2014年11月15日

◆ 食害の鹿を駆除するには?

 鹿が増えすぎて、食害がひどい。これを解決するにはどうするべきか? ──

 鹿が増えすぎて、食害がひどい。具体的には、森林の樹木の表皮を食い荒らされて、樹木が枯れてしまう、という被害が発生している。他にもあれこれと植物をやたらと食いあさっている。
  → 「鹿 食害」- Google 検索

 これに対して対策の必要性がいわれているが、なかなか妙案がない。原因は「オオカミがいなくなったから」(生態系のバランスが崩れた)というふうに言われているが、今さらオオカミを導入するのも、難しそうだ。
( ※ そもそもオオカミが絶滅したのは、人間に危害を加えるということで、オオカミが狩られてしまったからだ。)
 何か、うまい方法はないか? 

 ──

 ここで、次の記事が話題になった。
 《 シカを硝酸塩入り餌で駆除 静岡県考案、「残酷」の声も 》
 食害が深刻なニホンジカを硝酸塩の入った餌で駆除する方法を静岡県職員らが考案した。一度胃にのみ込んだ食べ物を口に戻して徐々に消化する「反芻(はんすう)動物」の特徴を利用したものだ。「シカ対策は待ったなし。銃やわなを使った駆除より人への危険が少ない」とし、他の動物への安全性を確認しながら実用化を目指しているが、「残酷だ」といった声も出ている。
 考案したのは、県農林技術研究所森林・林業研究センターの大場孝裕上席研究員ら。硝酸塩が反芻動物の胃に入ると、細菌で亜硝酸塩に変わる。すると、赤血球が酸素を運ぶ能力を奪われ酸欠に陥り死に至る。
 倫理面については「わなと比べ、どちらがより苦しまないかは議論があるだろう。効き目が出るまでの時間を短くするなど研究を進めたい」と話す。
( → 朝日新聞 2014年11月15日

 これをどう評価するか? 
 「悪くはないが、良くもない」
 というのが、私の評価だ。理由は、下記だ。

 そもそも、鹿肉は高級肉である。牛肉や豚肉よりもおいしいという評価が出ているし、値段もかなり高い。これを捨てるのはもったいない。せっかくの宝を捨てるようなものだ。
 ところが、上記の方法では、鹿を殺すことが考えられていて、鹿を食べることを考えてはいない。鹿を山のなかで死なせてほったらかしにするわけだが、これではとうていまともな鹿肉とはならない。
 何より重要なのはクリーンキル、すなわち苦しみを与えずに即死させることである。そのためには狙った獲物の頭部を一発で撃ち抜く銃の技術の正確さが問われる。即死せず苦しんで死んだ鹿は体温があがり肉の質が落ちる。また、内臓を打ち抜いてしまうと肉に臭みが移ってしまう。そうして即死した鹿の首の動脈を切って、まだ動いている心臓の力で血抜きをするのだ。この血抜きのスピードと、内臓をできるだけ早く体から出し、毛皮を剥いで肉の温度を下げることが美味しいシカ肉とそうでないシカ肉の大きな分かれ目になるのだ。さらに、死後硬直による肉の縮みを防ぐため半身にして骨はつけたままの状態で1日置き十分に冷やしてから、翌日丁寧に解体していくのだ。こうして解体された1頭のエゾシカからは、平均してロースが3kg、フィレが1kg、モモが10kg、それ以外の肉が6kgとれる。それ以外にもアバラ骨についたスペアリブや、心臓、レバーなどもとてもおいしい。
 こうして、撃つ前から美味しい肉を得るために考えつくされた高橋のエゾ鹿肉は食べるものをその都度驚かせる力がある。最も驚くのが昔近所の猟師からもらった臭いシカ肉を苦労して食べた経験のある人で、とても同じ動物の肉とは思えないという。
( → しむかっぷの鹿肉はなぜ美味い?

