──

 なお、上では、(1) (2)(*)という方針を示したが、実は、これは、正解ではない。これらの方針はすべて、「シャープを安楽死させる方法」であるにすぎない。借金返済を優先してシャープの息の根を止める、という方針だ。それで主力2行は(火事場の焼け太りで)利益を得るだろうが、全体的には「餓死寸前の人を殺してしまう」というぐらいの馬鹿げた効果しかない。
 では、正しくは、どうするべきか? 正解は、すぐ上の比喩からわかる。
  誤: 餓死寸前の人が、借金を返済して、餓死する。
  正: 餓死寸前の人が、借金して、(食べて)健康になる。

 つまり、「借金を返済する」という方針とは正反対の「借金する」ということが、正解だ。

 シャープの場合も同様だ。
  誤: 倒産寸前の会社が、減資して(借金を返済して)、事業停止となる。
  正: 倒産寸前の会社が、増資して(金を手に入れて)、正常な事業活動をする。


 つまり、シャープは、減資をするのではなく、逆に、増資をするべきなのだ。シャープの株価は現時点で 258円と、比較的高いので、このくらいの価格で時価発行増資をして、手持ち資金を豊富にするべきなのだ。
 これならば、手持ち資金で借金を返済することもできるし、事業資金を手元に置くこともできる。事業活動をこのまま継続することもできる。

 ──

 ただし、である。
 現実には「時価発行増資」は困難だ。というのは、2000億円規模の時価発行増資を引き受けてくれる会社は、ありそうもないからだ。
 強いて言えば、主力2行が「債務の株式化」によって引き受けてくれるかもしれないが、それはほとんど「債務の棒引き」みたいなものだから、とても応じてくれそうにない。応じるとしたら、「あらかじめ大幅減資によって財政を健全化すること」を条件とするだろう。
 実は、これが、今回の騒動の理由だったと思える。つまり、シャープは手持ち資金がないから、時価発行増資をしたいのだが、それが無理なので、「債務の株式化」という形で、一種の時価発行増資みたいなものを実行しようとしたのだろう。そして、主力2行は、「これなら詐欺や泥棒と同じで、火事場泥棒みたいなことができるぞ」と思ったので、話に乗ったのだろう。
 とすれば、このような馬鹿げた方針を決めた経営者は、会社価値を毀損しているのと同じだから、業務上背任罪で訴えられてしかるべきだ。自分の地位を守るために汲々として、会社価値を毀損して、主力2行ばかりを儲けさせる。そのために、株主には大損させる。……狂気の沙汰だ。

 ──

 では、どうすればいいか? 私が本当の正解を教えよう。正解はこうだ。
  ・ 現状のままシャープを存続させても、赤字体質は消えない。
  ・ 現状のままという方針を取るのであれば、倒産させるのがベストである。
  ・ ただし、会社精算というのは、無形の技術の価値などを損ねるので、悪手である。
  ・ それよりは、会社を存続させる道を取った方がいい。
  ・ しかるに現状のままでは会社を存続させられない。
  ・ とすれば、外部の力を借りるしかない。
  ・ シャープには、技術はあるが、経営能力がない。
  ・ だから、シャープを外部経営者に委ねるべきだ。(cf. 日産のゴーン)
  ・ 具体的には、シャープを鴻海(ホンハイ)に売却するべきだ。
  ・ そのために、時価発行増資の形で、鴻海の資本を受け入れるべきだ。
  ・ 結果的に、シャープを鴻海の子会社にするべきだ。


 これがベストだと思う。というか、これ以外には、シャープが生き延びる道はない。
 これが嫌なのであれば、数年間だけ延命処理をしたあとで、最終的にはシャープを倒産させるしかない。このあと数千億円規模の赤字をさらにふくらませたあとで、最終的には大型倒産させることになる。これは最悪の形だ。
( ※ 仮に、この時点で鴻海に売却するとしたら、タダ同然で売却することになる。その分、株主が得る金は少なくなる。)

