2014年10月21日

◆ ステルス機は不要だ

 F-35 のようなステルス機が話題になっているが、日本にとってはステルス機は軍事的には必要ない、と考える。 ──

 ステルス機は時代の花形だ。これを否定するというのは、暴論に思えるだろう。ただし、本項で否定的に述べるのは、次の二点の留保が付く。
  ・ 「日本にとって」という限定が付く。
  ・ 「必要がない」というのは、「配備するな」ということではない。


 以上の二点に基づき、見解を述べよう。

 ──

 (1) 対戦国

 対戦国を想定しよう。
 中国とロシアが対戦国の場合には、ステルス機はまったく必要ない。なぜなら、アメリカが総力を上げて日本を守るからだ。なぜ? もし日本が中国やロシアに奪われたら、日本の高度な技術が中国やロシアに渡る。その場合、中国やロシアの軍事的脅威は、現在の何倍にもなる。それは米国としては絶対に看過できないのだ。だから、何が何でも、この段階で「日本を攻撃する国」を打破する。
 似た例としては、第二次大戦のドイツによるチェコ侵略がある。ドイツがチェコを侵略した時点では、ドイツは強国ではなかった。しかし工業国家のチェコを奪取したドイツは、非常に強大化した。こうなると、もはやフランスをも奪取できた。こうなると、全欧州を支配する能力さえ得た。
 漫画で言うと、犬夜叉の敵である奈落だ。こいつは打ち倒した相手の能力を吸収して、どんどん強力化していく。それと同じように、ドイツはチェコやフランスを吸収して強大化した。中国やロシアがそうなったらまずい。というわけで、米国は日本が吸収されることを絶対に阻止する。
 だから、日本が中国やロシアから攻撃されることはあり得ない。米国の全戦力が守ってくれるからだ。ゆえに、中国やロシア向けにステルス戦闘機の必要はない。
 一方、北朝鮮ならば、日本が単独で相手にする場合も出てくるかもしれない。少なくとも米国としては、日本と北朝鮮とのいざこざに、いちいち介入する気はなさそうだ。(介入しなくてもどうせ日本が圧勝するのだから、放置する。)

 (2) 戦闘機/爆撃機

 北朝鮮を相手にするのであれば、ステルス戦闘機は必要ない。なぜなら北朝鮮には、まともな戦闘機はないからだ。機種だけならば、まともな機種も少しだけ配備されているようだ。( → Wikipedia )しかしながら、例によって物不足の国なので、これらがまともに機能できているはずがない。訓練さえもままならないだろうから、まともに操縦できるとも思えない。どっちみち、日本としてはステルス戦闘機の必要はない。(緒戦で敵機の全機を撃墜できるだろう。)
 では、ステルス爆撃機は必要か? 必要に思える。北朝鮮には対空ミサイルや高射砲ぐらいはありそうだから、爆撃機としてはたしかにステルス性が有功だろう。
 ただ、そうだとしても、「ステルス性が必要だ」とまでは言えない。あった方がいいが、なくてもいい。なぜなら、代替手段があるからだ。それは、「無人爆撃機」である。

 (3) 無人爆撃機

 ステルス爆撃機よりは、無人爆撃機の方が良さそうに思える。アメリカの場合には、両方を備えた「ステルス無人爆撃機」があるが、日本も「ステルス性」よりは「無人性」を重視した「ステルス無人爆撃機」を導入するといいだろう。
 ただし、ここでは、ステルス性はいい加減でいい。なぜなら、ステルス性を完璧にすると、ものすごくコストがかかるからだ。そのことは F-22 や B-2 を見てもわかる。コストがかかりすぎるのは、機体数の減少を意味するから、絶対にダメだ。むしろ、安価なものを、多数配備した方がいい。そのためには、ステルス性を犠牲にした方がいい。(軽度のステルス性で十分だ。)
 ただし、ステルス性が軽度だと、撃墜される危険が高まる。これを回避するには、「撃墜されても大丈夫なもの」つまり「無人機」にすればいい。無人機ならば、いくら撃墜されても、たいして問題はないからだ。また、無人機ならば、信頼性が低くていいので、コストダウンできて、その分、配備数を増やせる。

