2015年03月19日

◆ チュニジアのテロの本質

 チュニジアのテロがあった。この事件の本質を探る。 ──

 記事を引用しよう。
 チュニジアの首都チュニスで起きた武装集団による観光客襲撃テロ事件で、日本政府は19日、これまでに日本人3人の死亡と3人の負傷を確認したと明らかにした。安倍晋三首相は「いずれの理由があってもテロは断じて許されない。国際社会と連携を深めながらテロとの戦いに全力を尽くしていく」と強く非難した。
 中東の観光地で日本人が犠牲となったテロ事件としては、1997年にエジプト南部ルクソールで日本人10人を含む約60人が過激派に殺害された銃撃事件以来。
 チュニジアは中東・北アフリカ地域の中でも比較的治安が安定しており、外国人を標的としたこれほどの規模のテロ事件が起きるのは異例。
( → 時事通信 2015-03-19

 安倍首相は「テロは断じて許されない」と述べているが、許すとか許さないとか、個人的な感情を言っても、政治にはならない。政治とは現実を動かすことであって、内面の感情を語ることではない。こんな言葉は無意味だ。

 ──

 そこで、事件の本質を探ることにしよう。
 そのためには、似た例を探るといい。

 (1) アルジェリアのテロ

 人々は忘れてしまったかもしれないが、アルジェリアのテロ事件があった。本サイトでも言及した。
  → 人質の命を救うには?
 これは 2013年01月の事件。詳細は下記。
  → アルジェリア人質事件の教訓は生かされたか
  → アルジェリア人質事件 - Wikipedia



大きな地図で見る


 地図を見ればわかるように、アルジェリアのテロ事件があった場所と、今回のチュニジアとは、かなり距離が近い。また、武装勢力が活動しているリビアとも近い。きわめて危険な地域だ、とわかる。
 冒頭記事には、「チュニジアは中東・北アフリカ地域の中でも比較的治安が安定して」と記してあるが、狭い領域では治安が良くても、周辺は武装勢力の活動する危険な地域だらけだ、とわかる。とても楽観できる状況にはない。

 (2) サヘル地域

 アルジェリアよりも南の方では、砂漠と緑地帯との教会があるが、このあたりは「サヘル地域」と呼ばれ、かなり危険な地域である。前に言及したことがある。
  → 砂漠化とテロ
 そこに引用文があるが、その引用文の引用元に戻ると、次の文章がある。(一部略)
 サヘルというのは、サハラ砂漠の南側にある地域で、砂漠と緑地との中間に当たる領域だ。あまり肥沃でない地域。飢餓が起こりやすい。
 特に最近では、ひどい状況にあるようだ。

 では、どうしてこうなったか? もともと人間が住みにくいのか?
 いや、そうではない。昔はこの地域でも、けっこうまともに暮らせた。しかし今はそうではなくなった。北からアラブ人の武装勢力が侵入して、暴虐の限りを尽くしているからだ。

 恐ろしいほどの状況である。武装勢力が跋扈して、男は暴行と略奪をされ、女は集団レイプされる。読むのもしんどい。この世の地獄だ。他の地域ならば、集団レイプや暴行があれば報道されるが、サヘルでは文明人が訪れることもできないがゆえに、地獄状態であることが報道されない。報道しようとした記者は、暴行され、監禁された。
( → フェアトレードの裏の真実

 とても容易ではないことがわかる。

 (3) ISIS

 チュニジアよりも東では、例の ISIS という残虐な巨大テロ組織がある。これについても、前に何度か言及した。
  → ISISの遺跡文化財の破壊
  → イスラム国(ISIS)の本質( nandoブログ)

 ともあれ、以上の (1)(2)(3) のように、北アフリカ〜中東の地域は、とんでもなく乱暴な無秩序状態だとわかる。

 ──

 こうして、似た例をいくつか見てきた。そして、それらに共通するものを見ると、基盤となるものがわかってくる。それは、次のことだ。
 「米国がイラク戦争でイラク政府を解体したことで、イラク政府の武器が大量に流出して、テロ組織に流れた。つまり、北アフリカ〜中東の地域に莫大なテロの氾濫をもたらしたのは、米国のイラク侵攻だったのである」……(
   ※ 最後の「関連項目」を参照。


 米国のイラク侵攻は、ありもしない大量破壊兵器を阻止するという名目でなされたが、その結果、フセイン政権を打倒するだけでなく、あとにひどい無秩序状態をもたらした。同時に、大量の武器の散逸をもたらした。
 今回のテロの本質は、野蛮なテロ組織自体ではなくて、野蛮なテロ組織を生み出すに至った、米国のイラク侵攻なのである。
 とすれば、「諸悪の根源は、米国のイラク侵攻だ」と理解することが必要だ。これこそが正しい現状認識だ。

 一方、「テロは断じて許されない」なんて唱えるのは、自らの責任を無視して、他人に責任転嫁をしているだけだ。
 安倍首相は次の方針を出している。
  → 後方支援に恒久法明記 与党協議、骨格最終案を提示
 
 こうやって後方支援をやろうとしているが、それが狙っているのは、「米国がイラク侵攻をしたら、それを後方で支援する」ということだ。結局、イラク侵攻のようなことの、片棒を担ぎたい、というのが、安倍首相の狙いだ。
 しかし、イラク侵攻は、テロ組織を肥大させた根本原因である。それを支援しようというのだから、安倍首相は、テロ組織を肥大させようと狙っているのも同然だろう。
 結局、安倍首相がやっていることは、テロの撲滅ではなくて、テロ組織を肥大させることになるような原因を生み出すことなのだ。
 呆れる。



 【 追記 】
 今回のテロについては、ISIS が犯行声明を出したようだ。
  → 「イスラム国」が犯行声明か インターネットに音声
 


 【 関連項目 】 
 本文中の () の件については、前項で述べた。そちらを参照。
  → ISIS の武器供給源は?
posted by 管理人 at 23:59| Comment(0) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
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