2015年04月16日

◆ 広島空港の危険放置

 広島空港ではとんでもない危険性が放置された状態だった。フェイル・セーフとは逆の、フェイル・アウトとも言うべき状態。 ──

 万一の事故のときにも、被害が最小化するようにする仕組みを、フェイル・セーフという。
 それとは逆に、万一の事故のときに、被害が最大化するようにする仕組みを、フェイル・アウトと呼ぶことにしよう。

 そんな馬鹿げたものがあるものか、と思いそうだが、実際にあった。それは、広島空港だ。
 「飛行機が滑走路を はずれたら、飛行機を地獄に突き落とす
 という恐るべき仕組みがあった。

 詳しくは記事と写真を見てほしい。呆れる。
 滑走路を逸脱したアシアナ機は、フェンスまでわずか十数メートルの地点で停止していたことがわかった。
 仮に機体がフェンスを突き破っていれば、機体は斜面を転落し、大惨事になっていた可能性が高い。
 フェンスを突き破った場合、斜面を滑り落ち、数十メートル下の池(深さ3メートル)に転落しかねない状態だった。
( → 読売・朝刊 2015年04月16日

 滑走路から少し はずれただけならかろうじてセーフだが、さらに はずれると、数十メートル下まで斜面を滑り落ち、深さ3メートルの池に水没する。下手をすると、溺死だ。溺死しなくても、数十メートル下まで落ちる段階で重症を負いそうだし、下手をすれば炎上して焼け死んでしまう。

 ──

 では、どうすればいいか? まわりをコンクリートで要塞のようにするか? まさか。
 私の案はこうだ。
 「周囲を土盛りする。飛行機が落下する前に、土手にぶち当たって、止まるようにする」
 これはまあ、自動車レースのコースの周辺に、ドラム缶みたいなものを並べるのと、同様の発想だ。

 ──

 ともあれ、現状の広島空港は、フェイル・セーフならぬフェイル・アウトである。このような空港は、当面、使用禁止にするのが妥当であろう。(安全策が整うまで。)



 [ 付記 ]
 さらに言えば、無線による自動誘導の装置が、片側(西向き)にしか用意されていない、という点でも欠陥空港だった。

   ↑ この点は妥当ではないので取り消します。コメント欄を参照。
 以上の二つの点が整備されるまでは、この空港は閉鎖するのが妥当だろう。
 ともあれ、フェイル・セーフならぬフェイル・アウトなんて、とんでもないよね。冗談も休み休みにしろ、と言いたい。
 


 【 関連サイト 】

 → フェイル・アウト  fail out
  ※ この語が和製英語だ、という話。
    本項では冗談っぽく書いたが、すでにある語らしい。
posted by 管理人 at 20:38| Comment(17) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サーキットにあるあのドラム缶のようなものはタイヤバリアというもので、タイヤを積み上げて締結したもので、実際タイヤでできています。
ただ、飛行機はクルマと違ってとても巨大で重いものですから、盛り土にしろタイヤバリアにしろ、とても巨大なものが必要ですし、飛行機自体もただのアルミの筒ですし、クルマより高速で、簡単に火を噴くので、衝突させて止める方法はなんだか危険な気がします。
Posted by クルマ好き at 2015年04月17日 06:11
> 衝突させて止める

 衝突させて止めるなんてことはないです。そんな危険な状態はあり得ません。滑走路の真ん中に土手を築くわけじゃありません。

 ブレーキが利かなくなった自動車は、道路の横にある塀に車体をこすりつけると、少しずつ減速して、止まります。それに似ている。

 速度は、横方向の速度の成分だけですから、時速 10キロ程度の低速でしょう。
Posted by 管理人 at 2015年04月17日 07:12
驚きました.こんな危険な空港があったのですね.ここまで明確な指摘を受けて,このまま何もせずに今まで通り運行をしているようなら,人間無視ですね.
早急の具体的改善とそれまでの閉鎖が求められますね.
Posted by 飛行機好き at 2015年04月17日 09:24
>無線による自動誘導の装置が、片側(西向き)にしか用意されていない、という点でも欠陥空港だった。

