2014年12月28日

◆ エコ減税の倒錯

 政府は景気対策または省エネ対策と称して、いろいろと減税を試みているが、エコのためには逆効果だ。 ──

 この件の典型は、「エコカー減税が逆効果だ」ということだ。これは前に言及した。
 エコカー減税というのは、燃費のいい車を減税することだと思ったら、とんでもない。燃費が悪いものほど優遇される。
( → エコカー減税のデタラメ同趣旨の古い記事

 これはあまりにもひどすぎる例だが、これほどひどくはないにしても、倒錯的な例型にもある。そこで、簡単に言及しておく。(あくまで簡単に。)

 エコカー減税


 政府はエコカー減税について、継続・改訂の方向で検討中だ。
 税制改正大綱をめぐって大詰めの作業を行っています。
 調整が残っているのは軽自動車税に新たに適用されることになったエコカー減税の基準で、現在、2020年度の燃費目標を達成した車は25%の減税、燃費目標を20%上回る車の減税幅は50%に、そして、電気自動車は75%の減税という案が検討されています。
 毎年支払う軽自動車税は、来年4月以降に買う新車から現在の 1.5倍の年1万800円に引き上げられることになっていて、負担軽減に向け、エコカー減税の基準が最終調整されます。
( → 「税制改正大綱大詰め、軽エコカー減税で最終調整」 News i - TBSの動画ニュースサイト

 これは、「省エネと景気対策で一石二鳥」という思惑らしいが、とんでもないことだ。(詭弁とすら言える。)
 そもそも、ここでは、「自動車業界だけで減税される」という構造がある。一方、自動車というのは、日本で最大のエネルギー浪費をするものだ。電動自転車や、オートバイや、電車に比べて、圧倒的なエネルギー浪費をする。そんなものに、ことさら減税をするのでは、方向が逆だ。
 [誤] エネルギーを浪費する産業で減税をする
 [正] エネルギーを浪費する産業で増税をする

 つまり、本当に省エネをしたいのであれば、自動車産業で増税をするべきなのだ。特に、ガソリン税で増税をするべきだ。これが最もエコになる。
  → エコ詐欺の減税
 なのに実際には、自動車業界だけで減税をする。これは、国全体では、「エネルギーを浪費するものほど優遇する」と言うことだから、省エネに対しては逆効果なのだ。

( ※ 自動車業界という狭い内部だけを見るとエコのように見えるが、もっと広い全体を見ると、自動車業界だけの減税というものがエコには反するとわかる。)

 灯油購入への助成


 政府は景気対策と称して、低所得者の灯油購入への助成を実行しようとしている。
  → 総額3.5兆円程度 経済対策 閣議決定(NHK 2014-12-28)
 しかしながら、灯油というのは、エネルギー効率が悪い。昔ならば、「灯油は低所得者向けの安価な熱源で、ガスや電気は高所得者向けの高価な熱源」と言えた。しかし、今は違う。
 一番安価なのは、電気のエアコン暖房である。エアコンでアー、ヒートポンプを使って、室外の熱を室内に移動させる。この場合、熱を発生させるのではなく、熱を移動させる。高から、室内を暖める効率が、とても高い。消費した何倍ものエネルギーを、室内にもたらすことができる。当然、コストも低い。低所得者ほど、エアコン暖房を使うべきなのだ。しかも、省エネでもある。
 データは、別項のコメント欄に記したが、それを丸ごと転載しよう。(孫引き)

2230kcal=2.6kwの発熱にかかる費用
石油ストーブ :17円
石油ファンヒーター:19円
石油FF系 :21〜26円
---------------------------------------------
エアコン(外気温7度・2度・-15度での費用)
COP6(最 新 型):10円・13円・15円
COP5(普 及 機):12円・16円・18円
COP4( 5年落ち):15円・20円・22円
COP3(10年落ち):20円・27円・30円
----------------------------------------------
ガスストーブ :30円
ガスファンヒーター:31円
-----------------------------
電気ストーブ :60円
セラミックヒーター:61円
ハロゲンヒーター :60円
オイルヒーター :60円
蓄熱暖房 :60円
-----------------------------

http://logsoku.com/thread/gimpo.2ch.net/kaden/1235753773/
( → 別項

 というわけで,エアコンが一番安いのである。
 なお、上記のデータにのときに比べて、現在では石油の価格はかない上昇している。現実には、灯油の価格は上記よりも高くなっていると見ていいだろう。



