ここで意外な真相(らしいこと)を示そう。
《 修正 》 本項は信頼性が低いので、話半分に聞いて下さい。 ──
F-35 の開発が難航している。単に開発が遅延しているだけでなく、開発コストはうなぎ登りだし、所定の性能が得られない。おまけに故障も多い。何から何まで最悪の戦闘機だと言えるだろう。
少し前にも、記事が出た。
筆者「日本の読者の中には、問題なのはF35B(短距離離陸・垂直着陸)やF35C(艦載型)であって、通常離着陸型のF35Aは問題ないと考えている人が多いのですが、あなたはどう思いますか」
回答「すべてのF35モデルは深刻な問題を抱えています。デザインの要素を共有しているからです。F35Aのエンジンは欠陥を抱え、ステルス性や運動性能にも乏しく、搭載量が適切ではありません。コストが高く、兵站システムも複雑です」
( → 次期主力戦闘機F35をめぐる根深い対立 1機200億円説も )
では、これほどの失敗作になった理由は、何か? 上記では「デザインの要素を共有している」という話があるが、一体どういうことか?
よく考えたすえ、私としては、重要な点に気づいた。以下で説明しよう。
──
F-35 の開発がこれほど難航しているとすれば、その理由はただ一つ、F-35 の独自性としか考えられない。単にエンジンとか機体とかが理由なら、米国には長年の経験の蓄積があるのだから、問題が長引くはずがない。にもかかわらず問題が長引くとしたら、(背理法で明らかなとおり)理由は「経験のない新しいこと」をやったからだ。つまり、新たな独自性を導入したからだ。
では、新たな独自性とは何か? それは、F-35 の特徴である。つまり、次のことだ。
「従来の戦闘機は、ミサイルなどの武器が翼の下にある。これでは空気抵抗が増えて、戦闘機の速度が上がらない。普通の戦闘機は、ミサイルを搭載していない状態で最高速度を示すが、その最高速度に達するのは、ミサイルを搭載していないときだけだ。しかし実戦ではミサイルを搭載する。とすれば、ミサイルを搭載した状態で最高速度を測る必要がある。そして、ミサイルを搭載した状態で最高速度を高めるには、ミサイルを(翼の下でなく)本体の内部に搭載すればいい.そのためには胴体を太くすればいい」
この結果、F-35 の最高速度はマッハ 1.7 となり、F-2 や ユーロファイターのマッハ 2.0 を下回る。しかしながら、実際にミサイルを搭載した状態では、F-35 の最高速度はマッハ 1.7 のままであるのに、F-2 や ユーロファイターではマッハ 1.5 ぐらいまで落ちそうだ。となると、実戦では、 F-35 の最高速度度が上回るはずだ。
こうして、F-35 の開発者は、「うまいことを考えた!」と思ったわけだ。「設計通りにやれば、実戦では他の戦闘機を圧倒できるぞ」と。
──
ところがそれは机上の空論であった。実際に開発してみたら、次々と難題が持ち上がった。そしてそれは、容易には解決ができなかった。では、それは、どんな問題か?
ここで私は推理した。次のように。
普通の戦闘機は、翼の下にミサイルを置く。しかし、ミサイルを置けば、重心のバランスが崩れてしまうはずだ。その問題をどうするか? 次の二点で解決しているはずだ。
@ 左右に同じミサイルを搭載してバランスを取る。
(発射するときもできる限りバランスを取って発射する。)
A ミサイルの搭載位置は、前後関係では重心と同じにする。
特に、後者が重要だ。
たとえば、機体の重心が、前から 55% の位置にあったとする。とすれば、翼の下に搭載するミサイルもまた、前から 55% の位置にミサイルの重心が置かれるようするべきだ。換言すれば、ミサイルの位置は、前方すぎてもいけないし、後方すぎてもいけない。ミサイルの重心の位置は、機体の重心の位置と、きちんと揃える必要がある。(少なくとも前後の位置については。一方、左右については、@のように、左右のバランスを取ればいい。)
以上が、従来の戦闘機の方針だ。
では、F-35 はどうか?
