安倍首相が PKO 活動への積極参加を、国連演説で表明した。
→ 安倍首相、PKO積極参加を表明 国連本部で - MSN産経
→ 首相「PKO積極参加」…国連会合で意向表明: 読売新聞
→ 安倍首相:PKOハイレベル会合で積極的取り組み表明 - 毎日新聞
→ PKO強化支持で共同声明 NHKニュース
→ 自衛隊の更なる貢献を検討 PKOで安倍総理大臣 (テレ朝)
PKO の積極参加は、それはそれでいいが、どうせなら、日本人からなる自衛隊よりは、(外国人の)傭兵からなる専門部隊を使う方がいい。これが私の見解だ。
理由は下記の通り。
(1) 法的問題
自衛隊を PKO 活動に投入するには、法的な問題がある。憲法は「国際紛争を解決する手段としての武力」の保有を禁止しているからだ。
これの例外として、(自然権としての)自衛権を認めるのが通常の法的解釈だが、PKO は(自然権としての)自衛権には含まれない。とすると、憲法9条に抵触する。つまり、自衛隊を PKO 活動に投入することは、憲法違反の疑いが強い。(せいぜいグレーであり、ホワイトにはならない。)
その点、外国人部隊を設置して、国外常駐で、(国連認定の)外国人司令官の指揮下にあるのであれば、「日本が保有する」という規定からはずれると見なせるので、憲法違反とはならない。そもそも、このような舞台は、外国を侵略する能力もないから、中国・韓国・東南アジアなどが心配して反対することもないだろう。
(2) 活動範囲
自衛隊を PKO 活動に投入するとしたら、積極的な戦闘は見込めず、かなり小規模な範囲に投入することになりそうだ。現状では、ほとんど平和活動みたいなインフラ整備ばかりやっているが、今後は拡大するとしても、せいぜい捕球活動ぐらいだろう。戦闘活動はありえそうにない。
その点、専門の傭兵部隊なら、戦闘活動に投入できるので、日本が PKO 活動に関与できる範囲が大幅に広がる。この点で、国連への貢献は増す。
(3) 隊員の意思
そもそも自衛隊員が PKO 活動をするというのは、自衛隊員の意思に反する。彼らが自衛隊員になったのは、「国を守るため」であったはずだ。「日本が外国から攻められたら、国民の誰かが死ぬ。そういう場合には、他の日本人のかわりに、自分が積極的に戦おう」というつもりであったはずだ。彼らはあくまで、日本人の命を救うために、おのれの一命を差し出そうとしたのだ。
なのに、PKO のために命を差し出せだと? それは詐欺みたいなものだろう。目的はと言えば、日本人の命を守るためではなくて、「日本は国際貢献しました」という声望を得るため、つまり、安倍首相の評価を高めるためだ。
たかが政治家の評価を高めるために、おのれの命を差し出せというのか? これはほとんど詐欺同然だ。しかも、金でなく命を奪う詐欺。
どうしても自衛隊を使うというのであれば、自衛隊のなかから志願して PKO 部隊に移った人だけを対象とするべきだ。一般の自衛隊員を投入するなんて、とんでもない。
( ※ 実を言うと、現在でも PKO 活動をするときは、建前上は「志願制」が取り入れられている。しかし実態は違う。妻が「あなた、やめて」と夫に訴えても、「部隊における立場上、自分が志願しないわけには行かないんだ」と苦しい立場に陥って志願を強いられるのが普通だ。これでは真の「志願制」になっていない。むしろ「強制」に近い。ひどいね。「志願しなければ降格だぞ・クビだぞ」という感じ。)
(4) コスト
それでも無理やり志願させようとして、政府はいろいろと手当てを積みましたりしている。そのせいで、コストはどんどん上がる。
一方、外国人の傭兵なら、途上国(アフリカ)の貧困者を雇用できるので、費用は格安で済む。アフリカの一人あたり GDP は、2000ドル(20万円)ぐらいがザラだ。年俸 100万円を出せば、精鋭が集まるだろう。
