2015年01月30日

◆ ふるさと納税は合法的な脱税

 「ふるさと納税」というのは、合法的な脱税の制度である。

 ──

 「ふるさと納税」という制度が、最近、話題になった。あまりにも特典が大きいからだ。
  → 「ふるさと納税」でコンピュータをもらう
  → 実質2000円で国産PCが手に入る!?

 つまり、2000円を払うと 10万円のパソコンをもらえる。9万8000円も得をするわけだ。(年収しだいだが、高所得者ほど、得をする額が増える。)
 こうして
 「とても得をしますよ」
 という触れ込みで、田舎の都市が「ふるさと納税」を誘う。だが、その分、本来の自治体の税収は減る。
 たとえば、あなたが保育所の多い横浜市で暮らしているとして、横浜市に払うべき 30万円を別の自治体に払う。別の自治体は、10万円を納税者に還元して、残りの20万円をちょうだいする。
 で、別の自治体は 20万円を得るし、納税者は 10万円分の商品を得るわけだが、地元の横浜市では 30万円の損失が発生する。その分、保育所などの地元サービスを低下させるしかない。大多数の人が「ふるさと納税」を利用すれば、地元の自治体に入る金は激減して、地元の自治体は崩壊してしまう。

 これはつまり、「合法的な脱税」である。

 ──

 「合法的な脱税」は、善か悪か? 
 法律的な意味では、「善でも悪でもない」と言える。完全に合法的だからだ。
 しかしながら倫理的には「悪」と言える。地元の自治体に入るべき金を、納税者と別の都市とで、盗んでいるのも同然だからだ。泥棒と同様である。こんなことがまかり通ったら、政治というものは崩壊してしまう。(その前に、保育所などの自治体サービスが崩壊してしまう。下手をすると、ゴミ収集車すら、来なくなるかもしれない。)

 だから、ここでは、「合法的か否か」ということだけを考えていてはダメなのだ。形式的な「合法性」だけを考えるのではなく、「それが結果的に何をもたらすか」を考える必要がある。「自分一人が自治体の金を盗んだって、別にどうってことはないさ」というような発想は、およそまともではないのである。それは「正義」とは正反対の発想だ。(泥棒の発想だ。)

 一般に、詐欺師というものは、人をだまして、人の金を自発的に差し出させる。たとえば「オレオレ詐欺」では、息子や孫のフリをして、老人に自発的に金を出させる。そういう形で、金を盗む。
 「ふるさと納税」というのも、そういう詐欺の一種である。ただ、違うのは、そういう詐欺を国が推進して、自治体が実行している、ということだ。本来ならば、大都市の自治体が反対するべきなのだが、「そんな細かなことはどうでもいい」と思っているせいで、金を盗むことを放置している。
 その意味では、大都市の自治体の首長は、間抜けなボンクラ連中だと言えるだろう。横浜市の市長だけでない。東京の都知事も、大阪市の市長も、利口ぶってテレビに出ているが、実際には、自分の金を盗むに任せている、ボンクラ首長なのである。



  【 補説 】
 何でこのことを書いたかというと、前項のオリックスとの関連だ。
 オリックス会長は「ふんまんやるかたない」と述べた。それは、「自分は間違ったことをしていない」という思いからだろう。「お天道様の下で何一つ恥じるようなことはしていない」という思いがあるのだろう。
 なるほど、彼のやろうとしたことは、完全に合法である。その意味で、犯罪ではない。したがって私としても彼を「違法な犯罪者」「脱法の悪党」というふうに咎めるつもりはない。
 しかしながら、たとえ合法であるとしても、その実態は、「国の財産を盗んでいる」のと同様なのである。

 オリックスの会長も、ふるさと納税を利用する人々も、「合法的に国民の財産を盗もうとしている」という点では、共通しているだ。
( ※ 間抜けな制度を用意している国が悪いとも言えるが、そういう制度を利用して儲けようとしている連中もまた悪い。ひどいものだね。良心のない連中。……とはいえ、今の日本では、「金儲けだけが正しい」という主張がのさばって、「良心に従え」なんて主張はほとんど見られない。ネットでも「これで得しますよ」というような情報ばかり。かくて、国の財産を盗もうとする情報ばかりが出回る。……まったく、ひどいものだ。) 
 


 【 関連項目 】
 下記に続編がある。
  → ふるさと納税が悪である理由: Open ブログ
 ふるさと納税は、基本的には、
 「よその自治体と納税者が共犯をして、現在地の自治体から金を盗むこと」
 である。その意味では、泥棒の一種だと言える。

