危険ドラッグ(脱法ハーブ)による死者が大幅に急増したそうだ。
《 危険ドラッグ、昨年112人死亡…13年は9人 》
危険ドラッグに絡む事件で、全国の警察が昨年1年間に摘発したのは840人で、前年の4.8倍となったことが5日、警察庁のまとめで分かった。
自ら「使用」したことが原因とみられる死者は 112人で、前年の 9人を大きく上回り過去最多だった。乱用者が起こした交通事故死者は4人、重軽傷者は131人だった。乱用者の7割が20〜30歳代で、若年層を中心に蔓延(まんえん)する実態も浮き彫りになった。
( → 読売新聞 2015年03月05日 )
死者が 9人から 112人へと急増したのだから、これは圧倒的な大失敗だ。これが殺人事件だとしたら、オウムのサリン(死者 13人)を大幅に上回る巨悪と言える。近年では最大のテロ事件と見なしてもいいだろう。
では、その犯人は、誰か? 意外なことに、それは警察である。警察がこれほどにも大量の死者をもたらしたのだ。
──
この件は、前に次の項目のコメント欄で述べたことがある。
→ 脱法ハーブ(危険ドラッグ)の規制
引用しよう。
報道によると、規制が進むにつれて、使いやすいものは使えなくなり、使いにくいもの(不純物の多いもの?)が使われるようになるので、副作用がどんどん出るようになったとのことです。
単に死者を減らすのならば、当初の脱法ハーブを合法化して、そっちを使ってもらえばいいのだが、そうはならない。規制を強めれば強めるほど、かえって死者・健康被害者が増えるという逆効果になっている。
( by 管理人 at 2014年07月31日 23:14 )
次の引用記事もある。( → 前出 )
販売や使用が禁止される指定薬物の範囲が広がるのに伴い、危険ドラッグは成分が変わり悪質になっている。
つまり、「規制を強めれば強めるほど、かえって死者・健康被害者が増える」という事態は、すでに上記項目で指摘されている。ただ、それが思ったよりもはるかにひどくて、死者を 9人から 112人に急増させるという、史上最悪のテロ行為となっているわけだ。(警察によるテロ。)
仮に、警察が何もしなければ、当初の危険ドラッグが出回ることになる。こちらは、薬効も弱いし、副作用も小さい。当然、死者が多大に出ることもなくなる。だから、どちらかと言えば、警察は何もしない方がマシだったのだ。警察が頑張って摘発を増やせば増やすほど、死者がどんどん増えるという結果になっている。
──
では、どうすればいいか? この点については、すでに別項で提案した。
(1) 危険ドラッグを合法化する
すでに禁止したものも含めて、すべて合法化する。「摘発リスト逃れ」みたいなことが行なわれなくなるように、当初の危険ドラッグをみんな合法化する。ただし、使用に当たっては、国の管理下に置く。(国のコントロールの下に置く。)
ここでは人々は、国の管理下において、治療の形で、安価に少しずつ使えるようにする。
一方、この管理を逸脱した場合には、逮捕される。
要するに、「管理下で使うか」「管理外で逮捕されるか」という二者択一だ。通常は、管理下で使う。となると、現状のように多数の死者が出ることはなくなる。
→ 平和と麻薬対策
(この項目の後半にある 【 補説 】 に説明してある。)
(2) 危険ドラッグの販売を合法化する
現状では、販売者ばかりが摘発されて、使用者はあまり摘発されにくいようだ。しかし、販売者はむしろ合法化した方がいい。そこに購入者が来れば、容易に逮捕できる。
現状では、店をどんどん摘発するから、裏の販売がどんどん進む。(ネットやら電話やら。)……そのせいで、摘発がしにくくなっている。むしろ、店は自由に開かせておいて、そこに来た購入者を一網打尽にする方が効率的なのだ。店は誘蛾灯のようなものだ。飛んで火に入る夏の虫という作戦。
→ 危険ドラッグ規制の現状
(3) その他
以前は、「価格規制」「ホワイトリスト」という方式を提案したこともあった。
→ 脱法ハーブ(危険ドラッグ)の規制
しかしこれはあくまで「規制する」という方針だ。それは、あまり良くない。むしろ、「合法化する」という (1)(2) の方式の方が好ましい。
(4) マリファナの合法化
ついでに言うと、マリファナを合法化した方がいいかもしれない。麻薬みたいなものを使いたがる人はどうしてもいるのだし、だったら、煙草よりは危険性の低いマリファナでも使ってもらった方がマシだ。少なくとも現状のように高率で死者の出る危険ドラッグを蔓延させるよりははるかにマシだ。
→ 麻薬を合法化するべきか?