 鹿は単に殺せばいいというものではない。宝を捨てる代わりに、宝を活用するべきなのだ。そのためには、「毒物みたいなものを与えて、鹿を野垂れ死にさせる」というような方法は、好ましくないのだ。それで鹿を駆除することはできるが、宝を捨てるのはもったいない。
     ※ 文中に「昔近所の猟師からもらった臭いシカ肉を苦労して食べた経験」とある。そういうふうに、せっかくの宝をゴミにしてしまうのが、「硝酸塩を使って野垂れ死にさせる」という方法だ。ああ、もったいない。

 ──

 では、どうするべきか? ここで名案を出そう。
 「柵で囲って、牧場みたいなものをつくる。そこに鹿を集めて(誘導して)、柵のなかで多数の鹿を飼育する。そしてあるとき、いっせいに処分する」

 
 これはどういうことか? 
 普通に考えられてるのは、罠である。だが、罠だと、そこに引っかかった仲間を見て、鹿が警戒する。1頭を引っかけることはできても、それを見た鹿が近づかなくなるので、そのあとで多数の鹿をとらえることが困難になる。
 一方、牧場みたいにして、そこに鹿がいっぱいいれば、鹿は「仲間がたくさんいるな」と思って、警戒せずに、どんどん集まってくる。そこで餌付けして、多数を飼育する。いつまでも飼育すると餌代が大変だが、数週間ぐらい飼育するのならば、餌代はたいしたことはない。そうして数週間かけて、鹿をいっぱい集めたあとで、一網打尽にする。(柵があるから、鹿は逃げられない。それまでは入口から入ってこられたが、その入口をふさいでしまえば、逃れられなくなって、一網打尽となる。)

 どうです。うまい案でしょう? 

 ──

 ただし、私が案を出すと、「そんなことはうまく行くはずがない」と文句を言う人が出てきそうだ。そこで念のため、調べてみたら、これはすでに実現済みだとわかった。
 鹿ではなくて、リスの場合だが、同様のことがなされているそうだ。
 《 外来リス、餌付けで一網打尽 》
 台湾原産のタイワンリスによる食害などに悩む横須賀市で、「オープンロック」と言われる防除方法が成果を上げている。餌を入れた箱わなを1週間以上開放し、警戒心が薄れて、仲間と一緒に食べに来るようになったところを一斉に捕獲する手法だ。普通に仕掛けたわなにはかかりにくい成獣にも効果を発揮しているといい、隣の葉山町も取り組んでいる。
 オープンロックは、箱わなの扉を動物が入っても閉まらないように針金で固定。餌を多めに入れ、補給を繰り返しながら1週間以上待って「餌付け」する。
 タイワンリスは、鳴き声で仲間と情報を共有する性質があり、一部のリスが、わなを安全な餌場と認識し、仲間を誘って来るようになった頃、ロックを解除すれば、半径400メートルほどの範囲で生息するリスを次々と捕獲できるという。
 横須賀市は、金属製のわなを農地や山林に多数設置して防除を図ってきたが、経験の浅い若いリスや、餌をうまく取れないリス以外はなかなか捕獲できなかった。そこで昨年度から、ノウハウを持つNPOに依頼してオープンロックを活用し始めたところ、捕獲数が前年度を700匹近く上回る過去最多の2504匹に急増した。
 今年度の捕獲数は9月末時点で528匹。酷暑や台風の影響で前年同期比208匹減となったが、例年餌が少なくなる1〜3月には捕獲数が伸びるという。
(  2013年12月2日 読売新聞 )[リンク切れ]

 というわけで、リスではすでにうまく行っているわけだ。それと同様の方法を、鹿でもやれば、うまく行きそうだ。



 [ 付記1 ]
 集めたあとで、一網打尽にすれば、どうすればいいか?
 下手に殺すと、血が流れて、他の鹿が逃げ出したり、パニックになったりする。だから、現場で血を流すのは、絶対にダメだ。では、どうする?
 私の案は、下記だ。

 牧場の端に、トンネルを作る。トンネルに入った鹿は、二度と出てこない。しかし、トンネルに入らずに残っている鹿は、不思議には思わない。「このトンネルに入った仲間は、トンネルの先に出て、別の場所に行ったんだな」と思うだけだ。
 しかし、実は、トンネル内には、捕獲装置みたいなものがある。そこで鹿は捕獲されてしまう。その後、トンネルの反対側から、トラックで運搬される。
 この場合、トンネル内では捕獲されるだけであり、屠殺はされない。だから、血の臭いも出ない。
 一方、捕獲された鹿は、トラックで運搬されたあとで、屠殺場で屠殺される。ここで鮮度のいい鹿肉が得られるわけだ。
( ※ 硝酸で殺す方法では、鮮度のいい鹿肉は得られず、不味くなってしまう。一方、上記の方法ならば、大丈夫だ。)