 もちろん反論もあるだろう。
 「シャープを台湾の会社の子会社にするなんて、とんでもない。技術が流出する!」
 しかし、それは心配無用だ。

 第1に、シャープが台湾の会社の子会社になったとしても、シャープは相も変わらず日本の会社である。日本人が働いて、日本で生産して、日本で納税する。これで何の問題もない。ちなみに、日産自動車だって、キヤノンだって、ソニーだって、株主の大部分は外国人だ。だからといって何の問題もない。
 第2に、技術流出の心配なんかない。たしかに技術は流出するだろうが、別に、技術をタダで盗まれたのとは違う。そうなるのは、相手が莫大な金を払って会社を買ったからであり、当たり前のことだ。日本は、そのお金をもらったのだから、損はしていない。むしろ、「お客様、日本のものをお買い上げ頂いて、ありがとうございます」と感謝するべきだろう。(手に入った金を数えながら。)
 第3に、シャープには、もともと大した技術なんかない。シャープの技術が大したものであれば、大幅な利益が上がるはずだが、実際には、大した技術がないから、大した額では売れない。製品技術だけは一応まともだが、生産技術はたいしたことはないし、経営能力に至っては最低レベルだ。こんな会社は、もともと存在価値がろくにない。技術力で言えば、日本の他の赤字になった家電会社よりも少し劣るし、液晶でもジャパンディスプレイとどっこいだ。サムスンと比べても優位にあるわけではない。(というかサムスンよりも大幅に劣る。サムスンと違って、液晶では大幅赤字を出しているんだし。)

 というわけで、シャープは別に先端企業でも何でもないし、サンヨー電気と似たようなものなのだから、サンヨーの白物家電部門をハイアールに売却したのと同様に、シャープの全体を鴻海に売却してしまえばいいのだ。そうすれば、鴻海の卓抜な経営能力(ゴーン社長並み)によって、シャープを再生することができる。そうすれば、赤字の出血も止まるし、従業員も維持されるし、債権者は債権の大幅カットを免れる。株主も株価暴落が止まる。……つまり、すべてが良くなる。日産をルノーに(なかば)売却したのと同様だ。
 これが正解だ。



 [ 付記1 ]
 今回の方針は、大幅減資と債務の債権化(1200億円)だが、これによって、主力2行はどのくらいの利益を得るか? 
 大幅原資によって返済される借金が 1200億円程度あり、そのうち主力2行がどれほど占めるかは不明なので、はっきりとは算定できない。ただし、ここでは、返済される借金が 1200億円で、すべて主力2行のものだ、と仮定しよう。
 すると、大幅減資によって、主力2行は 1200億円の返済を受ける。では、この分がまるまる得となるか? いや、そうではない。ここでは、単に借金を返済してもらっただけだから、損も得もない。
 とはいえ、仮に倒産処理をしたならば、債権の一部減免を受けるはずだ。たとえば、25%の減免ならば、1200億円の 33%にあたる 400億円の損失となる。なのに、その損失を免れたわけだから、400億円の利益を得たことになる。……この 400億円というのが、主力2行の得た利益である。(その分が、詐欺に相当する額。)
 これが実際にどのくらいの額になるか( 400億円でなく他の額になるか)は、前提条件がいろいろと変わると、変動する。簡単には算定できない。
 それでも、「金を奪い取る詐欺」という原理だけは、上記の説明でわかるだろう。
 ちなみに、数年後にシャープが倒産すれば、その時点で、債権者は大幅な損失をこうむる。たとえば、90%の債務減免なら、そのときの債権者は大幅な損失をこうむる。ただし、主力2行は、現時点で大幅減資により借金を返済されたことになるので、その巨額の損失を免れる。
( ※ ただし、債務の株式化をしていれば、株式の損失が発生しそうだ。それでも、287円で株式に転換したあと、その株式を市場で 250円ぐらいで売却すれば、損失は最小限で済む。場合によっては、鴻海に高値で売りつけることができるかも。287円で株式に転換してから、鴻海に 350円で売りつける、というふうな。)