 (4) デコイ

 無人機の場合には、ステルス性が弱いと、撃墜されやすい。これを回避するには、デコイを使えばいい。次の二種類だ。
 @ 対空ミサイルを回避するには、通常のデコイを使うか、デコイ型のミサイルもどきを使えばいい。対空ミサイルがやってきたら、デコイを後方に発射して、対空ミサイルがデコイを狙うようにする。これで、たいていは、回避できる。回避できなくても、無人機なのだから、撃墜されても特に問題はない。とにかく、デコイを使うと、敵の対空ミサイルを無駄遣いさせることができる。これを何十回も繰り返せば、そのうち、敵の対空ミサイルは空っぽになる。作戦成功。
 A 高射砲その他の迎撃を回避するには、デコイとなる無人機を先行して飛ばせばいい。これは本体の前方にある。しかも、かなり大型である。こいつが敵のレーダーに丸見えになって、北朝鮮に近づく。北朝鮮の迎撃機や迎撃ミサイルなどが飛んできたら、こちらは一挙に急降下する。その後、デコイ無人機だけが急上昇する。すると、敵にはデコイだけが見えていて、下に残っているステルス無人爆撃機は見えない。ステルス無人爆撃機はそのまま進路を変えて、こっそり、別の方向へ行く。一方、敵の迎撃機や迎撃ミサイルは、よく見えているデコイ無人機に集中する。その後、デコイ無人機を攻撃して爆破する。「敵機を全滅させました」と北朝鮮は大喜び。その直後、低空で侵攻したステルス無人機が、北朝鮮の基地を爆撃する。
 この場合、ステルス無人機は、完全なステルス性はないのだが、低空飛行をしていることで、敵のレーダーの探知圏外となっている。だから、弱いステルス性があればいいのだ。特に、レーダーは前方からしか来ないので、前方に対するステルス性があればいい。(完全なステルス性は必要ない。)

 というわけで、「デコイでだます」という方法を取ることにより、完全なステルス性のない無人機で足りる。とすれば、高価なステルス機を開発する必要はないのだ。単に無人操縦の機能さえあればいい。
 日本に必要なのは、ステルス戦闘機の技術ではなくて、無人爆撃機の機能だ。……これが本項の結論となる。



 【 関連項目 】

 似た話は、前にも述べた。
  → 無人機 (サイト内検索)
  → ステルス爆撃機 (サイト内検索)
  → デコイ兵器



 [ 余談 ]
 だからといって、「ステルス戦闘機を配備するな」と言っていうわけではない。「必要はない」と言っているだけだ。この点は、冒頭でも述べたとおり。
 ま、必要がなくても、何かをやることはある。それを禁じているわけではない。ただ、どちらかと言えば、必要性のあるものの方が優先するだろう。日本にとって優先するべきものは、(弱いステルス性のある)無人爆撃機だ、というのが、本項の結論だ。そしてまた、デコイ技術も十分に開発するべきだ、とも主張している。
posted by 管理人 at 23:26| Comment(17) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
北朝鮮まで飛べてデコイ装備の無人爆撃機、大型になって一機あたりのコストが高そうだな。
Posted by 巫女の竜 at 2014年10月22日 22:07
↑ 心神の開発費に比べれば格安ですよ。だいたい、ラジコン機をデカくしたぐらいの性能なら、そんなに難しくない。急加速や急旋回も必要ないし。最新鋭ステルス戦闘機を作る方が、圧倒的にレベルは上でしょう。
Posted by 管理人 at 2014年10月22日 22:28
対北朝鮮ならば巡航ミサイル配備が最も適当でしょう。
そもそもラジコンに毛が生えたような無人機で1000km飛行するのは無茶だし、爆装量も何ら意味を持たないでしょう。韓国あたりが配備するならばまだ意味があると思いますが。
Posted by 通りがかり at 2014年10月23日 18:44
> ラジコンに毛が生えたような無人機

 そんなわけないでしょ。国家が開発する兵器がオモチャのわけがない。
 どんな兵器かわからなければ、「無人ステルス機」でググってごらん。

 それにしても、「超高性能・超高額なのはコストがかかりすぎる」と文句を言ったり、「オモチャみたいなのは性能が低すぎる」と文句を言ったり、本サイトに来る軍事オタクは頭が変な奇人ばっかりだ。普通の発想ができないんだろうか?
 軍事オタクってのはもともと奇人ばかりなのか?
Posted by 管理人 at 2014年10月23日 19:12
あなたが「ラジコンをでかくした」と書いたことを反映したまでですよ。
たしかにアメリカが本来有人の戦闘機を無人で空母に着艦させることに成功したりしていますが、これはまだまだ実験段階ですね。
実用の無人機というと悪名高いプレデターなどがありますが、これもヘルファイヤやスティンガーといった歩兵か装甲車に積む程度の自衛用兵器を転用した威力の小さなミサイルを積むのが関の山ですよ。

そもそも論でいうなら、日本の軍用機で北朝鮮を攻撃することを想定したものなんてないでしょう。
北朝鮮が日本に軍事的攻撃をかけるとしたら弾道兵器のみ。あとはゲリラなどの低烈度の戦闘部隊の侵入。
日本としても北朝鮮を占領する意味はまったくありません。仮に占領したとしてもロシア、中国、韓国に圧迫を受けるだけで何の意味もありません。

