→ 将棋電王戦 2015
※ プロ棋士による解説を知ったあとでの感想。
その内容を、以下に転載します。
棋士の側の裏事情が解説されている。プロ棋士による解説。
→ http://news.nicovideo.jp/watch/nw1548112
これを読むと、人間側が勝負にすごくこだわったことがわかる。
普通に対戦しても勝率が悪い。AWAKEの強さを認めて、貸し出しも含めて与えられた条件で勝ちを目指すことが一番重要、との考えのもとに遂行された作戦である。 棋士側の総大将という重大な責任を全うするために取った苦肉の策だ。
弱点があると知っているのに普通に戦って負けたとすると、最善を尽くしていないと言われるかもしれないし、コンピューターの弱点を突いて勝つのがプロらしい戦い方なのか?と責められるかもしれない。結局、何をしても議論を呼ぶ事になるのであれば「勝つための最善」を尽くそうという結論に至った。
( → 解説 )
何が何でも勝ちたかったらしい。
なぜか? ここで気づいたことがある。次のことだ。
「人間側の阿久津主税 八段は、A級順位戦で、0勝9敗の全敗だった」
→ http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11142607031
これならば、勝負に異常にこだわるのも、納得できる。ほとんど神経質と言えるほどだ。
しかし、である。彼には勘違いがあった。
「弱点があると知っているのに普通に戦って負けたとすると、最善を尽くしていないと言われるかもしれない」
そんなことはあるはずがない。それより、次のことが重要だ。
「事前貸出で弱点を見つけて、その弱点を突くとすれば、それは、事前貸出で無限回のの 待った をしたことになる。そして、無限回の 待った をしたという時点で、それはもはや将棋ではなくなった(ただの穴探しになった)ということだ」
要するに、ハメ手で勝ったとしても、それは「将棋で勝った」のではなくて、「穴探しごっこというゲームで勝った」というだけのことだ。それはもはや将棋の勝負ではなくて、コンピュータゲームの勝負(裏技探しみたいなもの)にすぎないのだ。
普通の棋士ならば、そのことに気づく。だから、ハメ手なんかをしたくはないだろう。しかし阿久津八段は、全敗棋士である。ほとんど焦りまくって、正常な判断ができなくなったのかもしれない。
そして、そうだとすれば、A級で全敗するようなA級最下位の棋士を電王戦に出すべきではなかった、とも言える。( http://www.shogi.or.jp/kisen/junni/2014/73a/ )
だが、それは、やむを得なかったのだろう。たぶん他のA級棋士は、コンピュータとの対戦を厭がって、仕方なく、末席の阿久津八段がイヤな役割を無理に押しつけられたのだろう。とすれば、阿久津八段は被害者だったとも言える。(かわいそうに。)
本来なら、コンピュータ相手の将棋には、頭の回転の速い20代の若手が出るべきだった。たとえば、豊島将之七段のような。( → http://kishi.a.la9.jp/ranking2.html )
実際、豊島将之七段は、過去の電王戦では、コンピュータ相手に完勝している。( → http://matome.naver.jp/odai/2139616561310689201 )
今回の不手際は、将棋連盟の人選がまずかった、ということに、かなり多く依拠しているとも言える。
おまけでもう一つ転載しておく。下記項目から。
→ 人間 対 コンピュータ
以下、転載。
電王戦を継続するには、どうするべきか?
