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ざっと見たところ、あまりにも未熟すぎて、評価の対象にすらならない。実験室レベルでさえなく、ただのアイデアの段階に止まっている。まあ、海のものとも山のものともわからない、という段階であろう。
で、このような未知状態のものに対して、「10年後の実用化」と言ってしまうなんて、ひどい山師的な発言だ。すでにプロトタイプが確立している燃料電池車でさえ、普及はずっと先だと見なされている。トヨタが今年末あたりに発売予定というのだって、ただの予定にすぎないし、最大限でうまく行っても商業ベースにはならない。(多大な補助金が前提だ。)燃料電池車の場合、うまく行けば 10年後に普及する、という程度だろう。
また、青色 LED の場合、1995年にはすでに実験室レベルでまともなものができていたが、まともに普及したのは、2013年ごろだ。20年近くかかっている。こんなに単純なものでさえ、それだけの時間がかかっているのだ。
で、核融合が 10年後に実用化? ぷっ。
超高温で融けない物質を開発するところからして大変なのに。
たぶん、この発表をした人は、核融合における多大な問題が存在することを、知らないのだろう。で、たった一つだけの問題を解決したつもりになって、「ブレイクスルーがあったからすべてはうまく行く」と思い込む。それだけのことだろう。
現実には? 核融合を困難にしているのは、何か一つ、ボトルネックとなるような巨大な問題があるからではない。多くの問題があって、あれもこれも、どれもが未解決だからだ。
ところが今回の報道では、「ブレイクスルーが一つだけあった」というふうに報道されている。これじゃ、見当違いというしかない。「ものすごくたくさんあるすべての問題を、ことごとく解決した」というのでなければ、核融合の実用化は不可能なのだ。それゆえ、「実用化には半世紀以上かかりそうだ」という見通しがほぼ合意されているのだ。
なのに、「10年で実用化」なんて、あり得ないですよね。ま、「目標」ならばあり得るが。あくまで、目標ですね。
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ちなみに、太陽電池についても、似たような見通しは何度もあった。
・ 3年後に太陽電池のコストは半減
・ 太陽電池の効率を2倍にアップ
・ 太陽電池の寿命を大幅にアップ
・ 太陽光発電の普及率を大幅にアップ
そのすべては、「狼が来た!」というのと同様の嘘でした。
[ 付記 ]
記事によると、こうある。
マクガイア氏は、ロッキードが開発に関していくつかの特許を申請中であるとともに、学界や産業界、政府の研究者などを対象に今後の協力相手を探していることも明らかにした。
( → ロイター )
資金協力の相手を求めているわけだ。「巨額の研究資金を出してくれ」と。そのために、うまいことをさんざん宣伝しているわけだ。……実際には誰も出してくれないようだから。 (^^);
今回のは、金を求めるための誇大宣伝と見なすのが妥当だろう。「まったくの嘘」とまでは言わないが。「うまく行ったら儲けもの」ぐらいの話。「青色 LED の研究開発」に比べれば、はるかに困難で、かつ、はるかに金がかかる。そこで、資金を得るためには、はるかに大ボラが必要だ、ということだろう。