(5) 実力
最後になったが、最大の理由は、軍としての実力だ。
そもそも自衛隊員に応募した日本人は、精鋭ではない。たいていは、落ちこぼれみたいな人だ。体力もろくになく、学力もろくになく、まともな企業には入れないまま、仕方なく自衛隊に応募して、そこから頭数あわせのためだけに採用された、というような人が大半だ。
たとえば、視力だって近視の人が多いはずだ。コンタクトやメガネがなくなったら、たちまち戦力にならなくなる人が多いだろう。
各種の運動能力にしても、おおむね凡人レベルだと言えるだろう。もちろん訓練によって向上はするだろうが、先天的に優秀である人には遠く及ばないはずだ。
一方、アフリカ人のなかから選抜するのであれば、もともと広大な自然環境のなかで優秀な体力・視力をもつ人々のなかから、さらに選りすぐりの優秀な人々を選抜できる。体力的にエリートばかりを選抜できる。こういう人々からなるエリート部隊であれば、軍事的にはものすごく強力になるはずだ。
たとえば、このグループと、日本人の自衛隊員のグループとが、遠距離でライフルの撃ち合いをしたら……
・ アフリカ人の精鋭のグループ …… 命中率 80%
・ 日本人の自衛隊員のグループ …… 命中率 10%
比喩的に言えば、「ゴルゴ 13 が 10人」のグループと、「凡人が 100人」のグループだ。後者に勝ち目はない。
というわけで、軍事的に戦力を考えても、日本人の部隊よりは、外国人の精鋭の部隊の方がいいのだ。
なお、仮に日本人だけで精鋭部隊をつくるとしたら、年俸 3000万円ぐらいが最低ラインだろう。何しろ、命を賭けて実際に戦うんですからね。
※ そもそも軍事常識として、「数より質が大事だ」ということがある。特に航空戦ではそうで、F-22 と 旧型機が戦えば、F-22 が圧勝する。「数が大事だ」というのは、昔の白兵戦みたいな場合だけだ。今は時代が違う。特に、山岳地帯で神出鬼没するゲリラを相手にするなら、都会出身のお坊ちゃまである日本人がまともに戦えるはずがない。戦えば全滅するのが目に見えている。……日本の自衛隊は、実弾訓練もろくにしていないような、低レベルにある。そんな人々を、首相の声望のために投入するなんて、狂気の沙汰だ。(首相は自衛隊員の軍事レベルを理解できていないとしか思えない。)
(6) 対テロ活動 【 追記 】
もう一つ、重要なことがあった。
日本の自衛隊員(陸上自衛隊員)は、対テロ活動の訓練はしていない、ということだ。やっている訓練は、「本土に上陸した敵部隊と交戦すること」である。これは、部隊単位での戦闘だ。
一方、PKO では、神出鬼没のテロリストを相手にすることになる。これは、普段やっている自衛隊の訓練とは、まったく別の訓練である。その意味では、自衛隊員はほとんど素人に近い。にわか仕込みの付け焼き刃で戦うことになる。こんなことでは全滅しかねない。
やはり、テロリストを相手にするには、それ専門の部隊が必要なのだ。
[ 付記1 ]
視力に関しては、「コンタクトやメガネなしでも済むように、レーシックを強制せよ」という案があるそうだ。民主党議員の発言。下記に収録されている。
→ レーシックで被害に遭った人のブログ
この人はレーシックで被害に遭ったらしい。失明に近いひどい状況になったのかも。それを自衛隊員が強制されたら……と想像すると、身の毛もよだつ。
[ 付記2 ]
ま、PKO 活動に参加したいと思うような人は、「このままでいても、無職だし、まともに食えないし、エボラ出血熱で死ぬかもしれないし」と思っているような、アフリカの人ぐらいだろう。
幸福な日本に住んでいる人が、あえて PKO 活動に参加したがるはずがない。国を守る自衛隊活動とはまったく異なるのだ。