何らかのハンディを付けないと、人間とソフトではまともな戦いにならないようだ。とすれば、次の二点を提案したい。
(1) 継ぎ盤(手持ちのミニ将棋盤)の使用を認める。これは、それが必要だからというよりは、時間を節約するためだ。プロは、継ぎ盤がなくても大丈夫だろうが、継ぎ盤を使った方が時間を節約できる場合もあるはずだ。特に、深く読むときはそうだ。だから、好みによって、継ぎ盤の使用を認めるといい。
※ 森下卓九段がこの件は提案済み。
※ その後、実際に継ぎ盤使用で、森下の勝利。
→ http://ex.nicovideo.jp/denou/revenge2014/
→ http://matome.naver.jp/odai/2142034229002175101
(2) ソフトの側だけに時間制限を導入して、1分将棋にする。つまり、1手につき最大で1分間を認めるだけで、現状のように5時間という長時間を与えない。人間の側だけに5時間を与え、ソフトの側には1手につき1分間しか与えない。
※ できれば1分将棋でなく 10秒将棋にするといい。実際、ソフト同士の戦いでは、10秒将棋だった。
→ http://ex.nicovideo.jp/denou/tournament2014/rule.html
なお、このように時間制限を導入することは、ソフトの進歩をもたらす、という効果がある。
特に最近は「次元下げ」という方式が取り入れられたので、時間短縮と棋力向上とが同時に大幅に達成されつつある。
「次元下げ」については
→ http://nikkan-spa.jp/743433
→ http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/bgame/1413036315/629
「要するに無駄なパラメータまで学習させることは害にしかならないということ。」
やたらと大量に計算するという従来の方針をやめて、無駄なパラメータを切り捨てるようにしたら、時間が短縮するだけでなく、棋力が大幅に向上した、という結果が得られたわけだ。
やはりハメ手については納得行かないですねぇ。
10手とか15手以上先を読めない(読むのをやめるが正しいが)ソフトは
やはり欠陥としか言い様がない。
そして、定跡というのは、研究で対策をして変化し、さらに研究で対策をされて変化するもの。
今回は阿久津八段が勝っただけのこと。
今回の対策をしてAWAKEが勝ち、それに対策をして阿久津八段が勝つ、そういう事もある。
それだけのこと。
人間ならば、見落とし(読み抜け)の例は莫大にあります。1手先を見落とした例だって無数にある。
今回のソフトの穴は、日本中の人間が総力で探したら、10手か15手先で罠にはまる例がいくつか見つかった、というだけです。たったのそれだけ。
> 定跡
今回の研究を定跡の研究と混同しているのが、勘違いの理由です。
定跡は真理の研究であり、永遠に残る。
ソフトの穴対策は、ミスの研究であり、ミス対策をした瞬間に無意味になる。
前者はとても大切なことですが、後者はただの無駄手間。
トンデモマニアというのは、他人の欠陥を探して指摘して、自分がすごい業績を上げたつもりになるが、他人のミスの指摘なんか、いくらやったって、学術的な意味はゼロです。学会の最上部を突き詰めることと、底辺を突き詰めることは、意義がまったく違います。
> 今回の対策をしてAWAKEが勝ち、それに対策をして阿久津八段が勝つ、そういう事もある。
だったら、ミスを見つけた時点で、プロ側がソフト開発者に連絡して、ミス対策を促すべきでした。なのに逆に、訂正禁止なんて、馬鹿げている。
訂正を禁止するのならば、事前貸出をやめるべきでした。
事前貸出をするのなら、訂正を許容するべきでした。
そのいずれかならいい。
一方、事前貸出をして、訂正を禁止するから、無意味な茶番になる。つまり、このゲームは、将棋ではなくて、ただの穴探しゲームになってしまった。
※ 事前貸出をして訂正を禁止するのなら、事前貸出に時間制限
をかけて、たとえば「20時間だけの貸出」にするべきだった。
> それだけのこと。
違いますよ。「もはや将棋ではなくなった」という根源的な重大事件です。あなたは金を払っていないけど、ニコ動では金を払った視聴者がいたんです。将棋を見るために金を払ったら、将棋ではないものを見せつけられた。「金返せ」と思うのが当然でしょう。
普通の人だって、最初のころの感動を味わいたいと思ったら、こんな詰まらないものを見せつけられて、「馬鹿にするな」と思ったはず。今回の穴探しゲームを見て、あなたは「素晴らしい将棋だ」と感動しましたか? 胸に手を当てて、よーく考えてみましょう。