この二つの事故は、共通する原因から生じた、と見なせる。すなわち、「狂人の暴走」である。
ドイツ航空機の事故は、副操縦士が精神疾患を患っていたらしいと報道されている。
→ 墜落したドイツ機の副操縦士、精神疾患を隠して勤務
上記の記事では、「精神疾患を患っているからといって 150人を殺すとは思えない」という欧米の感想が出ている。だが、過去の実例は日本にある。
... が羽田空港沖に墜落した事故である。一般的に日航羽田沖墜落事故、羽田沖事故、日航逆噴射事故と呼ばれる。
この事故の直接の原因は機長の操縦によるものである。機長が機体の推力を急激に減少させながら機首下げを行ったため、機体は急に下降して滑走路の手前に墜落した。
機長は、まだ副操縦士であったこの事故の6年前に初めて幻覚を見、それ以後、初期の精神分裂病、うつ状態、心身症などと診断をうけ、聖マリアンナ医大病院の医師、会社の常勤内科医、非常勤精神科医らの診察、治療を受けた
( → 日本航空350便墜落事故 - Wikipedia )
今回の事故も、同様の事情にあったと見なせる。
なお、「副操縦士は失恋した」という報道もあるので、「失恋させた女性客室乗務員を巻き添えにするため」というシナリオも、考えられなくはない。
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一方、群馬大の腹腔鏡手術の問題は、先にも言及した。
→ 未承認の手術で死者多数
これについて、本日の朝日新聞で、詳しい報道が出た。(以下、一部抜粋。大幅に縮めてある。)
「簡単に腹腔鏡でできますよ」。男性医師は昨年1月、60代男性に言った。男性は胆管がんで同時に肝臓を切る手術を受けたが、5月に死亡した。胆汁が漏れて感染症にかかり、手術の97日後に出血性ショックで死亡した。医師は「輸血が間に合わなかった」と話し、手術のまずさには触れなかった。
実際は、手術中に動脈を損傷し、肝不全や縫合不全につながった可能性があることが病院の調査でわかった。
別の60代男性は約3年前、肝細胞がんで手術を受けたが、66日後に多臓器不全で死亡した。手術の後、体内で出血が止まらなかった。妻は「だまされた。分かっていたら群大に行かなかった」と悔やんだ。
■技量かなり低い・院内調査も不十分 専門家指摘
「血の海の中で手術しているような状態。」。被害対策弁護団に検証を依頼された専門医は、男性医師の手術のビデオを見てそう述べたという。
亡くなった8人の腹腔鏡手術は保険適用外で高難度。
ある大学病院の肝胆膵外科医は「腹腔鏡のプロ中のプロしかやってはいけない症例。執刀医の功名心というか、実績作りとしか思えない」と話す。男性医師は昨年4月、日本外科学会で「手技の工夫でおおむね良好な結果と期待される」と発表した。
( → 朝日新聞 2015-03-28 )
これはもう、ほとんど狂人の暴走である。自分の業績を上げるために、何人もの犠牲者を出す。マッド・サイエンティストに似ている。マッド・ドクターと呼ぶべきか。

出典:Wikipedia
失敗しておきながら「成功しました」と学会で虚偽の発表をするところなどは、STAP 事件みたいだが、意図的に虚偽の発表をするところでは、小保方さんよりもはるかに悪質だと言えるだろう。(まさか、患者が死んだことを「生きている」と誤認したとは思えないので。当然、失敗を認識していたはずだ。で、何人も死なせておきながら、「良好な結果と期待される」という虚偽発表をしたわけだ。)
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というわけで、どちらの事件も、「狂人の暴走」と見なせる。また、「組織における安全措置が働いていない」という点でも、どちらも組織的な欠陥が根本原因だと見なせる。
全然別の事件にも、共通したものが見出せるわけだ。(ちょうど数学で、全然別の事柄が、共通の定理で説明されるように。)
【 追記 】
新情報。
副操縦士が昨年、元交際相手の女性に対し「皆が僕の名前を知るようになる」と語っていたことが明らかになった。
ルビッツ副操縦士の元交際相手で客室乗務員のマリア・Wさん(26)。マリアさんは9525便墜落の報を聞いたとき、ルビッツ副操縦士が昨年語った言葉を思い出したと述べている。副操縦士は「いつか体制全体を変える何かをするつもりだ。皆が僕の名を知り、記憶するようになるだろう」と語ったという。
マリアさんは、もしもルビッツ副操縦士が故意に旅客機を墜落させたのだとすれば「それは彼が、自分の健康問題のせいで、ルフトハンザ航空(Lufthansa)で機長として、長距離便の操縦士として働くという大きな夢が実質不可能なことを理解していたからだと思う」と語った。
( → 3月28日 AFP )

タイムスタンプは 下記 ↓
プログラミングではIF文で条件を列記するが、想定外に対しては、ELSE文で緊急避難する。
今回のシステムでは、副操縦士がキチガイという事態は想定されていなかった。
「飛行機操縦室の常時2人体制」は、操縦士の片方が操縦室を留守にする際には、その間、
客室乗務員の1人が代わりに席に着くというもので、今回の事故に対しては有効だった。
これを条件文に付加すると、ELSEは、導き入れた客室乗務員が過激思想の持ち主だったら?
という異常事態も想定しなければならない。
「きりがないし、面倒だ」といわず、大勢の乗客の命を預かっているのだから、そのくらい
は、思い切り脳に汗をかかせて、システム設計するべきだろう。
うつ病は自殺願望が出るので操縦・運転士にはしちゃいけないけど、他人に危害を与える病気じゃないから、普通の生活なら危ないことは何もない。むしろ「うつ病=危険人物」という誤解が広がりそうなのが心配。
一方、医者の方はまぁ、功名心の暴走でしょ。こういう人格は大抵日常でも何かやらかす。危険で迷惑な存在。
ここは、ちゃんと切りわけるべきだと思いますね。