とにかく、「年に 112人もの死者を出す」というような現状は、政策としては大失敗だ、と認めることが是非とも必要だ。
[ 付記 ]
危険ドラッグの問題は、警察に任せず、厚労省または麻薬対策局(専門組織)に任せた方がよさそうだ。
警察に任せると、「犯人を摘発すること」ばかりを考える。そのせいで、国家全体でどれほど死者が出ようが、気にしない。かくて、「犯人をいっぱい逮捕しました、死者は大幅に増加しました」という結果となる。これじゃ、「手術は成功しました、患者は死にました」の警察版だ。ヤブ医者みたい。
最大の目的は、「悪を懲らしめること」「正義を通すこと」ではなくて、「国民の生命を守ること」である。それを理解できない警察は、危険ドラッグの対策をする組織としては適切でない。
この問題の本質は、どこにあるか? 国民の生命を守ることだ。そこを理解すれば、もはや警察任せにすることの不適切さを理解できるだろう。
「警察はきちんとやれ。もっと摘発せよ」
なんて叫んでいるときではないのだ。そういうふうに叫べば叫ぶほど、かえって死者は増える。それが 112人という数字に出ている。
【 追記 】
次の項目もある。
→ 危険ドラッグの対策
ここでは、次の趣旨で述べた。
「現状では販売者ばかりを摘発して、購入者は大半が摘発を猶予されているが、販売者を罰するより、購入者を罰するべきだ。店で購入したら、即刻逮捕して、猶予せずに起訴すべきだ。ただし、重い懲役で処罰するよりは、職場から懲戒免職を受けて罰を減免されるようにするといい」
要するに、購入者については、「摘発しない」という現状をやめて、「摘発して、懲戒免職」という形に誘導するわけだ。(懲戒免職を受けない場合には、それなりの懲役刑を受けることになる。)
結果的には、次の二本立てだ。
・ 軽症者については、摘発して、懲戒免職。
・ 重症者については、国の管理下で治療。
これが、本サイトの各項の全体のまとめとなる。
( ※ この件、コメント欄の記述を受けて、2015-03-09 に加筆した。)
【 関連サイト 】
→ 危険ドラッグ:昨年急増 - 毎日新聞
→ 危険ドラッグ「休業」偽装、宅配など形態変える - 読売新聞

また、麻薬患者は自制心がないので、「重罰になりたくないから麻薬をやめる」という行動が取れません。(正常な判断力がありません。)惰性で麻薬を続けます。
結果的に、麻薬患者の数を減らせないまま、懲役の囚人が増えるだけで、コストは膨大になります。
「悪い奴はとっちめてやれ」という子供じみた発想ばかり取っていると、冷静なコスト計算ができなくなります。
悪いやつはとっちめてやれ、といったのは
http://openblog.meblog.biz/article/24130789.html
>そこで私が解決案を示す。それは、販売者を罰するかわりに、購入者を罰することだ。
> こういう甘い認識をする馬鹿者どもの目を覚まさせるには、重罰を科するしかない。一般的には、重罰を科したからといって犯罪が減るとは限らないのだが(たとえば交通事故など)、危険ドラッグの吸引に関しては、重罰が大きな効果を持つ。もともと犯罪の意識がない人が多いからだ。
その意味では、もっとひどく厳罰化した方がいい、とも言える。懲戒解雇ぐらいじゃ甘すぎるね。深海誠さんの見解を受けて考え直したすえ、「購入者への激しい厳罰化」を提案しておこう。懲役 10年ぐらいがいいかも。(軽い飲酒運転と同程度。)
それで揚げ足取りをしたつもりなのかもしれないが、あなたの読解力の不足を示しているだけですよ。
ちゃんと該当のコメント欄を最後まで読んでごらん。その話はきちんと結論を出しているでしょ。
以下、引用。
──
> 刑務所の定員を増やす必要があるし、国費がかかりすぎると思います。
法定刑は厳罰化するが、運用では「懲戒免職の人には起訴猶予」ということで、上記の問題は避けられます。
──
あとね。私のは、
> 重罰にすれば良いと言っていた
じゃないですよ。
私のは、「処罰しないのをやめろ」ということ。「起訴猶予みたいに軽くするのはやめて、きちんと処罰せよ」ということ。「重罰にせよ」じゃない。
比喩的に言えば、「万引き犯を懲役十年にせよ」ではなくて、「万引き犯を起訴猶予にするな」ということ。
違いはわかりますね?
