2014年12月20日

◆ 人間のDNAの半分はバナナと同じ?

 「人間のDNAの半分はバナナと同じだ」という俗説が出回っているが、本当か?

 ──

 この俗説を聞いたが、疑わしいので、調べてみた。

 まず、同様の俗説は、ネット上にあふれているが、しっかりとした典拠は見出せなかった。最もたしからしいのは、これ。
 たしかに人類はの遺伝子をチンパンジーと共有している。が、その半分はバナナとも同じ遺伝子である。
( → 書籍の一部抜粋

 これは皮肉のために語っただけだが、冗談半分みたいなもので、はっきりとした典拠とはならない。

 似たデータを見ると、次の話がある。
○○とヒトの遺伝子シンクロ率
  ヒト同士 99.9%
  ネズミ 97%
  サカナ 85%
  ウニ  70%
  ハエ  60%
( → 各種の動物との一致率

 これらは、かなり知られた数字である。ここからたぶん「植物は 50%程度だ」と類推したのだろう。そう推定できる。

 では、その類推は、正しいか? 正しくない。なぜなら、上の数値の続きみたいにして、次の事実があるからだ。
 人間は、遺伝子の7%が大腸菌と、21%が回虫と、90%がネズミと、98%がチンパンジーと共通しています。
( → GenomeJapanese

 つまり、回虫との一致率は 21% で、大腸菌との一致率は 7%だ。
 で、植物はどうかというと、大腸菌と回虫の中間である。次のような系統図が成立するからだ。(大腸菌は原核生物)

                動物 ─ 回虫
  原核生物 ─ 真核生物 <
                植物 ─ バナナ


 というわけで、7% と 21% の中間で、15%ぐらいの数値が妥当であろう。
 
 結論。

 人間とバナナの遺伝子の一致率は、おおよそ、15%程度である。(7% と 21% の中間である。)
 
 かくて、「人間とバナナの遺伝子の一致率は 50%だ」という説は否定された。



 [ 付記 ]
 ここで述べた情報は、「絶対に確かだ」というほどではない。あまりはっきりとしない情報と、いくつかの推定に基づく。
 疑わしいということはなくて、たぶん信頼できる数字なのだが、あくまで「たぶん信頼できる」であって、「確実」ではない。
 もっとはっきりとした情報は、たぶんどこかで入手できるだろうから、入手できたら、コメント欄にでも書き込んでほしい。
 本項では、とりあえず、おおまかな真実という形で、概要を記すに留める。
 なお、「人間とバナナの遺伝子の一致率は 50%だ」という説については、「これは間違っている」と確実に言えるだろう。ハエでさえ 60% なのに、 50%なんて、ありえないですよね。
(植物ははるかに遠い。) 
 


 【 追記 】
 新たな詳細情報を得たので、追記しておく。(簡単に言うと、結論は変わらない。)

 まず、コメント欄で、次の情報を得た。
 英国の Natural history museum のページに人間とバナナのDNAシーケンスはおよそ50パーセント一致するという記事がありました。

 確かにそういう情報があるが、このページは学術ページではない。
 そこで、前回は日本語情報だけを検索したが、今度は英文情報も検索してみた。
  → dna banana human identical - Google 検索
 同様の情報をたくさん得たが、いずれも、科学トピックを扱う素人向けのサイトばかりで、学術的な情報のページは見つからない。
 ただし一つだけ、有力な情報を見つけた。(
 To the question of whether sharing 96 percent of our genetic make-up with chimps makes us 96 percent chimp, evolutionist Steven Jones, a renowned British geneticist, humorously commented, “We also share about 50% of our DNA12 with bananas and that doesn’t make us half bananas …”

  Google 機械翻訳
 チンパンジーとの遺伝的構成の96%を共有する私達の96%チンパンジー、進化論スティーブン・ジョーンズ、有名な英国の遺伝学者、ユーモラスにコメントし、「我々はまた、私たちの約50%を共有できますかどうかの問題に DNA バナナと、それは私達の半分バナナことはありません...
( → DNA_Similarities - Evidence for the Evolutionary Model

 これは、冒頭で紹介した「教授」と同じだろう。で、あくまで皮肉っぽく語っただけであり、「 about 50% 」というのは非常におおざっぱな数字だとわかる。つまり、「よくわからないが、0%と 100%の間の数値である」と言っているにすぎない。他の種における 60% というような数値の精度と同レベルの精度で述べているのではない。(注意! 重要!)
 したがって、この 50% という数値を、他の種における 60% というような数値と並べて扱うのは、きわめて不適切である。

