2014年11月23日

◆ 太陽光電力の供給過剰の意味

 太陽光電力が供給過剰になったので、電力会社が買い入れの制限をしている。その意味を考える。 ──

 太陽光電力が供給過剰になったので、電力会社が買い入れの制限をしている。
 九州電力は、民間業者などが太陽光など再生可能エネルギーで発電した電力の受け入れを一時「保留」として、事実上中断する検討を始めた。九州では太陽光発電が急増し、電力の安定供給に支障が出かねないためだ。
( → 朝日新聞 2014年9月20日

 ところが、これに対して、「供給過剰ではないぞ」という反論が出た。朝日の編集委員の意見。
 福島県内に電気を供給する東北電力の場合、経済産業省が固定価格買い取り制度(FIT)の認定をした太陽光発電設備は5月末現在で1073万キロワット。電気を一番使わない5月の平日の需要は970万キロワットというから、すべての設備が稼働すれば、需給は拮抗(きっこう)するようにみえる。
 しかし、それは数字の上でのことだ。
 そもそも太陽光は夜間は発電できず、昼間の発電量も天候に左右される。東北電力管内の東北・新潟の7県全域がずっと晴天で、風も全域で強くて風力発電がフル稼働するといった偶然がいくつも重ならない限り、電力の供給は需要を上回らない。
( → 朝日新聞 2014年11月22日(ザ・コラム)再生エネルギーの現実 受け入れ中断、めげぬ被災地
asahi1411.gif

 呆れた。この人は「供給過剰にはならない」とばかり言っているが、意味をまったく理解できていないようだ。
 「供給過剰になると困る」というのは、一般的な商品の場合には成立するだろう。余ったものが売れ残るのは問題だからだ。
 しかし太陽光は違う。供給過剰になったところで、何も問題はない。「売れ残りのせいで原価が回収できなくなる」というような問題は生じない。(原価は発電量に比例しないからだ。)
 では、何が問題か? 「供給過剰」ではなくて、「変動を調整できなくなること」である。上記の朝日記事にも少し書いてあるが、日経の記事にも書いてある。
 九州電力は21日、再生可能エネルギーの買い取り手続きを中断している問題で、出力が50キロワット未満の低圧に関して買い取り手続きを再開すると発表した。
 天候による発電量の急な増減を吸収できず、電力の安定供給に影響を及ぼす恐れがあるとして、九電は9月25日から送電網への接続申し込みの回答を保留している。
( → 日経 2014/10/22

 ここに書いてある通りだ。具体的に言えば、次のトラブルが考えられる。
 「太陽光の発電量が天候のせいで急激に低下して、100%から0%にまで落ちてしまった。そのために火力発電を、短時間で0%から 100%まで増やそうとした。ところが、あまりにも急激に増やそうとしたせいで、火力発電の装置の一部が故障してしまった。そのせいで、あちこちで停電が発生した。そのせいで、信号が止まって交通事故が起こったり、病院で(非常用発電の切り替えが遅れて)死者が出たりした。スーパーの冷凍庫の商品は溶けてしまって大損害が発生した。各地でトラブルがいろいろと発生した」
 こういうことが考えられる。
 
 ──

 朝日の編集委員は、「太陽光発電が過剰に増えることの問題点」をまったく理解できていない。単に「供給過剰」という需給の問題だけを考えていて、「変動を吸収できなくなる」という問題を理解できていない。
 こんな馬鹿が、デカデカとコラムを書くのだから、困ったことだ。馬鹿の独りよがりのために記事を使うべきではあるまい。少なくとも最低限、専門家 or 科学部記者の意見を聞いてから、自説の書くべきだった。そうすれば、おのれの無知をあらかじめ理解できたはずだ。
 朝日のエコ記事を書く記者たちは、前もって、科学部の記者のレクチャーを受けて置いた方がいい。あまりにも無知がひどすぎる。



 【 関連サイト 】

 太陽光発電の送電線が盗まれている。
 大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」から送電線が大量に盗まれる事件が滋賀県を中心に相次いで発生し、隣の三重県や岐阜県でも起きている
( → NHK 11月22日
 滋賀県内のメガソーラー発電所7カ所で7月以降、銅製の送電線が盗まれる被害が8件相次いでいる。
( → 毎日新聞 2014年10月25日

 「高圧線にすればいいんじゃない?」と思うだろうが、太陽光発電の場合には、夜間には発電量がゼロになるので、無理である。盗み放題だ。
 こういう問題も起こるのだから、田舎における太陽光発電というのは、無理がある。
 もともとコスト的には合わないものだと思って、さっさと諦めた方が賢明だろう。
 太陽光発電は、将来的には、家庭や工場の屋根に乗せるだけで十分だ。そういう形で分散発電するなら、送電線も必要ない。一方、メガソーラーなんて、送電線まで考えたら、馬鹿げている。
posted by 管理人 at 09:58| Comment(8) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
電力会社の利益、7割が家庭から 東電では9割
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201205220859.html

>経済産業省が全国10電力会社の電力販売による収益を調べたところ、家庭向け電力が販売量の約4割しかないのに、
利益の約7割を占めていることがわかった。一方、販売量の約6割を占める企業向けは、利益の約3割しかなかった。