両方にきっちり整備されていない空港も多いですよ。てか、ない空港の方が多いです。

地形の関係で基準を満たさないと設置できないんですよ。
たとえば、西側はCAT-IIIというカテゴリーですが、より誘導レベルの低いCAT-IIは設置できません。

CAT-IIIは羽田にもなくて、それよりレベルの低いCAT IIが4本の滑走路に対して一本の片側だけ、成田も2本の滑走路のうち、一本の片側だけ。

広島は人工地盤まで作って、最新式のILSを導入した、むしろ高度な対策がとられて空港ですよ。

http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000403.html
Posted by とおりすがり at 2015年04月17日 10:56
ないのは、広島のような高度な、といういみです。

ILS-CAT Iは結構あります(でも、両側ではないですが)
Posted by とおりすがり at 2015年04月17日 11:18
今回の着陸方式は危険ではなく、むしろ最新の技術を使っています

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150416-00010000-norimono-l34
http://ja8772.blog74.fc2.com/blog-entry-806.html
http://ja8772.blog74.fc2.com/blog-entry-806.html

・直前に秒単位で急激に視程が悪化したこと
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0123922.html

・本来は着陸復行すべき状況だった可能性があること
この方式の着陸での許可される視程を下回っている可能性

・視界悪化により無意識に高度を下げてしまうミスが起こった可能性があること
http://kottsunko.blogspot.jp/2015/04/blog-post_17.html

・ミスではなく、気流による高度低下の可能性があること
ダウンバーストや追い風

以上が論点かと存じます。
Posted by とおりすがり at 2015年04月17日 12:02
本項の論点は、「フェイル」の理由ではなくて、「フェイル・アウト」になる空港構造です。(危険拡大の原理。)

 フェイルがどうして起こったかは、本項の論点ではありません。それは <STRONG>[ 付記 ]</STRONG> で軽く言及しただけで、あくまで余談の扱いです。

 あと、広島空港はもともと濃霧の発生する空港です。
  → http://www.asahi.com/articles/ASH4J3626H4JPTIL005.html
  → https://www.youtube.com/watch?v=GOV2tO8teLY
 その意味で高度な自動誘導装置は必須です。他の空港には装置がないというのは理由になりません。他の空港は濃霧が発生するわけじゃないんだから。
 今回、濃霧で事故が起こったのは、偶然ではなくて、必然と言えるでしょう。一種の人災。原発事故に似ている。いつか来るとわかっている津波に何も対策しなかったが、それと同様の状況。
Posted by 管理人 at 2015年04月17日 13:00
通りすがりさんに同感。

少なくとも、ILSがないからといって「欠陥」とは言えません。
Posted by 深海誠 at 2015年04月17日 13:01
フェイルセーフの対義語はフェイルデンジャラスです。
アウト/セーフ ヨヨイのヨイじゃなくって。

このブログのファンなので文句つけてるのではなく、
つっこんでみたかっただけ。
Posted by スピネカ at 2015年04月17日 13:20
また論点の後出しすり替えですか?

付記だろうがなんだろうが「…という点でも」「以上の2つの点が」と書いてあるんだから、専門家に指摘を受けるのは当たり前です。

それに、ILSは「着陸の安全性を高める」というより、「着陸できる気象条件の幅を広げて運行率を高める」のが主な目的と理解しています。

ILSがなければ、濃霧時に着陸をあきらめればいいという話。濃霧が出る=ILSなければ閉鎖、なんて言い出したら、潰れる空港が続出しますよ。
Posted by 深海誠 at 2015年04月17日 14:08
>その意味で高度な自動誘導装置は必須です。

これは深海さんのおっしゃるとおり、ILSへの誤解です。

まず、ILSの高カテゴリー化は、視界が悪くても着陸できること=視界不良により欠航もしくは着陸地変更を防ぐためのものです。
http://www.ocab.mlit.go.jp/news/hotnews/pdf/jigohyoka1.pdf#search='広島空港+ILS'

広島空港のILSの高度化は、開港後7年後に行われました。この効果は3年間で3万便のうち、66便を欠航にしなくてすんだ、というのが効果です。

今回の飛行の安全性はR-NAVによって保たれていますので、ILSの存在は関係ありません。なぜなら、R-NAVはILSの直線電波に頼らずに安全に誘導できる、ためのものだからです。

リンク先の記事をお読みください
「基本的には外部の無線航法施設(VOR、ILSなど)に頼らずに飛行できる方式として、最近多くの空港に設定されつつある着陸方法である。世の中は無線航法施設を廃止していく方向にあり、外部施設に頼らず自律的に自動操縦できる方式にシフトしてきているのである」

ですから、片側にILS-CAT IIIで低RVR時の着陸を可能にし、もう片側はR-NAVで柔軟性のある着陸態勢、これはまさに時代の最先端であって、決して危険を増やす欠陥ではありません。

