2014年10月25日

◆ 阪神優勝とバタフライ効果

 阪神が日本シリーズで優勝しそうな勢いだ。しかしそれはごく小さな差から生まれたものである。バタフライ効果。 ──

 阪神が日本シリーズで優勝しそうな勢いだ。ここまで、クライマックスシリーズと日本シリーズの戦績は、下記の通り。
   神1−0広
   神0−0広
   神4−1巨
   神5−2巨
   神4−2巨
   神8−4巨
   神6−2鷹


 ここまでの勢いを見ると、巨人とホークスはかなり弱い感じで、広島だけが阪神と同程度である。

 ここで、広島と阪神はどっちが強いか? 点数だけを見れば、阪神の方が2試合で1点だけ多い。しかしこれは、ホーム球場の有利さがある。(どちらも甲子園で開催された。)
 ところが、ホーム球場の有利さは圧倒的なものだ。
 今期の成績だと、こうなる。  [ 勝(分)敗 ]
       ホーム      ロード
  阪神  41 (1) 30     34 - 38
  広島  42 (1) 29     32 (1) 39


 どちらも、ホームでは圧倒的な勝ち越しであり、ロードでは負け越している。1点ぐらいの有利さがあったと見ていいだろう。
 とすれば、「2試合で1点差」という阪神・広島の対戦成績は、ホーム球場が広島であったなら、勝敗が逆転していた可能性が高い。

 ──

 さて。阪神と広島の戦いは、阪神のホーム球場で行なわれたが、それはどうしてか? 2位が阪神で、3位が広島だから、2位の球場となったのだ。(規定による。)
 ではどうして、2位が阪神で、3位が広島となったのか? それは、セリーグの広島の最終戦の結果による。この試合で、広島は 1−4 で巨人に負けた。
  → 広島の最終戦
 そのせいで、0.5ゲーム差で3位に落ちてしまったのだ。
  → セリーグ勝敗表
 仮に、最終戦で負けなかったなら(i.e. 勝 or 引き分け であったなら)、広島が2位になっていたはずなのだ。その場合には、阪神との対戦は広島球場で行なわれたはずだし、その場合には、今度は逆に、2試合で1点差ぐらいで広島が勝った可能性が高い。

 では、広島が2位になっていたら、どうなるか? 広島が日本シリーズに進出したか? いや、それはちょっと無理だろう。広島は、投手で優秀なのは、2人しかいない。(阪神は4人いるが。)
  → セ・リーグ投手成績
  → 広島東洋カープ 投手成績

 広島が阪神に勝った場合には、二人の優秀な投手を使い果たしてしまっているので、3番手、4番手を巨人との対戦につぎこむことになる。ここでたぶん2敗するだろう。そのあと、1番手、2番手が出るが、その後は、3番手、4番手をまたつかうか、5番手を使うか、どっちにしても、巨人には勝てそうにない。
 要するに、阪神が巨人に勝てたのは、優秀な投手が4人いたからだ。広島はその条件を満たさない。二人の投手で2勝できたとしても、他の投手では負けてしまう。結果的に、広島はクライマックスシリーズでは巨人に負けていただろう。

 以上をまとめれば、こうなる。
 「もし広島が最終戦で勝つか引き分けるか、そのどちらかであったならば、日本シリーズに進出したのは巨人であっただろう」

 ──

 では、広島が最終戦で勝つか引き分けるか、そのどちらかになることは、可能だったか? 可能だった。なぜなら、相手はすでに優勝を決めた巨人であったからだ。ここで、巨人が「どうせ消化試合だから、若手を試験登板させる」という方針を取ったならば、広島は勝つことができただろう。あるいは、「阪神と戦うのは不利だが、広島と戦うのは有利だ」という認識があったなら、わざと広島に負けるようなスタメンにしていただろう。(阪神の投手陣を考えれば、そういう作戦があってもいい。)
 そして、そのような決定は、原監督の気持ちしだいだったのだ。
 原監督は、誠実な人柄なので、「最後まで手抜きしない」という方針で、最終戦でも全力で戦ったのだろう。
 しかし、勝負に辛い落合監督みたいな性格の監督であったなら、「クライマックスシリーズでぶつかる相手は、優秀な投手が4人もいる阪神だとやばい」と思って、広島と対戦できるように、あえて最終戦で広島に負けただろう。(その場合には、広島が2位になって、阪神との戦いを広島球場で行なうことになる。)

