ウイスキーは、ピンからキリまである。他の酒と違って、上と下との差が極端に大きい。ワインや日本酒なら、安くても高くても、あまり大差はないだろう。安くても高くても、ワインはワインだし、日本酒は日本酒だ。別の酒になるわけではない。しかしウイスキーは違う。安いのと高いのとでは、まったく別の酒になる。ものすごく差が大きい。
といっても、高いやつ(山崎シェリーカスク
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まず、ネットで調べたところ、標準的なお薦め品は、次の二種類だ。
・ 竹鶴ピュアモルト
・ ブラックニッカクリア
竹鶴は上級品。ちょっと高い。
ブラックニッカクリアは下級品。ウイスキーの範疇では最も安い。(これより安いのは、もはやウイスキーの味がしない。)
この二つが、通常、お薦め品と言われている。私も同意する。これが基準となるだろう。
竹鶴に比べると、サントリーの響や山崎は、価格が高すぎるくせに、味はそれほど大差がない。竹鶴には、竹鶴 17年という姉妹品があり、こちらはもっと高級品となる。味と価格のバランスでは、竹鶴が傑出しているようだ。(なお、竹鶴12年は圧倒的な高評価だが、売れすぎて、すでに生産中止である。)
ブラックニッカクリアは、同じクラスのなかでは、最もまともなウイスキーだと見なされている。サントリーのトリスやレッドは、もはやゴミ扱いとなる。サントリーの角瓶は、悪くはないが、ブラックニッカクリアよりもずっと高い。
というわけで、上の二つの商品が、スタンダードとなる。(ネットを調べれば、同じような意見が多い。)
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ただし、である。もっと詳しい情報を探せば、もっとうまい品も見つかる。
私のお薦めは、次の二つだ。
・ フロム・ザ・バレル
・ ボストンクラブ 淡麗原酒
この二つは、とても素晴らしいのだが、いずれも入手難である。
フロム・ザ・バレルは、Amazonでは、出るとすぐに売り切れてしまう。安値では 2650円ぐらいだが、出るとすぐに売り切れる。高値では、5000円ぐらいの値が付くが、それでも売り切れる。「品切れ」と表示されることが多い。また、一般の店舗でも、売っていない店が多い。私はスーパーや酒屋を5軒ぐらい探して、5軒目ぐらいでようやく見つけた。税込み 1950円ぐらい。味は? すごく評価が高い。「竹鶴を少し上回る」というぐらいの評価だ。
また、Amazon のページを見てもわかるように、圧倒的な受賞歴がある。さらに、Amazon英国では、客の評価がすごく良い。星を付けた人の数で見ると、圧倒的とも言える。(つまり売れている。)
→ Amazon UK
英国では 5000円ほどの価格を付けられているのに、この圧倒的な評価だ。7000円ぐらいの価値があると見てもいいだろう。
ボストンクラブ は、ブラックニッカクリアよりも、ちょっと味が濃い感じだ。ブラックニッカクリアは、どうしても「味が薄い」という感じだ。ボストンクラブは、そういうこともない。
ただし、である。こいつは、数日前までは安く売っていたのに、現在では、2割ぐらい価格がアップしている。Google のキャッシュを見るとわかるが、4リットルの方は 3950円で売っていたのに、今では 4489円だ。
とはいえ、今なら、酒屋を巡れば、安値で売っているのを買えるかもしれない。私の場合、2.7リットルの淡麗原酒を税込み 2450円ぐらいで買えた。Amazonでは今では 3218円になっているが。(他に 4 L のボトルもある。)
さて。私の評価を言えば、この酒は、香料をちょっと使っている感じで、ウイスキーの原酒がやや薄い。香料があるので、けっこう美味しく飲めるが、本質的なおいしさには欠けている。ゆえに、満足度は低い。「安くて美味しい酒を飲む」という目的には合致しているが、フロム・ザ・バレルを飲んだときの素晴らしい満足感は、まったく得られない。(当り前だ。安いウイスキーはいずれも同様だ。)
しかし、である。それだけだったら、私がいちいち本項を書く必要はない。私が本項を書くのは、何か素晴らしい発見があったからだ。では、何か? こうだ。
「ボストンクラブ 淡麗原酒に、フロム・ザ・バレルを1割程度混ぜると、すごく美味しくなる」 (★)
このやり方だと、分量ではほとんどボストンクラブなのに、味や香りはフロム・ザ・バレルに近くなる。嘘みたいだが、本当だ。(実体験)
一般に、ウイスキーは、美味しいのと美味しくないのとを混ぜると、美味しい方の味に近づく。換言すれば、濃いのと薄いのを混ぜると、濃い方の味に近づく。そういうことが成立すると言われている。
そして、このことは、まさしく上記の例で成立するのだ。というわけで、(★)が私のお薦めである。「安くて美味しい」というのであれば、これがベストだと思う。
( ※ 単純な市販品ではなく、自分でブレンドするわけだ。)
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さらに言おう。
フロム・ザ・バレルよりも、はるかに美味しいウイスキーを飲むブレンドがある。それは、こうだ。
「フロム・ザ・バレルに、アップルワイン(ニッカ)
このブレンドで、フロム・ザ・バレルが滅茶苦茶に美味しくなる。「ウイスキーは苦手だ」という人でも、「こりゃうまい」と感嘆するような味になる。ウイスキー好きの人なら、1割でなく5%ぐらい混ぜるといい。それで、「これはシェリーカスクか? 価格は 5万円か?」と思うような味になる。