北朝鮮に攻撃をかけるとしたら、北朝鮮が無作法な振舞いをしたことに対して「教育的指導」を与えるときのみです。昔風にいうならば膺懲攻撃ということになりますか。
そういった目的であればトマホークがもっとも有効だということを教えて差し上げただけですよ。
Posted by 通りがかり at 2014年10月23日 20:26
> ラジコンをでかくした

 誤読。元の文章は性能の話。機体の話じゃない。そもそも、元の極論への否定にすぎない。コメントした当人向けの返事であって、第三者は関係ない。

> 北朝鮮を占領する

 誰もそんなことは言っていない。下記参照。
  → http://openblog.meblog.biz/article/14138543.html

> トマホークがもっとも有効

 トマホークは北朝鮮の Mig-29 で撃墜されます。巡航ミサイルは超音速戦闘機のある国に対しては無力です。軍事常識なので、覚えておきましょう。たとえばこれ。
  → http://j.mp/1zlTTKw
Posted by 管理人 at 2014年10月23日 21:33
>> 北朝鮮を占領する
>誰もそんなことは言っていない。下記参照。

ええ、ですから北朝鮮対策に無人機(笑)などという滑稽なご提案は不要ですよ、と申し上げております。

> トマホークは北朝鮮の Mig-29 で撃墜されます。
>巡航ミサイルは超音速戦闘機のある国に対しては無力です。
>軍事常識なので

大変興味深い「軍事常識」で勉強になりました(笑)

第一次湾岸戦争でアメリカはMig-21、23、25など超音速戦闘機を保有するイラクに対し大量のトマホークを撃ち戦果をあげましたね。
もちろん、ミサイル発射を探知し、その動きを逐一追いかける能力を有していれば迎撃も十分望めるでしょうが。
トマホークだってのんびりと亜音速で飛んでいくわけではなく、地形に追従しながらレーダーに探知されにくく飛んでいったりいろいろしますからね。
それから1発だけでなく複数発撃って、様々な方向から攻撃をかけるとかいろいろと方法はありますよ。
Posted by 通りがかり at 2014年10月23日 22:22
> 第一次湾岸戦争でアメリカはMig-21、23、25など超音速戦闘機を保有するイラク

 残念。あのときイラクの戦闘機はみんなイランに移動していました。

 一般に、緒戦では敵の航空戦力を壊滅させることが必要で、それが可能なのはステルス爆撃機だけです。(有人であれ無人であれ。)

 あとね。巡航ミサイルの爆弾の量は小さいので、相手に致命的な損害を与えることはできません。巡航ミサイルが効果を持つとしたら、核爆弾を搭載している場合だけです。さもなくば、何千発も発射した場合ですが、それは無理。

 下手をすると、巡航ミサイルの経費の方が、巡航ミサイルで壊れる相手の損失額より、上回ってしまう。例。2億円のミサイルで敵の2千万円分を破壊する。→ 馬鹿げている。(爆発力が小さいから、こういうことになる。)
Posted by 管理人 at 2014年10月23日 22:39
イラクの軍用機をイランに移動できるわけないとおもいますが。
クウェートですか?

飛行速度のことをいえば、無人機だってせいぜいが500km/h程度ですよ。某重工の人が研究のときに太平洋戦争当時の軍用機の設計資料を引っ張り出してきたそうで、温故知新だったといっていました。
イランで捕獲されたアメリカの無人機はなんか速そうですけどね。

価格もトマホークが1発3億円程度ですが、管理人さんのおっしゃる立派な無人機が1機3億円で作れるわけないでしょう?グローバルホークは100億円オーダーの機体ですよ。ペイロードはトマホークの5倍もない程度。いくら無線誘導で回避できるとしても速度が3倍近い飛行機同士の空中戦では勝敗は目に見えているでしょう。

もちろん、殺傷ないし破壊する対象のコストよりも破壊する兵器のコストが高いというのもありうることです。殺傷、破壊が必要であるならばコストを度外視することはよくあることです。ただ無人機を使うことはあまりにも筋が悪すぎですよ。
Posted by 通りがかり at 2014年10月23日 23:35
↑ 人が教えて上げていることすら調べようとしないで、滅茶苦茶なことばかり言っているので、相手にできません。
 わからないことがあったら、ググりましょう。無知と誤解を正せますよ。
Posted by 管理人 at 2014年10月24日 00:38
1,2,はその通りですよね。3については、

おっしゃるとおりF22ほどのステルス性は必要ないので、F15SE(サイレントイーグル)でよい、というのが私の考えです。日本は基本的に爆撃任務は必要なく、要撃+攻撃すればよいだけなので。(広大な海が防壁になっている以上、相手は船で攻め込むしかなく、船を沈められる能力=制空権をとる要撃任務+攻撃機能力があれば良い。)