広島空港の東側は、ILSの条件にそもそも適さないだけだと思います(山によって直線電波が遮られる場所にはILSは設置できない)

今回起こったことは

1)パイロットの着陸可否の判断のミス
2)ILSなどの誘導に関係ない、気流の乱れ

いずれに集約される可能性が高いです。

仮に管理人さんがおっしゃる、ILSがあればよかった、ないのが欠陥だ、というのが正しかった場合、ILS CAT-IIIを使わなければならないような視程ということですから、そもそも東側から着陸の最終判断(機長に全権)をしてはならない絶対のルールを破ったお粗末なミスの話で、空港の欠陥ではありません。

着陸してはならない視界条件の空港に着陸を強行してしまうことを、機械で止めることは現在の技術ではできません。それを開港の条件と必要とするなら、羽田もとんでもない大欠陥空港で、今すぐ全便止めなければなりません。
Posted by とおりすがり at 2015年04月17日 15:30
> また論点の後出しすり替えですか?

そちらが論点を勘違いしているんでしょ。
私が自分の論点を出したら、他人が勝手に別の論点にすり替えて、私が元に戻したら、それを「論点のすり替え」と見なすなんて、どうかしている。主客転倒。

> 濃霧が出る=ILSなければ閉鎖、なんて言い出したら、潰れる空港が続出しますよ。

 ILSを設置したぐらいでつぶれるわけがないでしょうが。たいして金がかかるわけでもないし。もともと片方はあるんだから、システムを共用できるし、コストはかなり低い。土手の工事代よりずっと安い。
 本項の意味は「空港を閉鎖せよ」ではなくて「ILSを設置せよ」です。
 「濃霧の出る空港ではILSを設置せよ」という話に正面から論じてください。「ILSを設置せよ」という話を読んで、「空港を閉鎖せよ」と曲解するなんて、どうかしている。
 「空港を閉鎖」というのは、あくまで、ILS設置までだけです。(土手の点を別として。)

 あとね。私は別に、 とおりすがり さんの意見を否定してはいませんよ。別の観点から論じているだけ。いちいちカッカして怒る必要はないんだけど。

 とおりすがり さんの最後のコメントはごもっともなので、ご指摘に従い、本文を書き換えておきました。

 ──

 ただし、通りすがりさんのコメントにも、理解しがたいところがある。

 誘導については、朝日の記事に、次の記述がある。

>> ILSの電波で精密な誘導を受けられる西側から進入する場合は視界が50メートル以上、精密誘導を受けられない東側からの場合でも1600メートル以上あれば着陸可能だった。
→ http://www.asahi.com/articles/ASH4K0PG7H4JPITB01Z.html

 つまり、精密誘導の有無で差が生じるんじゃないの? 


> 今回の飛行の安全性はR-NAVによって保たれています

 実際には事故が起こったのだから、安全性は保たれていなかったことになる。では、何がまずかったのか? 
 本項は、「事故が起こった後」のことを話題にしていますが、それとは別に、とおりすがりさんの言うように、「事故が起こった原因」についても、いろいろと議論がありそうですね。……ただ、私は、そっちの方はあまり関心はない。航空機マニアでもないんだし。
Posted by 管理人 at 2015年04月17日 18:43
>フェンスを突き破った場合、斜面を滑り落ち、数十メートル下の池(深さ3メートル)に転落しかねない状態だった。
関西国際空港も海側の着陸帯の幅は広島と大差ないです。

着陸帯:飛行機が滑走路から逸脱した場合に、航空機へのショックを和らげ、破損を最小限に抑えるための緑地帯。(滑走路中心線から150m左右+滑走路両端末から60m)

広島空港もこの数値はクリアしていているばずです。そもそも、より大きな空港でも建設時の費用圧縮のため、要件ギリギリで設計された空港は数多くあります。
この数値は、航空機が滑走路をそれた場合の干渉域として指定されており、滑走路に対して横方向のベクトルの大きさを元に安全が確保できる幅ですので、着陸帯より外側の地形を指摘して、広島空港が危険な空港というのはどうかと考えます。

まあ、確かに天候に関しては山間のため急変しやすいのは確かですが

余談ですが、
外れた場合、深さ3メートルならキャビンは水の上ですが、海上空港の場合、・・・
Posted by 普通の人 at 2015年04月17日 18:59
> 関西国際空港も海側の着陸帯の幅は広島と大差ないです。

