私はこれまで「仮設住宅は無駄だ」と主張してきた。「たったの3年ぐらいのために 600万円も投入するぐらいなら、空き家の家賃や、新築住宅の補助金のために、その金を使え」という趣旨。それならば、金は決して無駄にならない。
( ※ 一方、仮設住宅は、最終的には解体されるし、そのために解体費用も必要となる。)
さて。すでに馬鹿げた政策が進んでいるところへ、屋上屋を架するようにして、さらに無駄金を投入しよう、という動きが進んでいる。
この件については、先に紹介した。
→ 復興住宅の無駄 (2014年09月07日)
さらにその後、いくつかの情報が出たので、紹介する。
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《 仮設住まい、今も8.9万人 東日本大震災3年半 》
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の49市町村では、プレハブ仮設住宅約4万1千戸に約8万9千人が暮らす。阪神大震災では仮設住宅が5年で解消されたが、東日本大震災では5年を超える見通しだ。
復興庁の6月末現在のまとめでは、仮設を建てた市町村のうち、震災から5年となる2015年度までに復興住宅や集団移転地の整備が終わる見込みなのは18市町村。他の市町村について内閣府は「移る先の住宅が整わなければ仮設住宅を1年ごとに延長する」という。
被災世帯が最多の宮城県石巻市は、7660戸分の宅地と復興住宅を用意する予定だが、15年度までにできるのは53%。集団移転地の造成が終わるのは17年度と見込まれ、「それまで仮設を残さざるを得ない」と担当者は話す。
仮住まいの被災者は、3県で民間借り上げ住宅や公営住宅の「みなし仮設」約3万8千戸にも約9万人いる。仮設入居期間は本来2年。11日に震災発生から3年半となるなか、プレハブ仮設は老朽化が進み、体調不良を訴える被災者もいる。(石橋英昭)
( → 2014年9月11日 )
《 仮設いつまで 杭は腐食、カビでぜんそく 東日本大震災3年半 》
東日本大震災の被災地で仮設住宅解消の見通しが立たない。杭の腐食やカビの発生で、体調不良を訴える被災者がいる。仮設がある場所に公共施設をつくるため、別の仮設への転居を迫られる人もいる。東日本大震災から3年半。長期の「仮住まい」が被災者に苦境を強いている。
研究所などが6月、石巻の仮設で集団検診をしたところ、137人中32人にぜんそくなどの呼吸器異常が見つかった。市はカビのひどい46戸について、1600万円で天井板や畳を替える作業を続ける。
建物もきしむ。岩手県釜石市の平田団地で8月末、劣化の点検を兼ねた「試験改修」があった。仮設を支える杭のうち雨や雪にさらされる部分が腐っており、鉄製の杭を添えて補強した。
■補修では限界、対策急務
災害救助法で、仮設住宅の期間は原則2年とされている。「必要最低限の仮住まい」(内閣府)との位置づけのため、被災地での老朽化したプレハブ仮設の補修では、長期間使う仕様にまでは変えられない。
内閣府の有識者会議では、仮設住宅の基礎をコンクリート製にしたり、避難所から直接復興住宅に入れるような仕組みを設けたりする案が出ている。長期の避難生活が想定される将来の大規模災害に備えるためだ。
ただ、法改正には数年かかる見込み。
( → 2014年9月11日 )
たかが仮設住宅のために、大金を投入している。ざっと 600万円。
それで済めばいいのだが、そのあとさらに、復興住宅のために建設費がかかる。下記の例では、「1戸あたり 4059万円」となる。
→ 復興住宅の無駄
その上さらに、陸前高田市では、高台造成のため「山を削り、市街地をかさ上げする」という大工事がなされている。工事費は(土地造成費だけで) 1戸あたり 4000万円で、総額 2000億円。
→ 陸前高田の盛り土
この莫大な無駄にすぎない工事が、どんどん進みつつある。
岩手県陸前高田市では高台造成のため山を削り、市街地をかさ上げする工事が本格化している。
山から市街地に土を運び出すのは、総延長3キロのベルトコンベヤー。工期を短縮するためにつくられ、1日に 10トントラック4千台分、2万立方メートルを運ぶ。総搬出量は東京ドーム4杯分で、来年5月ごろまでかかる見通しだ。
( → 朝日新聞 2014年9月14日 )
実を言うと、こんな馬鹿げたことをしているのは、陸前高田だけだ。たいていの地域では、単に「高台に住む」というだけにしている。それならたいして工事費はかからないからだ。
実際、陸前高田だって、こんな大工事を海のそばでやる必要はない。海から離れたところには、ちゃんと高台があるからだ。