 [ 付記2 ]
 先に本文中で述べたように、「債務の株式化」は、大幅減資の前にやるのが妥当である。これならば、問題はない。
 ただし、問題はないが、これでは主力2行にとって何のメリットもない。それどころか、デメリットがある。「債務の株式化」をしたあとで、大幅減資をしたら、丸損になるからだ。たとえば、「 2000億円分、債務の株式化をしてから、大幅減資をする」なんてことをしたら、2000億円を丸損することになる。
 丸損といっても、ドブに捨てるわけではない。その金は、シャープの手元に入るから、シャープの価値向上につながる。とはいえ、それで得をするのは株主全体だ。要するに、主力2行が 1200億円を払って、株主全体が得をする。これでは、主力2行は、自分の金を株主全体に分け与えたようなものだ。さらに、あとになってシャープが赤字倒産すれば、2000億円は泡となって消えてしまう。これでは大損だ。(融資のままなら、いくらか債権の減免を受けても、半分以上は戻ってきそうだから、そっちの方がいいことになる。)
 結局、「債務の株式化」は、やるとしたら、大幅減資の前にやるのが妥当である。とはいえ、それでは主力2行が大損だから、そんなことをするはずがない。ゆえに、「債務の株式化」は、悪手である。
  ・ 大幅減資の前にやれば、主力2行が受け入れない。
  ・ 大幅減資の後にやれば、主力2行が火事場泥棒。

 どっちも駄目だ。ゆえに、「債務の株式化」は、やるべきではないのだ。どうしてもやるなら、こういう「倒産処理みたいなこと」は、きちんと倒産させてからやるべきだ。それなら、問題はない。
 繰り返すが、きちんと倒産させないで、倒産処理みたいなことをするのは、不公平で不公正なのである。

 [ 付記3 ]
 鴻海に売却するとしたら、どうやって売却するべきか? TOB の形がベストだろう。287円ぐらいの株価で TOB をかけることを鴻海と合意して、実行する。
 その後、現在株主が TOB に応じるか否かは各人の勝手にする。応じた人は、その金額で現金を得る。応じなかった人は、そのまま株を持ち続ける。ただし TOB のあとは上場廃止となるので、もはや株を売ることはできなくなる。
 鴻海が大半の株を取得したなら、そのまま鴻海の子会社としてシャープは存続する。
 鴻海がほとんど株を取得できなかったら、そのままシャープは現状を続けたあとで、大幅赤字を出して、倒産となる。もしくは、今すぐ倒産させて、株式を償却する。この場合、株主の得る金はゼロだが、少なくとも、債権者はかなり多くの金を得る。これはこれで公正である。(賢明な策ではないが。次善の策。)
 一方、現状維持で事業継続となれば、数年後に大幅倒産となるが、これは最悪だ。
 
 [ 付記4 ]
 主力2行が得をしたかどうかは、現時点では決まらない。仮に、(シャープの)現時点の価値も将来の価値もゼロであるならば、その株を得た主力2行はちっとも得をしていないし、株を奪われた株主はちっとも損をしていないことになる。
 しかし、株価を見ると、287円という株価が付いている。これは、シャープの価値(少なくとも将来価値)がゼロではないらしいことを意味する。(大幅減資のあとで、債務の株式化をすれば、現在の株の価値はゼロ同然になる。だが、現在の株価は、それを指標していない。)
 実は、シャープの利益を生む能力はゼロ同然だが、シャープが自社を鴻海に売却する能力はかなりある。その能力が、287円という価格に出ているのだろう。逆に言えば、主力2行は、1200億円(のうちの大半)という融資金額を、シャープの将来価値という形の株式に転換したわけだ。そして、その価値の分だけ、現在の株主は価値を奪われるわけだ。
 なお、このあたりの損得計算は、かなり面倒である。だから、たいていの人は理解できないのだろう。シャープの傾斜自身、わかっていないはずだ。(だから業務上の背任みたいなことを平気でやる。「良かれ」と思って。)
 複雑で難しい話なので、理解できない人が多いようだ。