F-15SEはステルス戦闘機+攻撃機+必要なら強力な爆撃機(B-29を上回る搭載量)の機能を持っています。

ただ、増強に努めている揚陸艦を将来的に空母代わりに使える余地を残す、という意味では、どんなに高コストで性能が中途半端でもF-35以外の選択肢はないですよね。この論点はどんな資料にも明文化はできないので難しいところです。
Posted by 一介の医療者 at 2014年10月24日 09:40
イランに移したという点については私は知りませんでしたが、それ以外の点についてはすべて管理人さんの論点にしたがって考えて無人機の意義はトマホークにくらべて小さいといっているのですよ。
今の無人機攻撃にしても敵の戦闘機による反撃は想定の範囲外でしょう?空対空の攻撃手段まで無人機にもたせるとなると対地攻撃手段は益々削られて、メリットは減ってしまいますよ。
Posted by 通りがかり at 2014年10月24日 09:58
> 敵の戦闘機による反撃は想定の範囲外でしょう?

 これはいくらかはまともな質問なのでお答えします。

 軍事常識の基礎として、最初に制空権を得ることが必要です。戦車厨とか何とかがいるが、すべてそのことを理解していない。
 本項でも述べていますが、最初に戦闘機で敵の戦闘機を壊滅させます。これ以前には、何もやらない。とにかく制空権を得るのが第1。
 こうして敵の戦闘機を壊滅させたあとで、次の段階に移ります。それは爆撃。
 ただし、北朝鮮に限っては、飽和攻撃も可能です。何百もの無人ステルス機を一挙に投入すれば、敵機の戦闘機は数不足で対応できません。そもそも無人ステルス機は見えないので、敵の戦闘機は何もできないでしょう。
 
 ※ その前の質問は愚問過ぎるので、お答えしません。
Posted by 管理人 at 2014年10月24日 12:04
前にも書きましたが、現在の無人攻撃機は対地攻撃にほぼ特化しています。ステルス性についてもあまり考慮されていません。最高速度もアヴェンジャーで700km/hで、他の無人機は500km/h程度です。そして
これから対航空機、ステルス性、最高速度について発展の余地はもちろんあるでしょうが、それだけコストに跳ね返ってくるわけです。現在の無人機のコストが1200万ドル程度だそうですが、どれくらいのコストアップになるのか、私は正確には見積もれませんが相当のものを覚悟しないといけないでしょう。
それに比べてタクティカルトマホークなら1機100万ドルを切るわけです。

たしかにドイツのV1はイギリス軍機に簡単に撃墜され(撃墜したパイロットも0.5機撃墜としか評価されなかったそうです)ましたが、同じ巡航ミサイルとはいえトマホークとV1の性能は段違いです。超音速機がいさえすればすべて撃墜できるというほど生易しいものではありません。

以上コストなどを考慮すれば、空対地および空対空戦闘能力をもち、ステルス性をもち、かつ往復2000km飛行できる無人機を配備するよりもタクティカルトマホークの方が意味があるといっているのですよ。

飽和攻撃をかけるにしても1桁少ない兵器を使う方がコスト面でもいいですからね。


最後に制空権について制空権を完全に確保できるだけの軍事力があれば、それは理想です。
たしかにアメリカ陸軍は対空機銃の類をほぼ全廃するなど完全に制空権を握った状態での戦闘しか想定していません。
しかし、アメリカ以外の国は制空権を完全に確保することを能力的に諦めていて、制空権を完全に握っていない環境で地上戦を戦うことを想定しています。ロシア陸軍でも対空機銃の類は今でもバリバリに現役だし、陸上自衛隊を含む他国の軍も装備しています。航空優勢を得ようとする努力は重要ですが制空権を確保するまでそれ以外の戦闘に入らないというのは机上の空論ですのでご注意を。
Posted by 通りがかり at 2014年10月24日 21:58
何が議論されてるのか整理してほしい

ステルス機は不要だ

で一致してるでしょ
Posted by ? at 2014年10月24日 22:11
> トマホークなら1機100万ドルを切るわけです。

根本的に勘違いしているのがわからないようだけど、トマホークは使い捨てです。爆弾一つに多額の金がかかる。飛行機は何度も繰り返して使えます。追加の爆弾は安価だし、大量の爆弾を落とせませす。

アメリカだってトマホークなんて実戦ではほとんど使っていません。爆弾一つに金がかかりすぎる。また、100発あったとして、100発を撃ち尽くした時点で、戦力がゼロになってしまう。飛行機なら、そういうことはない。(何度も出撃できるから。)

飛行機なしでミサイルだけ、なんていう国は、世界中にどこにもありません。
Posted by 管理人 at 2014年10月24日 22:19
愚論が続くので、コメント欄を閉じます。
Posted by 管理人 at 2014年10月24日 22:20
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

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