 ──

 以上のすべてをまとめると、こうなる。
 「日本シリーズに阪神が進出するか、巨人が進出するかは、広島の最終戦における原監督の気持ちしだいだった。このとき、彼一人のほんの小さな気持ちの差が、最終的には、阪神が進出するか巨人が進出するか、という大きな差となって現れた」

 これはちょうど、山の分水嶺に落ちた水のようなものだ。


         

 このような  型の分水嶺に落ちた水は、どうなるか? 左側に落ちた水は、左の県へと至る。右側に落ちた水は、右の県へと至る。ここでは、ほんの数センチの差が、最終的には、多大な差をもたらす。

 ──

 このようなことが、「バタフライ効果」の本質である。
 阪神の日本シリーズ進出を見ると、「バタフライ効果」の本質というものがわかるだろう。

 ※ 逆に、このような  型の分水嶺 の構造がないような事例では、バタフライ効果は発生しない。つまり、「北京の蝶々が飛んだから、ニューヨークで嵐が起こる」というようなことは、一般的には起こらない。そこには分水嶺のような構造は、ないからだ。
  


 【 関連項目 】

 バタフライ効果については、本項と同趣旨のことを、前にも述べた。
  → リビア情勢とカオス理論

 バタフライ効果に似て非なるものとして、次の話もした。
  → 雪だるま効果
posted by 管理人 at 23:36| Comment(8) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ロード?
THE 虎舞竜???
Posted by 王子のきつね at 2014年10月26日 11:51
ロード・ゲーム road game って、プロ野球用語なんですが、今では知らない人も多いようですね。サッカーのアウェー・ゲームというのを知っている人は多いが。
Posted by 管理人 at 2014年10月26日 12:04
ブログ管理者殿の日本シリーズの予想は「阪神が勝つ」でよろしいのかな?この記事を読むと、そんな雰囲気だけど。
結果が阪神の勝利だったら、予想通りだ、名探偵は素晴らしいと自画自賛されるのでしょね。はずれたら、ここに書いたのはあくまでもクライマックスシリーズまでで、日本シリーズを予想したわけではないと、言うんでしょうね。
Posted by ヤクルト頑張れ at 2014年10月26日 12:49
↑ あはは。うがちすぎ。

 何も予想していませんよ。読めばわかるとおり。

> ここに書いたのはあくまでもクライマックスシリーズまでで、日本シリーズを予想したわけではないと、言うんでしょうね。

 どっちみち、そうです。阪神が勝っても負けても同じ。

 あのね。私は予言者じゃないですよ。  (^^);
Posted by 管理人 at 2014年10月26日 12:56
バタフライ効果、ジュラシックパークで「複雑なシステムに生ずる予測不可能性のこと」とカオス理論の説明に使用されていましたね。
手の甲についた水滴がどっちへ流れるか、でも説明していたと思います。しょっぱなの些細なことが大きな違いになることのたとえでした。
という割に原作もカオス理論をそれ以上突っ込まず、そういうものだ。で終わってました。
数学に弱い私には全く理解できませんが(笑)
Posted by 京都の人 at 2014年10月26日 16:55
床屋談義で申し訳ないですが・・・
阪神が勝っても嬉しくないですね。
やっぱリーグ制覇して日本一にならないと。
2007年に中日が2位から日本一になりましたが、中日ファンの後輩が「完全優勝じゃないと心底喜べない」と言ってました。
私も同じ思いです。
Posted by M at 2014年10月27日 15:50
2005年の日本シリーズで阪神がロッテに対して、33-4でボロ負けしてしまったのはどういう解釈でしょうか?
個人的にはソフトバンクの圧倒的勝利を期待してますけどね。
まあ、クライマックスシリーズの出場条件を、1位は無条件で、2位3位は1位とのゲーム差を5ゲーム差以内にすれば丁度良いとおもいますが。
Posted by 進撃のソフトバンク at 2014年10月28日 02:05
2005年の日本シリーズ

 阪神優勝  9月30日

 日本シリーズ開幕 10月22日

 その間、ロッテはパリーグ専用のクライマックスシリーズみたいなのを必死に戦っていましたが、阪神の選手はミナミのクラブで遊びほうけていました。
Posted by 管理人 at 2014年10月28日 07:02
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