なお、本項の記事では「摘発したのは840人」ということだから、死者に比べてあまりにも数が少なすぎる。だいたい店の数からしても、ヤク中患者は大量にいるはずなので、彼らをすべて摘発するべし、ということ。
また、私のは「治療と処罰のセット」であって、「罰だけの強化」とは違います。わかりやすく言うと、軽症者は罰則で浅いうちにきちんと摘発し、重症者は国の管理下で治療する。単なる厳罰主義とは違います。
誤読しないようにしてください。
揚げ足取りとは思えない。
管理人さんは2014年11月12日◆ 危険ドラッグの対策
http://openblog.meblog.biz/article/24130789.html
の記事で「販売者を罰するかわりに、購入者を罰する」と提案し、さらに
2014年11月14日 12:23 のコメントで
「馬鹿者どもの目を覚まさせるには、重罰を科するしかない」と発言している。
そしたら ishi さんが 2014年11月14日 12:54に
「厳罰化は反対だ。国費がかかりすぎる」と発言し、これを受けて
管理人さんは2014年11月14日 22:28に
「法定刑は厳罰化するが、運用では「懲戒免職の人には起訴猶予」ということで、上記の問題は避けられます。また、罰金刑ならば、収支は黒字になります。」と発言して、
規則は厳罰だが運用で起訴猶予にすると主張した。
その後、この記事では管理人さんは
「 「処罰しないのをやめろ」ということ。「起訴猶予みたいに軽くするのはやめて、きちんと処罰せよ」ということ。」「重罰ではないけど処罰しろ」というわけです。この場合の処罰には執行猶予は入っていないようです。
つまり、また意見が変わった。
重罰→執行猶予→処罰 どれなんだろ?
誤読するなと管理人さんはおっしゃいますが、管理人さん以外の人は上記のように読んでいるのではないでしょうか。
必要のない処罰目的の職場にガサ入れとかTVで報道させるとかは警察のファッショにつながりますね。個人事業主だったら懲戒免職なんてならないから処罰にならないでしょ。被疑者の職業で処罰の大きさを決める訳にはいかないですね。
体調は回復されたようですが、お大事に。
上のコメントの執行猶予はすべて起訴猶予でした。
訂正します
それに対して「懲戒免職または懲役」を提案しています。ここでいう「重罰」は、「懲役三カ月」ぐらいじゃなくて、「懲役数年」のこと。3年ぐらい。けっう重罰でしょ? (現状では原則、見逃しです。)
「もっと重罰を」という見解が出たので、それに一部賛同して、「法定刑は懲役10年」も導入しました。ただし現実には、「懲戒免職(初犯のみ)または懲役3年(再犯以上)」です。
何か、「起訴猶予」ばかり見ているようですが、
・ 現状 …… お咎めなし
・ 私 …… 初犯に限り懲戒免職を条件に起訴猶予。
再犯以上ならば懲役三年。
という感じです。
以上で理解できるでしょ? ま、こんな細かい説明をしなくてもよさそうなものだが。本項は法律論議をするためじゃないんですけど。細かすぎる。
> 個人事業主だったら懲戒免職なんてならないから
何らかの社会的制裁を受けることが起訴猶予の条件、ということ。個人事業主なら、罰金が妥当かな。年収1〜2年分ぐらい。
こんな細かい説明をしなくてもよさそうなものだが。細かすぎる。どうでもいい話。
もしも、無職や不定期労働者の割合が多いとしたら、懲戒解雇などの社会的制裁や多額の罰金を取り立てるのは難しい場合が多く、結局は初犯でも懲役刑にせざるを得ない犯人が多くなるように思います。
危険ドラッグを使用した後に取り締まるだけではなく、使用させないようにする取り締まりを強化することが望ましいと思います。
つまり、販売者側の取り締まりの強化です。
危険かどうかわからない物であっても、ドラッグ以外の物であっても、物を販売する場合は全て届け出を義務づけることが必要だと思います。
食品 動物 酒 古物等の販売には届け出または許可が必要ですが、許可のいらない物であっても全ての物の販売を届け出制にするわけです。
一般のお店も何らかの届け出をしないといけなくなりますが、危険ドラッグを届け出ずに販売していた場合には取り締まりできるようになります。
届け出ていない物を販売したり、後で危険だとわかった物を販売した場合も、届け出ているので、代表者や住所地がわかっており、取り締まりしすくなります。
危険ドラッグに限らず物の販売を全て届け出が必要なようにする案はいかがでしょうか?
全ての商売に届を必要とした場合、以下のようなことも考えられます。
暴力団等が無届けで何らかの商売を始めたら、正当な商売であっても、無届けというだけで取り締まりできるようになります。
届を出して商売を始めたら、より監視を強めればよいわけです。そして、届け出ていない物を売ったとか、難癖をつけて取り締まる訳です。
無法者は口コミの闇販売に特化すると予想できます。結局彼等はその法の網にかからないので、効果は無いか小さいと考えます。
たいして危なくないものをタバコやエタノールの様に合法、専売化する方がいいでしょうね。税収も増えます。