 ふるさと納税をするのは、たしかに合法的だから、処罰はされない。しかしそれはまさしく現在地の自治体から金を強引に奪うことであり、現在地の自治体に大きな被害を負わせることだ。(保育所や教育費などの財源が奪われてしまう。)

 → ふるさと納税は不公正: Open ブログ
 ふるさと納税は不公正である。一部の人のみが利益を得るからだ。



 【 関連サイト 】

 → Wikipedia 「ふるさと納税」
 → 総務省|自治税務局|ふるさと納税など個人住民税の寄附金税制



   ※ 以下は読まなくてもよい。


 [ 蛇足 ]
 ついでだが、おかしなサイトもある。
  → 「ふるさと納税をしても全体の納税額は変わらない」 は本当か?
 ふるさと納税でマクロでは税収は増える。
 ふるさと納税では2000円は寄付金控除の対象外となるため、その分、納税者が支払う納税額の総額は増える。したがって、マクロで見るとその分の税収はアップするわけだ。また、確定申告が面倒で税金の控除を受けない人もいるので、その分も税収アップにつながる(ふるさと納税をしても確定申告をしない人は結構多い)。
 もっとも、ふるさと納税の半分は、先に見たように特産品の提供者に流れていくので、税収がマクロでアップしても、自治体に純粋に残る真水部分という比較ではマクロでも減るかもしれない。


 何をバカみたいなことを言っているんだか。たしかに税収はアップするが、その分、パソコン代などの巨額の支出が増える。本人も「税収がマクロでアップしても、自治体に純粋に残る真水部分という比較ではマクロでも減る」と書いているが、「かもしれない」という余計な語が付いている。
 呆れるね。「減るかもしれない」ではなくて、「大幅に減る」んだよ。こんな計算もできない阿呆が、経済で有名なダイアモンド社で堂々と記事を書いているのかと思うと、呆れるしかない。
 
( ※ だいたい、自治体の側で損をするからこそ、市民の側は得をするわけだ。それで帳尻が合う。上記のような記事を書いた人は、「金は無から生まれ出る」とでも思っているのだろうか? 呆れる。)
 
posted by 管理人 at 21:31| Comment(22) | 一般(雑学)2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本国全体でみれば損得はないのでは?
税金なんてもともと富の再配分であり、その精神に従えば富める大都市から貧乏な地方へ再配分しているだけとも言えるので詐欺とか盗みとかは言い過ぎと感じる。
Posted by T at 2015年02月01日 00:34
> 大都市から貧乏な地方へ再配分しているだけとも言えるので

 言えません。ふるさと納税の本来の趣旨は、その通りなので、本当にそうであるならば、何も問題はありません。
 現実には、自治体間の再配分ではなくて、税金を個人に還付しています。これが(個人による)「泥棒」「脱税」に相当します。

> 日本国全体でみれば損得はないのでは?

その理屈で言えば、脱税や泥棒も容認するべきでしょう。日本国全体でみれば損得はないんだし。

あなたの説に従うなら、あなたの全財産を国家に納入して一文無しになって下さい。日本国全体でみれば損得はないんだし。

あなたの言い分は、脱税者の屁理屈と同じです。
Posted by 管理人 at 2015年02月01日 00:50
そうですか。
Posted by T at 2015年02月01日 01:53
この話は以前から至るところで指摘されているわけですが、改まるどころか拍車がかかっているように見受けられます。合理的なな立場から抑制しようとする力が不在ということでしょうか。

自治体間の競争は今後も激化し、納税額に占めるお礼の品の割合はますます上昇する一方、全く納税されない自治体も生まれ自治体間の格差は広がっていくと...
Posted by 作業員 at 2015年02月01日 09:37
問題点は、寄付でないものを寄付としてしまっていることです。見返りに商品をもらっていれば、それはもはや寄付ではないはずです。例えば、10万円を送って7万円相当の商品をもらえば、寄付額は3万円とみなすべきなのに、10万円の寄付とみなして98000円も控除するからいけないのです。
Posted by expf at 2015年02月02日 21:18
> 日本国全体でみれば損得はないのでは?