 [ 付記5 ]
 よく考えると、今回の報道には、矛盾するところがある。
 1200億円以上ある資本金を1億円に減らし、累積損失を一掃する。
 減資で累損をなくせば将来の復配につながり、公募増資や資本提携なども進めやすくなる。
( → シャープ、資本金1億円に 大幅減資で累損を一掃 :日本経済新聞

 累損をなくしたのであれば、もはや財務は健全化して、債務はないことになる。だとしたら、債務がない以上、「債務の株式化」はできないはずだ。
 どうなっているんでしょうね? 債務があるからこそ、「債務の株式化」ができるはずなのに、大幅減資をして債務がなくなったら、「債務の株式化」はできなくなる。
 意味不明になる。変ですねえ。
( ※ 累損以外に、15年3月期の損失があるから、それをまかなうためかもしれないが、はっきりしない。)

 [ 付記6 ]
 話をひっくり返すようで申し訳ないのだが……
 よく考えると、「株主が詐欺で損をする」ということは、決定的ではない。「債務の株式化」がなされるときの、株式の発行条件しだいだからだ。
 仮に、株式が「時価発行」であれば、主力2行は妥当な価格で株式を購入したことになるから、会社の損得はない。当然、現在株主の損得もない。
 一方、株式が「額面に応じた発行」であれば、その基準となる現在株主は、「減資ゆえに株式の価値を低く見積もられる」ことになり、その分、主力2行が大幅に株式を取得できる。(99%ぐらいの株式。)……これまでは、これを前提に話を進めてきたが、実際には、時価発行に近い形になりそうだ。その意味では、現行株主が「株式を乗っ取られる」ということは成立しそうにない。(ごめんなさい。間違えました。)
 とはいえ、「詐欺が成立する」かどうかというと、やはり、成立するだろう。というのは、
 「本来ならば債権の一部減免を受けるはずなのに、耳を揃えて借金を返済してもらえる」
 という形(つまり本項のキモの部分)は、やはりちゃんと成立するからだ。そして、その分、シャープの企業価値は低下して、株価の下落という形で、株主は損しそうだ。そして、その分、債権の減免を受けた主力2行は得をする。
 要するに、「詐欺」の部分は、まさしく成立する。株主が損をして、主力2行が得をする。ただし、その成立する原理は、少し修正する必要がある。特に、「株式の乗っ取り」という箇所は、どうやら成立しないようだ。実際には、「全部を乗っ取る」のではなくて、「現在株主の株式の価値を毀損することで、価値を部分的に奪う」だけだ。全部を奪うのではなく、3割程度を奪うだけだ。(一方、「減資による借金の返済」の箇所は、完全に成立する。ここで3割分の損得が発生する。)
 
