「天才は、世間からは理解されず、攻撃される」
という基準がある。これからすると、中村修二はまさしく天才だと言えるだろう。
一方、誰からも簡単に理解される赤崎勇の方は、天才ではないことになる。
一般に、天才は、あまりに世間から超越しているので、世間的な基準からは理解しがたい。そのせいで、理解されないまま、攻撃されてしまうのだ。
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以上は、世間話ふうの話題。
以下では、もうちょっとまともな話を書く。
青色 LED のインタビュー記事があり、そこでは中村修二が江崎玲於奈の「超格子」に言及していて、江崎玲於奈を「神様みたいな人です」と賛美していた。(読売・朝刊 2014-10-08 )
なるほど。そうですね。江崎玲於奈の「超格子」こそ、まさしく画期的なアイデアだった。実を言えば、固体物理学の大半は超格子の産物だと言える。そのうちの一つが、青色 LED であったのだ。(青色 LED もまた、超格子の一つである。)
その意味では、「超格子」を提出した江崎玲於奈こそ、真に天才的だと言えるし、また、青色 LED に先んじてノーベル賞を受賞していてもおかしくなかった。
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なお、超格子というものがどういうものであるかは、調べればすぐにわかることだから、ここでは述べない。Wikipedia でも参照にするといいだろう。
→ 超格子 - Wikipedia
参考のために図を書くと、こうだ。
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紹介記事もある。
米国IBM T.J.ワトソン研究所に移られた江崎博士は、1969年、組成の異なる半導体を層状に積み重ねた周期構造をもつ半導体超格子と呼ばれる人工物質を提唱し、通常の物質では観測不可能ないくつかの効果を予言しました。
江崎博士による人工超格子の概念は、固体物理学の新分野を切り拓き、その後の研究に大きな影響を与えました。量子井戸レーザーや高電子移動度トランジスタなどの半導体デバイス、さらには強磁性金属と非磁性金属からなる人工超格子を用いたハードディスクの読み出しヘッドなど、私たちの身の周りでは江崎博士の研究を基礎とした技術が多く用いられています。
この功績に対して、1998年に日本国際賞が授与されました。
( → 東京大学 大学院理学系研究科・理学部 )
江崎玲於奈は、今回の三人の受賞者のうちの一人に含まれていてもよかったが、どちらかと言えば、単独での受賞をめざしてほしい。
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あと、西沢潤一の業績も忘れがたい。
【 関連サイト 】
窒化ガリウム( GaN )の原子配置はどうなっているか?
上の図では、二つの原子が交互に配置されていた。その配置関係は、正方形(90度)の関係だった。
窒化ガリウムは、これほど単純ではなくて、六角形(60度)の関係だ。しかも、立体的な関係にある。文字では簡単に示せないので、次のページの図を見るといいだろう。
→ 窒化ガリウムの原子配列(模式図)