大きな地図で見る
陸前高田はたしかに、かなり内陸部まで津波が来て、平地部は根こそぎにされてしまった。市役所のあるあたりまで、何もかもなくなってしまった。
( ※ 津波というのはそれほどにも威力がある。押し寄せるときにはそれほどでもないが、津波の引き波の時には、ものすごい力がかかる。海の浜辺で、引き波野中に発っていると、たいした波でもないのに、足を取られそうになる。その数百倍の規模の力が建物にかかる。建物はすべて引き波に運ばれてしまい、海に放り出される。)
しかし、である。市役所よりも1キロほど内陸部に当たる竹駒小学校のあたりでは、津波は押し寄せることなく、無事だったのだ。そのことはストリートビューで確認できる。
大きな地図で見る
このあたりは、やや高台なので、津波が押し寄せることもなく、建物はすべて残っている。また、空地となる田畑はたっぷりとある。
だから、このあたり[高台]に移転すれば、巨額の金を投入する必要はないのだ。陸前高田もまた、他の地区と同様にすれば、2000億円[土地造成費のみ]とか 4000億円[建物代込み]とかの、巨額の金を掛けずに済むのだ。
ここには途方もない無駄がある。
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一方で、このような被災地のために、東京の中小企業が必死に寄付をしている。
《 東銀座印刷出版 被災地に寄付、毎年1千万円 》
2011年の東日本大震災の発生以来、毎年、千万円単位の寄付金を被災地に贈っている。
きっかけは、震災直後の溜口(ためぐち)美津副社長の一言だった。「ちょうど決算期。3月の利益はなかったことにして、その分を寄付しては」。すぐに臨時取締役会を開き、1カ月の利益にあたる3千万円を、被災地に贈ることを決めた。
生協の宅配カタログのデータベース制作などをサポートする総合印刷業の会社。震災直後から、全国の生協が被災地に支援に入っているのに、仙台など取引先の生協や被災者を助けられないことに、溜口副社長はもどかしさを感じていた。浜賢司社長も「生協を通じて生活者を相手にする商売。経営が苦しいときに周囲に助けてもらい、十数年前からやっと利益が出るようになった。社会貢献をするのは今」と同調した。
浜社長は「社員の報酬に影響が出るわけではない。利益が出る以上はずっと続けたい」と話す。(西前輝夫)
1953年創業。本社は東京都豊島区高田3丁目。資本金1億2千万円。売り上げ42億円、営業利益4億円(2014年3月期)。従業員110人。
( → 朝日新聞・夕刊 2014-09-22 )
従業員110人の中小企業が、営業利益4億円のうちの 3000万円を被災地に寄付しているのだ。何と健気なことか。
ところが、である。彼らが必死になって送った寄付金は、たった1家族にも満たない量の人々がほとんど無駄遣いしてしまうのである。土地造成費 4000万円、復興住宅 4000万円。たったの1家庭で 8000万円も使い果たしてしまう!
ちなみに、都会では、武蔵小杉のタワーマンションという憧れの住居でさえ、5000〜7000万円ぐらいだ。ちょっと話題になっている横浜市都筑区の中古マンションなら 2000万円ぐらいだ。一戸建てだって中古なら 3000万円ぐらいだ。
なのに、陸前高田の被災者は、はるかに高額の物件に住むことが可能なのだ。(それも、ごくわずかな家賃を払うだけで。)
何たる無駄遣いか。
そして、この無駄遣いの原資は、世界各国や国民が差し出した寄付金(義捐金)ではない。16兆円という巨額の国庫支出だ。そして、その巨額の国庫支出をまかなうために、人々は巨額の国税を支払うハメになったのだ。
逆に言えば、16兆円の金を使ってもいいと言われたので、国は好き勝手に国民の金を無駄遣いしているわけだ。
で、なぜ、人々はそれを気にしないのか? そのわけは、簡単だ。人々には、そんなことよりも、はるかに重大な目的があるからだ。それは……
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朝日たたき である。
人々は、朝日をたたくのに熱中しているから、16兆円を奪われても、ちっとも気にしないのである。
朝日たたきに熱中させて、16兆円を奪って無駄遣いする自民党って、頭いいね。
復興の枠組みをつくったのは、民主党だが、その 16兆円は、有効に使われる予定だった。それを、ただの馬鹿げた土木費用に使って、袖の下を得るなんて、自民党って、頭いいね。
だから彼らは愚民をけしかけて、朝日たたきに熱中させるわけだ。
【 関連項目 】
→ 仮設住宅 (サイト内検索)