 [ 付記7 ]
 すぐ上では「3割」と示したが、実際に箱の額では済みそうにない。では、どれだけか? 
 減資の記事は週末に報道されたが、月曜日になると株式市場で株価が暴落するだろう。そのときの暴落した額が、株主の損失になる額だ。
 たぶんストップ安になって値が付かないと思う。数日たって落ち着くだろうが、そのときの落ち着いた額を見れば、現在価格と比較して、どれだけ株主が損したかがわかる。
 いや、ここではまだ減資は確定していない。だから暴落の幅はまだ小さい。実際に減資が確定すれば、株価はさらに暴落するだろう。その価格(たとえば 50円)と、現在価格(287円)との差額が、株主の被った損害額だ。(これに手持ちの株式の総数を掛ければ、損害の総額がわかる。)
 一方、「債務の株式化」によって株を取得する主力2行は、287円のものを 50円ぐらいで取得できることになる。その分、利益を得た計算だ。主力2行は、あとでシャープを鴻海に妥当な額(287円)で売却することで、その差額となる金を利益とすることができる。
 結局、287円と 50円との差額を、現行株主は損をして、主力2行が得をしたことになる。こうして詐欺の図式は成立する。
posted by 管理人 at 11:17| Comment(13) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
DESと減資がいつ実行されるかまだ不明なのでは?
Posted by け at 2015年05月10日 11:47
↑ それはあとで加筆する予定の話に入っています。お待ちください。
Posted by 管理人 at 2015年05月10日 11:53
まちがってたらすいません

>資本金は 1200億円減るが、借金も 1200億円減る

借金は減らず、剰余金が増えると思います

>資本金が1億円になると、ちょっとした赤字で容易に債務超過となり、簡単に倒産しやすくなる

減資は純資産の部の中の科目振替にすぎず、純資産の総額は変わらないので、減資手続き後にちょっとした赤字により債務超過(純資産の金額自体がマイナスになる状態)になるというのは誤りだと思います。

ただ、減資すれば剰余金が増えて配当可能額も増えるので、同じ利益をあげれば減資前に比べて配当を増やすことで純資産がより減少するということはありえます。
Posted by あ at 2015年05月10日 13:29
↑ 普通の会社ならばそうですが、今回は剰余金をすべて借金の返済に回しています。私は書いてないけど、リンク先の記事に書いてあるでしょ。そっちを読んでください。
 記事のタイトルにも「大幅減資で累損を一掃」と書いてあるんだし。
Posted by 管理人 at 2015年05月10日 13:57
「債務の株式化」と書くべきところを、間違って別の語を使っていたので、修正しました。
Posted by 管理人 at 2015年05月10日 21:46
一部に誤記があったので、修正しました。
 急いで書いたまま、見直しが済んでいないので、まだどこかに誤記が残っているかもしれません。見つけたら、コメント欄に書いておいてください。
Posted by 管理人 at 2015年05月10日 22:22
[ 付記3 ]〜 [ 付記6 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2015年05月11日 00:23
<STRONG>[ 付記7 ]</STRONG> を加筆しました。大切なことが書いてあるので、お読みください。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2015年05月11日 01:14
シャープの株価は、寄りつきはストップ安だが、現在は 195円。25%安。
 「ストップ安のまま暴落」という予想は はずれたが、その少し前に書いた「3割分の損得が発生する」という本質論からすれば、妥当な額とも言える。
Posted by 管理人 at 2015年05月11日 12:54
資本金は現金で持ってるわけではないので、減資してもそ差額分の現金はどこからも出てこないです
累積損失は債務の株式化でやることになると思いますが、時価を勘案して発行するので発行価額は150円程度かな?
ですから2000倍も希薄化することはないです

倒産処理をしたら株式は紙くずになりますので、株主にとっては減資の方がベターです
Posted by あさ at 2015年05月11日 12:55
↑ その件、最後の <STRONG>[ 付記6 ]</STRONG> で記したように、見解を修正済みです。

対策でベターなのは TOB です。これも記述済み。
Posted by 管理人 at 2015年05月11日 13:00
言っている意味が?

借入金 1200億円 / 資本金 1200億円

資本金 1217億円+1200億円 / 繰越利益剰余金 1217億円+1200億円

ぜんぜん銀行得しません。資本についても金額比で既存株主と5:5の関係程度

間違えていますでしょうか?
Posted by かーくん at 2015年05月11日 14:34
東洋経済の記事(PDF)

シャープ解体へのカウントダウン
http://store.toyokeizai.net/user_data/contents/toyo/2015/t_9900111530.pdf
Posted by 管理人 at 2015年05月11日 22:03
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