F-35 では、すべてのミサイルを、細長い本体の内部に収容しなくてはならない。とすれば、その大半は、(前後方向で)機体の重心とは異なる位置に置かれるはずだ。
仮に、すべてのミサイルを機体の重心と同じにしたら、機体の重心に相当する部分の胴体ばかりがやたらと太くなってしまう。そのようなことは、「本体内蔵型」では不可能だ。(「翼の下に置く」のであれば可能だ。翼の下にはたくさんのスペースがあるからだ。)
結局、F-35 の場合、たくさんのミサイルを搭載したら、そのミサイルは、機体の重心とは異なる位置に置かれることになる。そして、前方に置かれたミサイルが発射されるたびに、後方に残されたミサイルがアンバランスな重みとなって残されることになる。
下図を参照。(上から下へと変化していく。)
前 後
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□□■■■
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□□□□■
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最初は全部が搭載されている。 ■■■■■
一番前のミサイルが発射される。 □■■■■
次々とミサイルが発射される。
最後にすべては空っぽになる。 □□□□□
このような過程で、機体全体の重心はどんどん変化する。また、後方にあるミサイルを機体前方へ移動していく途中でも、飛行中に機体全体の重心はどんどん変化する。
このように重心が変化するのでは、まともな運動はできないはずだ。単にまっすぐな水平飛行をすることぐらいならばできるだろうが、高度な旋回や上昇やラセン飛行などの運動をすれば、不安定な作動が起こりがちだ。(何しろ旋回中の加速度は 10G ぐらいある。重量は実際の 10倍の効果を持つ。)
──
結論。
F-35 が失敗作である理由は、その独自性(基本的特徴)にある。つまり、「ミサイルを内蔵する」という特質だ。このことゆえに、「重心のバランスが取れなくなり、まともな戦闘活動の飛行ができにくくなる」という問題が発生する。そして、この問題は、本質的に解決不可能だ。
要するに、F-35 の独自性そのものが、根本的に欠陥をもつ。それは、「素晴らしい長所をもつ」と思えたのが、その反面、「致命的な短所をもつ」という結果になったのだ。かくて、この戦闘機は、どうしようもない失敗作となった。
【 補説 】
では、どうすればいいか? 解決策はただ一つ。「ミサイルを内蔵する」という特質を捨てればいい。ということは、それはもはや F-35 とは似ても似つかぬ飛行機になるから、「 F-35 を諦めて、別の飛行機を新開発する」というのに等しい。
ま、F-35 の技術を使ってもいいが、新開発した機体技術のほとんどは捨てて、「細い機体にして、ミサイルは翼の下に置く」という方針で、新たに設計し直すしかないだろう。
なお、それとは別に、日本としては、次の方針を取るといいだろう。
「 F-35 の導入はやめる。すでに契約した少数の機体だけを引き取って、本格導入はやめる。一方、ユーロファイターを導入するのは、米国との付き合いからして、無理っぽい。そこで、奇想天外ながら、次の方針を取る。
それは、F-22 からステルス性能を除いた機体を導入する(ライセンス生産する)、というものだ。
なるほど、米国政府は、F-22 の高度な技術が漏れるのを恐れて、日本にさえもライセンス生産をさせない。ならば、高度な技術の箇所(ステルス機能の箇所)だけを除いて、ダウングレードした F-22 についてライセンス生産をさせればいい。一方、日本はそれを受けて、ダウングレードした F-22 を独自技術で魔改造すればいい」
要するに、「ダウングレードした F-22 のライセンス生産」と「独自のステルス技術による魔改造」という方針である。
どうです。素晴らしい! これならば、ほとんどすべての軍事マニアを満足させることができるだろう。名案!
( ※ ただし実現性は、ない。なぜなら、日本の政治家も防衛省も、間抜けばかりだから。彼らが選択するのは、常に、「莫大なコストを掛けて、低性能のものを開発すること」である。……「嘘つけ、ふざけるな」というなかれ。F-35 を開発した米国だって、そういう間抜けなことをしているんだ。いわんや、日本をや。)
《 加筆 》
あとで Wikipedia の F-22 を見たところ、次のことがわかった。F-22 は部品点数が少なく、工作が難しいので、初期投資が巨額となる。→ このことから、ライセンス生産は無理だとわかる。
一方、F-22 はすでに製造中止が決まっており、日本への輸出もできない。
以上のことから、F-22 の導入は実際にはできない。ただし、今後、F-35 の失敗が確定すれば、F-22 の生産再開も見込まれる。何しろ、新規開発費はゼロで済むのだ! これは圧倒的なアドバンテージだ。
ゆえに、F-22 の生産再開の可能性はかなりある。その後に、日本への機体輸出と、日本の部分的なライセンス生産は、十分に可能だろう。
とすれば、日本が当面なすべきことは、「 F-35 の失敗が確定するのを待つこと」かもしれない。その後に、F-22 を導入すればいい。これで、軍事オタクも満足できるはずだ。
( ※ 米国政府が現状では輸出の許可をしないのは、他国に対する優位性を確保したいからだ。しかし、他国へは F-22 のダウングレード版を販売することにするのであれば、この問題は回避できる。)
【 追記 】
修正:
あとでよく考えると、先に示した図(ミサイルが空荷になる順の図)は、正しくないようだ。
誤 : 前方にあるものから順に発射される
正 : 中央にあるものから順に発射される
となるだろう。つまり、中央にあるものが最初に発射されてそのあと順次、前方や後方にあるものが中央に移動するのだろう。