そこを理解できないのが、安倍首相。彼は「愛国心とは何か」を、根本的に理解できていないのだろう。だから、自衛隊員の気持ちを、まったく無視して平気でいるのだ。
朝日を批判する人は、「朝日は愛国心がない」と言うが、実は、愛国心がないのは、安倍首相なのである。
[ 付記3 ]
なお、本項を読んで文句を言いたい人は、その人が自分で自衛隊に入ってください。そしてイラクあたりに派遣されて、銃を取って下さい。
もちろん、銃を持った瞬間に、テロリストに撃たれる可能性があります。また、銃を持たなくても、地雷で死ぬ人が多数います。(アメリカ兵の場合は、特にそうです。)
本項に反対する人は、その人自身が自分で死ぬ可能性をとってくださいね。
( ※ なお、「 PKO 活動には反対」という立場もありますが、それは、「テロリストによる破壊活動に賛成」という意味になります。お忘れなく。)
被害数とその近似の分母が知りたいなー
危険がまれならリスクは仕方ないような気もするし・・・
でも病気ではないから0リスクじゃなければアホらしいかな・・・
私は現在の自民党は支持できない(歴史修正主義者だらけなのはさすがにヤバいでしょ)立場ですが、さすがに↑の文は一般の自衛官の失礼かと。
確かに防衛大卒のエリート以外の一般で入った自衛官の能力は上下の差が激しいのは確かですが、昔と違い戦争・自衛隊への偏見も薄れ、かつ極端な就職難の平成に入ってからは↓
>落ちこぼれみたいな人だ。体力もろくになく、学力もろくになく、
ここまで酷いひとはそれほど多くないと聞きます。(※特に体力はないとすぐに退官せざるを得ないですし、座学も警察ほどではないにしろ必要なので、昭和時代の自衛官の発想ではないかと…?)
>まともな企業には入れないまま、仕方なく自衛隊に応募して
これに関しては反論しません。
>本項に反対する人は、その人自身が自分で死ぬ可能性をとってくださいね。
それをいわれると何も言えませんが、警察学校をドロップアウトした身や警備会社で元若手自衛官の話を聞くと、そこまで酷くはないと思うので、思わず投稿してしまいました。本文の趣旨を理解できていないレスでしたらすみません。
一部だけ抜き出さないで、前後をきちんと読んでください。その直前・直後に、次の文句があります。
> 精鋭ではない。 …… というような人が大半だ。
精鋭に比べれば、体力も学力もない、というだけです。
また、大半がそうだというだけで、なかには優秀な精鋭もいるのは当然です。
> 各種の運動能力にしても、おおむね凡人レベルだと言えるだろう。
とも書いています。
比喩的に言うと、甲子園に出場する高校の野球部員(精鋭)に比べて、その高校の大半の人は、体力はろくにありません。だからといって、「ひどい」ということはないでしょう。当たり前のことだけです。
本項は、アフリカ人から選抜する精鋭部隊と比べた場合の話です。一般の自衛隊員をダメだと批判しているわけではありません。
エリートに比べて大衆のレベルが低い、というのは、批判でも何でもない。ただの統計分布の事実です。
わかりやすく言うと、「凡人はゴルゴ13の真似はできない」と言ったからといって、凡人を批判したことにはなりません。
なお、比較対象は、相手のゲリラ(テロリスト・兵士)です。これらと互角の能力があると自惚れた上で、まともに戦えば、死ぬだけです。自己の過大評価が死に結びつくのが戦場だ、と理解しましょう。
>歴史修正主義者だらけ
「自分が形成した歴史観は修正じゃない、あいつらが形成した歴史観は修正だ」といって人間から思考を奪おうとするのは公正ではありません。そもそも現在支配的な歴史観も「修正」の産物でしかない。
実質、「傭兵」でPKOを賄っているという状況にはなっています。