2014年12月23日

◆ エコカー減税のデタラメ

 エコカー減税というのは、燃費のいい車を減税することだと思ったら、とんでもない。燃費が悪いものほど優遇される。 ──

 エコカー減税というのは、燃費のいい車を減税することだ、という建前だ。
 しかし現実には、やたらと減税を振りまいて、自動車業界に補助金をばらまいているのも同様だ。

 ──

 話題で言うと、最近では、軽自動車にまでエコカー減税を、という方針になっている。
  → 軽新車もエコカー減税 来年度から

 軽自動車なんて、もともと低燃費だからという名目で大幅減税になっているのに、その上さらに減税をするわけだ。話が逆だと思うですけどね。軽自動車はもっと大幅に増税するべきだろう。少なくとも、道路建設費の分ぐらいは負担するべきだ。(鉄道利用者はそうしているんだしね。いや、首都圏の鉄道利用者は、余計な金を莫大に払っている状況だ。山手線などは大幅黒字だからだ。地方の利用者のために莫大な税を払っているのも同然だ。)
 ま、それはともかく。……

 ──

 自動車のエコカー減税というのは、これだ。
   → エコカー減税

 ここに表があるとおりで、「平成27年度燃費基準+20%達成」というだけで、大幅な減税となる。

 では、平成27年度燃費基準とは? これだ。(PDF)
  → 平成27年度燃費基準値及び減税対象基準値

 見ればわかるように、重量が多いものほど、燃費基準が甘い。軽自動車クラスだと 25km/L が要求されるのに、大型車では 10km/Lでも済む。で、その結果として、非課税になったり、 75%軽減になったりする。
 これでは、重量の多いものほど優遇されるわけで、「燃費が悪いものほど優遇される」というのと同様だろう。(完全にそうであるとはいいきれないが、そういう要素がかなりある。)

 ──

 しかも、である。次の報道がある。
 《 新型スズキ・アルトは60kgの軽量化で燃費リッター37キロ 》
 新型アルトは、ベーシックな軽自動車として燃費性能の向上などをシンプルに追求、FF・CVT車で37.0km/Lというガソリンエンジン車としてもっとも優秀な燃費性能を実現しています。
 燃費性能に効いているのは軽量化です。従来モデルとの比較で約60kgも軽くなり、最軽量グレードの車両重量は610kgとしています。
( → アメーバ・ニュース

 つまり、燃費に一番効くのは、軽量化なのだ。以前は、空気抵抗とか、エンジンの燃費効率とか、マイルドハイブリッドとか、いろいろ工夫をしたのだが、そういう工夫もやり尽くした。そうなると、残るのは軽量化しかない。というわけで、大幅な軽量化によって、ダイレクトに燃費の向上をもたらしたわけだ。

 だから、政府が「燃費改善」を狙うのであれば、「自動車の軽量化」をどんどん推進すればいいのだ。
 ところが現実には逆で、「重量の重いものほど優遇する」という形で、重量増加を推進している。軽量化を推進するべきエコカー減税で、軽量化とは逆のことを推進している。
 狂気の沙汰だ。

 数字の使い方をまったく理解できたいないとしか思えない。あまりにもひどい制度設計だ。
 馬鹿が役人をやると、一国全体が狂気の方向に向かってしまう。



 【 追記 】
 この制度がおかしな制度である証拠に、制度を巧妙に利用(悪用?)する例も見られる。
 既存の車種に、わざと無駄な装備品を載せて、重量を増加させて、1クラス上の重量枠に入るようにする。すると、重量増加のせいで燃費が少し悪化するが、重量枠で設定される基準燃費が大幅に甘くなる。
 モデル的に示すと……

  1200kg で 燃費 14.5km/L で、達成率 110%。
  1250kg で 燃費 14.0km/L で、達成率 120%。


 前者に比べて後者は、重量増加のせいで、燃費が少し悪化しているのだが、基準設定が大甘になるせいで、達成率が 120%に向上している。おかげで、後者は大幅に減税となる。燃費が悪化すると、大幅減税になるわけ。
 で、こういう制度を利用するために、メーカーはあえて重量を増やして、燃費を悪化させるわけだ。減税してもらうために。……もう、滅茶苦茶ですね。

( ※ 上の数字は架空のものです。調べるのが面倒なので。実際には別の数字です。)
 


 【 追記 】
 本項と同趣旨のことは、下記項目でも簡単に言及した。

 → エコ詐欺の減税
 → 地球温暖化と中国の民主化

 項目の最後のあたりで、「ガソリンの消費量のみに応じて課税すればいい」という話もある。
posted by 管理人 at 22:20| Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
クルマは買いやすいけどエコというのが目的であれば、固定の税金を一切廃止して燃料課税を上げれば良いですね。
巨大なSUVであろうと古い技術の旧車であろうと、週末にちょっと乗るだけならエコですし、プリウスであろうと毎月1万kmとか走ればエコではありません。
同じ使い方なら燃費の良いクルマの方が有利かもしれませんが、全く同じ使われ方なんてクルマは1台も無いと思いますので、エコかどうかは買った人の裁量に任せてもらいたいと思いますね。
私はクルマをサーキットに持ち込んでスポーツ走行をしますが、年間のガソリン使用料はたかだか1,000リットル程度です。エコですね。
Posted by クルマ好き at 2014年12月24日 21:04
こんにちは。いつも管理人さんの記事に唸りながら拝見しております。
前々から大重量の車ほど高燃費達成が難しいので基準を緩やかにするなんて、エコとは程遠いと思っておりました。クルマ好きさんの言うとおりガソリン課税が一番COの排出量と連動しているのでふさわしいと思っています。しかし、この車業界と行政と密接な関係にあるのか解りませんが(他の業界でここまで消費拡大の為に減税してくれないのでむくれてます)、大きな(高利益の高級車)がエコでないから、税金が高いからと敬遠されると困るんでしょうか。エコ減税じゃなくてエゴ減税ですかね。
Posted by sara at 2014年12月25日 13:17
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