北朝鮮のサイバー攻撃を受けて、ソニー・ピクチャーが映画公開を停止した。
これを受けて、米国は北朝鮮にサイバー攻撃を仕掛けて、サイバー戦争を始めるつもりらしい。読売新聞・朝刊 2014-12-21 に詳しい記事があるが、ネットにも簡略な記事がある。
米オバマ政権は19日、ソニー傘下の映画会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメントに対するサイバー攻撃について、北朝鮮が関与したと断定した。
米連邦捜査局(FBI)は、十分な証拠を得たとする捜査結果を発表した。オバマ大統領は同日の記者会見で「相応の適切な措置」をとる方針を示した。
( → 「北のサイバー攻撃」断定、米が対抗措置へ )
米連邦捜査局(FBI)は、サイバー攻撃について、使用されたプログラムなどから、北朝鮮当局が関与したと断定した。「安全保障上の重大な脅威」と呼び、「国家の行為として許容範囲を超えている」と強く非難している。
オバマ大統領は記者会見で「犯罪の性質に相応な措置について決断する」と述べ、北朝鮮に対抗措置を取る方針を表明した。
対抗措置の内容は不明だが、米側が北朝鮮にサイバー攻撃を行うとの見方もある。
( → 米映画中止 看過できぬ北のサイバー攻撃 : 社説 )
上記記事には「サイバー戦争」という語はないが、読売の朝刊にはその語とともに詳細な情報がある。はっきりと決めたわけではなくとも、サイバー戦争をする気は十分にあるようだ。それというのも、サイバー攻撃をする世界最高の能力を持つのは米軍だからだそうだ。ウイルスへの防御を整える一方で、自分でも攻撃するウイルスをせっせと開発していたらしい。(似た例では、イスラエルがイラクの核施設にウイルスを感染させたサイバー攻撃の例がある。)
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さて。私の見解は、こうだ。
「米国はやたらと戦争を始めるのが好きだが、やめてほしい。戦争をすれば、攻撃しても、攻撃される。そのせいで、周辺にも被害が出る。双方に多大な被害が出るので、馬鹿げている」
こんなこともわからないで湾岸戦争を始めたのが、父ブッシュだ。長男ブッシュも、第二次湾岸戦争を始めて、二の舞だ。あげく、イラクではとんでもない被害と混乱が発生したし、テロ活動はひどく活発化したし、米国その他の被害も甚大だ。まったく、百害あって一利なし。(いや、一利ぐらいはあったかな。そのせいで、百害が生じた。)……馬鹿丸出し、とはこのことだ。
で、それと同様のことを、またしても始めるらしい。しかしそんなことをやれば、北朝鮮の攻撃を受けて、西側世界の各地で被害が続出するに決まっている。馬鹿げている。いくら北朝鮮に被害を与えることができても、こっちも莫大な被害だ。しかも日本は、とんだとばっちりを受ける。
では、どうすればいいか?
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ここで、順序立てて考えよう。
(1) 先にやったのは
これは喧嘩だが、最初に手を出したのは、ソニー・ピクチャーズである。ググってみよう。
→ 北朝鮮 頭部 - Google 検索
ここから引用すると、こうだ。
「金第1書記の頭部が戦車の砲弾で炎上し、溶解する場面」
「この映画で、金正恩は終盤に頭部を爆破されて死ぬ」
「顔が溶け……髪の毛の火や顔が燃え……頭部が吹き飛ぶ」
これは、現存の国家元首に対しては、明らかに礼を失しており、名誉毀損に当たる。こんなことは、普通の個人に対してやったって、名誉毀損という犯罪に当たる。
つまり、先に手を出したのは、北朝鮮ではなくて、米国の側なのだ。
米国というのはやたらと、他国に被害を与えておいて、その反撃を受けると、相手を「テロ」呼ばわりする。呆れる。
「自分が殴るのは正義の行為。相手が殴るのはテロ行為」
これはジャイアンの理屈だ。馬鹿げている。
(2) 逆効果
それでも、次のことは成立するかもしれない。
「こっちはせいぜい映画で描いただけだ。それに対してサイバー攻撃をするなんて、とんでもないことだ。断じて許されない」
この理屈は、妥当である。しかし、だ。
「相手がけしからんことをやったから、相手を攻撃するのは正当だ」
というのが、今回の米国の方針だ。で、その方針は、北朝鮮にも当てはまる。
つまり、米国が、
「相手がけしからんことをやったから、北朝鮮を攻撃するのは正当だ」
と言うのであれば、北朝鮮が、
「相手がけしからんことをやったから、米国を攻撃するのは正当だ」
と言えることになる。
何のことはない。今回の米国の「報復」という方針は、北朝鮮の理屈そのものだ。つまり、米国の「報復は正しい」という方針を取ることで、北朝鮮のサイバー攻撃を正当化してしまっているのだ。
北朝鮮のサイバー攻撃を理論的に擁護する最大の味方が、米国そのもだ、というわけ。自己矛盾。自家到着。オウンゴール。……要するに、馬鹿丸出し。
(3) ネット遮断
では、どうすればいいか? 何もしないで、北朝鮮のサイバー攻撃を甘受すればいいか? いや、そうではない。むしろ、うまい方法がある。
「北朝鮮をテロ国家と認定して、北朝鮮をインターネットから遮断すること」
これが現実的だろう。
具体的には、こうだ。
・ 海底ケーブルがあるなら、海底ケーブルを爆破する。
・ 中国やロシアとの間に回線があるなら、その回線を遮断する。
後者は、中国やロシアに要請すればいい。要請は受け入れられるはずだ。なお、仮に受け入れられなければ、中国やロシアそのものを「テロ国家」と認定して、これらの国をインターネットから遮断してしまえばいい。
ま、もしかしたら、無線による回線は生き残るかもしれないが、無線による回線の容量は小さいから、どうってことはない。例外が少しぐらいはあってもいい。とにかく、国家の回線の大部分を遮断してしまえば、それでいいのだ。
特定の個人をネットから遮断することは不可能だが、国全体をネットから遮断することは可能である。光ファイバーケーブルという物理的な手段に依存しているからだ。こいつを破壊すれば、ネットからの遮断は可能なのだ。
サイバー戦争なんかをするより、サイバー遮断をする方が、ずっと効果的なのだ。
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結論。
「売られた喧嘩は買う」
というのが、米国の方針だ。しかしそれは、あまりにも愚かな方針である。
「売られた喧嘩は買わない」
というのが、理性的な人間のやることだ。かわりに、
「喧嘩を売った奴は、村八分にする」
というのが、正しい方針だ。( Google 八分のかわりに、ネット八分にするわけ。)
※ 米国のやっているのは、トンデモ8分だ。
需要>供給じゃないと儲かりません
歴史の教科書って、戦争のことばかりです。
日本のオタクも、「進撃の巨人」とかに熱中しているしね。
オバマの頭部が爆破される映画を北朝鮮が作ったら、一体どういう反応をするんでしょうねσ(^_^;)
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> 米オバマ政権が 北朝鮮によるサイバー攻撃への対抗措置として、北朝鮮が攻撃の際に使用するインターネット網を遮断するよう中国に協力を求めた
→ http://www.yomiuri.co.jp/world/20141221-OYT1T50063.html
→ http://www.geekpage.jp/blog/?id=2014/12/23/1
NSAあたりがやってるんじゃないですか。政府命令で。
ネタとしてはちょうどいい。