(自分の家の屋根に付けるので土地代無料の)戸建て住宅の太陽光発電は、電力買取制と企業努力によって、現在では、
売電価格を買取価格と同じにしても、経済的に有利になっている。
 高断熱住宅に屋根全面に太陽光パネルを張れば(例えば、パナホームのフルPVルーフ)、年中が5月頃の超快適な生活
ができ、オール電化にしても、消費電力以上の電力を産み出す。トータルコストでも有利になっています。

 上記の経済産業省の調査のように、電力会社は、割高の家庭向け電力料金で稼ぐという、歪んだ収益構造のまま推移し、
2011年の原発大爆発事故を起こしてしまった。さらに原発の場合は、かかった費用を電力料金に上乗せできる経済非合理
なシステムで利益を出してきたので、大事故の補償や事故処理や廃炉の費用などはほとんど念頭になかっただろう。
 電力事業は本当の意味でリストラクチュアリングの対象ですね。現在は、日本国の足を引っ張っている。

 アベノミクスも正念場といわれていますが、1)できるだけ国民に金を渡さない。2)国民からできるだけ搾り取る。
3)超富裕者に有利な制度改革という、大筋で小泉・竹中路線と金融緩和だけでは、ゆきづまるのでは。
4)金は天下の回りものという経済原理を理解している、次世代型の経済学者を登用する時期でしょう。
Posted by 思いやり at 2014年11月23日 19:50
>この人は「供給過剰にはならない」とばかり言っているが、意味をまったく理解できていないようだ。

理解した上で、意図的に該コラムを掲載している可能性はありませんか?
目的は不明ですが...

朝日新聞なので、確認もなくこういったコラムを掲載してしまうのか、
朝日新聞なので、こういったコラムを何かの手段にしようとしているのか、
興味のあるところです。
Posted by 作業員 at 2014年11月24日 12:26
朝日にやたらと悪意を認定しようとするのは、ネトウヨの特徴です。それは自分自身が悪意に満ちているからです。「何とかしてこいつをいじめてやろう」とばかりいつも自分が思っているから、他人もそうだろうと思うのです。

 朝日は逆で、常に「善人であろう」とします。しかし頭が非科学的なので、善であろうとすればするほど、結果的には悪をなしてしまうのです。……小保方さんに似ている。で、それを攻撃するのが、ネット民。しかし、結果が悪だからといって、悪意があったわけではない。単に愚かさがあっただけです。悪意があるのは、他人に悪意を見出したがるような人だけです。
Posted by 管理人 at 2014年11月24日 13:23
>悪意があったわけではない。単に愚かさがあっただけです。

読者ではありませんから、私自身はそれならそれで何ら構いませんが。

ただ、”社会の木鐸”としての適性に欠けるなぁ、と思うわけです。

そういった自覚があれば、確認、裏付けをして、社内で適切な校閲プロセスを経るのは当然のことかと。そこまで愚かだとは思いもよらず、別の意図を疑った次第です。

”単に愚かさがあっただけ”と看過できる程矮小なことなのでしょうか。
Posted by 作業員 at 2014年11月24日 14:14
記事ではなくてオピニオンだと明白に示していますから、校閲などは必要ないでしょう。単に無知をさらしているだけです。
 あと、批判しているのは私だけですから、放置している多くの人々も同様です。
 
 さらに言えば、他人にミスがあるのはいちいち咎める必要はありません。世の中にはミスは星の数ほどあります。単に指摘すれば十分であり、いちいち咎めていたらキリがない。咎めるのなら、責任がある政府の言動です。一個人の言動などを咎める必要はない。
 本項は朝日に掲載された見解の間違いを指摘して、読者および筆者に注意を喚起することで足りています。是正されれば、それで十分。他人をいじめるのは私の狙いではありません。
Posted by 管理人 at 2014年11月24日 14:40
電力の供給過剰時に何が生じるのか参考になりそうです。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131115/316588/

金城湯池はバブルっぽくていいですね。冗談はさておき、安定電源の重要性を理解できない人はたくさんおられます。なかには「夜間に発電できる太陽光発電の技術」と夢を語る人も・・・。
Posted by 京都の人 at 2014年11月24日 15:05
>校閲などは必要ないでしょう。

校閲までは不要としても、意見であればそれが誤った事実に基づくものであってもある程度は許容されるということでしょうか。

>一個人の言動などを

投書欄の意見ではなく、朝日の編集委員という肩書きを載せていますから、一個人の言動には留まっていないのではないでしょうか。新聞社の幹部記者の意見という見方は排除できず、これが報道機関としての適格性は?という思いに繋がります。

ちなみにですが、読売、産経も大差ないとみています。前のコメント欄にあるネトウヨ云々は全く的外れです。

>是正されれば、それで十分

間違いは今後も繰り返されるでしょうから、それ以上は望むべくもないと捉えました。
Posted by 作業員 at 2014年11月24日 15:36
> 許容されるということでしょうか。

間違いは誰にでもあるのだから、指摘すればいい、という趣旨です。いちいち攻撃する必要はない。他人の間違いを見つけたら攻撃するのは、トンデモマニア。私はそれほど性悪じゃない。私が間違いを指摘するのは親切だからです。方向が逆です。

「口の悪い親切」というのが私の方針。ピン子ふう。
Posted by 管理人 at 2014年11月24日 16:33
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