 [ 付記2 ]
 一網打尽にする方法には、別の方法もあるとわかった。餌付けして集めたあとで、大きな網(ネット)を上からかぶせる、という方法だ。
 大分県は、シカの食害が甚大な玖珠町の耕作放棄地に、群れを一気に捕獲できる装置「ドロップネット」を設置した。九州で初の試みだ。
 三重の研究機関などが開発。えさ場に群れが集まるとセンサーが感知してパソコンなどに映像が送られ、管理者が遠隔操作で18メートル四方のネットを落とす。
( → 朝日新聞 2014年10月2日

 網を使うから、文字通り、一網打尽。ダジャレみたいな案。 (^^);
 これだと、最初はうまく行くだろうが、つかまるのを見ていた鹿は、もう二度と近づかなくなるだろうから、効果は限定的だと思える。
 ただ、ネットを別の場所に移せば、それで何とかなるかな。いや、やっぱり鹿は学習しそうだ。鹿は馬鹿じゃない。
posted by 管理人 at 20:19| Comment(10) | 一般(雑学)2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昔どこかであったガス室みたい
Posted by 磯崎ゆい at 2014年11月15日 21:01
↑ それは肉をおいしく食べる方法とは違いますね。むしろ逆でしょ。
Posted by 管理人 at 2014年11月15日 21:33
最後に <STRONG>[ 付記2 ]</STRONG> を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2014年11月15日 21:47
ひと所におびき寄せて、一斉に殺す点と、
屍を利用する点において類似していると思ったのです。

食害というのも人間から見たもので、
生物の進化(淘汰)という中立的視点では、増えていって、森林減少とどこかでバランスするのではないでしょうか?

ただし、そのパイとなる森林リソースをここまで減らしたのは人間ですが。
Posted by 磯崎ゆい at 2014年11月15日 22:01
鹿も熊も猪も増えています。70年代までは集落近傍のいわゆる里山は杉やヒノキが植林されていましたが、最近は広葉樹二次林となって、動物の生息しやすい環境になっています。むしろ山奥の方が針葉樹が残っていて動物は住みにくいかもしれません。

鹿の天敵はいないので大変だと思います。
たしか、尾瀬、東北の世界遺産の山地などでも鹿の食害に悩まされていると思いますので、奈良公園の様に鹿を餌で呼び寄せる方法は悪くないと思います。
ちなみにあの鹿は野生で飼われていません。

トンネルを掘ってというのはちょっと大変そうですね。
Posted by 京都の人 at 2014年11月15日 23:46
> トンネルを掘って

 舌足らずでしたが、トンネルは掘るんじゃなくて、作るんです。牧場だから、山や丘はない。そこで、黒いビニールチューブみたいなもので、超安上がりのトンネルを作る。
 ただし入口だけは、本当の土(またはハリボテ)を使って、本物のトンネルのように見せかける。
 で、黒いチューブが30メートルぐらい続いた最後のところで、トラックの入口が待ち構えていて、そこに鹿は飲み込まれてしまう。
Posted by 管理人 at 2014年11月15日 23:54
なるほどうまく行くかもしれません。その場合コストのみが問題です。見たところそれなりの人件費と設備費がかかりそうですが、現在のさまざまな対策費と食害の軽減効果と比較した上で、果たしてプラスに持っていけるでしょうか。
Posted by daimong at 2014年11月16日 02:19
あの、
日本の本州以南の野生の鹿といえば、マダニが大量寄生しているイメージがあります。
Posted by 素人 at 2014年11月16日 06:05
> それなりの人件費と設備費がかかりそうですが

柵とトンネルとトラックぐらいですから、格安で済むでしょう。

現行だと、広い山のなかを捜し回ってから銃で撃つわけだが、広い山のなかを捜し回るのも、山のなかから麓まで運搬するのも、ものすごく手間がかかる。その手間をなくす(人のかわりに鹿自身にやってもらう)のであれば、手間が大幅に減るので、現行に比べて大幅なコストダウンになるでしょう。
処理も、一頭ずつやるのでなく、まとめて何十頭もやるので、ここでもコストダウン。
Posted by 管理人 at 2014年11月16日 07:41
処分のときは
ロバート・デ・ニーロさんを招待したい
Posted by 先生 at 2014年11月16日 10:41
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