しかし、この場合も、重心の移動があることになる。問題は軽減されるが、問題そのものが消えたわけではない。おまけに複雑な機構が必要となる。問題の存在そのものは解決されない、と見ていいだろう。……細かな話になったが。
( ※ 機構が複雑になると、重量が増す。そのせいで戦闘機としては致命的になる。この点は、関連サイトに記してあるページも説明されている。)
【 関連項目 】
→ F35は駄作(わざと)
→ 次期戦闘機は F-35 か? (2009年06月24日)
※ 本項を読んで、「今ごろ F-35 の批判をするなんて遅れているぞ」
と文句を言う人もいるかもしれないが、お間違えなく。
本サイトは 2009年06月24日 の時点(5年以上前)に、
すでに批判しています。「あれもこれも狙った駄作だ」と。
【 関連サイト 】
→ コラム:最新鋭ステルス戦闘機「F35」の宿命的欠陥 | コラム | Reuters
→ F-16設計者、F-35が駄作な理由を語る : ギズモード・ジャパン
→ F-35 - 恐らくそれは役に立たないミリタリー知識
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-117_%28%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%29
もちろんあまり例はないでしょうから、開発が難航するのは不思議ではありませんが。
それよりも大きいのは陸海空海兵の4軍およびイギリスなどのパートナー国の要望を組み入れた「統合打撃戦闘機」たろうとする点でしょう。これが、開発を難航させているのでしょう。
これまでにF-111などマルチロール機の開発は死屍累々ですから。
F22になくて、F35にあるもの、それは多用途(通常・短距離離陸・垂直離陸)の能力を一つのデザインでしようとしたことではないでしょうか。
独自性が問題という点はまさしくその通りだと思います。
なお、重心などの安定性の問題はすでに他の航空機で経験済み、クリアされています。最新の航空機は空力特性による安定性を犠牲にして、他の特性を伸ばす方向で開発されています。
最たるものはB-2で、本来は飛べないはずの航空機ですが、コンピューターで不安定性を力技で押さえ込み(不安定さが生じたときに瞬時に逆方向の力を加えて、見かけの安定を作り出している)、飛ばしているわけです。それに比べたら、ミサイルによるの重心の安定的なずれなぞ全く問題になりません。
それより、ステルス性を犠牲にしてよいのなら(機外ミサイル搭載)、F-15Eで十分だと思います。B-28を超える搭載力、有り余る推力、カタログではない実戦での性能...
ちょっとステルスが欲しければF-15SEがあります!
F-22の特性は機内搭載による(もちろん「だけ」ではないですが、重要な要素)ステルス性、スーパークルーズですが、スーパークルーズは専守防衛の狭い日本では重要ではなく、ステルス性は捨てるのが本稿のお題なので。
それは五年前の項目(2009年06月24日)で、すでに指摘しています。「あれもこれも狙った駄作だ」と上で簡単に紹介しているとおり。
なお、F-117 は 爆撃機であり、武器を内蔵する戦闘機とは違います。
> 最たるものはB-2で、
B-2 は爆撃機ですから、急旋回などはしません。
水平飛行の場合には問題ない、というふうにすでに述べています。
本項は戦闘機の話をしているのであって、爆撃機の話をしているのではありません。爆撃機は話が全然関係ない。飛行機の話に潜水艦を持ち出すようなもので、比較にならない。
> ウエポンベイシステムはF35の専売特許でもなんでもなく、大成功(しているはず)のF-22もそうですから
そう言えばそうでした。失念していました。すみません。
ただ、F-22は双発機なのでウェポンベイを無理なく組み込めるのに、F-35は単発機なのでウェポンベイを組み込むのに無理が生じて「太った」感じの機体になっているのでしょう。
ウェポンベイと単発機の、相乗効果ということでしょうか。本文はいささか不正確だったようです。
> F-22はライン閉鎖しちゃったので、再生産はあまり望めないと思います。
F-35 を生産するのならばそうでしょう(現状)。
しかし、もし F-35 を生産中止にするとしたら、F-22 の再生産が開始されるだろう、というのが本項の趣旨です。
それもそうなので、本項の話の信頼性は低いと判断しました。その旨、本項の冒頭に赤字で加筆しました。
そもそもF-22にせよF-35にせよ空力的にはuglyのひとことにつきる設計です。空力屋がステルス屋にうち負かされた記念碑ともいうべき飛行機たちです。
最近のダウングレードはソフトウエアの書き換え等で新型機を造る費用が掛かるんだが。
F-35 については、米国政府は諸外国向けの機体はダウングレードしたものにするそうですよ。つまり、一部の重要な機能(特にステルス性に関する軍事秘密に関するもの)を、抜かして販売するつもりらしい。粗悪品販売みたいなもの。
Wikipedia かどこかに、そういう話が書いてあった。この点では、私の方が情報に詳しいですね。
あと、F-35 の場合、費用がかかろうがかかるまいが、関係ない。どっちみち殿様商売なんだから。かかった費用は上乗せして販売するだけだ。
F-22 の場合、ステルス性が落ちたとしても、ソフトウェアの書き換えは必要ない。敵に探知されるかどうかは、こちらの運動性能には影響しない。
水平飛行の場合には問題ない、というふうにすでに述べています。
実は、空力学的安定性と機動性は相反する要素で、最近の戦闘機はむしろ不安定性を積極的に利用してるんですよ。
ですので、本来は飛ぶはずのない板きれ爆撃機を安定的に飛ばせるのなら、プログラム上で設定した安定性をちょこっと減らすだけで劇的な機動性を持たせることができるんです。
なおで、B-2の例は、ここまでできるのなら後は何でもできる、という話なんです(持に重心などの単純なものなら。エネルギー機動とかは、また別の話))