世間では大騒ぎしているが、このくらいの事件は他にも多くある。
警察庁「犯罪統計書」によると、こうだ。
出典
おおむね、年間に 50〜100件ぐらいあるとわかる。
ここ数年のデータは欠けているが、この点は朝日の記事からわかる。
警察庁によると、今回の事件のように、被害者も容疑者も未成年者の殺人事件(未遂を含む)は年間十数件程度起きている。
殺人のうち、首謀格の容疑者と主な被害者がともに未成年者である事件(双方1人ずつの事件を含む)を数えると、昨年は16件、2013年が17件、12年が10件。05年以降のこの10年間、年10件台〜21件で推移してきた。
双方が未成年者の傷害致死事件は毎年数件あるが、昨年はゼロ。
一方、被害者の年齢にかかわらず、殺人容疑で逮捕・書類送検された未成年者はここ数年、年間 50人前後にのぼっている。
( → 朝日新聞 2015-03-01 )
未成年の殺害事件は、「ここ数年、年間 50人前後にのぼっている」ということだ。
いずれにせよ、今回の事件が特別であるわけではない。
他にも多くの例があることは、下記でも示されている。
→ 少年犯罪 - Wikipedia
→ 最近の主な少年・少女の犯罪 New!
特に近年の残虐な事件では、次のものがある。
→ 広島LINE殺人事件
→ 大分市19歳集団暴行死事件集団リンチ殺害事件)
→ 女子高生コンクリート詰め殺人事件
→ 大阪ドラム缶集団リンチ殺人事件 (別記事)
こういうふうにいろいろとある。特に今回の事件(川崎)が突出しているわけではない。「年に 50件ぐらいもある殺害事件の一つにすぎない」と思った方がいいだろう。
今回、特に大騒ぎになったのは、死体が発見されて、大人の変質者による殺人事件だと思われたからだ。仮に、犯人の自首などの形で、最初から「未成年のグループ内の殺害事件だ」とわかっていたら、これほど大騒ぎになることもなく、ひっそりと終わっていたはずだ。
実際、「年に 50件ぐらいもある殺害事件」のほとんどは、報道されることもなく、埋没している。世間では何も知らされないまま、あなたの家の近辺でも、誰かが殺害されているはずなのだ。
今回に限ってことさら大騒ぎをする必要はないだろう。
(どうせ騒ぐなら、他の 50件ぐらい殺害事件全体について騒ぐ方がいい。見えないところに、大切なものがひそんでいる。)
【 訂正 】
「年に 50件」と書いたが、これは数え方を間違えていた。
グラフの数字は、事件の件数ではなくて、加害者の人数だ。実際には事件1件で複数の加害者が存在することが多い。(今回は1件で3人の加害者。)
だから、正しくは「年に 50件」でなく「年に 50人」だ。件数は、朝日の記事にあるように「年に 十数件」となる。
本文中の記事は、いちいち訂正するのが面倒なので、訂正しないでおいて、ここに注記するだけに留める。
【 関連項目 】
もっと建設的な話もある。「事件の再発を防ぐにはどうすればいいか?」という対策の方法。
→ 川崎中1いじめ殺人事件
※ 長期欠席などの被害が出た時点で、いじめ対策と同様に、
学校側や警察の側が、犯罪を解決する対処をすればいい。
現実には、その仕組みが存在しないか機能していない。
こういう制度面から抜本対策することが必要だ。

少年が被害である殺人暴行障害事件って、加害者はほとんどが家族なので、家族内に行政が立ち入る権限を強化した方がいいと思う。