日本国全体でみれば損します。
ふるさと納税の現在の運用は、自治体が選んだ特定の商品のみ、居住地の自治体(と国庫)から大幅な補助を行うことと等しいため、市場原理を歪めるからです。

例えば、3万円のコストのかかる商品について、Aさんが2万円の価値があるとみなしている場合、購入すると社会全体では1万円の損失になりますので、このような取引は成立しない方が良いことになります。通常、2万円の価値しかないものを3万円で購入したりしませんので、このような損失は発生しません。
しかし、ふるさと納税により、実質2000円で購入できるようになるとAさんは購入した方が得になり、社会全体の損失が発生します。

また、税収が減った分を他の税で補うことになるので、税金が増えた他の取引では、社会全体ではプラスとなる取引が行われないケースが出て、こちらでも社会全体の損失となります。
Posted by expf at 2015年02月02日 21:42
<政府は会社>極悪邪悪な売国詐欺師たちがやることですから
http://insidejobjp.blogspot.com/2012/12/blog-post.html
Posted by 千早 at 2016年11月03日 22:07
はじめまして。
ふるさと納税を検索していて、こちらへお邪魔しました。

私はよく言われる「行政サービスのただ乗り」って考え方には納得できません。

ふるさと納税で控除できるのは、住民税のたった2割ですよ?
10万円をふるさと納税で控除できる人は、あと40万円は普通に住民税として納めているわけです。
住民税が40万以下のふるさと納税しない人より自治体にお金を払っています。

同じサービスを受けるくせに非課税や生活保護の方のほうがサービスのタダ乗りではないですか?
Posted by ふるさと納税 at 2017年01月05日 22:17
最初のコメント読むに、管理人さんは、富の再分配については異論無いようですね。
私も完璧な制度とは思っていませんし、返礼品コストは問題だと思いますが、都市と地方の格差が広がる中、再分配をする仕組みが無いので現実的に考えると仕方ない気がします。

国家が介入すれば返礼品分のコストが生じずに再分配できますので、思い切ってそれをやってしまうか(それこそ都市は黙っていないかな)、返礼品なしでも寄付を促す上手い仕組みを作るしかないですね。逆に言うと、現実的に再分配の策が無いから、寄付金上限が所得税の1割から2割になったんだと思いますよ。

「コモンズ(共有地)の悲劇」を防ぐのに、現実的にはコストをかけなければいけないのと似たような話だと思います。
Posted by いつかの通りすがり at 2017年01月06日 01:07
連投すみません。我ながら、

>「コモンズ(共有地)の悲劇」を防ぐのに、現実的にはコストをかけなければいけないのと似たような話だと思います。

の部分が伝わらない、と思ったので、訂正を。

必要悪と言いたかったんですが、より適切な表現は「三方一両損」です。個別にみれば最適ではない手段でも(コストが生じても)、全体最適を図るには仕方ない、ということです。失礼しました。
Posted by いつかの通りすがり at 2017年01月06日 01:51
> 10万円をふるさと納税で控除できる人は、あと40万円は普通に住民税として納めているわけです。

 還元すること自体に反対しているわけではありません。還元したければ、その額を減税すればいい。減税は好ましいことです。

 一部の人だけが減税を受けて、手続きの仕方を知らない高齢者は損をする、……というような不公正な制度を批判しています。それが「合法的な脱税」の趣旨です。
 不公平が問題なのであって、還元が問題なのではありません。
 だいたい、不公平が許されるなら、あなた(を含むグループ)だけは減税の対象とならないような制度でも、賛成できますか? 
 結局、あなたの主張は、「おれだけよければいい」というエゴイズム。

Posted by 管理人 at 2017年01月06日 05:46
>還元すること自体に反対しているわけではありません。還元したければ、その額を減税すればいい。減税は好ましいことです。

でも地方だけ減税したら文句言うんでしょ?本文からはそんな風な印象を受けるのだが…
Posted by ななし at 2017年01月07日 00:14
> 地方だけ減税

 ふるさと減税の対象は、地方の人だけじゃないですよ。というより、どちらかと言えば、都会の人を対象としています。圧倒的多数が都会の人です。地方の高齢者は、減税になっていません。
 つまり、ふるさと減税は、(主に)都会の人だけの減税。
Posted by 管理人 at 2017年01月07日 07:01
>一部の人だけが減税を受けて、手続きの>仕方を知らない高齢者は損をする、……>というような不公正な制度を批判しています。

>だいたい、不公平が許されるなら、あな>た(を含むグループ)だけは減税の対象>とならないような制度でも、賛成できま>すか?

いや、ふるさと納税の機会は全国民に平等に与えられているものじゃないですか。
高齢者にだけふるさと納税の情報が非公開にされているわけではないですよね?もしそうだというのなら、貴方の言い分も納得できますが。
同じ情報を公開して、あとは各自が考えて勝手に運用してねという話のどこが不公平なのでしょうか?

政府から全国民に同じ情報が公開されている以上、その知識を得る努力をした人が旨みを享受でき、しない人は享受できない。

単なる自己責任だと思いますが。
Posted by ふるさと納税 at 2017年02月05日 23:43
> その知識を得る努力をした人が旨みを享受でき、しない人は享受できない。
> 単なる自己責任だと思いますが。

じゃあ、ものすごい知識を得た人だけがパスできるようなクイズを出して、それをパスした人だけが減税になるようにしても、あなたは満足できる? 