 関西国際空港なら、飛行機が落ちても、水に落ちるわけだから、かなり安全でしょ。スポーツの飛び込みで落ちるのと同様。
 高さ5メートルから水に飛び込んでも大丈夫だが、地面に落ちれば死にます。水の方がずっと安全だ。

> この数値は、航空機が滑走路をそれた場合の干渉域として指定されており、滑走路に対して横方向のベクトルの大きさを元に安全が確保できる幅です
> 費用圧縮のため、要件ギリギリ

 言っていることが矛盾していますよ。 
 前者では「滑走路を逸れても安全です」
 後者では「ギリギリでしかないから、安全性は不十分です」
 
 私は後者の立場です。したがって、万一の場合の危険性を考慮するべきだ、と考えます。
 土手を盛るぐらい、費用負担は可能な範囲でしょう。だいたい、人の来ないところに巨大な飛行場を巨大な土盛りで建築する、という途轍もない浪費をしたあとなんだし。この程度の費用負担を惜しむのであれば、もともとこんな飛行場を建設するべきではなかった。市内にある旧飛行場を使っていた方が百倍マシだった。(滑走路は短いが、少なくとも利用価値はあった。)
Posted by 管理人 at 2015年04月17日 19:13
おっしゃるように、土手は一つの案です。サンドバリヤーのような緩衝帯がある空港も存在しますから、必須かどうかは論点もあるとおもいますが、十分検討課題でしょう。

>つまり、精密誘導の有無で差が生じるんじゃないの? 
そうです。何に差が出るかは主に高度○mまでに滑走路が見えなければ着陸中止、との判断をする高度(DH)です。

全国の多くの空港のCAT-Iは決心高度(DH)が60mです。60mで空港が見えなければやりなおし。
CAT-IIは30m
CAT-IIIはDHの規定はなく、何Mさきまでみえるかだけの規定です。

つまり「高度化されれば悪条件でも着陸を強行して良い」というだけで、規定通りなら「CAT-IよりCAT-IIIが安全」というわけではありません。

ILSの電波はここに乗っていれば安心だよーという道案内で、主目的は空港の手前の山にぶつかるとか、そういったものを回避するためにあります。その目的にはR-NAVで十分です。

さらに、悪条件でも着陸を強行する=経済的な観点を満たすためにILSが高度化しているだけの話です。

高規格ILSは日本全国を見渡しても

CAT-II:東京34RILS、中部18ILS、関西06L/06R/24R/24LILS
CAT-IIIb:新千歳19RILS、釧路17ILS、青森24ILS、成田16RILS、中部36ILS、広島10ILS、熊本07ILS

のわずか10本、計13方向にしか設定されていません。両側にあるのは関西と中部国際空港だけです(あと例外が下地空港ですが)

基幹空港は霧や雲の悪天候で運航中止になると経済的に影響が大きいので当然ですが、地方空港で設置されている釧路、青森、広島、熊本などは、霧が出やすいなので条件を考慮されています。
Posted by とおりすがり at 2015年04月17日 19:13
>後者では「ギリギリでしかないから、安全性は不十分です」
基準を満たす幅が確保されていれば、基準ぎりぎりでも安全性に問題はないはずです。
ギリギリでは安全性は不十分となれば、着陸帯の指定値そのものが問題だということになります。
Posted by 普通の人 at 2015年04月17日 19:25
> 基準ぎりぎりでも安全性に問題はないはずです。

それ、「フェイル・セーフ」という概念自体を全否定していますよ。

私は世の中にある「フェイル・セーフ」という概念に立脚して主張しているので、「フェイル・セーフ」という概念自体を全否定したければ、よそでやってください。

ま、「フェイル・セーフ」という概念自体を否定したから、原発事故も起こったんだけどね。

ちなみに、自動車では時速 50キロでの衝突時に死なずに済むように安全基準ができていますが、そういう安全基準があっても、時速 50キロで死ぬ人はいくらか出現するし、時速 100キロなら死ぬ人は多い。「安全基準を守れば絶対安全だ」なんて思っている人は、ほとんどいないはずです。

 最後に、「安全性に問題はないはずです」が成立しなかった実例を挙げておきます。
  → http://flyteam.jp/news/article/47246
  → http://flyteam.jp/news/article/21635

 上記以外にもいろいろある。
  → http://j.mp/1CVJgK4
Posted by 管理人 at 2015年04月17日 20:01
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