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MRJ の開発が遅れている。にもかかわらず、予定通りに販売する予定だ。
国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」を開発・製造している三菱重工業と子会社の三菱航空機は 10日、初飛行を今年5月から 9?10月に延期すると発表した。
初飛行の延期は4度目だ。試験機の非常用発電装置などに問題があることが分かり、設計の一部変更を迫られたためで、生みの苦しみが続いている。
量産1号機を全日本空輸へ2017年4?6月に納入する計画は変更しない。初飛行の遅れを取り戻すため、日本より多く離着陸できる米国での飛行を増やすなどして試験期間を短縮する。
( → 読売新聞 )
他にも詳細記事がある。
→ MRJ、9月?10月に初飛行へ - トラベル Watch
→ MRJ:初飛行延期 開発正念場…納期遅れのリスク懸念 - 毎日新聞
→ MRJ初飛行が9―10月に再延期、初号機納入は予定通り | Reuters
→ テレビ東京
すでに3度も延期しており、今回が4度目。これで済むとも思えず、さらに5度目、6度目の延期があるかもしれない。しかし、本題はそっちではない。
今回、初飛行を延期をしたのに、「2017年4?6月に納入する計画は変更しない」という点が問題だ。これでは安全性の確保がないがしろにされる。
ここで思い出されるのは、同様のことから起こった、あの問題だ。ほら、あれ。東洋ゴムの免震装置の不良の問題。あれも、納期を迫られたあげく、開発が不完全なまま、不良品を販売した。そういう安全性の無視があったのだ。
同社幹部は、担当者が営業サイドから納期を守るよう言われたことが圧力になったと説明している。
( → 東洋ゴム社員、聞き取りへ )
東洋ゴムの調査では、この子会社の製品開発担当者が製品の納期厳守を求める営業側からのプレッシャーにより、パソコンを使ってデータを改ざんしたことが判明しており、
( → 免震ゴム性能偽装「東洋ゴム」 )
まともに開発もできていないのに、「納期を守れ、納期を守れ」と急かされて、不完全な商品を出荷してしまった。かくて、安全性の欠如した欠陥商品が販売された。
東洋ゴムの事件は、まるで MRJ の予告版ですね。
三菱重工は、こんなデタラメなことをやっていていいのか? きちんと「開発延期にともなう納期延期」を発表するべきだろう。
[ 付記 ]
どうせ本心はこうだろう。
「納期延期が必要なのはわかっているが、それを今発表すると、顧客がキャンセルしたりして、顧客が逃げてしまう。それは困る。何とかしてキャンセルを防ぎたい。だから、来年秋の直前になるまで、納期の延期を発表しない」
しかし、これは「納期の延期が必要だとわかっているのに、ゴマ化して、嘘をつく」ということだから、詐欺にも等しい。信用をなくす行為だね。
似た例に、次のことがある。
→ 展示車を新車と偽って販売した、スバル
こういうふうに顧客をだますと、信用を失う。そのことがわかっていないんだろうか。呆れる。
そもそも、MRJ なんてのは、人々がすごく持ち上げている割には、技術的にひどいレベルのクズ商品であるにすぎない。さっさと開発中止にしておくべきだったのだが。前にも下記項目で述べた通り。
→ 三菱の小型ジェット機 MRJ
→ MRJ の開発延期
→ MRJ と心神の現状
ちなみに、政府の補助金をもらわないで完全に民間開発だったホンダジェットは、順調だ。
→ ホンダジェットが日本初飛行へ 4月25日から一般公開
【 追記 】( 2015-12-17 )
MRJ の納入延期が発表された。
《 MRJ納入、2018年後半に 予定より1年以上遅れ 》
三菱航空機が開発する国産初のジェット旅客機 MRJの納入開始が、従来の予定より1年以上遅い 2018年後半になる見通しになった。
三菱航空機は、11月11日に初飛行を果たした時点では、最初の販売先である全日本空輸への納入開始を17年4?6月としていた。
( → 朝日新聞デジタル 2015-12-17 )
開発が遅れたのだから納入も遅れるが、それを隠しているだけだ……という本項[ 付記 ]の指摘が、そのまま通った形。無理に急いで欠陥品を飛ばすよりはマシだが、嘘をついていた(偽装していた)という点では、悪質である。すでに指摘したとおり。
ともあれ、これでは、「遅れすぎて営業的に失敗」となる。この件は、別項で述べた通り。
→ MRJ は失敗するだろう (2015年11月12日)
実際に運行されてから、まずい部分は点検時に一緒に直していけばいいや〜って問題じゃない。
少なくとも提灯記事ばかり書いているマスコミ(特に産経)よりは読むに値する内容だと思いますがねぇ
勝ち目のない戦いに希望的な楽観論で血税ぶっこんでもらうのは勘弁です