2014年09月10日

◆ 救急車が足りない

 前から言われていることだが、救急車が足りない。さして必要でもないのに救急車を呼ぶ軽症者が多いからだ。では、どうする? ──
 
 9月9日は、サラダ記念日じゃなくて、救急の日だ。そこで朝日が記事を書いた。問題点を指摘している。
 《 きょう救急の日 急増する出動、遅れ続ける到着 》
 東京で救急車が現場に着くのが遅くなっている。昨年は平均で約8分。10年間で1分半遅くなり、全国最悪の水準が続く。東京は神奈川県や大阪府と比べても遅く、2012年時点で全国最悪。東京消防庁のまとめでは、13年も7分54秒で、5年連続で遅くなった。03年は6分22秒だった。約30年前の1984年の4分40秒からすると、1.7倍に。
 背景にあるのは、出動回数の増加と救急車不足だ。出動は10年間で66万3765回から74万9032回と8万回余り増えたのに、救急車は217台から20台増えただけだ。
 救急車を呼ぶ必要がなかった事例も少なくない。運んだ5〜6割は入院不要な軽症患者。タクシー代わりに呼んだと思われるような通報や、病院側に入院不要と判断されたのに「入院できる病院を探して欲しい」などの要請もあった。
( → 朝日新聞 2014年9月9日

 「不要不急の軽症者がタクシーがわりに救急車を使いすぎる」という話は、前からあった。その率が何と5〜6割もあるそうだ。(記事にある通り。)……ここが最大の問題点だとわかる。

 ──

 では、どうすればいいか? 

 (1) 利用制限

 よく聞く案は、「救急車の利用制限」である。これはたしかに有効なのだが、この場合、「真に必要な人」が救急車を呼べなくなる、という問題がある。
 2011年10月31日、山形大学に在籍していた当時 19歳の大久保祐映【おおくぼ・ゆうは】さんが体調不良で 119番通報し、救急車を要請したが、山形市消防本部は自力で病院に行けると判断し救急車を出動させなかった。
( → NAVER まとめ

 なるべく軽症者の利用を制限しようとしたら、途中で症状が悪化する人まで制限して、死なせてしまった、という弊害が生じるわけだ。

 (2) 有償化

 「救急車の有償化」という案もある。これは、利用する側が自制する案だ。しかし、自制しすぎて、呼ぶべきときにも呼べない、ということがある。たとえば、交通事故で倒れた人を見たとき、「勝手に救急車を呼んだら、呼んだ私がお金を請求されるかも」と思う。そのせいで、手遅れになって、被害者が死んでしまった、ということも考えられる。

 (3) 私の案

 そこで、私の案を示そう。次の二本立てだ。
  ・ 救急車
  ・ 搬送サービス

 後者の「搬送サービス」は、有償にして、タクシーみたいなものを使う。
 そのどちらにするかは、119番の担当者が判定する。

 @ 自宅から本人が要請する場合には、原則として、搬送サービスにする。理由は、本人に意識があるからだ。
 先の「19歳の大学生が死亡した」というような事例では、その時点で、本人に意識があった。だから、搬送サービスの人と車がすぐさま訪問する。だから、「放置されて死亡した」というような事故は防げる。(たとえ訪問した時点で意識がなくても、その場合もすぐに病院に運ばれる。)

 A 本人に意識がない場合(自宅または路上で倒れていた場合)には、事故の扱いとなり、救急車を無料で配送してもらえる。この場合、無料だから、電話した人が料金を請求されることはない。
( ※ なお、救急車た到着する前に、途中で本人の意識が回復した場合には、改めて搬送サービスを呼んでもらう。救急車は別のところへ向かう。たとえば、大事故の現場へ向かう。ただでさえ救急車は足りないんだから、余計なことをしている暇はない。)
 
 ──

 以上のようにした場合、搬送サービスはただのタクシーみたいなものだから、「足りなくなる」という問題はない。むしろ、客が増えれば増えるほど、商売繁盛でありがたい。福祉サービス向上と、失業者の雇用とで、一石二鳥だ。
 今はタクシー運転手の雇用状況が非常に悪いので、そのうちの一部は、自治体と契約して、搬送サービスの仕事をするといいだろう。(一種の介護業務みたいなものだ。)



 [ 補足 ]
 「救急車の有料化」というのは、「需要の抑制」という方針。これで需給は均衡するかもしれないが、必要な需要に対応できないこともある(そのせいで人命が失われる)という難点がある。大学生の死亡の例を参照。
 「搬送サービス」というのは、「供給の拡大」という方針。軽度な患者には、軽度なサービスを提供するだけで足りるから、容易に供給を増やせる。この方針で、軽度なサービスを有償で大量に供給することが可能となる。これだと、「人命が失われる」という難点は生じない。



 【 関連項目 】

 似た話題の過去記事。
  → 雪で救急車が足りない!
   ※ 大雪の日の大騒動。

  → 救急医療の改善 (改訂版)
   ※ 救急車じゃなくて救急医の方は何とかなるらしい。
 
 