たとえば、200万円分の努力をした金持ちだけは免税になって、それだけの努力をする気になれない低所得者は免税になれない……という金持ち優遇でもいいの? 

あなたの言っていることは、要するに「自分のパスできるテストならばいい」と言っているだけ。「自分のパスできないテスト」になれば反対するに決まっている。

そもそも、減税の権利の有無に、テストを課すということ自体が、制度的におかしいのは明らかでしょう。

そんなこともわからないのは、あなたが「自分さえ良ければいい」というエゴイストだから。エゴは真実に対して盲目にさせる。

Posted by 管理人 at 2017年02月06日 06:47
私はエゴイストでけっこうだと思っていますよ。
今ある制度にうまく乗っかって自分の旨みを享受する努力をするほうが、今ある歪んだ制度を変えようと努力するよりもずっと楽ですから。
今年はふるさと納税、どこにしようかなーと毎年楽しんで生活しています。

まあ、なくなったらなくなったで仕方ない。今あるうちに旨みをもらっとけというところですかね。
制度に問題があるのかないのかを判断するのは、私達ではなくて国ですから。
Posted by ふるさと納税 at 2017年02月06日 13:57
↑ あなたがどうするかは、まったく問題ありません。どうぞご自由に。私は個人を咎める意図はない。また、「制度を改革しよう」などと国民レベルで運動するつもりもない。

 これを担当するのは政府であり、政府に対して文句を言っているだけです。
 というより、一般大衆向けに、「真実はこうだ。目先の損得にだまされるな」と告げている。
 本サイトの目的は、政治運動ではありません。真実の探求です。お間違えなく。
 政治運動をしたいなら、政党のサイトへ行きましょう。

> 制度に問題があるのかないのかを判断するのは、私達ではなくて国ですから。

 制度に問題があるのかないのかを判断するのは、私達です。私たちの声を聞いて、国が政治決定します。
 判断を国に丸投げするようでは、ただのロボットか奴隷ですよ。選挙権について学びましょう。
Posted by 管理人 at 2017年02月06日 19:10
ふるさと納税は、東日本大震災やその他の大きな災害などで被害を受けた自治体にとっては恩恵があったようですので、一概に否定はできません。

しかし、我が町の税収アップを目論んだお馬鹿な自治体が、特産品などで国民を釣っている状況が目に余るので、制度の見直しは必須ですね。

東京都の各自治体は、これによる税収減が響いているようで、悲鳴をあげています。
Posted by 反財務省 at 2017年02月25日 14:27
ふるさと納税は、成人までに育った自治体に限定してお返しもなしになればいいとおもいます。

子供のうちはお金を払わないで育ててもらっているから税金を払わないでほかの場所で働くようになったらそこは育て損だと思うからです。

上限を半分くらいにして過去に育った町にも税金を払うことができる制度ができればそれが一番いいとおもいます。
今いる場所も育てるのにお金を使わずに税金を払てくれる人が住んでいるのだから半分くらいは認めるべきだと思います。
Posted by 小学5年生 at 2017年09月14日 19:15
>  by 小学5年生

 いいアイデアですね。感心しました。
 本当に小学5年生? この記事がちゃんと読めるの? 漢字がいっぱいあるんだけど。
 お利口すぎる。
 
Posted by 管理人 at 2017年09月14日 19:22
合法的な脱税というネーミングは違うかと思います。

脱税は、不正手段による租税回避行為なので合法そのもののスキームである以上は、その時点で脱税の要素は皆無であり、これ以上クリーンなものがないくらいの節税です。

法整備が追いついていない盲点をついたり、証明が難しいところを利用した租税回避行為については、脱税というべきか節税というべきか客観的に判断が難しいものはありますが、そういう次元の話でもありません。

制度が過熱することによる全体の税収の減少と不均衡化は、制度の存在自体が全体主義から見て、不適切であるとはいえるかもしれませんが、それは節税か脱税かという論点とは別の次元の話ですから、それがゆえにふるさと納税を、〇〇的脱税と表現してしまうのは違うかと思います。
Posted by   at 2018年12月18日 23:40
 そういう杓子定規の解釈は、誰だってわかっているんです。わかっていて、あえて言語矛盾的なレトリックで語っているわけです。

 パーティーの場で、みんながジョークを聞いて楽しく笑っているときに、一人だけジョークの解説をしはじめたら、「空気を読めない」と思われるでしょう。「こいつ何だって、いちいちわかりきったことを語るんだ?」と。
Posted by 管理人 at 2018年12月19日 00:10
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