 では、学術的にはどうか? そもそも、「バナナ」という言葉を使うところからして、怪しい。バナナの DNA シーケンスを調査した、という話は聞いたことがない。
 一方、産業的に重要なイネ(稲)の DNA ならば調査済みだ。
  → 日本人の主食、イネのゲノムが解読されました
 このように、ゲノムが解読済みの植物は、あまり多くない。そのなかに、バナナは含まれていないようだ。したがって、「バナナの遺伝子」というようは話は、冗談半分の与太だと見なすのが正しいだろう。実際、上記の () の記事も、バナナの遺伝子の件はあくまでジョークというふうに扱っているだけだ。

 では、正しい数値は? バナナではなくて、植物一般を探ればいい。検索してみよう。
  → dna plant human identical - Google 検索
 これを見ると、「バナナが 50%」というような与太情報も散見されるが、まともな情報も見つかる。これだ。
 We share 35% of the nearly 7,000 tested protein families with the algae Chlamydomonas and flowering plants. These genes were selected with the purpose of locating the homologs. When looking at all the entire genome the shared percentage will drop. So we share less than 35% of the most basic genetically regulated cellular functions with algae.
 http://www.sciencedaily.com/releases/200...
 http://www.biomedcentral.com/1471-2164/8...

 Since then the comparison as a complete genome’s protein homology has us sharing 17% with Arabidopsis, 15% with rice, 11% with yeast, 2% with E. coli.
Some percentage of the total number of genes have homologs in other species.
 http://eugenes.org/all/hgsummary.html

Google 機械翻訳:
 私たちは、藻類クラミドモナスと開花植物とほぼ7000テストのタンパク質ファミリーの35パーセントを共有する。 これらの遺伝子は、同族体の位置を特定する目的で選択した。 すべてのゲノム全体を見たときに、共有割合が低下します。 だから我々は、藻類で最も基本的な遺伝的に規制対象の細胞機能の35%未満を共有しています。
 http://www.sciencedaily.com/releases/200 ...
 http://www.biomedcentral.com/1471-2164/8 ...

 それ以来、完全なゲノムのタンパク質の相同性などの比較は、私たちは、シロイヌナズナと17パーセント、米15%、酵母と11%の、大腸菌との2%を共有しています。
 遺伝子の総数のある割合は、他の種における相同体を有する。
 http://eugenes.org/all/hgsummary.html
( → How much dna do humans "share" with plants?

 ここには、「シロイヌナズナと17パーセント、米15%」という数字が示してある。これが植物の DNA との共通度の数値だ。バナナに対しても、同様の数値が得られるはずだ。
 というわけで、本文中における 15% という数値は、もともと正しかったのだ、と結論できる。
     《 注記 》
     数値は、最初は「15%」と書いたあとで、範囲を広げて「10〜15%」と書き直したが、そのあとでまた「15%」に戻した。
     理由は、動物と植物はともに真核生物だが、真核生物になるためには大きな飛躍が必要なので、真核生物同士である動物と植物との違いはあまり大きくないだろう、と推定されたからだ。
     「回虫との一致率は 21% で、大腸菌との一致率は 7%」ということであれば、大腸菌よりは回虫の方に近い一致度になるはずだ、と推定した。そこで、数値を「15%」に戻した。
     結局、この数値(私の推定値)が、かなり真実に近い数値だった、と結論されるわけだ。

     



 【 関連サイト 】

 植物の遺伝子調査として、稲が選ばれたのはわかるが、シロイヌナズナが選ばれたのはなぜか? それを調べたところ、次のサイトが見つかった。
  → 「植物の謎を解き明かすシロイヌナズナ」

 ※ こういうことからしても、シロイヌナズナと稲は例外的だとわかる。
   バナナについては解読されていないはずだ。

 ※ 【 訂正 】
    あとで調べ直すと、バナナについてはすでに解読済みだった。
    → バナナ原種のゲノムを解読 | 2012/7/12

posted by 管理人 at 21:55| Comment(3) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
英国のNatural history museum のページに人間とバナナのDNAシーケンスはおよそ50パーセント一致するという記事がありました。

http://www.nhm.ac.uk/nature-online/evolution/what-is-the-evidence/morphology/dna-molecules/
Posted by at at 2014年12月21日 03:05
上記コメントを受けて、新たに調べ直したあと、 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年12月21日 10:12
 新たな情報。
 馬の遺伝子について調べたところ、
 「2009年、同定された遺伝子は2万322個であることが発表され、このうち約4分の3に当たる1万5027個についてヒトの遺伝子と一致することが判明した」
 とのことだ。

 → https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%9E

 つまり、馬と人間の遺伝子の一致率は 74% である。
Posted by 管理人 at 2019年04月20日 08:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