記事を引用しよう。
STAP細胞論文不正問題で理化学研究所は10日、論文の責任著者である小保方晴子・元研究員(31)=昨年12月に退職=ら関係者の処分を発表した。処分は10日付。
小保方氏は「懲戒解雇相当」、共同研究者の若山照彦・山梨大教授については「出勤停止相当」とし、客員研究員の委嘱を同日付で解いた。
不正の舞台となった発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊元センター長はけん責処分で、給与の 10分の1を3カ月間自主返納する。また、論文作成にもかかわった同センターの丹羽仁史・元プロジェクトリーダーは文書による厳重注意とした。
小保方氏は昨年 12月に退職しているため具体的な効力はない。
( → 毎日新聞 2015年02月10日 )
さらに追い打ちをかけて、「告訴の検討」という話もある。
理化学研究所は10日、STAP細胞論文の不正を認定した小保方晴子・元研究員(31)について、懲戒解雇に相当するとの見解を明らかにした。告訴と研究費の返還請求も検討するという。
( → 時事通信2月10日 )
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私の見解は? 前に述べたとおりだ。特に処分に関して言えば、こうだ。
この事件は、理研の組織的な責任がある。無能な若手を、無給研究員から短期間でプロジェクト・リーダーに抜擢して、組織全体で主要な研究プロジェクトとして大々的に推進した。その上、ろくにチェックもしなかった。(無責任体制。)……ここでは、竹市・センター長と、笹井・副センター長と、他の理事全員に、責任がある。これらの組織全体の責任なのだ。
ところが今回、理研は、自らの責任を隠蔽して、すべてを小保方さん一人になすりつけようとしている。これは「トカゲの尻尾切り」ふうの、責任転嫁にすぎない。すべてを末端の一人に責任転嫁して、自分の責任については知らんぷりをするわけだ。呆れるほかはない。
ま、「理研が理研を処分する」というのは、「泥棒が泥棒の処分をする」というようなもので、まともに処分ができるわけがない。犯罪者と裁判官が一致しているようなものだ。犯罪者が裁判官の席に着いているようなものだ。ただの茶番にすぎない。
こういう形で、「すべての責任を一身に なすりつけられた」という形の小保方さんは、ひどい被害者だとも言える。(処分については。)
で、「泥棒自身による判決」を聞いた世間は、「そうか。悪いのは小保方さんなんだ」と思い込む。
呆れる。ひどい茶番だ。理研による隠蔽劇に、社会全体がだまされてしまうわけだ。
【 関連項目 】
理研の組織責任が根源だ、という話は、下記項目にまとめてある。
→ 《 お知らせ 》(STAP細胞についての過去記事)
責任転嫁については、下記項目に記してある。
→ トカゲのシッポ切り
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※ ついでだが、「組織の責任に着目せよ」という一般論は、
前項でも述べている。(アイドルが下半身マヒになった話。)
→ ヘリウムガスで半身マヒ
人々はやたらと「誰それが悪い」というふうに攻撃したがるが、
実は、たいていの場合、組織に根源的な責任があるのだ。
>告訴と研究費の返還請求も検討するという。
「検討」だけなら馬鹿でもできる(たぶん馬鹿な検討しかできないだろうけども)ので、馬鹿が馬鹿なりの検討をすることにいちいち目くじらたてても仕方ない気はするのだけどね。
基本として「告訴」というのは刑事訴訟に向けても用語なので、それをするためには、何らかの刑事犯罪の違反が無くてはならないのだけど、いったい何を問うのかを検討してから言うべきで、馬鹿が頭の中で空想的に刑事犯罪があると考えても、実現は難しいでしょうね。
研究費の返還請求については民事になるけど、これもまた難しい。発注伝票でイカサマでもやって個人のポケットに入れた様な話なら成り立つのだけど、おそらくほとんどは何らかの研究費用に当てられているはずなのでね。