飲んだあとでは、「何て素晴らしいんだ! 感動する」という感じで、知らず知らず首を振ってしまう。
まあ、口で説明してもわからないだろうから、実際に試してみるといいだろう。仮に、お口に合わないとしても、その場合には、混ぜないで単独で飲めばいいだけだ。フロム・ザ・バレルも、アップルワイン(ニッカ)も、「おいしい」という点では定評があるので、そのまま飲んで何も差し支えはない。
ただし、例によって、アップルワイン(ニッカ)も入手難だ。近所のスーパーでは、税抜き 825円で出たが、出てすぐに売り切れてしまった。(私が1本買ったが、他の人が全部買い占めてしまったらしい。) アマゾンではとりあえずは買えるが、ここのところ値上がりしてばかり。2週間前には 970円だったのに、今では 1224円だ。品薄になっているようだ。
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というわけで、私としてはいろいろとお薦め品を示したが、いずれも品薄である。近所のスーパーや酒屋を何軒もハシゴしないと、見つけることはできないだろう。ただし、いっぺん見つければ、そのお店で何度も買えるはずだ。
あと、ボストンクラブは値上げしたようなので、安く売っていたら、さっさと買い占めてしまった方がいいかもね。
[ 付記1 ]
私は「混ぜる」(ブレンドする)という方法を示したが、この方法は、どの酒にも通用するわけではない。組み合わせしだいだ。別の組み合わせでは、うまく行くとは限らない。
[ 付記2 ]
安酒は薄いとは限らない。
キングウイスキー 凛
イオンの PB ウイスキーは、激安で、ホワイトリカーと同程度(またはもっと安い)ぐらいだ。あまりにも安くてビックリ。また、味もかなり強い。ちゃんとウイスキーらしい味がする。嘘みたいにお買い得だ。……ただし、である。ものすごく渋みが強い。飲むためには「水で薄めて、レモンか何かを添加する」という方式で、渋みを消す必要がある。ストレートでいっぱい飲むと、ひどい渋みがいつまでも残って、すごく不快である。私が思うに、これは、出がらしみたいな古い樽を使って製造したウイスキーだろう。偽物や粗悪品ではないが、すごい下級品である。舌が鈍感でアルコールを大量に飲みたい、という下層階級向け。この手の人にとっては、「安いのにちゃんとウイスキーの味がする」というふうに、満足度は高そうだ。(舌が鈍感であれば。)
実を言うと、私はこれがけっこう好きである。ものすごく水で薄めてチューハイみたいにすると、ほのかな渋みが料理に合う。また、美味しすぎないところがいい。まずいウイスキーを何度も飲んでいると、そのあとでフロム・ザ・バレルを飲んだときに、「なんて美味しいんだ」という感動がある。一方、フロム・ザ・バレルを飲み続けると、慣れるかマヒした感じで、感動がなくなる。それじゃ、人生が、つまらない。不味いものを常用しながら、たまに美味しいものを飲むからこそ、感動があるのだ。不味いものには、それなりの効用があるのである。 (^^)v
【 追記 】
ブレンドするといっても、組み合わせは限られる。ボストンクラブに、フロム・ザ・バレルを加えると、かなり美味しくなる。フロム・ザ・バレルに、アップルワインを加えると、非常に美味しくなる。しかし、ボストンクラブに、アップルワインを加えても、ほとんど効果はない。「何でも混ぜれば美味しくなる」というわけではないのだ。足りないものを補った場合にのみ、レベルが非常に上がる。そうでない場合には、効果がない。
ボストンクラブとアップルワインは、どちらも香料系統のものであって、ウイスキー本来の基幹があるわけではない。これらを混ぜても、ウイスキー本来のおいしさは欠けている。ゆえに、混ぜても効果はない。
【 関連サイト 】
(1)
→ 安くて美味しいウイスキーは
→ 1000円以下の国産ウイスキーを比較する
※ この二つのページでは、ハイニッカの評価が高いが、好き・嫌いの
差があるようだ。万人向けではないらしい。
→ http://j.mp/1NGnlyu
※ とはいえ、Amazonでは、ものすごく評価が高い。好評。
→ ハイニッカ 720ml
(2)
→ 1000円程度で買える本当に美味しいウイスキーまとめ
※ このページでは、1000円程度の普及品を紹介している。
この価格帯は、国産品より、ジョニ赤や、ジムビーム
輸入品が好ましいようだ。(評判は Amazon でわかる。)
【 関連項目 】
「1000円クラスは輸入品が好ましい」と上に述べたが、取り消します。1000円クラスについては、新たに買って調べたところ、事実が判明したので、次項で改めて説明します。
→ 1000円程度のウイスキーは?

わざわざ日本人に合わせて軽くしただけだから
スコッチやバーボンが1000円くらいからで買えるのでは、日本産は魅力薄いと思います。
2倍以上に薄めて飲む向きには日本産が良いらしいですね。
(2) 最後の最後に、1000円程度の普及品のリンクと解説を書き足しました。(磯崎ゆいさんのコメントを受けて。)
タイムスタンプは 下記 ↓
カナディアンクラブ、ホワイトホース、バランタイン、そして、マッカーサーもスーパーで1000円くらいです。
数百円足すとフォーローゼスあたりも買えます。
この記事に触発されて、昨夜久しぶりに、キリンの富士山麓50度を買って飲んでみました。
これも1000円くらいでした。
アルコール度数は高いけれど、600ミリリットルとちょっと少ないです。
薄めたり刺激を好む向きにはいいかもしれません。
もうすぐ売り切れる。急げ。
→ http://j.mp/1P0AQLd
タイムスタンプは 下記 ↓