 [ 付記 ]
 オマケでもう一つ。エコとは関係ないが、別の減税がある。「相続税の減税」というやつだ。
 政府・与党は、結婚や出産、育児の費用を親や祖父母から提供してもらう際に贈与税が非課税になる新制度について、資金を使い切る前に親や祖父母が死亡すれば、残額を相続税の課税対象とする方針を固めた。
( → 読売新聞 2014年12月24日

 これには早速、批判の声が上がっている。
  ・ 金持ち優遇にしかならない。
  ・ 結婚・出産の促進にはならない。

 という理屈。
  → 「結婚資金」が人生の3大支出にならない3つの理由(ワケ)
  → 贈与拡大、消費刺激狙う 高齢者資産の活用促す 「格差の固定化」も
  → (声)ジイは孫にお金はあげないよ:朝日新聞デジタル

 まったく、ごもっとも。特に、「結婚式にかかる資金を援助する」というのは、馬鹿げている。若者が結婚できないのは、結婚式をする費用がないからじゃない。そのくらいのことで結婚を諦めるはずがない。
 若者が結婚できないのは、結婚してからの生活費や、育児費用などをまかなえないからだ。生存のための基本的な費用が足りないのだ。なのに、「結婚式にかかる費用」なんかを援助しても、ほとんど意味がない。
 また、「金持ちの孫だけ」という形で巨額の援助をしても、ほとんど意味がない。だいたい、金持ちの孫なら、相続税がなくても、もともと金持ちであることが多い。金がなくて困っているのは、貧乏人で会って、金持ちの孫ではないのだ。援助吸うべき対象を間違えている。呆れるしかない。

 そもそも、相続税の減税なんて、恩恵の対象が限定されすぎている。それよりは、国民全体に対して、減税をするべきだ。
 では、そうしたか? しなかった.逆に、増税をした。つまり、「消費税の増税」だ。
 ここで「財政再建のために増税が必要だ」と言っておきながら、「相続税や法人税の減税で大幅減税します」なんて、矛盾しているし、逆効果だ。財政再建のためなら、相続税や法人税を増税するべきだ。景気対策なら、消費税を減税するべきだ。
 ところが政府のやっていることは、その逆だ。消費税を増税して、相続税や法人税を減税する。これでは、「景気悪化と、財政悪化の、双方をもたらす」という結果になる。
 やるべきことが正反対だ。狂気の沙汰だ。
posted by 管理人 at 23:54| Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぼったくり地帯を、鴨ネギがヨタヨタと徘徊したのだから自業自得。
苦い薬ではあるが、人生経験としては悪くない。そういう世界があることを知ったのだから。
 友人知人に、その悲劇談を語りまくるので、説得力のある拡声器となり周知される。

 かなり昔、歌舞伎町で甘言に釣られて、入った店は、呼び込み台詞とまるで違う状況。
「九州じゃ、こげんなことはなかと」とマジで抗議していると、責任者の兄さんが出てきて、
「すまんかった。まぁ、遊んでいってくれ」とドリンク瓶をくれた。「マムシドリンク」。
せっかくなので飲ませてもらってから、店を出た。喉がカァーと火照ってきた。
 あの頃の歌舞伎町は、世間の良識が通じる兄いたちが運営していたのだろう。妙に懐かしい。
Posted by 思いやり at 2014年12月30日 18:14
ぼったくり都市へのカキコミを、誤って「エコ減税の倒錯」に入れてしまい失礼しました。

 エコカー減税については、おかしなところもあるけれど、全体として燃費の良いクルマへシフトさせているので、
効果はあるのでは。私は、現在、5km/リッターのクルマに乗っていますが、乗り心地が良いこと、なかなか壊れない
ことで、仕方なくエネルギー浪費に貢献です。
 クルマを更新するときには、間違いなく燃費の良いものを選択したい。選択に迷うほど、魅力的なクルマが増えて
いますね。北海道でレンタカー軽を借りて走ったとき、走っても走っても燃料計のメーターが減らないのに仰天!!!

 
 暖房系には、日本の森林資源も適宜に活用したいものです。木材としての利用価値のない、廃材、小枝、カンナ屑
などをペレットにして、ペレット・ストーブに利用するのも良し。欧州のペレット・ストーブの性能進化は凄まじく、
一次燃焼、二次燃焼、三次燃焼させ、とことん燃やし尽くす(クリーン・バーン)ので、有害排気ガスの発生量は、
石油ストーブより遥かに少なくなっている。デザインも美しく、操作もスマートフォンでできる。
 これは、「エコ減税」というより「地方創生」のジャンルですね。
Posted by 思いやり at 2014年12月30日 21:47
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