 【 オマケ 】 

 9月9日 と 6月6日は、ロールケーキの日


posted by 管理人 at 20:09| Comment(7) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
渋滞や違法駐車でのアプローチ遅延も気になるところです
Posted by 先生 at 2014年09月10日 20:55
>背景にあるのは、出動回数の増加と救急車不足だ。出動は10年間で66万3765回から74万9032回と8万回余り増えたのに、救急車は217台から20台増えただけだ。

66万→74万 12.8%アップ
217台→20台増 9.2%アップ

極端に出動回数だけ増えた感じはないんですよね。しかも日本は着実に高齢化しているわけなので、出動回数が増えるのは自然かと…。

>タクシー代わりに呼んだと思われるような通報
生活保護の金でパチンコやる人の批判のような少数例のあげつらいに見えます。

>運んだ5〜6割は入院不要な軽症患者
入院不要でも緊急処置が必要な人は多いのでは?ちゃんと検証しているのでしょうか。またタクシーで行ったら軽い症状だけど先行した人たちの後回しにされるのは避けられません。
Posted by daimong at 2014年09月10日 23:47
> タクシーで行ったら軽い症状だけど先行した人たちの後回しにされるのは避けられません。

 救急車だって後回しですよ。私はバイクにはねられて道路に倒れて動けなくなった(脳しんとう状態)あとで、救急車に運ばれたことがあったが、病院に運ばれたときには動けるようになったので、血が出る状態で、何の手当ても受けずに、後回しにされました。
 傷口の消毒ぐらいしてくれればいいのに、と思ったが、ほったらかしです。1時間ぐらいたってから、包帯と薬を受けた。
 救急車だと優先されるというのは俗信です。
Posted by 管理人 at 2014年09月10日 23:55
> ちゃんと検証しているのでしょうか。

 記事によると、「総務省消防庁によると」ということですから、プロがずさんな調査をするとは思えません。
 ま、検証というより、調査ですね。総務省消防庁が調査しているだだけです。検証は誰もしていないでしょう。

> 生活保護の金でパチンコやる人の批判のような少数例のあげつらいに見えます。

 この手の不要な救急車の使用例が多いということは、これまで何度も報道されてきましたよ。特に、お年寄りが多い。ちょっと転んだぐらいのことで救急車を呼ぶ(特定の)お年寄りが、けっこうたくさんいる。半分ボケているんですね。
 事例は何度も報道されてきたので、ググると見つかるでしょう。たぶん。
Posted by 管理人 at 2014年09月11日 00:06
>。特に、お年寄りが多い。ちょっと転んだぐらいのことで救急車を呼ぶ(特定の)お年寄りが、けっこうたくさんいる。半分ボケているんですね。

そうと判っているなら、年齢制限をかけるのが妥当だと思いますよ。

○○歳以上のお年寄りには、先ず、搬送サービスとする。
ただし、119番の担当者の判断に依って救急車とすることもできる。

高齢者の利用を制限しようとしたら、「途中で症状が悪化する人まで制限して、死なせてしまった」としても、姥捨てってことで(毒)
Posted by 磯崎ゆい at 2014年09月11日 05:21
面倒な仕組みを考えるより有償化するのが現実的。と最初考えましたが、よく考えると、いいアイデアですね。
交通事故の時は、すぐに病院で検査するため、たいした怪我じゃないのに救急車を呼ぶことが良くあります。お金を惜しむ気がなくても、現状は救急車しか選択肢がないのですが、これが配送サービスに変われば、救急車の出動はかなり減るはずです。
具体的な制度の整備はかなり面倒そうですが、検討すべきアイデアでしょう。
Posted by Max at 2014年09月11日 09:17
wikipediaによると、こんなのが有るらしい。
○民間救急
緊急性がない通院や受診、入退院や病院から病院への転院搬送
民間の運送会社が有料で運行する患者搬送車で、サイレン等を鳴らしての緊急走行が法的に許されていない
○サポートCab
タクシーであるが、乗務員が応急処置の講習を受けている。車内にはAED等も搭載されている(すべての車両ではない)。

地域によって消防局が認定している業者があるが、電話番号が違うので、急いでいるときは面倒と思われる。また、民間救急コールセンターが管理している地域もある。


案1 民間救急に直接依頼しやすいようにする。そのため、民間救急コールセンターに短縮番号(1199とか)でつながるようにする。

案2 民間救急でも、あらかじめ警察から許可をもらっていたら緊急性があればサイレン等を鳴らしての緊急走行ができるように法律を改正する。

案3 自治体と契約する民間救急の車の待機場所を増やす。すると、救急車を頼むよりも早く来てもらえる確率が大きくなる。出動が無くても自治体から毎月一定額の契約料を支払うようにする。

案4 民間救急で搬送しても、病院で治療を受けた後、緊急性があったと認められた場合には、自治体から民間救急会社に費用を支払うものとする。

法律の改正が必要であったり、自治体と民間業者との契約が必要であったりするように思いますが、単に救急車を有料にするよりも良い方法だと思います。
Posted by ishi at 2014年09月11日 11:23
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